ハイスクールD×D×D~堕天した花嫁の激しく熱かりし物語ィィィィ!~ 作:不知火新夜
「お姉ちゃん、こっちでの生活はもう慣れた?」
「はい!イッセー君に黒歌ちゃんに白音ちゃん、それに怜奈ちゃんがいるからすっごく!」
「それは良かったのにゃ。急な引っ越しでどうなるやらと思ったけど、杞憂に終わって良かったのにゃ」
「そうだね、お姉ちゃん。朱乃ちゃんもよろこんでくれてほんとうによかった」
「…げんきが一ばんですからね」
お父さん達がこの街の、いっちゃん達兵藤家の隣(いっちゃんの幼馴染だという子が以前住んでいた家が未だに空いていたので、其処にした)に引っ越し、お姉ちゃんが転入、私も改めて小学校に入ってから一ヶ月余り経った。
黒歌も言っていたけど、突然の引っ越しでどうなるかと私も思ったけど、あっさりと馴染めた様で、妹としては安心したよ…
姉の心配をしている私も正直、学校生活は初めてだったから緊張したけど、いっちゃんと同じクラスになれたのもあって私も問題無く、というか、家では見ないいっちゃんの姿が楽しみで毎日が楽しい。
こんな楽しく平穏がずっと続けば良いな…
でもいっちゃんが赤龍帝で、お父さんがグリゴリ最高幹部、お母さんが神社の家の出、黒歌と白音が猫又の中でも力の高い『猫魈』と呼ばれる存在(お父さんが気付いて判明した)、それだけでも異例づくめなのに、兵藤家と姫島家のみが知る心核武装という存在…
平穏を平穏のままで終わらせてくれない要素が多すぎる。
もっと私が、私達が、心核武装について理解を深め、強くなっていかないと、この平穏は守れない。
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「ファイヤー!(ヒュゴォ!)」
「アンゴルモアハンマー!(ゴゴゴゴゴ!)なんちゃって」
「甘いよ、お姉ちゃん!(ヒュン!)」
「甘いのは兄様です!(グオン!)」
「あらあら、私を忘れては困りますわ!(バチィ!)」
学校から帰ると、私達4人に加え最近、心核武装を手にしたお姉ちゃんも加わった5人で、此処姫島家の地下に設けられた地下訓練場(詳しい説明は省くけど、お父さん曰く、悪魔が有している『次元の狭間に使い捨ての世界を作り出す』技術をグリゴリで盗み取り、それを応用して作り上げたとの事)でトレーニングをするのが今の日課で、今日のトレーニング内容は、私達5人によるバトルロイヤル方式の実戦訓練。
私がガイアールによって『炎』をばら撒いたり、黒歌がボアロアックスによって形成した物体による遠隔攻撃を行ったり、いっちゃんがガイハートの能力を活かして縦横無尽に動き、白音がジュダイナに術式のオーラを纏わせてぶん回したり、お姉ちゃんがお父さん譲りの雷撃で牽制しつつ心核武装、龍の意匠をあしらった双刃の大鎌『
いっちゃん達の心核武装の強力さはもう知り尽くしてはいるけど、お姉ちゃんのヘルフエズもまた、斬りつけられたら最後、『力』を根こそぎ消費させられるという危険極まりない物で、お姉ちゃんの向上心も相まって、1年以上という経歴の差もなんのそのと言った感じで私達に真っ向から喰いついて来ている。
そういった展開が繰り広げられた結果、今回の実戦訓練はかなりの接戦になったと言え、実際私も含めて皆がへとへとと言った様子…
はぁ、疲れた。
「お前達、そこまでへとへとになる程訓練に励むとは、せいが出るな」
「あ、お父さん。今日は早かったね」
「はい、お父様。特に私はイッセー君達とは違ってこのヘルフエズを手にしたばっかりですし、早くヘルフエズの力を理解しないと、追い付けませんから」
「お邪魔しています、バラキエルおじさん」
「毎度の事だけど、お邪魔しているのにゃ」
「…お帰りなさい」
一先ず休憩していると、其処にグリゴリでの業務を終えたであろうお父さんが帰って来た。
本来ならこういった事には、あの3大勢力による大戦にも参戦していた程のキャリアを誇るお父さんに指導を仰ぐべきなんだけど、お父さん曰く「心核武装にはまだまだ未知な部分が多すぎる。下手に突っ込んだ指導をしては後々取り返しのつかないことになりかねない」という考えから、その指導は基礎的な物、長期的な強化方針の策定に留まっている。
確かに、お父さんは実戦経験とかは豊富だけど、言い方は悪いけど心核武装に関しては現時点で素人、間違った指導となってはいけないという考えがあるのかも知れない。
「まあ、程々にな。特に朱乃、焦る気持ちは分からなくもないが、余り逸り過ぎると逆効果だ」
「はい、分かっていますわ」
お父さんの忠告に、理解していると言いたげに返事をするお姉ちゃん、だけど、その眼は私達、正確にはいっちゃんを除いた私達3人へのライバル心がむき出しになっていた。
またか、と言いたくなるけど、お姉ちゃんもまたいっちゃんに恋心を抱いていて、私達へのライバル心もそれが原因となっている、私に至ってはこの前「姉とはいえ、イッセー君を譲る気は毛頭ありませんわ、怜奈ちゃん!」と、面と向かって宣戦布告されたし(無論私も、「お姉ちゃんには渡さないよ!いっちゃんの事は私が一番理解して、愛しているんだから!」と返してやった)。
いっちゃんには女の子をわんさか引き寄せる魅力みたいな物があるのかな…?
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「おりゃぁ!(ゴォォォ!)」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そして夜はこの街のパトロールを私達で行い、侵入して来たはぐれ悪魔等の存在を見つけては討伐したり、保護したりしている。
尤もこの街は悪魔陣営が『裏』の管理をする地、この様な行為を部外者である私達がするのは許されない(というか私達敵対勢力の存在が住み着いているのすら不味い)けど、数年前にゴタゴタがあって以来管理者が存在しない、所謂『無政府状態』となっている。
かつてこの街を管理していた悪魔、72家の一角であるベリアル家に属していたクレーリア・ベリアル。
しかしながら教会に属していたエクソシストと恋におちた事が切っ掛けで教会及び悪魔陣営から粛清を受けた、というのは、当時は天使だった私がこの地に派遣される際に聞いた話。
後任の管理者が派遣されるか、天使陣営に管理権が移るまでこの街に滞在し、その混乱に乗じて侵入して来るであろうはぐれ悪魔を滅せよというのが任務だったんだけど、今考えればなんともきな臭い話だと思う。
管理者が敵対勢力の者と恋仲になるなんていうスキャンダルを基に粛清された、と此処までなら理解は出来る(1人の女の子としては複雑な気分だけどね)。
だけど管理者を処刑せざるをえない事態が起こった時、普通だったら即座に後任の管理者を選定して事態の鎮静化に当たらせる筈。
それが2年以上も無政府状態が続いているって、悪魔陣営はこの街をなんだと思っているんだろう?
天使陣営も天使陣営で、まるで今の状況を把握していたかの様に、私を派遣して来た。
まさかとは思うけど、この件に関して天使陣営と悪魔陣営が、秘密裏に協定を交わしていた、とか?
尤も、堕天使となった今では、その疑問を解消する術は殆ど無いと言って良い、例え堕天使陣営の最高幹部であるバラキエルの娘だとしても。
それに解消したところで、今の私に、私達に大いに関係する話だろうか?恐らくそうとは言えないだろう。
私は、今の日常を守る。
家に帰れば両親と姉がいて、学校に行けば親友たちがいて、そしていっちゃんがいる、そんな幸せに満ちた今の日常を守る。
その為に、私に出来る事をするだけ。
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それから2年が経ち、お姉ちゃんと黒歌は小学6年生、私といっちゃんは5年生、白音は4年生となった。
あれからトレーニングや、周辺のパトロールは継続して行っている。
最近ではお父さんも実戦訓練の対戦相手をしてくれる様になり(お父さん曰く「コーチとしてはまだアドバイスを送れる状態じゃないが、スパーリングパートナーなら問題無いだろう」)、実力がかなり上がって来た様に思えた。
そんな或る日、1学期もあと数週間という時だった。
「お前達。夏休みは海外旅行に行かないか?兵藤さん一家も連れて、な?」
お父さんから誘われた海外旅行の話、これが、私達にとって運命の出会い、その切っ掛けとなった…!