未確認ライオットに向けての活動。
とりあえず、虹夏はCDジャケットを描いてくれたり映像の編集等をやってくれる事になり、喜多はトゥイッターやイソスタの広告担当。
特に喜多のイソスタは凄いので、広告担当としてはかなり心強い。
星歌店長が、スマホでライブ映像を撮っていてくれたので、それをいい感じに編集して動画サイトにアップする事となった。
映っている比率は、虹夏と何故かふたりが多かった。ふたり的には、姉とライバルだったらしいから思うところがあるのだろうかと考える。
編集の際は、喜多とリョウがあれこれ言って、若干虹夏がキレたりした場面もあったものの、ちゃんと動画は出来上がる。
早速観てみたが……なんというか、さっきまで視聴していたバンドと比べるとやはり実力差があるなとふたりは思う。
父親が撮ってくれた文化祭ライブの時も思ったが、自分が笑えないくらい酷いなと改めて実感。
他のメンバーも、それぞれ思うところがあったらしい。
……でも、欠点をこうして確認出来た事は良かった。良かったけど……。
ぎゅっと、ふたりはギターを握る。そろそろ、覚悟を決めなきゃ、後藤ふたり。
「ふたり」
練習が終わり、リョウに声をかけられる。
「なんですか、リョウさん」
小首を傾げていると、彼女はスマホを取り出して。
「ふたり。時間が空いたらひたすら動画を再生して広告収入をゲットするんだ」
何時も通り、山田さんらしい発言だとふたりは苦笑する。
「……雀の涙にしかならなくないですか?」
「でも再生数を稼ぐのは大事。みんなに視て貰えてる動画と判断してもらえるから。
自演なんて、バレないバレない」
それを聞くと、確かにと思う。
「……とりあえず、百回再生目指しますか」
喜多ちゃんが宣伝してくれるだろうからもうちょっと増えると思うけど、たしかにこういうのは大事かもしれない。ふたりはそう思った。
───新宿FOLTの控室。そこに、四人の少女がいた。
先程、結束バンドのメンバーも話題にしていたメタルバンド……SIDEROSである。
彼女達は、今回のライブが上手く行った達成感に包まれながら寛いでいた。
「客の盛り上がり、過去最高でしたね~~~」
ドラム担当。常に黒いマスクを着けた長谷川あくびが満足そうにそう言う隣でスマホを弄っていた少女が、ねぇはーちゃん、と声をかける。
ギター担当の、長い髪が美しいおっとりした彼女は本城楓子。
「さっき動画サイト見てたら、新着に面白い名前のバンドがあがってて……」
それを見て、結束バンド? とあくびは身を寄せる。
「バンド名は激サムだけど、意外と曲は嫌いじゃないっすね~」
荒削りだし、まだまだ結成したばかりだろうかと思うものの、心に響くものはある。
それを聞いて、腕を組みながら難しい顔をしていた少女の片眉がピクリと動く。
ギターボーカルであり、このバンド……SIDEROSのリーダー。大槻ヨヨコである。
ツインテールを揺らしながら歩き、それ貸して!と半ば強引にスマホを手に取り、結束バンドの映像を視聴する。
「……これが?」
眉をひそめながら……彼女はそう呟いて、続ける。
「こんな再生数、百程度のバンド聴く必要ないわよ!」
ふん、と鼻を鳴らしたリーダーを尻目に、楓子はこそこそとあくびに耳打ちする。
「ヨヨコ先輩、最近機嫌悪いねぇ……」
あくびは自分のスマホを眺めながら、あ~と呟いて。
「なんか、気に食わない人がいるみたいっすよ」
なんとなーく、あくびは察してるもののあえて言わない。
「百程度とはいえ、あなどるのはよくないっすよ~~」
一応の忠告をすると、ふんっ、とヨヨコはそっぽを向いた。
それから、ヨヨコは思い出す。さっき視ていた結束バンドの映像を。
そして、桃髪の少女の姿を。
「………───気に入らない」
誰にも聞かれないように、ぼそりと呟くのだった。