ジャスティファイアとの対談から、成熟期への進化に関するヒントが得られた。
その仮説は…
「生命の危機を感じること」。
ただし、平和な環境に居たデジモンが急に成熟期デジモンと戦うことになったとして、命の危機に陥った時に突然進化を遂げるというものではなさそうだ。
仮に「ピンチになったら進化できる」のであれば、今頃過酷な生存競争が繰り広げられているデジタルワールドは成熟期だらけになっているはずだし、成熟期に捕食される成長期デジモンなど居ないだろう。
つまり、「一時的な危機を進化によって凌ぐ」というものではなく、「平時の生活環境において、常に命のやりとりをする環境」だということが重要…なのだと思う。
ただし、この説には穴がある。
かつて離島で目撃されたキウイモンやトーカンモンが成熟期に進化できた理由を論理的に説明できないのだ。
あの平和で食料もそこそこある離島では、キウイモンやトーカンモン達は生命の危機を感じていなかったはずだ。
故に「生命の危機」は数ある成熟期進化要因のうち一つ、くらいに考えておくべきだろう。
…シューティングスターモン育成論をそのまま猿真似すれば、戦闘向きのDP高いデジモンを育てることはできるかもしれないが…
『維持コスト』というのは非常ーーーーーーに重要な要素なのである。
もしも一般企業向けのセキュリティデジモンが、スコピオモンくらいDPが高ければ、それはそれで問題なのだ。
クラッカーに侵入される以前の問題として、デジモンの維持コストで予算が枯渇しかねない。
かといって、モスモンやサラマンダモンのように「DPの高さに頼らずに、強力な立ち回りができるデジモン」は、やや打たれ弱いという短所もある。
その辺の絶妙なバランスが、我々のセキュリティデジモン開発には重要になってくるだろう。
さて…
そんなこんなでセキュリティデジモン開発にいそしむ我々の研究チームだが…
リーダーから話があった。
「みんな聞いてくれ。ようやく我々が求めていた条件の島が見つかった。カリアゲが見つけてくれた」
んん?なんだっけそれ?
私が首を傾げていると、シンも同じリアクションをしている。
「ん?そういえばシンには言ってなかったが…ケンにもだったか?」
…デジタルワールドの観察をメインでやってると、どうにもセキュリティデジモン開発の方の話を忘れがちになります。
「そうか…。端的に言うと、ディノヒューモン農園のように農作物を生育するのに適した環境の離島を探していたんだ」
農作物…。
そういや、うちはずっとキノコ栽培はやってましたが、野菜作りはしてませんでしたね。
「そうだ。最大の理由は…光源不足だ。我々のサーバーのパソコン内のデジタル空間…ビオトープでは室内ライト程度の光源しか出せないから、野菜を生育することはできなかった。光合成のエネルギーを賄うには不十分だったんだ」
では、デジタルワールドの適当な土地を農地にでもして農作業しようとすると…
「野生デジモンが畑を襲撃してくるだろうからな。ディノヒューモン農園くらいの戦力があれば害獣デジモンを追い払えるだろうが、うちの戦力では…ボアモン等の偶蹄類型成熟期が突撃してきたら太刀打ちできない」
しんどいですね…。
「だからデジタケ以外では、魚釣りや、野草採集などで食糧を確保していたわけだ」
クルエがジト目をしている。
「なんか…うちのチーム、全体的に情報共有やばくないすか」
まあそう言わないで…
本当に重要な話はちゃんと聞いてるから。
それで、離島というのは…
「強力な害獣デジモンがおらず、それでいて植物の生育に適しており、それなりに面積が大きい…そういう島を探していたんだが、ようやく見つかったんだ」
つまり、これからは農作業のトライアルを始めるんですか?
「そうだな。我々のサーバーのデジモン生育環境を『ビオトープ』と呼んでいたのは、離島開拓の予行演習としてデジモン達自身に自分達の住む環境つくりをさせていたためだ」
そういえば前にカリアゲとクルエさんが、デジタルワールド内で食えそうな野草とか薬草を調べてたっけ。
あれが作物の候補選定だったんですね。
「そうだな…。我々の飼育デジモン達のトイレがどんな構造になってるかは教えていたか?」
それはさすがに聞いてます。
ボットン式便器の中で、デジタルゲートを垂直に開き、デジタルワールドへ排泄物を捨てるんですよね。
「そうだ。だが捨てていたというのは少し違うな。デジタルワールドへ落とした排泄物は、木製の容器へ溜めておき、野生のププモンへ食わせていたんだ」
隙間の空いた木箱…ですか。
それなら自然に処理されるわけですね。
しかしなぜ木箱の中へ?
野晒しにしても、そのうち土に返ったり、ヌメモンが食べてくれるんじゃないでしょうか?
「へへーん、ケン。じゃあ今からちょっと見てみるか?」
おおっカリアゲ…なんか見て面白いことになってるのか?
クルエさんが隣で「あまり見たくない」って呟いてるけど。
「まあまあ見てくれよ!」
デジクオリアの映像では、木箱が映っていた。
マシンアームで木箱を開けると…
…おお?
排泄物…というよりは、土みたいになってるな。
「ププモンが食ったウ●コはな、有機物がほとんど消化されて有機肥料になるんだ!コマンドラモン曰く、ニオイも全然しなくなるらしいぞ!」
ププモンは排泄物やデジモンの死骸へ消化液をかけて、溶かしてから食べるんですよね。
しかも自分達が細菌にやられないように、抗菌ペプチドを分泌して、嫌気細菌の増殖を抑える。
その過程でメタンガスが発生しないから、堆肥に比べてニオイもあまり出ないのか。
「そうそう、それはケンが調べてくれたんだよな。そんなわけで、ディノヒューモン農園ではウンコを藁と混ぜて堆肥にしてたけど、うちではププモンに食わせて有機肥料を作ってたんだ」
そうして、今までずっと作り続けた有機肥料を溜めてたわけか。
「ああ。ようやく使えるぜ!便秘解消ってわけだ!なんちゃって!」
…。
「…オホン。そんなわけで、この島をフローティア島と名付け、開拓を始めようと思うぜ!」
…たしかジャスティファイアは、農作物を作るのではなく、野生デジモンを狩りまくってましたよね。
うちは魚釣り以外では、そういうのはしないんですか?リーダー。
「…我々のチームでは、デジモンの飼料獲得の持続可能性を最重視しているんだ」
持続可能性?
「ああ。ジャスティファイアは今の規模なら、野生デジモン狩りで十分な食肉を確保できているようだが…、もしもジャスティファイアがあの調子でティンクルスターモンやシューティングスターモンを殖やして全国各地へ配備したとしよう。今のままならば、それらの餌を狩猟で確保しなくてはならなくなるわけだ」
…デジモンを狩り尽くして、絶滅させてしまう可能性があるわけですか。
「それもなくはないが…デジタルワールドの進化は早い。やがてシューティングスターモン達を狩る野生のレベル5デジモンが大量に出現する可能性もあるだろうし、毒物をもったデジモンが増えてくる可能性もある。環境を作り替えるデジモンも出現するかもしれない…現にジュレイモンがやっているように。そうやって狩猟ができなくなると、食糧確保の手段が無くなってしまう」
そうなったら、セキュリティデジモンは共食いし、やがて全滅ですね。
「そうだ。故に我々は、餌の確保を狩りに依存することはリスキーで持続性に欠けると判断した。だから、仮に狩猟のほうが楽で効率がいいとしても、あえて孤島で農作物を作り、自前の生活インフラを整備することにしたんだ」
…野生デジモンとの戦闘経験を得られなくなりそうですが…。
「それはそれで別でやるさ。わざわざ同時にやらなくてはいけない道理はない」
なるほど…。
…クラッカーはその辺どうしてるんでしょうね。
「ズバモンとルドモンを見た限り、野生デジモンを狩って食肉にしているのは間違いないだろう。だが…ケン。確か、蛮族の集落で奇妙な光景を見たと言ってたな?」
はい。
遮光器土偶のようなモノで身を隠す、仮称ニセシャッコウモンが、蛮族からお供え物としてデジモンの死骸を受け取っていました。
…奴らも飼育デジモンの手で野生デジモンを狩ることに依存することの危険性を危惧し、自分達が食糧を確保できる「流れ」を作ろうとしているのかもしれません。
蛮族という野生デジモン側の協力者を得ることで。
「…デジタルワールドの秩序を、クラッカーに都合のいい状態にしようとしているのか」
既に一度、蛮族デジモンのシャーマモンがAAAとやらの手駒になっているのを見ました。
この先、もしかしたら…
ジャングルモジャモン等の成熟期蛮族デジモンが、奴らの手駒になるかもしれません。
「…成熟期を相手にするのは、骨が折れそうだな…」
あまりデジタルワールドの環境に手を加えたくないですが…
クラッカーへ一方的に陣取りを許したら、覆せないほど勢力図が傾くかもしれませんね。
「…デジタルワールドでの陣取り合戦が始まるかもしれない、ということか…」
ういや、ジャスティファイアは食糧の持続可能性とか考えないのかな?
「ふむ、どうだろうな…。話を聞いてみたらどうだ?」
了解です。
一通り今の話が終わったら、電話してみますね。
「ああ。それでは、フローティア島開拓計画を説明する!まず…」
…さて、説明が終わったので、パルタス氏に電話してみよう。
もしもし。
『おお、その声はケンか?ふはははは、最近よく電話するなぁ!』
どうもです。
それで、かくかくしかじかなんですが…どうなんですか?
『んん?持続可能性?今のまま狩猟ができなくなるなんてことがあるか?』
ええ。
蛮族デジモンに、餌場を取られたりとか…
『???意味がわからない。それがどうかしたか?』
重要なことですよ!
狩猟を邪魔されたりしたら、日本を護る軍用セキュリティデジモンが機能しなくなるってことです!
『なんだ、そんなことか…問題外だ』
何故です!?
『シューティングスターモンのパワーは見ただろう。蛮族デジモンが邪魔してきたら、一捻りにして滅ぼしてしまえばいい!それで万事解決だ!なんなら蛮族デジモン共を餌にしてしまえばいい!』
…ええ。そういう問題ですか?
『そうだが?』
…そうですね。
『ふはははは!そうだろう!』
…あまり参考にはならなさそうだが…
考えてないわけじゃなさそうだ。
うーん…
本当はデジタルワールドにあまり人為的な手を加えず、静かに自然観察していたいんだが…。
そうもいかなくなってきたのは、無常というかなんというか…。
私とパルタス氏が話していると、カリアゲが割り込んできた。
「そーいやジャスティファイアではよ、デジモンのウンコってどうしてるんだ?」
『排泄物か?デジタルゲートを開いて、デジタルワールドの適当なところへポイだ』
「シューティングスターモンってたくさん食うんだろ。じゃあ…たくさん出すのか?」
『それはもう!物凄い量だぞ!ふはははは!』
「じゃあよ、今度からは今から俺が言う座標にデジモン達のウンコを送り付けてくれねーか?」
『ん?構わないぞ、だがどうする気だ?』
「っしゃああ!!!有機肥料大量ゲットぉぉ!!」
『ぶわっははははは!何やら楽しいことをしてるらしいな!!ふはははは!』
…ジャスティファイアのパルタス氏は…
奇異な人物ではあるが、味方につけると心強いかもしれない。
シーズン2で登場したデジモンの中で好きなのは
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ベーダモン
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オタマモン赤
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サラ(サラマンダモン)
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モスモン
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ディノビーモン
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パイルドラモン
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アイスモン
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モクモン
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トーカンモン
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キウイモン
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ティロモン
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ワームモン(パートナー)
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ブイモン(パートナー)
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ファンビーモン
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キンカクモン
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プラチナスカモン
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謎のミサイル型デジモン
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パルモン(パートナー)
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盆栽城(ジャガモン)
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ルドモン/ズバモン