そして何故か始まったSTARRY勉強会。
しかし、難敵・山田リョウはかなりの強者だ。
進学校の二年生なのに、今勉強しているのは中一の範囲。
約四年分の授業内容を彼女のカラカラに叩き込まなくてはならない。
……普通に無理なんじゃないかコレは。ふたりは思う。
「わたしも喜多ちゃんも、そんな良い高校じゃないから……中学までしか教えられないかも」
ただし……喜多ちゃんは今現在、立ったまま機能を停止しているので戦力にはなりそうもない。
「だいじょーぶ!そこは私が教えられるし、お姉ちゃん達もいるし!」
成程とふたりは思う。店長、伊地知星歌。虹夏の姉である。
ちゃんと大学にも行ったらしいし、期待出来る。忙しくなければ大丈夫だろう。
「はぁ?……んだこれ。お前 分かる?」
と、思った矢先であった。星歌は問題を見て即座にギブアップ。
「私、高校中退ですからねぇ~」
問題を見せられたPAさんも即ギブアップ。
ふたり的には、ちょっとショックであった。
虹夏の姉であり店長たる星歌はかっこいい人という印象があり、頭良いと思っていたからだ。
まさか、そっちの方も姉とライバル関係だったのだろうか。
それと、PAさんも素敵な大人の女性と思っていたのでびっくりである。
………まぁ、『学校の勉強が出来る事』が、『頭が良い』という事ではないのかもしれないが……。
ちなみに、何故かいる廣井きくりも解らなかった。が、こっちは ふたり的に、そうだろうなといった所か。
「ちょっと! お姉ちゃんは大学行ってたじゃん!」
「大学なんて選ばなきゃ馬鹿でも入れんだよ」
虹夏の最もなツッコミに対して、星歌は身も蓋もない返答で切り返した。
ぐぬぬとなる虹夏を尻目に、ふたりは当たり前の様にこの場所に存在している廣井を見る。
「……っていうか、廣井さんはなんで当たり前のようにいるんですか?」
そして、やっぱりSTARRYで当たり前のように酒盛りしている姿に疑問を投げかけた。
「外で飲んでると通報されるんだよねぇ」
酔っ払った顔でへらへら笑いながらそんな返答をする廣井に、成程とふたりは呟いて。
「通報されて捕まるのもロックだと思いますよ?」
「えげつない事を言うなこの子は……!」
真顔で言われた廣井は、ふらふらと酔っ払い特有の立ち上がり方をして、千鳥足で仲間を求めて虹夏の方へと向かって行く。
そして、酒の臭いをぷんぷんさせながらくっついた。
「妹ちゃんは、私がここにいると楽しいよねぇ~?」
「……帰って下さい。邪魔なので」
しかし、虹夏は仲間に等なってくれなかった。
星歌に負けず劣らずの目で、そう言ったのだった。
ふたりは、普段ほんわか明るく優しい虹夏にあそこまで邪険に扱われるのも凄いなと思う。流石は廣井きくり。
「ちくしょー!仲間がいないー!」
まぁ、平日から他人の敷地内で酒盛りしている良い大人に助力してくれる人なんていないだろう。
ダブル妹に塩対応をされた廣井。しかし、彼女はめげる事なく幸せスパイラルをキメていた。
もっとも、こいつは塩対応されなくてもそれはそれとして酒を飲んだだろうが。
ともかく、頼るべき大の大人達はまさかの戦力不足であった。
「………」
ちなみに、虹夏本人は普通だと謙遜しているが、むしろ成績は良い部類であった。
その為にふたりは驚いた。もちろん、虹夏が成績悪い等と思っていない。だが、特別良いとも思っていなかった。
何故なら、単純に多忙そうであり勉強出来る時間なんてあまりなさそうだと思っていたからだ。
しかしどうだ。虹夏は、バンド活動をしていて。練習したり、ここでバイトに勤しみ、更に家の家事をほぼ全てやっているのだという。
それだけ忙しない日々を過ごしながら、成績は高い部類をキープ。
そして常に明るく朗らかに、たまに遊びに行く余裕まであるのだ。
……この前に聞いた夢の話もあり。簡単な生き方ではない。本当に凄い人だとふたりは思う。思った。だから。
「……あの、虹夏さん」
「うん?」
「これからはその、虹夏様とお呼びさせていただいても……?」
「突然どうした!?」
本当にたまに突拍子もない事を言うなこの子!?
「なら、伊地知様……」
「普通でいい普通で!……ほら、喜多ちゃんもそろそろ帰って来て!こらリョウ、勉強サボるな!」
周りに檄を飛ばしつつ、食い下がるふたりをどうにか宥めて、これまで通りという事で話をつける虹夏。
そして肩で息をする。あれ?なんで私だけこんなに疲れてるんだろ??
疑問に思う間もなく、幸せスパイラルをキメた廣井がカムバック。
「もーいいじゃあん!バンドマンに学歴なんて必要ないっしょ!現に、勉強出来てなくてもちゃんと生活できてるしい!」
……廣井さんはちゃんと生活出来ていないのでは? ふたりは訝しんだ。
しかし、その発言に対して、それだわと喜多ちゃんがまさかの復活。
「よし!結束バンドみんなで学校やめましょう!」
「正気に戻って!」
「わたしと虹夏さんを巻き込まないで欲しいんだけど……」
いくらなんでも、こんな理由で学校やめるのは嫌だ。親に申し訳が立たなすぎる。
「いいじゃないですかー、学校なんてやめましょやめましょ。毎日が夏休みですよぉ~」
そこに更に追撃のダメな大人であるPAさん。まさに、ダメな大人のボスラッシュ。
「だめな大人たちは黙っててー!!」
孤軍奮闘する虹夏の、力の限りの叫びがSTARRYに響き渡るのだった……。
再び補足シリーズ。
ふたりから見た他キャラの現在の印象。
喜多ちゃん→明るく優しい、わりとぶっとんでる子。たまに眩しくて直視出来ないけど、努力家でとてもいい人。最近は心配と気を使わせてしまってる気がする。
リョウさん→変人ベーシスト。草とか食う。別にいいけど貸したお金はなかなか返ってこない。
サメ映画仲間。人間としてはアレだけどバンド仲間としては尊敬している。実は結構話しやすいから好き。
虹夏さん→大天使。明るい、優しい、常識人。家事もこなし勉強もしっかり、バンドもバイトも頑張ってる。完璧人間。辛い現実とも向き合い笑ってられるその姿を心から尊敬。逆に自分のダメさが浮き彫りになる……。でも頑張ろうって気にさせる凄い人。リーダーはこの人。虹夏さん以外はありえない。
他から見たふたりちゃんの印象。
喜多→凄く傷付いてる子。それでも必死に生きてるし、私にも優しくギター教えてくれたり形見のギター貸してくれた人。もし出逢えなかったら自分は逃げ出していたかもしれない……恩人だから、支えてあげたい癒してあげたい。
リョウ→ひとりの妹。わりとむきになりやすいのが面白い。
病んでるけど、最近は向き合おうとする様子が見える。歌詞も、自分の想いを書くようになって来てるっぽい。目覚ましい成長。サメ仲間。それはそうとすんなりお金貸してくれる。
虹夏→ギターヒーロー二代目さん。たまに変な事 言ったりするけど、まともな性格しているので(普段は)手がかからない。
ライブの日以降は、本当の意味で仲間に。友達になれたんだと思う。一安心。この調子で楽しくバンドしようね!きっと素敵な夢が見付かるよ!
この場を借りて。
今回の話も閲覧下さりありがとうございました!評価、誤字報告、ここすき、感想。めちゃくちゃ励みになってます。九月までに完結させ、感動!作者さん完走早いのね~と言われたいです。
活動報告に、質問や一言コーナー作りました。よろしければ活用下さい。
次も、出来るだけ早く更新します!