デジタルモンスター研究報告会   作:タマリリス

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翼人型デジモンの出現

私は、密林の方へデジドローンを飛ばした。

蛮族デジモンがいる地域だ。

 

あまりに木々の密集度が高い密林では、デジドローンがその間を掻い潜って飛んだりできなくなるので、密集度が低い地域を観察している。

 

やがて、木々がガサガサと揺れ、一体のデジモンが飛び出してきた。

大きな仮面と、ブーメランを携えた類人猿デジモン…セピックモンだ。

 

セピックモンは、上方を見上げている。

木の上にいる何かを付け狙っているようだ。

 

やがてセピックモンは、ブーメランを投げた。

ブーメランはくるくると弧を描くように飛び、木の影にいたデジモンに当たった。

 

「ギャッ!」

 

悲鳴を上げたデジモンは、木から落ちた後、バサバサと飛んで逃げた。

 

そのデジモンは…

…まるで悪魔のような姿だ。

発達した手足と、ふたつのコウモリのような翼が生えており、おおきな口を開けている。

全身は黒い毛皮で包まれており、直立二足歩行ができそうだ。

 

命名イビルモン。

その形態から察するに、コウモリ型デジモンピピスモンの子孫であるピコデビモンが進化した姿だと思われる。

 

驚いた…。

コウモリのデジモンが、こんな姿に進化するとは。

我々は、このコウモリ型デジモンから進化し系統を、翼人型デジモンと呼称することにした。

 

さて、セピックモンが投げたブーメランは、セピックモンの手元へ帰ってきた。

凄まじいコントロールである。

 

攻撃を受けたイビルモンは、逃げようとしたが…

 

「ギギ…!ギャウウゥーーー!」

 

空中でターンして、セピックモンへ飛びかかってきた。

 

「ヒャアアアアアイイアアーーーーー!!」

 

イビルモンは口を大きく開けて、けたたましい声を上げた。

 

それを聞いたセピックモンは耳を塞いだ。

「ウギッキッキイイィイイイーーーーー!!」

 

どうやらイビルモンは怪音波を発して攻撃することができるようだ。

ピピスモンが持っていた超音波ソナー能力を発展させた力のようだ。

 

イビルモンはセピックモンに接近し、声を止めた。

 

セピックモンはブーメランを構えた。

このうるさい敵の声を止めてやろうというのだろう。

イビルモンへ近づき、ブーメランを振りかざした。

 

 

「ビィーーーーーーーーーーーーーーヤァアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

イビルモンはセピックモンの耳元へ口を近づけ、凄まじい爆音を発した。

 

「ビギャアアアーーーーー!!」

 

セピックモンは怪音波攻撃をまともに頭部へ食らって、そのまま後方へ吹き飛んだ。

 

「ギギ!キィー!」

 

吹き飛びながら、やぶれかぶれの様相でブーメランを投げるセピックモン。

だがイビルモンはそれを軽々と躱した。

 

吹き飛んだセピックモンは、背中から太い木へ叩きつけられた。

 

「ウギッ!」

 

地面に伏すセピックモン。

 

「アギ…ギ…!」

 

悶え苦しんでいるセピックモン。

怪音波で吹き飛んで木にぶつかったダメージよりも、それを顔面に浴びせられたダメージが大きいようだ。

 

「ウッヒャッヒャーーー!」

 

弱ったセピックモンを見てニタリと笑みを浮かべたイビルモンは、セピックモンへにじり寄り、噛みつこうとした。

 

「ウギャッ!」

 

そう悲鳴を上げたのは…

イビルモンの方だった。

 

先程セピックモンが投げたブーメランが戻ってきて、イビルモンの後頭部にクリーンヒットしたのだ。

 

「ゥ…グギ…!」

ばたりと倒れるイビルモン。

 

二体とも意識が朦朧としているようだ。

 

「キ…キィイ…!」

「ウビビ…!」

 

二体とも、必死に立ち上がろうとしている。

この勝負、先に立ち上がったほうが勝つ…!

 

「ウッホッホーーー!!」

 

…そのとき、上空からデジモンの声が聞こえてきた。

 

なんと木の上から、一等身体型のずんぐりむっくりした茶色い類人猿デジモン、ジャングルモジャモンが、骨棍棒を構えて飛び降りてきたのだ。

 

ジャングルモジャモンがふり下ろした骨棍棒が、イビルモンの脳天を力強く打った。

 

「ギャアアアアアーーーー!」

 

頭部から出血し昏倒するイビルモン。

 

「ウッホ!ホッホッホッ!」

 

ジャングルモジャモンは、イビルモンにのしかかり、その頭部を骨棍棒で滅多打ちにした。

イビルモンはそのまま絶命した。

ふらつくセピックモンは、よろよろと立ち上がるが、足元がおぼつかないようだ。

 

「ウホウホ!」

 

ジャングルモジャモンは、イビルモンの死骸を左肩に担いだ。

 

「キー…」

 

セピックモンは、ジャングルモジャモンの右肩に寄りかかった。

 

「ホー!ホッッホ!」

 

ジャングルモジャモンは、ふらついたセピックモンと、イビルモンの死骸を抱えて密林の中を進んでいく。

 

…蛮族デジモンのセピックモンは、それなりの戦闘力を持っており、イビルモンもそれに負けていなかった。

だが蛮族デジモンには、群れで狩りをする知恵がある。

イビルモンは、その差に敗れたのだった。

 

意気揚々と進むジャングルモジャモン。

やがてセピックモンは意識を回復したのか、自分の足で立ってあるき始めた。

 

蛮族デジモンの群れの力は、やはり強力だ。

 

 

「ガウウウゥ!」

 

その時。

草陰から飛び出してきた何者かが、セピックモンを襲った。

青く美しい毛並みをもつ狼のようなデジモンが、セピックモンを押し倒したのだ。

命名ガルルモン。今までいそうでいなかった、イヌ科系統の肉食哺乳類型デジモンだ。

 

「キー!キキーッ!」

 

マウントを取られたセピックモンは、ブーメランでガルルモンを殴りつけようとする。

 

「ガウゥ!」

 

だがガルルモンは、強靭なアゴでセピックモンの首へ噛みついた。

 

「フギイィ!」

 

じたばたと暴れるセピックモン。

 

「ウ、ウホホー!」

 

ジャングルモジャモンは、セピックモンを助けるため、骨棍棒でガルルモンの頭部を殴りつけた。

 

「ガウ!」

 

ガルルモンはふらついたが、セピックモンの首を噛む力を緩めない。

 

「ウホホー!」

 

ジャングルモジャモンは追撃を試みた。

だが…

 

「ウゥゥ~~!!」

 

草陰から3体の肉食哺乳類型成長期デジモン…ガジモンが飛び出して、ジャングルモジャモンに背後から長い爪を突き刺した。

 

「ウボォォォオ!!」

 

激痛で悲鳴を上げるジャングルモジャモン。

怒りに身を任せて、ガジモンを一体殴り飛ばした。

 

「ギャッ!」

 

骨棍棒で殴られ、一体のガジモンが吹き飛んだ。

 

しかしガジモンの一体は、ジャングルモジャモンの顔面に貼りつき、顔をしっちゃかめっちゃかに引っ掻いた。

長い爪を、ジャングルモジャモンの右目へ突き刺した。

 

「ウボゴォォォオオ!!」

 

もう一体のガジモンは、ジャングルモジャモンを背後から爪で滅多刺しにする。

 

「ウオォホオォォ!」

 

血まみれのジャングルモジャモンは、顔面に張り付いたガジモンを引き剥がそうとする。

掴まれたガジモンは、ジャングルモジャモンに放り投げられた。

 

「ウ、ウホホ!」

 

体勢を整えようとするジャングルモジャモンだったが…

 

「ワオオォオーーン!」

 

先程までセピックモンを攻撃していたガルルモンが、ジャングルモジャモンに飛びかかり、顔面に噛みついた。

 

「ウホオォ!?」

 

どうやらセピックモンは既に虫の息らしい。

バトンタッチしたかのように、ガジモン達はセピックモンへ襲い掛かり、長い爪でセピックモンの首を滅多刺しにして、トドメを刺した。

 

「ウーホ!ウゥーーホ!!」

 

ガルルモンから顔に噛みつかれ、激しく抵抗するジャングルモジャモン。

 

「ガウウゥ!」

 

ガルルモンはやや困惑している。

セピックモンは首という急所が明白だったので、そこへ噛みつけば良いとすぐに判断できたようだが…

 

ジャングルモジャモンは一等身だ。

首らしい首がないのである。

 

「ウホオォオーー!」

 

ジャングルモジャモンは、顔に噛み付くガルルモンの頭部を、骨棍棒でしこたま殴りつけた。

 

「ギャウウゥ!ウゥゥ…ガウウゥーーー!」

 

ガルルモンは、なんとジャングルモジャモンの顔に噛みついたまま、口から炎を吐いた。

 

「ウゴボォオオオオーーーーーーーー!!!」

 

顔面を焼かれるジャングルモジャモン。

 

「フグゥゥオオオホッホーーー!」

 

ジャングルモジャモンは、セピックモンの死骸の傍らにあるブーメランを拾い…

ガルルモンの後頭部へがんがんと叩きつけた。

 

「ギャウゥ!」

 

さすがに効いたようだ。

ジャングルモジャモンから飛び退くガルルモン。

 

ジャングルモジャモンは…

 

「ヒ…ヒヒー!」

 

木に登り、一目散に逃げていった。

 

三つ巴の戦いを制したのは、ガルルモン一派だった。

 

セピックモンとイビルモンの死骸を解体し、ガルルモン一体とガジモン三体はそれを食べた。

 

ジャングルモジャモンは、この戦いでは敗走する形になったが…

それでも戦いを生き延びることができた。

 

一等身であるがゆえに、ガルルモンに噛まれて急所となる首がないため、ガルルモンの噛みつき攻撃を食らっても致命傷にならなかったのだ。

 

…近頃、群れで狩りをするデジモンが増え始めているように見える。

 

それはすなわち、集団生活をする習性をもつデジモンが増えてきたということだ。

 

我々はセキュリティデジモンのデジタマを採集するとき、必ず「集団生活する習性を持つデジモン」のタマゴだけを拾うようにしてきた。

 

集団生活をする素質をもったデジモンでなければ、我々のチームで共に生きるという概念すら理解できないためである。

 

クラッカーもきっと同じだ。

ランサムウェアデジモンとしてアイスモンやシャーマモンをスカウトしたのは、その性質だけでなく、集団行動が可能であるからだろう。

 

さて、善は急げだ。

ガルルモンの巣を見つけて、ガルルモンのデジタマを採取しよう!

 

イヌは人類の共だ。

それに近い姿のガルルモンも、きっと我々と行動を共にできるはずだ!

 

そう言うと、シンがひょっこり顔を出した。

「いいッスね!んで、どうやって採取するんスか?」

 

そりゃもちろん、エクスブイモンやキンカクモンのデジタマを取った時同様にコマンドラモンの光学迷彩で…

 

「でも、ケンキモンの本体は光学迷彩使えなくなってるッスよ?」

 

…あ。

 

 

 

「…わたしはいま このすがたになったことを すこしこうかいしている」

ケンキモン…気を落とすなって。

そういうこともあるさ。

 

 

ジャングルモジャモンが帰還した集落では、蛮族デジモンが集団生活をしていた。

 

ジャングルモジャモンは、フーガモンに狩りの失敗を報告して怒られていた。

 

やがてジャングルモジャモンは、草を集めて、木の小屋へ向かった。

 

小屋では偶蹄類型成長期デジモン、バクモンが何頭か飼育されていた。

な、なんだ?家畜か…?

 

草を食べたバクモンは…

光り輝き、進化した。

 

シマウマ型デジモン…シマユニモンとなった。

 

な、なんだ…?

なぜ蛮族デジモンは、バクモンを飼育しているんだ…?

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