ハイスクールD×D×D~堕天した花嫁の激しく熱かりし物語ィィィィ!~ 作:不知火新夜
私が堕天使となり、兵藤家を出て行こうとして、いっちゃんに引き留められて、私達は改めて、いや本当の意味で、恋人となった、そんな出来事から一夜が明けた。
「ん…
おはよ、いっちゃ…!?」
目覚めと共に、隣で添い寝してくれている私の可愛くも格好いい恋人に声を掛けようとした時、私は思いもしなかった異変を目にした。
こ、これって…!
「ん、ふぁ、おはよ、れーちゃ…
どうしたの、れーちゃん?」
「いっちゃん、その、左手…!」
「ん?左手…!わわ、これって!?」
目が覚めた私の目に映ったのは、『純度の高いルビーの様な鮮やかな真紅の輝き、一瞬でも気を抜くと屈服させられる程の威圧感を発する籠手』を左腕に装着した、いっちゃんだった。
これ、一体どうして、はっ、そういえば昨日…
『ぼく、大きくなったらわるい人たちとたたかって、かてるくらいつよくなりたい!それで、れーちゃんをまもれるようになりたいんだ!』
『ふふ、ありがとう、いっちゃん。でも、人間のいっちゃんには危ない事ばっかりだよ、悪魔とかと戦うのは。人間がどれだけ強くなろうとしても、実際に強くなっても、純粋な力だけでは太刀打ち出来ない。何かしらの特殊な力か、策を用いないと勝てない、そんな存在だよ。大丈夫、私がいっちゃんを守るから、いっちゃんは私の側に居て、私を支えて欲しいな』
『う、うん、わかったよ、れーちゃん…』
何気ないいっちゃんとの会話、その折に聞いた、いっちゃんの決意。
普通に考えたら男らしいとか、格好いいとか、勇気があるとか言いたくもなるけど、私が戦っている相手は、その『普通』が通じない相手。
そんな普通じゃない存在に、普通の人間であるいっちゃんが戦いを挑む、それは『勇気』とは言わない、『無謀』と呼ばれる物。
私にとって何よりも大事な存在であるいっちゃんを、そんな『無謀』で失いたくない。
いっちゃんには『無謀』な選択肢を選んだりせず、末永く私の側に居て欲しい。
そんな私の想いが顔に出たのか、渋々ながら納得してくれたけど、もしかして…
「いっちゃん、何か、願掛けみたいな事した…?」
「うーんと、あ、きのうねるまえに、かみさまにおねがいしたよ。『ぼくを、あくまとたたかえるようにして下さい、れーちゃんをまもれるくらい、つよくしてください』って。やっぱりぼく、れーちゃんといっしょにたたかいたい、れーちゃんをまもりたいから…」
間違い無い、これは…
「いっちゃん、良く聞いて。私も今気付いたんだけど、いっちゃんは『普通』の人間じゃない。『
「セイクリッド、ギア…?」
「うん。私達天使を生み出した『聖書の神』が作り出した、不思議な能力を持っているアイテムで、ごく少ない人間、及びその血筋を持っている存在がそれを持つと言われているの。多分、いっちゃんの『悪魔と戦いたい』という想いに、いっちゃんの中にあった神器が、その左手が応えたんだと思う…」
「そっか。これが、これがあれば、れーちゃんといっしょにたたかえるんだ…!」
神器を有している、つまりそれはどの様な神器であるかにもよるが、いっちゃんが言う通り、悪魔と戦える力を有しているという事になる。
だけど逆に、悪魔等の人外勢力に狙われる様にもなる。
悪魔や堕天使等の人外に比べれば人間の力は遥かに弱い、故にどの人外勢力にも人間を見下す様な風潮が少なからずある。
その人間が、自分達の平穏を脅かす様な力を持っているとなれば?
普通はこう考える、『不穏の芽は花開く前に摘み取るべき』…
そう、その力を発揮し切れない内に抹殺しようという考えに至る。
そしてそれが神器の中でも強大な力を持っていたとしたら…
いっちゃんの左手は『
能力も『一定時間、使い手の能力を倍にする』と、そこまでびっくりする様な物じゃ無い。
だけど、私が見て来たどの龍の手も、眩しい位の輝きや、発現したてなのに屈服されかねない位の威圧感を発するものは無かった。
まさか、龍の意志を丸ごと宿した亜種?いや、それにしてもこれは、ま、まさか…!
「いっちゃん、これ、ひょっとしたら、凄い物をいっちゃんは引き当てたかも知れないよ…!」
「え、そ、そんなにすごいの、これ!?」
「うん。『
「うん、おぼえているよ。たしかそのたたかいで、れーちゃんたちてんしさまをつくるシステムがおかしくなっちゃったんだよね?」
「そうだよ。まあ私はもう天使じゃないけどね。でね、その戦いの最中に、2匹のドラゴンが割って入って来たの。なんか、喧嘩していたら何時の間にか乱入して来たみたい」
「ど、ドラゴンって、大きいからだで、口から火をはくんでしょ?」
「そう。そのドラゴン達はとっても強くて、2匹の喧嘩に天使も堕天使も悪魔も巻き込まれて、大勢死んでいったの。このままじゃ皆が死んでしまう、そう思った神様と魔王、堕天使のトップが協力して、2匹のドラゴンを其々神器に封印したの。その1つが『赤龍帝の籠手』なんだよ」
「そ、そうなんだ。この中に、そのすごくつよいドラゴンが…」
赤龍帝の籠手に宿った2匹のドラゴン『二天龍』の片割れ『
その最たる物が、二天龍のもう片方『
嘗て3大勢力の戦争の最中ですら喧嘩し合った二天龍、神器に封印されたとしてもその因縁は潰えず、赤龍帝と白龍皇が邂逅した時、その場は壮絶な戦場となり両者共に死んでいったと言われている。
もしいっちゃんの左手が赤龍帝の籠手なら、いっちゃんが現代の赤龍帝なら、遅かれ早かれ、その運命に直面するだろう…
でも出来れば、そうではないと思いたい。
やっと本当の意味で恋人になれたのに、心の底から想いを通じ合えたのに、何時死ぬか分からないなんて、そんな、そんな事って…!
でも、ひょっとしたらこれは運命なのかも知れない。
赤龍帝たるいっちゃんと、天使である、今はもう堕天使だけど、そんな私…
強者を引きつける彼と、人ならざる力を持つ私。
ひょっとしたら、全て運命なのかも知れない。
私がこの地に降り立った事、いっちゃんの目の前に不時着した事、いっちゃんと結ばれた事、堕天した事、いやひょっとしたらこの地に降り立つきっかけとなったあの事件も…
全て、全ていっちゃんと私を結びつけるための運命だったのかも知れない。
赤龍帝たるいっちゃんを守る為、二天龍の因縁から救い出す為、そして、彼の拠り所となる為…
なら、私は運命を受け入れる!
いっちゃんを、守り抜いて見せる!
いっちゃんを、因縁から救い出す…!
神滅具の1つかも知れない、その事実を前に左手をまじまじと見つめるいっちゃんを他所に、私はそう決心した。