ギターヒーロー二代目【完結】   作:怒雲

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暴走に注意を

 

 

 

『全国の十代バンドからまだ見ぬ才能を発掘するこの未確認ライオット!

今年も三千を超えるバンドが応募してくれたぜ!』

 

『今日はその中からネット投票の上位三十組が審査に進んでいる!この東京会場からファイナルステージに進めるのは二組だけだ!

曲は勿論、オーディエンスの盛り上がりも審査対象だ!』

 

 

ついに、二次審査が始まった。司会の言葉に、ふたりは少し喉を鳴らす。

 

………二組、か。

 

 

『君たちが次世代バンドの最初の目撃者になるんだ!最後まで楽しんでいってくれ!』

 

 

『じゃあオープニングアクトは、ゲスト。SICK HACK!会場を温めてくれ!』

 

 

会場に姿を現せるSICK HACKのメンバー。あがる、ファンからの歓声。

 

 

 

廣井きくりは、ふらふらとマイクへと近付いていく。既に足取りが怪しく……。

 

 

……恐らく、彼女を知らない人達が、ざわっとした。

 

 

 

『あー……うぇっ……二日酔いらんでぇ、エチケット袋持ちながら歌わせてもらいます……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『吐いたらごめん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知らない人からはだいぶパワーワードだろう。ドン引きの声と、それでこそ廣井~!と盛り上がるファン。

 

い~ぞ~!!!とファンが喜んでいるが、なにも良くない。

 

彼女が吐いたら、この未確認ライオットはいろいろ台無しだ。なんであの人に頼んだんだ。

 

 

 

 

そんな廣井の後ろで、志麻は死んだ魚のような目で虚空を眺め、イライザはいつもの事だとばかりに苦笑している。

 

いろんな意味でハラハラしながら、ふたりを含めた会場の人達は会場を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲が、始まる。…………流れる掴み所のない、一見すると変な音楽。

 

不協和音のようで、気持ち悪くて………なのに、心を離してくれない音、音、音。

 

 

 

ざわついていた初見の人達も。───最初は眉を寄せていた人達も……その表情(かお)はいつしか、酔ったかのようだ。

 

 

 

麻薬なんてやるわけがないし、お酒だってまだなのだが。

 

 

 

酔っぱらうって、こんな感じなのかなとふたりは思う。

 

 

 

 

 

嗚呼、今日もまた……廣井という妖酒に酔わされ、きくりという麻薬に依存する人が増えるのだろう。

 

 

 

それほどまでに、ステージの彼女は魅力的で…………。

 

 

 

 

 

 

 

やはり、SICK HACKがこんなにも魅力的で人気になったのは廣井きくりという人物のおかげであり…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………───ヴッ、ごめっ………!」

 

 

 

 

エチケット袋を片手に、曲が終わるのと同時に舞台裏へと駆けていく廣井。

 

とりあえず、曲が終わるまでもってくれて良かったと安心する志麻と、困った様な笑顔でその背を追って歩くイライザと、困惑している司会の人。

 

 

 

 

 

 

 

 

………SICK HACKが未だにインディーズで燻っているのも、廣井きくりという人物のせいなのだろうなと、ふたりは思う。

 

 

…………彼女が、もう少し肝臓に優しければ………。

 

 

 

 

『えっ、え~……ハプニングもあったが、舞台を盛り上げてくれてありがとうSICK HACK!最高のパフォーマンスだったぜ!!!!

みんなも拍手よろしく!!!!』

 

 

 

本当かな?本当に最高のパフォーマンスだったかな???

 

 

まぁ、SICK HACKのファン的には最高のパフォーマンスだったみたいだが……なんなら舞台で吐いた方がロックだったようだが。

 

 

なんにせよ、司会の人は、舞台裏から聞こえる、オロロロロロロロロー!!!!という怪音をかき消すようにそう叫び、拍手をお願いするのだった。

 

 

 

会場の空気は一部はちゃんと温まり、一部は困惑といったところか。

 

 

良くも悪くも、次のバンド次第。……トップバッターでなくて良かったと本気で思う。

 

 

 

 

すっかり出来上がった変な空気。………長い髪を靡かせて、少したりとも気後れする事なく───。

 

 

 

 

ケモノリアのメンバーは、堂々と舞台に上がるのだった。

 

 

…………一部のメンバーが、武田信玄の暴走に警戒しているのは内緒である。

 

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