未確認ライオット。ファイナルステージに進んだのは、結局SIDEROSとケモノリアだった。
『あー、SIDEROSです。観客の皆。暑い中、朝からお疲れ様』
『……今立ってるこのステージを目指したバンドを、今回はたくさん見てきました。
───いいバンド、ばかりだった』
『………いろんなモノを背負った、凄いギタリストにも出会った。
でも、それを退けて!私は今ここに立ってます』
「………だからその分、背負ってるものが半端ないの!
初っ端から死ぬ気でトばすから!最後までついてきなさい!!」
優勝したのは、SIDEROSだった。
うん、あの人達なら仕方ない。仕方ない、仕方ない……。
………それでも、やっぱり悔しくて。すっごく悔しくて!……泣かないつもりでも、結局泣いてしまった。
つられて虹夏さんも泣いて、喜多ちゃんも泣いて。きっと、リョウさんも……。
みんなと、みんなの頑張りを。みんなと造った唄を。──お姉ちゃんが遺してくれた、わたしの音も。
もっと、たくさんの人に。……今回のステージで。
「ちょっと!」
すっかりしんみりしてしまった中で、その声が響いた。
「えっ、ぽいずんさん? ……なんで、ここに……?」
ぽいずん(はーと)やみ。そう名乗った女性が、そこにいた。
少し困惑する虹夏と、緊張した面持ちで眺めるふたり。
ふたりとしては、もう会いたくない人である。……だった。
「ぜっ、絶対来てると思ったから探してたのよ。どうしても言いたい事があって……」
一生懸命探していたのだろう。彼女は少し、息を切らしていた。
それから──深く、深く。頭を下げた。
「ごめんなさい。ガチじゃないって。……お遊びって発言、撤回するわ」
「貴方達を追って、分かったの。二代目さんの居場所は……『ギターヒーロー』の居場所は、『結束バンド』じゃなきゃダメだって」
そこまで言って、少し、照れたような顔で、ぽいずん(はーと)やみこと愛子は微笑んで。
「手のひら返しなのは分かってる。けど──私にとっては結束バンドが一番だったから。……それだけ」
そう、言ってくれた。
「………──ッ、追い打ちかけないで下さいよー!!!」
その言葉に虹夏は更に泣いてしまい…………ふたりもまた、あの日の悔しさが。
心の中から流されていくのを感じた。
……だから。この人に。ふたりの心に残った、彼女への感情は。
「あの……お取り込み中悪いんですが、そろそろいいですか?」
そこに、とてもとてもしっかりしてそうな女性が現れた。
なんというか……ふたり的には、今まで関わった中で、一番しっかりしてそうな大人の女性、という印象である。
……いや、星歌等がしっかりしてないという訳ではなく……こう、なんというか……。
「そっ、そうだ!今日会いたかったのはもう一つあって、この方を紹介したかったからなの」
突然号泣してしまった虹夏らに困ってしまった愛子は、丁度良いとばかりにその大人の女性の紹介を始める。
「ストレイビートというレーベルでマネジメントをしています、司馬都と申します」
そう言って、彼女は品よく一礼した。そして、名刺を差し出す。
「レ、レーベル……?」
涙を拭いながら、虹夏はそれを見る。
「はい。先日のライブを観て、気になったのでお話出来たらと思ったのですが……」
「え…………」
「レーベル~~~~~~~~~!?!?」
まさかの、レーベルからのお誘いだ。
実感が、湧かない。湧かないけど、でも………。
努力は。音楽は、頑張ってる人を決して裏切らない。
届いたのだ。ちゃんと、頑張りは、届いたのだ。
「よーし!いつか必ずフェスのステージに……いや、ロック音ジャポン出場だー!」
虹夏が手を上げ、みんなと一緒に手を伸ばす。
みんなと一緒に、同じ夢を────。
もう少し、遊んで帰ろう。そんな話をして、喜多ちゃんが花火を買いに行くと駆け出したその際に───。
「あの、えっと、ぽいずん?さん」
ふたりは、遠慮がちにぽいずんこと愛子に声をかけたのだった。
「少し、お話、いいですか……?」