学校……一日で、なかなかのダメージを与えてくれた。
前までのクラスなら、あまり話し掛けられなかったものの、クラスも替わり人も変わった。
どうにも、周りからはミステリアスに思われていたようで、喜多と同じクラスになった為に、喜多ちゃんと一緒なら喋れるかも!と、喜多と会話してるとよく喜多ちゃんフレンズから話し掛けらるようになったのだ。
チンケな話題しかないふたりには中々の心労である。
「な、なぁ、後藤」
それと、喜多ちゃん経由で男子にも話し掛けられるようになった。
ふたりとしては普通に対応したいところだが、以前に喜多が言った、実は男子に人気というのが引っ掛かっている。
以前に記した通り、ふたりは自分の容姿を悪いと悲観してはいない。
ただ、背が低いので異性には見られないだろうと思っていたところ、そんな話をされてしまい、どうにも男子が苦手になってしまった。
…………いや、自意識過剰だとは思うんだけどね。
そんなふたりにとって、学校が終ると解放感に若干テンションが上がる。
順調に姉と同じ陰キャぼっち街道を突っ走る彼女だが、打たれ弱いものの、別の方面にはメンタルが強い。
「今日も路上ライブ、頑張りましょう!」
ふたり的には路上ライブ=楽しい事である為に、学校終わりのテンションも相まって、結束バンドでは一番ノリノリなのであった。
「…………」
後藤ふたりの背中を何時も見ていた虹夏としては、感慨深いものもある。
音を苦痛のように掻き鳴らしていた彼女が、今はもう、本当に楽しそうで……。
ひとつ、安心出来た。……だからこそ、リーダーとしてもっと頑張らなきゃと虹夏は思う。
「……私って、なんだか地味だしね」
以前、ぽろりと愚痴ってみた事があった。喜多ちゃんが凄くフォローしてくれて嬉しかった。ふたりちゃんは……
「虹夏さんが、地味……?そんな事ないです虹夏さんは優しく可愛く天使のようでドラムもバイトも勉強もこなす完璧超人であり結束バンドのいや国の宝です虹夏さんこそ人間国宝です
目が見えない人にとっての視界でありお腹のすかせた人にとってのシェフであり喉が渇いた人にとっての───
なんか、引くレベルで語られて正直ちょっと怖かった。
でも、まぁ、みんな嬉しい事を言ってくれている。
だからもっと、実を結ぶ活動がしたい。
最近は地道な活動が実を結んでいるけど、未確認ライオットで通用するほどのファンはいない。
そんな気持ちの虹夏に届いたメールは、まさに渡に舟であった。
全然知らないライブハウスからの、ライブのお誘いだ。
「路上ライブとMVの効果ですかねっ?」
テンション上がる喜多と、廣井さん経由じゃないかと疑うリョウ。
「違う!全然知らない箱だよ!!」
大喜びしている喜多と虹夏を見ながら、知らない箱かぁ、とふたりは呟く。
「あれ?でも私達ハードロックじゃないけど……まぁ、きっと打ち間違いでしょ!それにジャンルの定義なんて人によって変わるし!
出演の返事しておくね!」
「私は告知しておきます!」
喜ぶ二人を見ていると、ふたりも元気になる。
リョウは、何事か考えてるように静観していた。
「ブッキングライブって、方向性の近いバンド同士を組み合わせて相乗効果狙ってくものだし、新しい箱でライブすれば新規のファンと出会えるかもしれないよ!
それにここの箱が推してる人気バンドが沢山出演するっぽいし……上手く行けば一気にファン増やせるよ!」
それは楽しみだなとふたりは思う。
知らないライブハウス……楽しみである。
少なくとも、ふたりにとっては学校で人に囲まれるよりかは知らない場所でライブする方がハードルが低いのだ。
……とはいえ、路上と違いお金を払ってお客さんは来てくれる。
気を引き締めないとと、ふたりは少し深呼吸をした。
まぁ、喜多と虹夏はめちゃめちゃ浮かれているのだが。