文章拙く、二次創作初めて。このサイトでの投稿も初めてなので、つまらなかったらすぐに見限って下さい。
後藤ふたりの姉……後藤ひとりは、まぁ、アレな人だった。
よく固まるし、顔は崩壊して福笑いになるし、奇声と奇行は日常茶飯事である。
妹であるふたりは、そんな姉を面白がってたり、心配してたりしていた。
優しくて大好きなお姉ちゃん。しかし、友達も出来ずよく家でギターを寂しく掻き鳴らしていたのを ふたりはよく覚えている。
そんなある日。そんな姉に。お友達が出来た。ずっとやりたいと言っていたバンドメンバーが出来たそうだ。
凄く嬉しくて。少し、寂しかったのを後藤ふたりは憶えている。
バンドが軌道に乗って、いつのまにか有名になり、後藤ひとりは忙しくなって、あまり妹と遊べなくなった。
それでも、家にはちゃんと帰って来てくれたし、短い時間でも遊んだりしてくれたのだが。
そんな、ある日である。
久しぶりに、一緒にお買い物に行く事になった。
相変わらず挙動不審になる姉を見ながら、有名なバンドマンになっても変わらぬその姿に安心と嬉しさと。ほんの僅かな呆れを胸に持ちながら、その日はずいぶんとはしゃいだものである。
赤い、夕焼けの帰り道。
はしゃぎ過ぎたのがよくなかった。
遠くから、異様な速さで走るソレは、見えていたはずなのに。
呼ぶ声とブレーキの音。
妹……後藤ふたりを庇って。ギターヒーロー 後藤ひとりは、信号無視の車にひかれてあっさり死んだ。
後藤ふたりが、八歳の頃だった。
笑わなくなった女の子。独りでいるようになった女の子。
誰がどう考えたって、信号無視をしてきたあの車のドライバーが悪いのに……
あの人にだって家族がいる。
急ぐ程の理由があったに違いない。
そして、自分が気を付けていれば姉も死ななかったし、父や母。姉のバンドメンバーやクラスのお友達。ファンの人達。
それからドライバーの人の家族達。
それらすべての人生を狂わせたと、そう考えている女の子。それが後藤ふたりである。
よく知らない誰かを恨めなかった彼女は、一番よく知っていて。そして一番身近で手っ取り早く怨める自分を呪ったのだった。
魂の抜け落ちた顔で───それでも自ら命を捨てずにいられたのは、父や母。それと、相棒の犬(ジミヘン)がいたからだろう。
自分まで姉の後を追えば、もっと悲しむであろう事が解っていたから、最悪の事態だけはなんとか回避出来た。
「………」
主のいなくなった部屋で、窓を叩く雨粒を青い瞳で眺める。
まだ八歳の女の子は思う。どうすれば良いのだろうと。
脳裏に浮かぶのは、御葬式の景色。
泣いている両親や、来てくれた友達やファンの涙。
バンドは解散する事になったらしい。
あんなに多くの夢と希望が、自分のせいで台無しになったのだ。
どうしたら、いいだろう。誰に聞けばいいのだろう。
…………もう帰って来ないお姉ちゃんの為に、何が出来るんだろう。
ゴトリと、重い音がした。
そっちに視線をやると、姉の使っていたギターが倒れていた。
父の借り物ではなく、何処かのライブハウスで故障させてしまった際に新しく買った、とても大事に大切にしていた二代目ギター。
「……あなたなら、なにか わかるかな……?」
直そうとしてその手で触れて……ふと呟く。
姉の戦友に、祈るように尋ねる。
記憶をたよりに、その鉄を弾いてみた。
───なにかが変わったような、気がした。