「というわけで!皆の協力のもと結束バンド審査通過~!!」
「二人共おめでと~~~~!!」
学校にて、教壇に立ち……笑顔でみんなにそう告げる喜多ちゃんと、純粋に盛り上がり喜んでくれるクラスの皆。
実際、昨日のうちにクラスのグループロインで報告していたのだが、やっぱり直接こうやって報告する事も大切だろう。
それとは別に、個別でお祝いのメッセージも届いた。
ふたりとしては、自分にもそこそこ来たくらいなので、喜多ちゃんはもっと来ただろうなと思う。それこそクラス全員から来たかもしれない。
「後藤~審査通過できてよかったね~」
席に着くと、背中を人差し指でつんつん。喜多の親友、佐々木次子である。
「佐々木ちゃん」
「一緒に声出し練習とかした甲斐があったね」
「……うん、そうだね」
少しだけふたりは苦笑する。あれ、意味があったのだろうか。
………まぁ、クラスのみんなが楽しんで応援してくれて。そこを中心に学校中に広がって、いろんな人達が投票してくれた。
だから、大いに意味はあったのだろう。……正直いろいろキツかったが、報われたと思う。
………それに。みんなでなにかするのは、楽しかったんだと思う。
「はい、頑張ったご褒美に飴ちゃんあげる~」
お食べ、と手渡される飴玉を見て、ふたりはまた軽く苦笑。
「あはは。それじゃ、ありがたくもらうね」
包みを剥がし、ふたりは飴ちゃんを口の中へ。
「………」
小柄なふたりを見ながら、次子はふと飼ってるワンコを思い出していた。
そんな事など露知らず、ふたりは喜多の方を見る。
彼女は今、他のクラスの子や、なんなら後輩達にも囲まれている。
中学の頃から部活の助っ人などをやっていたのだろうし、その頃の後輩達なんだろうなとふたりは思う。
「後藤さん、バンド結構凄いらしいじゃん。学校全体に広まってるよ~」
そんな事を考えていると、去年同じクラスだった子達に声をかけられた。
「私聞き専だけど、バンド好きだからもっと話してみたかったんだよね」
「あっ、ギター持って来てるんだ。なんか今弾けないの~?」
「あ……えっと、今はアンプがないからちょっと無理かな……せっかくだから、弾いてみたいけど。
好きなバンドは───」
なんとかいける話題であった為に、ふたりは少しホッとしつつも会話に応じた。
「……っていうか、後藤さん今日はジャージじゃないんだね!」
「制服似合ってるよ!……初めて見たかも。もっと着てくればいいのに~」
「いやぁ……ははは……」
今回ジャージじゃないのは、やんごとなき事情があるからである。
ほとぼりが冷めるまでは……いや、大丈夫だって信じてるけどね?考え過ぎだって理解ってるけどね??一応ね???
「お邪魔します!新聞部です!」
少しばかり時間が立つと、この学校の新聞部がやって来た。
来客が多くて慌ただしいなと思う。
「喜多さん、話題になってるので取材にきました~!全校生徒に向けて一言お願いします!」
「今年の夏はステージの上から私達が日本中を熱くします!!」
流石喜多ちゃん。ノリノリだ。
「あっ、後藤さんも一言!!」
そんな事を考えていると、こっちにも話題が来て、少しふたりはあたふたする。
「あ、えーと……まだネット審査を通過したばっかだから大きな事は言えないけど、とにかく次のライブ審査を通過して最終審査まで行きたいと思います」
「………成程?」
「……?」
ふたりの言葉を聞いて、なにやら新聞部の方々は顔を合わせている。
「……あれ?ロッキンジャポンの大トリで出るんですよね?」
「…………なんの話???」
喜多とそのフレンズらが先生らとも今回の話で盛り上がっていた事は知ってたが、どうやらだいぶ尾ひれがつきまくっていたらしい。
「いや、わたし達が出るのは未確認ライオットだよ……いきなりそんなのには出れないよ」
知らない間にとんでもない話になっていたようで、ふたりは軽く冷や汗だ。伝言ゲームは恐ろしい。
若干盛り下がっていたものの、未確認ライオットだって、なかなか有名なバンドを生み出しているのだ。とりあげ、それはそれで、という雰囲気にはなってくれた。
とりあえず、まぁ、良かったかな?
そう考えていたところで、校長先生からの呼び出しである。どうやら、結束バンドの活動は校長先生にまで伝わったようだ。
どうにも、校長先生も昔はバンドやってたらしい。ちょっと驚きである。
「いやぁ、立場上は止めなければならなかったけど……あのダイブは年甲斐もなく興奮したねぇ」
そして、姉の……ひとり達のバンドのファンにもなっていたらしい。
ふたりとしては、姉の事を誉められファンになってくれて嬉しい限りだが、奇行にまで絶賛しているのは微妙な気分である。
こんな時はどんな顔したらいいのか分からないの。
「君はダイブしないのかい?」
「………お姉ちゃんとは違う路線を目指してますので……」
「そうかい。それもロックだねぇ……」
他の先生には止められたのだが、校長的には飛んで欲しかったらしい。絶対にごめんである。
「ところでロッキンジャポンの大トリだと聞いているんだけど──」
「いや、違いますよ???」
こんな所にまでデマが飛んでたと、ふたりは表情を引き吊らせる。
陰キャであれど、物怖じせず話せるふたりは、どうにか厄介なフラグをへし折る事に成功していた。
ひとりの様なヒーローにはなれないが。こういうところは上手く立ち回れるのである。
「まぁ、これからも頑張ってくれたまえ。
それと、今日の放課後に臨時で全校集会開くから、皆の前で一曲演奏頼むよ」
「はい!ふたりちゃん、行けるわよねっ?」
「……急だね。まぁ、大丈夫だよ」
なんか変な話になったなと思うが、まぁ、ちょっと早い文化祭だと思えばいいかとふたりは思う。
今回は、喜多ちゃんと二人でやるのか。ちょっと変な気分。
更新遅くなって申し訳ないです……!もうすぐで完結、頑張れ!オレ!