かぐや様は告らせたいのボロクソに言われる藤原書記をイメージしてください。
「その……すまない……みんな」
ライナーが泣き止んで、気まずそうに謝る。
ライナーの前世はたしかにそう簡単に飲み込めるような内容じゃないから、迷惑をかけてしまったとか思っているんだろうな。
「気にしなくていいよ」
「そうだよ、むしろ言ってくれて嬉しかったよ」
ライナーが犯した罪。
それを告白することは本当に勇気が必要だったと思う。
それでも私たちに本当のことを教えてくれた。
私たちはそのことが本当に嬉しいんだ。
「でも……本当に信じてくれたのか?俺の言ったことを」
「ちゃんと理解は出来ていないけど、ライナーはそんな嘘を吐いたりしないし」
「それに……ライナーが苦しんでいたのは本当でしょ?だから、話が本当でもたとえ嘘でもみんなライナーの力になってあげたいんだよ」
たしかに巨人の力があって、島の人達を大勢殺したというのが本当か嘘かなんて確かめることは私たちにはできないけど、ライナーが苦しんでいたら力になってあげたい。
それが私たちみんなの思いだ。
「みんな……ありがとう」
照れくさそうにライナーが言った。
話していた時は死んでしまいそうなくらい苦しんでいたライナーだったけど、今は苦しくなさそうで安心した。
1人で苦しんでいた分、これからみんなでもっともっとライナーのことを幸せにしてあげなくちゃ!
「すまない……気になることがあるんだが……いいか?」
「いいですけど……なんですか?」
「ライナーというよりはアイに聞きたいことなんだがな」
「ん?私に?」
みんなの間に優しい空気が流れているところに社長がちょっと気まずそうに言い出す。
私に聞きたいことって一体なんだろう?
「アイがライナーがいなかったら殺されていたって言っていただろ?あれってどういうことだ?」
「あー、あれね」
そういえば言ったね。
ライナーがいなかったら殺されていたって。
「そういえば言ってた!」
「どういうことなの!?なんかあったの!?」
みんなパニックになってる。
そりゃ、そうだよね。
私だって他の子が殺されかけていたなんて知ったら絶対にパニックになると思うし。
「その、ドーム公演の日に……襲われて」
「襲われたの!?」
「ライナーたちは遅れて来たし、アイも様子がおかしかったから何かあったって思ってたけどさぁ!!」
ドーム公演の直前に言ってみんなを動揺させたくなかったから黙っていたけど、みんな何も聞かないでくれてありがたかったなぁ。
「それで……私たちを守ってライナーが刺されて」
「刺されたの!?」
「何度も……刺されて」
「何度も刺されたの!?」
「そうだ!刺されたのにどうして治ったのライナー!?」
「治ったの!?」
ライナーは何度も刺されたのに治ったんだ!
あの時はドーム公演だったしライナーも気絶していたから聞けなかったけど、どうして治ったのか私も知りたい!
「巨人の力の継承者には巨人の力である再生能力も宿るんだ。だから刺された傷も再生したんだ」
「そうだったんだ」
「え、でも……それじゃあライナーはまた巨人になっちゃうの!?」
そうだよ!
巨人の力の再生能力があるってことは、ライナーはまた巨人の力の継承者になっちゃったってこと!?
「いや……きっとあれが俺に残っていた最後の力だったんだろう。今の俺にはもう巨人の力は無いからもう傷は再生しないし、寿命もきっと延びているだろう」
「ん……寿命?」
「寿命が延びているってどういうこと?」
巨人の力が無いからもう傷が治らないってことはわかったけど、寿命が延びているってどういうこと?
「あー、巨人の力を継承した者は継承した日から13年しか生きられなくなるんだ」
「嘘……でしょ」
「……あんまりだよ」
差別されて、人を食べて、家族みんなで暮らすことは出来なくて、何の罪もない人達を大勢殺して、仲間も裏切らないといけなくなったのに、それなのにたった13年しか生きられなくなったなんて、そんなのあんまりだよ。
「今はもう巨人の力は無くなっているから寿命は延びている。だから大丈夫だ」
「……よかったぁ」
本当によかった。
ライナーはすごく辛い思いをして、何度も刺されても私たちを守ってくれた。
それなのにあと13年しか生きられなくなるなんてそんなの悲しすぎるもん。
「ライナーが13年しか生きられないなんてそんなの絶対に認められねぇし、現代に巨人の力があっても碌なことにはならねぇだろうからな。無くなってよかったぜ本当」
「ライナーはもう戦わなくてもいいんだから……もう巨人の力なんて必要ないわよ」
社長もミヤコさんも、私たちだってライナーとずっと一緒にいたい。
だから巨人の力なんてそんなのいらないよ。
「みんな……ありがとう」
ライナーが嬉しそうに言った。
私たちだってライナーと一緒にいられることが嬉しいからみんなも嬉しそう。
「巨人の力が無くなったのと、ライナーの寿命が延びたのは本当によかった。俺もそれは嬉しいんだが……まだ聞きたいことがあってな」
「えー、まだあるの?」
「もういいじゃん」
「いや……どうしても聞きたいことがあってな」
まだ聞きたいことがあるらしい社長にみんなからブーイングが出るけど、それでも社長はまだ聞きたいことがあるらしい。
他に聞きたいことってなんだろう?
「ライナーがいたからアクアとルビーに出会えたって言ってたよな……どういうことだ」
「…………あ」
そうだ、言っちゃった。
ライナーがいたからアクアとルビーに出会えたって。
「どういうことって……ライナーがアイにアクアとルビーを紹介したってことなんじゃないの?」
どうしようか迷っていたら、ナイスアシストが来た!
他に理由も思いつかないし、ここはライナーがアクアとルビーを紹介してくれたってことで。
「ライナーは本当のことを話してくれたんだから、お前も本当のことを話してくれるよな?」
「あ……ああ」
ライナーは本当に苦しかったはずなのに、自分の犯した罪を告白してくれた。
ライナーが頑張ってくれたのに、私はみんなに嘘を吐くことなんて出来ないよ。
「本当のことって……どういうこと?」
「私たちに何か隠してる?」
「あの……その……えっと」
言わなきゃいけないのはわかっているけど、やっぱり言いずらい!
でもライナーだって話してくれたんだから、私だって本当のことを言わないと!
「…………パパです」
「なんて!?」
「声ちっさ!」
言わないといけないってわかっているけど、やっぱり言いずらい!
もっと苦しかったはずなのに、本当のことを話してくれたライナーは本当にすごいよ!
ライナーに比べたら私のなんて全然苦しくないんだからちゃんと言わないと!
「ライナーが…………パパです」
「…………は?」
時が止まったのかと思った。
それくらいみんなが困惑していた。
「パパって…………どういうこと?」
「誰…………の?」
そうだよね。
そうなるよね。
みんなライナーがパパだって知らないんだもんね。
「…………アクアとルビーの」
「…………ライナーが?」
「…………うん」
「…………そっか」
あれ?
なんだか思っていた反応と違うな。
もしかして、みんなライナーがアクアとルビーのパパだって知ってたのかな?
「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」
そんなことなかった。
やっぱりみんなライナーがパパだって知らなかった。
「ちょ!ライナーがパパってどういうこと!?」
「社長とミヤコさんの子供じゃないの!?」
「ライナー、ミヤコさんと不倫したの!?」
「違うよ!アクアとルビーは私とライナーの子供だよ!…………あ」
しまったと思った時にはもう遅かった。
私がアクアとルビーのママだって知らないみんなが信じられないという目で私を見ている。
「は……なんて言ったの?……今」
「子供?誰と……誰の?」
「アイと……ライナーの?」
「…………そっか」
整理するようにみんなが言って、静寂が訪れる。
もしかして、受け入れてくれるとか?
「「「はぁ!?」」」
やっぱりこうなった!
そりゃそうだよね!
「アイって20歳になったばかりだよね!?」
「え……じゃあ、2人を産んだとき未成年じゃん!!」
「アイドルなのに何やってんのあんた!?」
「本当にごめんなさい!!」
あらためてだけど、本当に私はなんてことをしてしまったんだって思っているよ!
謝って済む問題じゃないけど、本当にごめんなさい!
「もしかして……活動休止したのって」
「アクアとルビーを……産んでました」
「マジかよ!?」
みんな私が体調不良だって思っていたから本当に申し訳ない!
でも、つわりとか苦しかったから体調不良も噓じゃないってことにならないかな?
ならないか!
「っていうか、ライナーも何やってんの!?」
「そうだよ!マネージャーなのにアイに手を出して!!」
「オイ……何で……俺が……父親なんだ」
「あれぇ!?なにその反応!?」
「もしかして知らなかったの!?」
困惑しているライナーを見て、みんなも戸惑っている。
アクアとルビーの父親ってことは、ライナーが私に手を出したって考えるよね。
「おい……どういうことだ。アイ」
社長がブチ切れる一歩手前みたいな状態で聞いてくる。
正直、言いたくないけど言わないと絶対に許されないよ。
「その……ライナーが……寝てる……間に」
「……したと」
「ライナー……お前気付くことは出来なかったのか」
「すみません……全然気づけませんでした」
「いやぁ……無理だと思うよ」
「ん……どういうことだ?」
正直、あんまり言いたくないけど、このままだとライナーも責められそうだからちゃんと説明しよう。
ああ、本当に言いたくないなぁ。
「ライナーが起きないようにね……お薬をちょっと」
「…………盛ったと」
「…………はい」
「…………はぁ」
呆れたというように社長がため息を吐いた。
多分、絶対に怒られる。
「このクソアイドルが!!」
やっぱりこうなった!
「何やってんだ本当に!!」
本当に何をやっているんだろうね私!!
「アイドルだろうが!!」
「しかも当時未成年よ!!」
「ライナーの合意なしとか!!」
「薬を盛るとか!!」
「普通に犯罪!!」
「ママ何やっているの!?」
「さすがにフォロー出来ないよ!!」
うわぁ!
みんながボロクソに言ってくる。
悪いのは私だけどすごくメンタルに来る!
「まぁ……アイにも何か事情があったのかもしれませんから、理由くらい聞いてみましょう」
「……ライナー」
みんなにいろいろ言われたあとだから、ライナーのフォローが心に沁みるよ。
「まぁ……一応は聞いてやる。言え」
「…………はい」
ライナーのおかげで理由を説明することが出来る。
許されるとは思わないけど、みんなにちゃんと説明しないといけない。
「私ね……誰にも愛されたことないし、誰も愛したことが無いから愛する対象が欲しかったの。だから、アイドルになったんだ」
ずっと誰かを愛したかった。
アイドルになれば、ファンを愛せると思った。
「母親になれば子供を愛せると思ったから」
「だから……ライナーが寝ている間にしたと」
「…………うん」
「…………はぁ」
私の言葉を聞いてみんなが呆れたようにため息を吐く。
「だとしても……ねぇ」
「そんな理由で……アクアとルビーが」
「2人はどう思うの?」
たしかにあまりいい理由じゃないかもしれない。
アクアとルビーはなんて思うんだろう。
私のこと、嫌いになっちゃうかもしれない。
「私は嬉しいよ!だってママのこともライナーのことも大好きだもん!!」
「……ルビー」
ルビーが本当に嬉しそうに言ってくれた。
心から嬉しそうに。
「僕も嬉しい。アイのことは大好きだし、ライナーさんが僕たちの父親だったらって思ったこともあるから。だから……ライナーさんが嫌じゃなかったら、今までみたいにして欲しい」
「……アクア」
アクアも少し照れくさそうに言ってくれた。
私のことも、ライナーのことも大好きだって。
「いいのか?俺なんかが……父親で」
ライナーが少し怯えながら、2人に聞く。
罪を犯したから、きっと父親になるのが怖いのかもしれない。
「私……ライナーがパパで嬉しい!!」
「僕も……ライナーさんがよかったら、僕たちのお父さんになって欲しい」
「アクア、ルビー……ありがとう」
ライナーが2人を抱き締める。
それを見て、ライナーが2人のお父さんでよかったって心から思えた。
「アクア、ルビー、ライナーもそれでいいのか?」
「うん!ライナーがパパで嬉しい!」
「ずっとライナーさんがお父さんだったらいいのにって何度も思ったから、僕も嬉しいよ!」
よかった。
アクアとルビーもライナーを受け入れてくれた。
大丈夫だとわかっていたけど、ハッキリと言ってくれてよかった。
「はぁ……3人がいいならいいけどよ」
社長が諦めたように言った。
ある意味、犠牲者の3人が受け入れているから社長も何も言えないんだろうね。
「幸い、アクアとルビーがアイの子供だってバレてないからなんとかなるだろう」
私が妊娠してからずいぶん経つけど、バレてないからこのままでもなんとかなるのかも?
「まさか……アイがアクアとルビーのお母さんだったなんて」
「しかも……ライナーがお父さんで」
「さらに……薬を盛っていたなんてね」
「本当にごめんね!!」
B小町のみんなは私が妊娠していたなんて知らなかったから本当に申し訳ない!!
「私たちがアクアとルビーにママって呼ばれている時、どんな気持ちだったの?」
「みんながアクアとルビーのママになってくれて嬉しかったよ!!」
アクアとルビーのこともB小町のみんなのことも大好きだから、みんながアクアとルビーのママになってくれて嬉しかった。
「自分が父親だって知らないライナーがアクアとルビーの世話をしている時、どんな気持ちで見ていたの?」
「自分が父親だって知らなくてもアクアとルビーのことを大切にしてくれるライナーは素敵だなって!」
自分が父親だって知らなくてもライナーはアクアとルビーのことを大切にしてくれた。
それが本当に嬉しかった。
「俺が本当は父親なんだろってライナーに詰め寄っていた時はどう思っていたんだ?」
「本当はお父さんなんだけどなぁって思いながら見てました……はい」
私がずっと黙っていたから、社長は何度もライナーがアクアとルビーの父親なんだろって聞いていた。
ライナーは自分がアクアとルビーの父親だって知らないから当然父親であることは否定していたから、申し訳なく思いながら見ていた。
「本当に……どうしてこんなことしたんだよ」
社長が本当に疲れた様子で言った。
そりゃ、未成年のアイドルが妊娠したら大問題だからバレないようにすごく気を使っただろうね。
本当に申し訳ない。
「せめて成人したあとだったらまだなんとかなったのによぉ」
「……本当にごめんなさい」
たしかに成人したあとなら荒れるかもしれないけど、絶対に未成年のアイドルが妊娠するよりもなんとかなったよね。
わかっていたけど、私めちゃくちゃ迷惑かけちゃったな。
「まぁ……わかっているとは思うが、みんなこのことは絶対に言わないでくれよ」
「……わかってるよ」
「……言ったら私たちもおしまいだし」
「……私たちだけじゃなくて事務所のみんなもおしまいだしね」
「……本当にごめんなさい」
みんなが本当に困ったように言った。
悪いのは私だけど、本当にひどすぎるね私。
「ああ、もう!起こったことは仕方ねぇ!絶対にバレないようにするぞ!」
「もうそうするしかないね!」
「こうなりゃヤケだ!ヤケ!」
「やってやるよぉ!」
「……みんな」
みんなが受け入れてくれた。
嬉しくて嬉しくて仕方ない。
「本当にありがとう!」
「勘違いしないで、アクアとルビーとライナーのためだからね」
「アイのことはまだ許せてないからね」
「調子に乗らないでね」
「はい……ごめんなさい」
みんなが受け入れてくれたのは私以外のためだった。
そりゃそうだよね。
みんなに迷惑かけまくったもんね。
許されないよね。
「とにかく!気持ちを切り替えていこう!」
「そうだね!いろいろと面倒だけどめでたいことではあるよね!」
「ライナーがアクアとルビーお父さんになったことをお祝いしよう!」
「ほらほら!みんなグラス持って!」
そう言ってみんなグラスを持つ。
これからもみんなにたくさん迷惑をかけるけど、今だけは忘れよう。
この瞬間を、みんなでお祝いしよう!
「ライナーがアクアとルビーのお父さんになったことに!!」
「これからの私たちに!!」
「ついでにアイに!」
「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」
今まで謎だったアクアとルビーの父親はまさかのライナーでした!
いやぁ、みんなビックリしただろうな!
本当は原作通り父親はカミキにするつもりだったんです。
カミキの自分の命が軽いと思っているところがなんとなくライナーに似ているという愛がどういうものかわかっていない感じの理由で。
なのに、どうせライナーが父親なんだろうとか、ライナーが寝ている間にしたとか、アイが薬を盛ったという感想がほとんどだったので、本当にライナーを父親にしてやったよ!
どうだ!美しいだろう!!