ギターヒーロー二代目【完結】   作:怒雲

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ときめく学園ライフ

 

 

 

 

 

四月。クラス替え。ふたりは、二年生になった。

 

 

 

別にトイレに籠城するとかヒッピーと化すとかそういう事もなく、普通に登校して普通にクラスへと向かう。

 

 

 

その足取りは軽い。何故なら……。

 

 

 

 

 

「おはよう、ふたりちゃん!」

 

「おはよ、喜多ちゃん」

 

 

 

バンドメンバーであり友達である喜多ちゃんと同じクラスだからだ。

 

 

 

「同じクラスになれて良かったわ!改めてよろしくねっ!」

 

 

相も変わらず キ タ ー ン ! とさせる喜多に、少し苦笑を浮かべるふたり。

 

 

 

そんな喜多ちゃんに、沢山のクラスメイトが集まっていく。

 

 

 

流石リア充の陽キャ。知ってはいたが、驚く。

 

 

 

「あ、喜多ちゃんと同じバンドの子?」

 

「あ、後藤さんまた同じクラスね!」

 

 

 

席に着いて、ふたりもそこそこ話し掛けられた。

 

 

 

 

「………」

 

 

 

心機一転。クラス替えも終わり、今日から二年生。

 

 

今日から、楽しく生きて行こう。お姉ちゃんも、それを望んでくれる人だから。

 

 

少し胸が痛む時もあるけれど、それでも。

 

 

 

 

 

 

元々、明るい性格のふたりである。

 

自分から壁を無くせば普通に話せるし、特別萎縮するわけでもない。

 

 

 

場を温めてくれた喜多に悪く思いつつも、無難に自己紹介を終えて、席にまた座り……大丈夫だと思う。

 

今日から、楽しい学園ライフとバンド活動を続けていこう。

 

忙しくなるけれど、充実した日々がおくれる事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───そう思っていた時期が、彼女にもあった。

 

 

 

 

 

 

 

………あれぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

一口に陰キャといってもいろいろあるが、大きく大雑把に分けるならば二種類だ。

 

 

生まれ着いての陰キャな天然モノと、何か原因があって陰キャとなった養殖モノ。

 

 

 

姉のひとりは前者で妹のふたりは後者である。

 

 

 

まぁ、要するにである。天然であれ養殖であれ結果は変わらない。

 

 

 

とどのつまり、後藤ふたりはただの陰キャ……!

 

 

 

長年に渡って染み付いたモノは消えないのである……。

 

 

 

 

当たり障りのない、短い会話ならば出来る。しかし、それ以上は不可能なのだ。

 

そもそも今までギターしか弾かず、人と関わってこなかった彼女に最近の話題など解るはずもなく……。

 

バンドの話ならばいけるかと思ったが、ギターの技術など専門的な話題に行く為に微妙に噛み合わず、結局会話は続かない。

 

 

ギターとバンドと姉の奇行くらいしか話題の無い彼女は、最終的にサメ映画の話題を振って盛大に自爆し……故郷ともいえる謎スペースにふたりはいた。

 

 

 

 

……あれ?昔のわたし?昔のわたしって、どうやって普通に会話してたっけ??

 

普通ってなんだ?普通って難しいね……。

 

 

 

 

どんよりと沈むふたり。早速、自分がまた嫌いになりそうである。姉の姿をした自分がアップを始めている気がした。

 

 

 

 

 

「───ふたりちゃん?」

 

そんな彼女の住処を知っている喜多がやって来て、ふたりは少し虚ろな目を向けた。

 

 

「………喜多ちゃん」

 

喜多は、少し喉を鳴らす。今の彼女は、最初に会った頃のようだった。

 

「……なぁに?」

 

「喜多ちゃん………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近の若い子達の間で、なにが流行ってるの……?」

 

「ふたりちゃんも若い子よ……?」

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、いろいろ話掛けられたりしたものの、話題に着いていけない為に逃げてしまったという事は把握した。

 

「いやわたしって化粧とかしてないしテレビも見ないし漫画もお姉ちゃんが持ってたやつしか知らないし芸能人みんな同じ顔に見えるしイソスタもわかんないしスタパ?クレープ?そういった話題出せばいいの?行ったことないしクレープ最後に食べたのいつだっけ?カフェなんて全部一緒じゃない?あ、サメ映画サメ映画なら解るって

わたしは失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したわたし失敗───

 

 

「ふたりちゃん、落ち着いて!」

 

思わず肩を揺らす喜多。そうだったと思う。

 

基本的に彼女は打たれ弱いのである。

 

 

 

 

「大丈夫よふたりちゃん!私に任せて!」

 

どん!と喜多は無い胸を叩き、キターン!な笑顔をふたりに向ける。

 

「ふたりちゃんが私にギターを教えてくれるみたいに、私が流行りのものを教えるわ!」

 

「き、喜多ちゃん……!」

 

喜多な光を放つキターンが、今のふたりにはまさに救いの女神に見えたという。

 

「……まぁ、流行りってすぐ変わったりするから結構難しいんだけど……とにかく!これさえおさえておけばっていうのを紹介するわね!まずは───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、今日は忙しそうだね……」

 

STARRYにて、虹夏は呟く。今日来るバンドは、人気バンドが多い。

 

これならば、今日のSTARRYは賑わう事だろう。

 

 

 

 

「あ、ふたりちゃん」

 

扉が開き、ふらふらと後藤ふたりは現れた。

 

そういえば、喜多ちゃんと同じクラスになったんだよねと思う。きっと楽しい学校生活が送れたことだろう。

 

自分はまたリョウと一緒で世話を焼かねばならないが。

 

 

 

「ふたりちゃん、おっはよー!」

 

響く軽快な挨拶。対するふたりは虚ろな目を虹夏に向けて。

 

 

 

「ペペロプリプリパピプペポ。ペロペパチーナのショートとマチュピチュ遺跡のミシシッピ川グランドキャニオンサンディエゴ盛り合わせでお願いします……」

 

 

「……突然どうした!? 一体、学校でなにがあったのふたりちゃん!!?」

 

STARRYに着いてしばらくの間。ふたりはとり憑かれたかのように何事かをぶつぶつ呟き続けたという……。

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