デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

85 / 156
デジタルアソートの平和利用デジモン

『例のクレカ事件以来、デジモン研究をする組織が増えてきているね』

 

クラッカーへの警戒度が高まったんでしょうか、スポンサーさん。

 

『うちいくつかは、いずれ君達と関わるだろう。いくつか紹介しようかね?』

 

お願いします。

私達研究チームはスポンサーさんの話を聞いた。

 

『まず一つは、独立行政法人ジャスティファイア。ここはデジモンは発見されるよりもずっと前から、軍と提携してサイバーセキュリティを研究している組織だ。海外から軍や政府へデジモンを使ったサイバー攻撃が来ることを危惧し、DPの高いデジモンによる防衛システムの構築を目指している』

 

ジャスティファイア…!

今はどんな状況なんですか?

 

『うちのサラマンダモンが産んだデジタマから孵化したオタマモンと、君達のところのマッシュモンがいる。あとは隠し玉の…おっと、これは重要機密だから我々からは言えないね。ともかく、現状の戦力ではまだ十分な防衛機能としては心許ないとし、早急な戦力強化を欲しているね』

 

まあ…国が落とされたら一大事ですからね。

グレイモンとかスターモンくらいの戦力は要るか。

 

『グレイモンのデジタマを拾って育ててみたらしいんだが…、成長期のアグモンは言うこと聞かないわ暴れるわで大変らしいぞ!ハッハッハ!』

 

手なづけられてないんですね…。

うちのファンビーモンみたいな感じでしょうか?

 

『あれよりはマシだな!』

 

そうですか。

 

『ジャスティファイアのデジモン研究チームのトップは、コードネーム「パルタス」という人物だ。君達とコンタクトを取りたがっている。そのうち連絡が行くだろう』

 

コンタクト?どんな?

 

『…いずれ必要になることだ。本人から直接聞くといい。んー…彼らは悪い連中ではないから、あまり邪険にしないでやってほしい』

 

…?なんか含みのある言い方ですね。

とりあえず、分かりました。

 

『次は…株式会社ローグ・ソフトウェア。新進気鋭の会社の小規模なソフトウェア会社だ。ワンマン気味だが優秀な開発力と実績がある。警察とデジタル鑑識システム開発等で提携している。デジモンに関しては独自路線の研究をしているらしいが、まだ情報が全く公表されていないね』

 

警察ですか。

公表されていない、というのは?

 

『極秘開発中ということだろう!君のとこのメガ君もそうじゃないかな?』

 

「…近いとこがあるかもしれないね」

 

『ローグ・ソフトウェアのデジモン研究チームトップは、コードネーム「ローグ」。特に君達とコンタクトを取る予定は今のところ無いな!』

 

そ…そうなんですか。

どんなデジモンを育ててる、とか…なんか、機密に触れない程度の情報ないんですか?

 

『不確定要素を排した、安定した運用ができるシステムを目指しているそうだ』

 

不確定要素を排した、ですか…。

デジモンは不確定要素ばかりな気がしますけどね。

 

『最後は、ベンチャー企業デジタルアソート。セキュリティや軍事はもちろん、それ以外でのデジモンの活用方法を模索している。なんと、デジクオリアの開発元であるあのカンナギ・エンタープライズが直接支援しているのさ!』

 

セキュリティや軍事以外ですか…

たとえば?

 

『ふふふ、それはね。研究チームのリーダーから直接聞くのがいいだろうね!』

 

リーダーさんですか…

話せるんですか?

 

『ああ話せるとも!今すぐにでもね!』

 

今すぐにでも…!?

その人はどこにいるんですか?

 

「ここだよ、ケン」

 

メガ…!?

 

『デジタルアソートは本当にデジモン研究をがっつりやるためのベンチャー企業だ!メガ君やカンナギエンタープライズ等が前々から進めていたが… 結局研究を先導しているメガ君がそのままトップになった!ハッハッハ!』

 

すごいなメガ!

そういえばメガ達の研究成果って全然聞いてないな。

 

「いろんな企業と提携しているからね…守秘義務がある。ごめんねケン。君が主導で進めてくれた基礎研究のデータは重宝しているよ。いつか恩返しがしたい」

 

楽しみだな。

 

「…製品の試作品がある。テストしてみる?」

 

やるやる!

 

メガは何かを取りに行った。

…同じ研究所の建物だけど、私には入室権限がない部屋だ。

 

そして、なにか持ってきた。

 

「これだよ」

 

これは…?

小さな液晶モニターがついた、小型の装置だ。USB端子がついている。

 

「Bluetoothやwifiも接続できるよ」

 

スマートウォッチかな?

 

「仮称デジヴァイス。デジモン運搬用ドックだ」

 

ああ、その端末にデジモンを入れて運ぶのね。

でも運ぶだけなら専用デバイスがなくても、適当な記録媒体に入れられるけど…

 

「試しにコマンドラモン、パルモン、ブイモン、ワームモン、マッシュモンに、端末に入ってきてもらって…と。そして、画面起動!」

 

お…おおお!?

かなり高い解像度で、デジモン達の姿が映っている!

 

前に販売したマッシュモン端末の「デジタルモンスター」は、デジクオリアを携帯端末のスペックでギリギリマッシュモンの姿を映せるように、かなりデチューンしてあるのに!

 

「あっちはドット絵みたいな感じで表示されてたね」

 

デジクオリアは、古代の霊媒師達の頭脳をエミュレートして霊能力を発動させる人工知能だ。

かなりのマシンスペックがなきゃ、こんな綺麗な映像で出力はできないはずだ!

それをこんな小型端末でやってのけるとは…!

 

いったいどうやってるんだ!?

超スペックのモンスターマシンなのか!?

 

「ふっふっふ…どうやってると思う?仕掛けは単純だよ」

 

うーん、わからん…!

 

『はじめましての デジモンいる! はじめまして わたしパルモン! あなたは?』

 

デジヴァイスからパルモンの声が聞こえてきた。

ん?誰に話しかけてるんだ?

 

…すると、抑揚がない合成音声が聞こえてきた。

『ハロー オレサマは ドー…』

 

そこまで聞こえてきた時、メガが叫んだ。

「待って!まだ名乗らないでデルタ!仮称で名乗って!」

 

『…オホン オレサマは δ(デルタ)だ オマエラの すがたを うつして ニンゲンに みせている』

 

えっ?

なんて?

 

「おおう、ネタばらししちゃった…。そう。中にもう一体デジモンがいて、そのデジモンの視界をアウトプットしているのがデジヴァイスの映像なんだ。だからマシンスペックなんて不要なんだ」

 

マシンスペックが要らない…!?

ピンと来ない私の隣で、リーダーが解説した。

「そうか!デジモンは端末の電源を消しても活動できる…つまりデジモンの思考能力は端末の計算資源に依存しない!だからこんな小型端末のスペックでも、その映像をデジモンの視界に繋げば高性能デジクオリアと同等の映像出力ができるのか!」

 

な…なるほど!

でも…デジモンの視界を端末に繋ぐ?どうやって?

理屈が分からない。

 

そう悩んでいると…

「それは…我が社の製品デジクオリアを、丸ごとデジモンに吸収させることに成功したからだ」

 

うおっ!?

カンナギエンタープライズジャパンのCEO、神木さんがいつの間にかいる!

マジでいつの間に!?

 

「我々の技術のデモンストレーションをしてるんだろう?ふふふ、新鮮な反応が見たくて飛んできたよ」

 

フットワーク軽いですね。

そ、それで何でしたっけ。

吸収?

 

「デジモンには『パッチ進化』という進化方法が存在する。ケン君やカリアゲ君が解き明かしてくれた成果だ」

 

それを聞いたカリアゲは頭をぽりぽり書いている。

「ほぼ99%ケンの努力のおかげだけどな」

 

いやいや。

カリアゲの1%の閃きがあったからこそ発見できたんだよ。

 

「でぇっへへへへ…!嬉しいこと言っちゃってェー!」

デェッヘヘヘヘ…!このこの。

 

「仲がよくていいねキミ達。…オホン。えー、それでだ。我々はこう考えたんだ。デジモンにデジクオリアを吸収させてパッチ進化させれば、その能力を獲得できるのではないかと。そして試行錯誤の結果、そこのデジヴァイスのメインシステムを管轄するデジモン、仮称デルタが誕生したわけだ」

 

へぇ~…いつの間にそんな研究を…。

仮称デルタ…名前はデルタモンですか?

 

「いいや違う。デルタと呼んではいるが、名前はデルタモンではない。いずれ正式に彼を公表できる機会が来た時に、デジモンとしての正式名称も公表できるだろう」

 

楽しみにしてます。

ところでこのデジヴァイス、何に使う用途なんですか?

おしゃべりするパートナーと一緒に移動するため…?

 

「それだけじゃあないよ。駐車場へおいで、私がここへ来た交通手段をお披露目しよう」

 

交通手段…?

なんか凄いものに乗ってきたんですか?

 

駐車場に行くと、そこには…

人が乗れそうなサイズのでかいドローンがあった。

 

こ…これですか?

 

「そうだ。乗ってみるかい?」

 

乗ると言っても…

操縦桿がありませんよコレ。

 

「操縦桿?必要ない。デジヴァイスを装着して、それに乗ってみるといい」

 

こうですか…どれどれ?

私はドローンの座席に乗った。

すると…

 

『へいらっしゃい!』

 

うお!?

デジヴァイスから声が!?

 

『おきゃくさん どちらまで いくでござるか?』

 

音声コマンド式のインターフェースか。

え、えーと。

なんて返せばいいですか?

 

「好きなように彼と話すといい」

 

ええ…好きなようにと言われても。

 

『ははぁ デモンストレーションで ござるね そのへん ぐるっと とんでみるで ござるか?』

 

え?

は、はい。

 

『シートべルトと メットをつけてを

 しっかり つかまってるで ござる』

 

すると…

ドローンの回転翼が回り始めた。

うおっ!車体が宙に浮いた!

 

ドローンは私を乗せて飛び始めた。

うおお!すごいすごい!

遊園地のアトラクションみたいだ!

 

『おきゃくさん なにか オーダーしてくれないと せっしゃのすごさを みせられないでござる』

 

え、えーと、じゃあ…

食堂まで行ける?

 

『おやすいごようで ござる』

 

ドローンはそのまま空を飛び、食堂の前に着陸した。

 

『とうちゃくで ござる』

 

おお、ありがとう!速いね!

君もデジモンなの?

 

『そのとおり いまは ν(ニュー)と なのってるで ござる』

 

仮称ニューか。

…そういえば、デジヴァイスのシステムを管轄している仮称デルタは、初めて名乗った時口を滑らせて「ドー…」とか言ってたな。

おそらく、自身の名前をアルファベットにした頭文字に対応するギリシャ文字が彼らの仮称になっているのだろう。

Dで始まるデジモンなら、それに対応するδとなるように。

 

『そらのたびは いかがだったで ござるか?ごだんかいひょうかで レビューをたのむで ござる』

 

星5だ!乗り心地抜群だったよ!

それにしても…デジモンの君が運転したのか。凄いな!

デジモンによる完全自動運転…!

これは夢が広がる。

 

『ふっふっふ ただの じどううんてんより バッテリーが ずっと ながもちで ござるよ』

 

なるほど…。

電力を消費しないデジモンの思考能力によって自動運転制御を管轄しているから、車載コンピュータを小型化・低電力化できる…

故にコンピューターによるバッテリー消費を節約でき、航続距離が大幅に伸びるのか!

これは凄いぞ!

 

『そのとおりでござる さて しょくどうで ごはんを たべていくでござるか?』

 

いや、元の場所に戻ってくれる?

 

『かしこまりで ござる』

 

ニューは私を乗せて、駐車場に戻ってきた。

 

「いかがだったかな?ケン君。我々が開発中の全自動運転ドローンは」

 

メチャクチャ凄いです!

そうか…メガ、君が言ってたデジモンの平和利用って、こういうことだったんだな!

 

「そうだよケン。僕はデジモンの高度な思考能力がマシンスペックに依存しないことに目をつけたんだ。そしてこれらを作った。デジモンは僕達の生活を豊かにしてくれるはずだ」

 

語彙力が足りなくなるくらいすごい!

 

「なあメガ!次俺も乗せてくれよ!」

 

「勿論いいよ。ケンからデジヴァイスを借りてね」

 

ほい、これ。

「サンキュー!それじゃあドローン、俺も乗せてくれ!」

 

『かしこまりでござる』

 

…ところでメガ、なんでこの子ござる口調なの?

 

「ただの敬語じゃ味気ないから、京都の人力車をイメージしてござる口調を学習させてみたんだけど…どうかな」

 

ウケると思うよ!

 

「そ、そうかな!グフフw」

 

ところで神木さん。

「どうしたんだい?他の製品のデモンストレーションも見たいかな?」

 

それはそうですけど…

これに乗ってきたんですよね?

 

道路交通法とか大丈夫です?

 

「…すまない、見栄を張っていた。ほんとに乗ってきたのはあの軽トラだ。ちょっとかっこつけたくてね…」

 

ホッとしました。

デモンストレーションですからね、気持ちは分かります。

 

我々がそうして話していると…

駐車場に車が入ってきた。

見たこと無い車だ。

あれは?

 

『…タイミングが悪いねえ、パルタス君。もう少しそれらしい雰囲気のときに話をしに来てくれればいいのに』

クロッソ・エレクトロニクスから預かっている端末から、スポンサーさんの声がした。

スポンサーさんは知ってるんですか?

 

『ああ。車の文字を見たまえ』

なになに…?

 

その黒い車には…

『JustiFire』の文字が白のインクで書かれている。

シーズン2で登場したデジモンの中で好きなのは

  • ベーダモン
  • オタマモン赤
  • サラ(サラマンダモン)
  • モスモン
  • ディノビーモン
  • パイルドラモン
  • アイスモン
  • モクモン
  • トーカンモン
  • キウイモン
  • ティロモン
  • ワームモン(パートナー)
  • ブイモン(パートナー)
  • ファンビーモン
  • キンカクモン
  • プラチナスカモン
  • 謎のミサイル型デジモン
  • パルモン(パートナー)
  • 盆栽城(ジャガモン)
  • ルドモン/ズバモン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。