駐車場に停まった車から、二人の人物が降りてきた。どちらもミリタリー風の服を着ている。
一人は堂々とした雰囲気の、長い金髪の女性。
もう一人は、前髪が長く猫背の、細身な男性だ。
女性はリーダーの前に来て、口を開いた。
「私はジャスティファイアの代表者!パルタスだ!キサマがバイオシミュレーション研究所のリーダーだな!?」
何だこの人!?
出会い頭に貴様って呼んだぞ!?
パルタス氏のそばで鞄持ちをしている細身の男性は、我々を見てペコペコ頭を下げている。
リーダーは頷く。
「そうだ。初めまして。ジャスティファイアは…軍と提携してデジモンを研究している組織か。アポイントメントが無かったが、何か急ぎの用事があるのか?」
リーダーは気にしてない!
あっこの人も敬語使わない勢だった。
「単刀直入に言う。今後のお互いのための話し合い…いや!取り引きがしたい!」
「取り引き…どんな?」
「要求は1つ。3体のデジモンを我々へ売却するがいい!」
上から目線ン!
「3体…どのデジモンだ?」
「お前らが鹵獲したという、ズバモン、ルドモン。そして…コマンドラモンだ!」
いきなり何いってんのこの人!?
「そう言われて首を縦に振ると思うか?パルタス氏」
「ああ、振るだろうな!さあどうだ!売る気になったか!」
「理由を話せと言っているんだが?」
「理由か!ふむ!どこから話そうか!?」
すると、細身の男性が口を挟んだ。
「えーと、どうもリーダーさん。あっしはジャスティファイアの主任研究員、バンモチでやんす。この人ちょっとクチ悪いですけど、よろしくです」
「あ、ああ…よろしく。それで、我々への用件だが…まずは経緯をしっかり話してくれ」
「ですってパルタスの姉御。お願いしやすよ」
「いいだろう!まずは…」
パルタス氏が口を開こうとすると…
「その前にいいですか!」
クルエが遮った。
「なんだ!」
「…駐車場じゃなく応接室で話しません?」
「おお、そうだな!そうしよう!」
我々は応接室に行った。
カンナギCEOの神木さんは「きみたち二人の商談に私が割り込むのは違う」と言って帰っていった。
…
応接室。
シンが人数分コーヒーを持ってきてくれた。
気を取り直して、と。
「私は独立行政法人ジャスティファイアの代表者、パルタスだ!こっちはバンモチ!主任研究員だ!」
「よろしくお願いしやす」
パルタスさんですね。
…それで、いきなり売れと言われて売れるわけがないでしょう、パルタスさん。
経緯を話してください。
「うむ、わかった!我々は元々国家防衛用セキュリティシステムの開発をしている。デジモン研究もその一環だ!」
元はシステム屋さんなんですね。
「そうだ!以前から国家防衛用デジモンの研究開発を進めている。海外のクラッカーの攻撃から国家のシステムを防衛したこともあるぞ!」
ええと、そちらの主力はマッシュモンとオタマモンでしたっけ。
「情報が古いな!まあ国家防衛システムを担うデジモンの情報をおおっぴらにはできない故致し方無しか!…それらは場繋ぎだ、我々の真打ちが完成するまでのな」
真打ち…?
そのデジモンが出来上がったんですか?
「そうだ!我々の最高傑作だ!見るか?」
いいんですか?見ても。
「これから腹を割って取り引きをしようというのに、隠し立てなどできるか!見ろ!」
そう言い、パルタス氏はタブレットPCを取り出して、画面を表示した。
遠くのサーバーで起動しているデジクオリアの映像をリモートで映しているらしい。
そこに映っていたのは…
手足がない小型スターモンと、それよりさらに小さな三角形のデジモン達。
そして…
以前森林に直撃した、ミサイル型デジモンだった。
えっ…?
これジャスティファイアさんとこのデジモンだったんですか!?
「おお、知っているのか?小さいのがピックモンズ、星形のやつがティンクルスターモン、そしてミサイル型のがシューティングスターモンだ」
名前は知りませんが…
デジタルワールドで観察したことはあります。
森を爆撃して狩りをしていたところを。
「そうか。ならば、我々が育て上げたシューティングスターモンの実力は知っているだろう」
…ええ、知っていますとも。
そして、その残忍な狩りの手口も。
「残忍?はっ、そう見えるかもしれないな。だが必要なことだ」
必要なこと…?あれが?
「シューティングスターモンはとにかく腹が減りやすい!だからああやってたくさんエサを獲らねばならんのだ」
ちょっと待ってください。
「なんだ?」
…あんな狩りの仕方、無いんじゃないですか。
デジタルワールドの環境破壊、生態系破壊もいいとこですよ、あんなの。
「そうか?あの森には一度しか落としていないぞ。一度狩りをしたら、次はできるだけ遠いところで狩りをしている。何の問題がある?」
…。
「問題なかろう?」
パルタス氏に対して、リーダーが口を開いた。
「…その、シューティングスターモンで、何度かクラッカーと戦ったことがあると?」
「うむ。粘菌デジモンが来たことがあったな。負けたことは一度も無いぞ。威力の加減が難しく、護るべきデータを破損させたことはあったがな!」
パルタス氏がそう言うと、タブレット画面から合成音声ソフトの声がした。
『ワカッタカ オチビドモ オレサマガ ナンバーワンダ』
…今のはシューティングスターモンのチャットを音声にしたんですね。
…そのデジモン達は…
「そう、スターモンの子孫だ。本家スターモンより強く育てた自信があるぞ!」
…それで。
なんでうちのデジモン達を売れという話になるんですか?
ティンクルスターモンとピックモンズでしたっけ。
シューティングスターモンのデジタマから成長期や幼年期のセキュリティデジモンが産まれているなら、それを育てればいいんじゃないですか。
「…」
どうしたんですかパルタスさん。
「…いや、シューティングスターモンを殖やすのは…無理だ!こんな大食らいを二体も三体も抱えてられるか!」
まあ、そうですよね。
『タリネーンダヨ モット タタカワセロ カリモ タイクツデ シカタネー』
「それにこいつは、さっき言った通り攻撃の威力調整があまり効かない!防衛すべきシステムを敵ごと破壊しかねないという危険性がある!」
じゃあ、そのティンクルスターモンとピックモンズは?
「こいつらは…まあ強いには強いが…。同じ戦力ばかりで構成されたチームは脆いものだ」
『イージャネーカヨ! アクトードモヲ ブッコロス チカラガ アレバ イーダロ』
…つまり。
器用なデジモンが欲しいと。
「そうだ」
自分で育てればいいんじゃないですか?
「そう思ってグレイモンのデジタマを拾って育ててみたが…、孵化して育ったアグモンは全く言うことを聞かない!」
…器用なデジモンが欲しくてグレイモンのデジタマ拾う判断は、どうかと思いますが。
スターモンの子供達を、器用なことができるように教育してみては?
「その結果がこのティンクルスターモンとピックモンズだ」
『パルタスノ アネキ! ツギハ イツ アクトードモヲ ブッコロセルンデスカイ!?』
「貴様ら…もっと器用に立ち回れるように勉強しろと、いつも言っているのがわからんのか!」
『ウェーーーイ オレラ コマカイコト ワカンネーッス! フゥーーーーー!!』
「フゥーじゃない!」
…器用な感じじゃないですね。
「どうにもスターモンの血がこういう感じらしい。誰かを護って戦うことに、本能的に飢えているようだ」
まあ、スターモンは小細工なしで、高いDPから来る純粋な強さで敵をねじ伏せるタイプですからね。
「そういうわけでだ。我々ジャスティファイアは、新たにデジタルワールドから器用なデジモンの素質があるデジタマを拾って育てるよりも…貴様らが育て上げた優秀なセキュリティデジモンを量産する方がよいと判断したのだ!」
ズバモンとルドモンはクラッカーのデジモンを鹵獲したんであって、我々が育てたわけじゃないですけどね。
「なに!そうなのか!?」
はい。
まあ全然言うことを聞かないし、一向にこっちの仲間と打ち解けませんね。
優秀な力を持っているのに、宝の持ち腐れです。
「何もしなくてもエサを貰えるからだろう」
ええ、そりゃまあ…
餌付けを続ければ、いつかは感謝で心を開いてくれるかなと思って。
「甘い甘い!甘すぎる!メシ抜きにしろそんな奴ら!」
『ソウダゼェエーーーイ!フウゥーーー!』
ええ!そんな…
ネグレクトじゃないですか。
「ぬるすぎるわ!貴様らは可愛いペットでも飼っているつもりか!働かざる者食うべからず!だろうが!」
うーん…
それはどうかと思うけど…。
「いいか!宝の持ち腐れというのはだな!ルドモンとズバモンの能力のことではない!貴様らにその剣と盾を預けていることの方だ!!我々に売れ!!」
…コマンドラモンもですか。
「そうだ!貴様らの活躍は見ている…が!コマンドラモンほど優秀なデジモンがたった一体しかいないというのはあまりにも勿体無いではないか!」
そりゃそうですけど…
「貴様らはこれからも、クラッカーのデジモンが出現する度に全国各地へヘリコプターで飛んでいくつもりか!?続くはずないだろうそんなセキュリティが!」
うっ正論だ!
痛いところをつく。
「貴様らのチームがどれだけ優秀でも、手数でキャパシティを上回られたら防衛しきれない!だからコマンドラモンを我々に売って殖やさせろと言っているのだ!」
カリアゲが眉間に皺を寄せる。
「ちょっと待てよ!殖やすのはいいけど、なんであんたらに売る必要があるんだ!うちで殖やせばいいじゃねーか!」
「それはいつになるんだ!?キサマらは今まで一体でも成長期を進化させて成熟期デジモンにしたことがあるのか!」
「い、いや、ねえけど…」
「我々にはある!このシューティングスターモンの実績がな!キサマ等に任せていてはいつまで経っても埒があかんわ!時間は有限だ、クラッカーはキサマらがもたもたしてるのを待ってはくれんぞ!」
「む、むむむ…!」
ところで、なぜコマンドラモンなんですか?
他のデジモンは?
…マッシュモン以外で。
「無論、殖やせるならみんな殖やしたいに決まっている!高い格闘能力とツタによる捕縛、粘菌デジモンの毒への耐性をもつパルモン!粘着糸で敵を拘束できる上に、野生の同種に比べて卓越した優秀な知能を持つワームモン!どちらも殖やしたいに決まっている!」
『…おれは?』
デジヴァイスからブイモンの声がした。
「ブイモンは…なあ…別に急いで殖やしたいものではない」
『…そうかよ』
…まあ、主張は分かりました。
どう思う、みんな。
私がそう聞くと、カリアゲがいの一番に口を開いた。
「…なめやがって…コマンドラモンはいつかうちで成熟期に進化するさ!仲間をそう簡単に売れねーよ!」
続いてメガが喋った。
「まずはアグモンを育ててみたらどうですか?」
シンも頷いた。
「コマンドラモンはうちらの仲間っすよ!売るとか何とか…ありえねーッス!」
クルエは悩み中のようだ。
デジヴァイスの中のデジモン達にも聞いてみた。
どう思う?コマンドラモン。
『…まずは いけんを ききたい』
まずはマッシュモンが画面に近付いてきた。
『かみよ コマンドラモンが いなくなるのは さみしい』
パルモンはマッシュモンの言葉に頷いている。
「こまんどは ともだち!なかま!いっしょにいたい!」
ズバモンとルドモンはこちらに興味を持っておらず、ゴロゴロしている。
ワームモンは悲しそうな顔をしている。
『ししょーから みならいたいこと まだまだ たくさんある』
ブイモンは何も言わない。
…みんな反対らしい。
まあ無理そうですね。
「く…何故だ、なぜ分かってくれない!」
あなたの言葉に説得力を感じないからじゃないでしょうか。
「ぬ、ぬぬ…」
最後に、リーダーが口を開いた。
「…俺は…。…パルタス氏の意見に…賛同だ…」
…え?
リーダー、今、なんて?
「…聞こえなかったか。賛同する、と言った」
は?
何言ってるんですかリーダー!?
私がリーダーの言葉に慌てていると、デジヴァイスの画面にチャットテキストが表示された。
コマンドラモンからだ。
『リーダーなら そういうと おもっていた』
こ…コマンドラモン…?
君まで何言ってるの…?
シーズン2で登場したデジモンの中で好きなのは
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ベーダモン
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オタマモン赤
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サラ(サラマンダモン)
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モスモン
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ディノビーモン
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パイルドラモン
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アイスモン
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モクモン
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トーカンモン
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キウイモン
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ティロモン
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ワームモン(パートナー)
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ブイモン(パートナー)
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ファンビーモン
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キンカクモン
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プラチナスカモン
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謎のミサイル型デジモン
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パルモン(パートナー)
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盆栽城(ジャガモン)
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ルドモン/ズバモン