ギターヒーロー二代目【完結】   作:怒雲

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邂逅

 

 

ベロンベロンの来訪者、廣井きくり。今来たんだろうなとふたりは思う。

 

観客はそんなに多くないし、廣井がいるならば見逃すはずがないので。

 

 

「今日もライブよがっだよぉ~!あの~~あへ~~!四曲目!エモのがだまりぃ~!」

 

「ありがとうございます。三曲しかやってませんけどね」

 

苦笑混じりにふたりは言う。まぁ、来ようとしてくれたのだ。邪険に扱うのは良くない。

 

とりあえず、タイミングは良かった。それぞれが廣井に感心が向く。

 

 

「あっ、ゲスト呼んでくれてありがとうございます!今は沢山ライブしたかったので助かります!」

 

虹夏がお礼を言って、ふたりも頷く。それが、一番ありがたい。

 

それに対する廣井は、いーのいーのと片手をひらりひらり。

 

「でもどうして私達を?」

 

そんな喜多の疑問に、いや~と廣井は頭を掻いた。

 

「朝起きたら何故か送信履歴に入ってたんだよね~。魔法みたいな事もあるもんだ!」

 

「酔っ払って誤送信しただけですか……?」

 

 

呆れ気味にふたりが言うと、シラフでも呼んでたよ~と廣井は弁解する。ほんまかいな。

 

相変わらずいい加減なのか本気なのか分からない人だと思っていると───

 

 

 

「やっぱり適当だったんじゃないですか……」

 

そこにヨヨコは思わず口を挟んだ。

 

「うん?」

 

それを聞いて廣井がヨヨコを見て、ヨヨコはしまったと顔を反らす。

 

 

「え? 大槻ちゃん??」

 

なんでいるのとばかりの廣井に対し、違いますと否定しようにも、すでにふたりによって周囲からは『大槻ヨヨコ』と認識されている。

 

 

 

「───ッ! そうです!私が大槻ヨヨコ!」

 

そして逃げられなくなった為に、正直に名乗ってみせた。

 

 

ファン二名は、だれ? という感じだ。多分、単純に知らない。

 

 

なんでいるのだろうと言うと……まぁ間違いなく、結束バンドの実力を見に来たのだろう。

 

「え~……大槻ちゃん、まだ納得出来てなかった感じぃ?」

 

「そうです!」

 

 

むぅ。とふたりは思う。思うが、実力差は知っている。

 

あっちの方が歴も長いし、ホームにいれたくない気持ちも分かる気がする。

 

「酔った勢いとはいえ、私結構考えてるけどな~」

 

酔った勢いというのが余計である。その時点で、ろくに考えて行動したように思えない。

 

 

ヨヨコが更に口を開こうとするその前に──廣井が口を開いた。

 

 

「それとも何? 大槻ちゃんは私の目が節穴って言いたいの?」

 

「…………ッ」

 

少し、温度が消えた顔と声に、ヨヨコはたじろいだ。

 

「そんな、意味じゃ……」

 

 

 

 

「………ッ!帰ります!結束バンド!私と姐さんのライブを台無しにするのだけは許さないから!……特に後藤ふたり!」

 

名指しされて、ずきりと胸が痛む。

 

なんとなく、分かる。なんで自分が言われたのかを。

 

 

 

一番、中途半端だからだ。痛い程に、それが自分で分かっているし、多分、あの人にはそれが伝わった。

 

 

 

 

 

 

はぁ、と星歌は軽くタメ息。

 

「からかうのやめろよ」

 

そう声をかけると、またベロンベロンに戻った廣井は、いやぁ、と頭を掻く。

 

「何か真面目でカワイイから、ついね~」

 

そこまで言って、冷や汗混じりに廣井は結束バンドの方に向き直り。

 

「えへへぇ、大槻ちゃんに怒られたくないから適当な事言っちった!えへ! 皆、当日頑張ってね!」

 

 

おい、と星歌と虹夏が真顔でツッコミをいれる。

 

「ふたりちゃん……その、大丈夫?」

 

そんな様子を苦笑混じりに眺めていると、喜多が寄ってきて、目を伏せ気味にそう尋ねた。

 

さっきの事だろうと、ふたりは思う。

 

 

 

軽く、笑って。

 

「大丈夫。……今のわたしは、言われても仕方ないから」

 

「でも……」

 

「本当に大丈夫」

 

本心だった。なんというか……ああやって、面と向かって指摘されて良かったと思う。

 

……他のメンバーが悪く言われたなら、ふたりも思う所もあったかもしれないが。

 

 

 

「……嫌われちゃった、のかな」

 

誰にも聞こえないように、一人呟く。

 

大槻ヨヨコ。……上手く言えないが、もうちょっと。ちゃんと、話をしたかった。

 

 

 

また、機会があるだろうか。次のライブで、もし話せるなら───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ、と大槻ヨヨコはタメ息をつく。後藤ふたり。

 

 

分かってる? インディーズだろうと、結成したてだろうと、舞台の上に立つなら私達はプロなのよ。そう、思わないといけないの。だからどんな事情があったって、私達は────。

 

 

そこまで考えて、また頭を振った。だから!私には関係ない!

 

辛気臭いからついつい構いたくなるだけ!無視よ無視無視!

 

そんな事を考えて帰った翌日。

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、やっぱり結束バンド好きなんじゃないすか~!」

 

「いーなぁ、サイン」

 

持って来てしまった、買ったCDが見付かり……結局その日も結束バンドでモヤモヤするのだった。

 

 

 

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