【推しライナー】   作:チェシャ猫もどき

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前回の投稿から2ヶ月以上たって推しの子は完結しました

彼らの物語にいろいろと思うことはありますが、この作品ではみんなを幸せにしたいと思います!

カミキ?知らない子ですねぇ?

推しの子が完結したことに脳を焼かれたので初投稿です!!


我慢強いブラウン

 

 芸能界!!

 

 それは多くのアイドルやスターが煌びやかに輝く魅惑の世界!!

 

 映画、ドラマ、歌、ダンス、バラエティー。

 他にも様々な分野で今日も日本に、あるいは世界にその魅力を発信している。

 

 しかし、どのような世界でも光があれば影がある。

 そしてそれは芸能界でも例外ではない。

 むしろ、欲望渦巻く芸能界ほど闇は深い。

 

 いくらそこに集まった苺プロの面々にかつてないほどのプレッシャーが走る。

 芸能界で活動している彼らはテレビの収録やライブ、映画やドラマの撮影などの重要な現場に何度も参加しているため一般人よりもプレッシャーに耐性がある。

 

 しかし、今回ばかりはいつもと違った。

 

「ライナー……大丈夫だ……」

 

 あまりの光景に何も言えなかった中で社長という立場からなのか、壱護が口を開いた。

 慎重に、相手を刺激しないように落ち着いた声で、ゆっくりと。

 

「俺達は……お前の味方だ……」

 

 万が一が起こることがないように、ライナーが少しでも安心出来るように、自分たちがライナーの味方であることを伝える。

 

「何があっても……お前を守る……」

 

 ライナーにはB小町の結成の時からずっと支え、何度も助けてもらったと全員が感じている。

 だからこそ、ライナーに何かあった時は必ずライナーの味方になると全員が言うだろう。

 事務所の立ち上げとB小町の結成の時からずっと一緒に頑張って来た大切な仲間であるライナーを失うことは絶対に認められない。

 

「だから……それを放すんだ……」

 

 壱護はついにその存在にふれる。

 

 ライナーがその手に持った、包丁に。

 

 時は少しさかのぼって苺プロの事務所。

 そこにB小町のメンバーと社長とミヤコ、アクアとルビーの苺プロの初期メンバーが集まっていた。

 

「……ライナーは?」

 

「大丈夫、先に帰ったわ」

 

 ライナーがいないことを確認する壱護に、ミヤコがライナーはすでに帰ったことを伝える。

 こういった話し合いなどには積極的に参加するライナーだが、今回は彼らによって話し合いのことを知らされていなかったためすでに帰っている。

 

「そうか……それじゃあ、みんなわかっていると思うが……集まってもらったのは他でもない。ライナーのことについてだ」

 

「マーレ編のこと……だね」

 

「……ああ」

 

 壱護がハッキリと言うまでもなくここにいる全員どころか、ここにはいない苺プロの人間全員が理解していること。

 

 それはライナーのメンタルのことであった。

 

 進撃の巨人の作者に何度も頼み込まれた結果、声優をすることになったライナー。

 何度も断ったにも関わらず声優をする羽目になったライナーたちは被害者と言ってもいいのだが、そのような事情を知らない世間からは反対の意見が多数寄せられ、盛大に炎上した!!

 

 ライナーは被害者であるのだが、それでも炎上したことで苺プロまで炎上したことに責任を感じていたこと。

 

 声優をすることで自分の前世の罪を再び行うような形になってしまったこと。

 

 他にもライナーのメンタルをボロボロにするようなことは大量にあったが、それらよりさらにヤバイ内容が近づいて来ていた。

 

「マーレ編……本当にやるんだよね。……カットされないかな」

 

「……カットされる訳ないでしょ」

 

「……本編だもんね」

 

「……だよねぇ」

 

 マーレ編。

 

 それはライナーのメンタルが最もヤバかった時の物語。

 

 パラディ島から生きて戻って来たライナーであったが、悪魔だと思っていた島の人間は自分たちと同じ人間であることを理解してしまった。

 何の罪も無い大勢の人々を殺してしまった罪悪感と、罪悪感を抱いていることを打ち明けることが出来ない環境で命懸けの戦いを続ける日々にライナーのメンタルはボロボロになってしまった。

 

「……ライナー大丈夫かな」

 

「大丈夫だと思いたいけど……」

 

「前世でもあれだったからね……」

 

 全員の脳裏に浮かぶのはマーレ編における銃を使った自殺未遂のシーン。

 ネットでは銃フェラなどと呼ばれてネタにされているシーンだが、あそこで本当に自殺してしまっていると知っているアイたちにとっては全く笑うことの出来ない場面である。

 

「だからこそ前世みたいにならないように、俺達でライナーをサポートしていくぞ!!」

 

「そうだね!絶対に自殺なんてさせないよ!!」

 

「あの時はライナー1人だったけど、今は私たちがいるもん!!」

 

「お父さんは絶対に死なせない!!」

 

「私たちでライナーを守るよ!!」

 

「よし!それじゃあ、どうするべきかみんなで話し合っていくぞ!!」

 

 ライナーがメンタルを病んで自殺してしまわないように全員でサポートすることを誓う!!

 

「具体的に何をすればいいのかな?」

 

「俺達もメンタルケアはするが、1番いいのはアクアとルビーだな」

 

「私たち?」

 

「ああ、前世でもファルコたち戦士候補生って守るべき存在がライナーの中では大きかった。だから、アクアとルビーがいれば自殺しようとは思わないだろ」

 

 前世での自殺未遂の時もファルコのおかげで踏み止まり、自分には守るべき子供たちがいるということに気付いてなんとか耐えていた。

 そのため、自分の子供であるアクアとルビーがいれば自殺はしないだろうと言うのが壱護の考えだった。

 

「それに!!アクアとルビーはかわいいから辛いことがあっても癒されるよ!!」

 

「そうだよね!私も何度アクアとルビーに癒されたかわかんないもん!!」

 

「ライナーだって癒されているだろうし、もうアクアとルビーがいれば完璧じゃない!?」

 

 守るべき子供であるアクアとルビーがいればライナーは自殺しないだろうという意見に全員が賛同する。

 事実、ライナーに限らずB小町に苺プロのアイドルやスタッフもアクアとルビーに癒されているため効果は実証済みであった。

 

「私もパパのこと大好きだもん!!パパのためにがんばるよ!!」

 

「お父さんを絶対に死なせたりしないよ!!」

 

 血縁があると知らなかった時でもライナーのことを慕っていたアクアとルビーはやる気をみなぎらせる。

 さらにアクアとルビーの前世は、お世辞にも親に恵まれていたとは言い難い。

 アクアの母親は出産時に亡くなり、祖父母に育てられている。

 ルビーも病気になったことで母親が精神を病み、あまりお見舞いに来ないどころかルビーの最期にも合いに来ないほどであった。

 

 そんな2人にとって血縁がないと思っていても産まれた時から面倒を見てくれたライナーが本当に父親ならいいのにと思ったことは何度もあり、ライナーが本当に父親だと知った時の喜びはかなりのものであった。

 だからこそアクアとルビーはライナーを絶対に死なせないとやる気をみなぎらせていた。

 

「2人もやる気満々で頼もしいね!!」

 

「私たちもライナーのサポートはするけど、仕事で一緒にいられないこともしょっちゅうだからねぇ~」

 

「アクアとルビーが頼りだよー!!」

 

「大丈夫!!私たちにまかせて!!」

 

「僕たちがお父さんを守るよ!!」

 

「よし、これなら安心だな!」

 

「あれ?どうしたのミヤコさん?」

 

 アクアとルビーのおかげでライナーのメンタルは大丈夫だと判断するなかで、ミヤコだけが浮かない顔をしている。

 

「大丈夫だとは思うんだけど……したことがしたことだからやっぱり……ね」

 

「……たしかに」

 

「で、でもアクアとルビーに私たちもいるから……」

 

「だけど……ガビやファルコたちがいるのに自殺しちゃったよ……ライナー」

 

「戦士候補生の子たちとも仲よかったのに……」

 

「しかもファルコにガビを救うのはお前だってしたよね……」

 

「それなのに……自殺」

 

 罪悪感を抱えてそれを誰にも打ち明けることが出来ない環境だったとはいえ、ガビやファルコたち戦士候補生との交流があったにもかかわらずライナーは自殺してしまったという事実が大丈夫だと安心しかけていた全員の心に不安を与える。

 

「ま、まぁ……私たちはマーレとは違ってライナーが苦しんでいるのを知ってるから大丈夫!ライナーだってちゃんと弱音とか辛い気持ちとか吐き出せるって!!」

 

「でも……ライナー炎上したことについて謝ったけど、辛いとかは言わなかったような……」

 

「……そういえば」

 

「……言われてみれば」

 

 声優をやることで炎上したことについてライナーは事務所のメンバーに何度も謝ったのだが、思い返してみると謝ることはしても辛いや苦しいといった負の感情を吐き出すことはしていなかったように思える。

 言わなかったのは責任感などといったライナーの周りに対する思いやりだとわかってはいるが、苦しみを打ち明けられずに自殺してしまったことを知っている身としては全く安心出来なかった。

 

「ライナー……大丈夫だよね」

 

「わ、私たちがいるから……」

 

「あれ……でも、今ライナーはどこ?」

 

「もしかして……1人?」

 

「先に帰ったから……1人の可能性が高いわ……」

 

「……マジで?」

 

 どうしても不安を拭えないでいる中で、ライナーが1人でいるかもしれないという可能性に全員が不安を抱く。

 ライナーが自殺した時も1人の時だったからだ。

 

「ライナー……大丈夫……だよね?」

 

 全員の脳裏に再びあの自殺未遂のシーンがハッキリと浮かんだ。

 日本には自殺した時のようなライフルはおろか拳銃すら手に入らないが、自殺するのに必ずしも銃である必要はない。

 銃がなければ刃物、縄で首を吊る、高所からの飛び降りなどで死ぬだけである。

 

「ス、スマホ!!ライナーのスマホに連絡しようよ!!」

 

「そうだね!!それがいいよ!!」

 

「私連絡する!!」

 

「アイ!!お願い!!」

 

 ライナーの無事を確認するためにアイがライナーに連絡するが、アイの顔がみるみるうちに青ざめていく。

 

「……どうしたの……アイ」

 

「……でない」

 

「…………は?」

 

「電波が届かない所にいるか……電源が入っていないって」

 

「…………うそ」

 

 でないというアイに言葉にしないまでも全員が困惑する。

 マネージャーであるライナーは常に連絡が取れるようにしている。

 帰ったばかりのライナーが電波の届かない場所にいるとは考えづらいため、考えられるのはライナーがスマホの電源を切っているしかない。

 

 ライナーが電源を切る理由。

 それは自殺を邪魔をされないようにするためとしか考えられなかった。

 

「ど、どうしよう!!パパが死んじゃうよ!!」

 

「落ち着けってルビー!!まだお父さんが死ぬと決まった訳じゃない!!」

 

 アクアがパニックになるルビーを落ち着かせようとするが、アクア自身も落ち着いていられないせいでキツイ言い方になってしまう。

 

「とにかく!!ライナーを探すぞ!!」

 

「そうね!まずはマンションに行くわよ!!」

 

「わかった!!」

 

「早く行こう!!」

 

 壱護がライナーを探すことを提案してそれにミヤコが続く。

 そのおかげで全員がライナーを探すために動く。

 ライナーがどこにいるのかわかっているわけではなかったが、とにかく探すためにまずはライナーがいつもいるマンションに行く。

 

「鍵は!!」

 

「私が開けるよ!!」

 

「靴がある!!ライナーがいるよ!!」

 

「見つかってよかった!」

 

「早くライナーのところに!」

 

 アイが合鍵を使って鍵を開けると、玄関にライナーの靴を発見する。

 ライナーを見つけることが出来て安心するが、ライナーの無事を確認するためにすぐに部屋へと進む。

 

「ライナー!!」

 

「ライナー!!大丈……夫」

 

「ライ……ナー」

 

「みんなどうしたんですか?そんなに慌てて」

 

 ライナーを見つけるものの、全員が言葉を失う。

 

 ライナーはキッチンにいた。

 その手に包丁を持った状態で。

 

「ライナー……大丈夫だ……」

 

「え……何がですか?」

 

 ライナーを刺激しないように、安心出来るように壱護がそう言うもライナーは本当に大丈夫なのかわかっていないようで不思議そうに言い返す。

 

「俺達は……お前の味方だ……」

 

「はぁ……ありがとうございます」

 

 万が一が起こることがないように、ライナーが少しでも安心出来るように、自分たちがライナーの味方であることを伝えても、ライナーは感謝こそするがその言葉に心はこもっていない。

 

「何があっても……お前を守る……」

 

「……どうしたんですか?本当に?」

 

 壱護の守ると言う言葉もライナーには届いてはいない。

 

「だから……それを放すんだ……」

 

「はぁ……わかりました」

 

「よし!取った!!」

 

 ライナーが包丁を置く。

 その隙を見逃さずに壱護がその包丁を奪う。

 

「パパぁああ!!」

 

「おとうさん!!」

 

「うおっと!!どうしたんだ2人とも?」

 

「どうしたって、みんなライナーのことが心配だから急いで来たんだよ!!」

 

「え、心配?どうして?」

 

 自殺の心配がなくなったことに安心してアクアとルビーがライナーに抱き着く。

 勢いよく抱き着いて来た2人を難なく受け止めつつ2人の様子を不思議そうにするライナーにアイが言うが、それでもライナーには何のことかわかっていない様子である。

 

「ライナーが自殺するんじゃないかって!!」

 

「え、ちょ、どうして俺が自殺するんだ!?」

 

「どうしてって……それは……」

 

「マーレ編が辛いから自殺するかもって……なって」

 

「マーレ編で自殺しかけた時も1人だったから……」

 

「なるほど、それで急いでここに来たと」

 

「……うん」

 

「なんか……大丈夫そうじゃない?」

 

「自殺しなさそうじゃない?」

 

 全く自殺しそうにないライナーに戸惑いながら説明する苺プロのメンバー。

 そして説明されて納得のいった様子のライナーに、全員が戸惑う。

 

「で、でも、ライナー包丁持ってたし!!」

 

「自殺しようとしてたんじゃ!!」

 

「ああ、これか。いつもコンビニ弁当やカップ麵だからたまには自炊しようかと」

 

「そういえばキッチンにいるね……」

 

 ライナーがいたのはキッチンであった。

 自炊するためにキッチンにいることも包丁を持っていること当然であり、何も間違っていない。

 自殺する様子はないが、それでも疑問は残る。

 

「じゃ、じゃあ、どうしてスマホに連絡しても出なかったの!?」

 

「え、連絡したのか!?ちょっと待ってくれ!今確認する!!すまない……充電が切れてた」

 

「な、なんだぁ〜。そういうことかぁ〜」

 

「私たちはてっきり自殺の邪魔されたくないからスマホの電源を落としてるんだって……」

 

「……すまない」

 

 連絡したという言葉に慌てて自分のスマホを確認すると、どうやらスマホの充電が切れていたらしく申し訳なさそうな顔で謝った。

 誰にも邪魔されないようにするためと誤解させたこと、そもそも芸能事務所に所属するマネージャーとして連絡が取れない状況になっていたことにライナーはただ謝ることしか出来ない。

 

「でもよかった、ライナーが自殺なんてしないってわかって」

 

「どうして俺が自殺なんて……進撃か」

 

「……進撃だね」

 

 自殺するかもしれないと思われていたことに疑問に思うも、すぐに進撃のせいだと思い至る。

 というか、それ以外に理由はなかった。

 

「自殺してしまった俺が言っても説得力なんてないかもしれないが、俺は大丈夫だ」

 

「……辛くないの?」

 

「まぁ……正直辛いがマーレの時と違って本当のことを言っても処罰されないから嘘を吐かなくていいし、みんなもサポートしてくれる。なにより俺が死んだらみんなが悲しむってわかっているからどれだけ辛くても自殺なんてしたりしないさ」

 

「……ライナー」

 

 長い付き合いのおかげでライナーの言葉が嘘や誤魔化しなんかじゃないと理解する。

 

 マーレはおろか世界中から差別され、副戦士長という立場であってもマーレに反抗的な態度を取れば容赦なく処刑されるという環境にいたライナーにとって、正直に辛いと言うことが出来、自分のことを気にかけてくれる仲間がたくさんいる今の世界なら、どれだけ辛くても耐えられるのだろうと。

 

「パパ……本当に自殺なんてしない?」

 

「ああ、しない。絶対に自殺なんてしない」

 

「辛かったら絶対に言ってね!絶対だよ!!」

 

「わかった、辛い時は絶対にみんなに相談する。だから大丈夫だ」

 

 ライナーはアクアとルビーに目線を合わせ、安心出来るように優しい声で言う。

ライナーの脳裏に浮かんだのは自分を慕ってくれていたガビやファルコといった戦士候補生たち。

 自分が守るべきはずだった子供たち。

 

(今度こそ、必ず守る)

 

 アクアとルビーを守れなかった彼らの代わりにするつもりはない。

 戦士候補生の子供たちや殺してしまった人達のことは自分の罪として生涯抱えていくと決めている。

 だからこそ、同じような過ちを繰り返すことはしないと誓う。

 

「みんな、心配をかけてしまってすまない。耐えきれずに自殺してしまった俺が言っても説得力なんてないかもしれないが、今はみんながいるからどれだけ辛くても大丈夫なんだ。だから絶対に自殺なんてしないから安心してほしい」

 

 ライナーは集まった全員をまっすぐに見て言った。

 心配させてしまったみんなが少しでも安心出来るように。

 自殺しないと言う言葉が本当だと伝わるように。

 

「はぁ……どうやら俺達が勝手にパニックになってただけみたいだな」

 

「そうね、もうちょっとライナーのことを信じてあげるべきだったわね」

 

「うう……ごめんねライナー」

 

「いや……俺が自殺したのは事実だから、不安に思うのは仕方ないさ」

 

 全員ライナーのことは信じているが、1度自殺してしまったという事実はあまりにも重すぎた。

 それを理解しているからライナーも自殺するかもしれないと思われていたことを気にすることはなく、むしろ心配してくれていることを内心で喜んでいた。

 

「ライナーが自殺しないってことはわかったが、それでもこれから辛い展開が続くのはたしかだ。俺達も全力でサポートするから、辛かったら遠慮せずに言うんだぞ!!」

 

「私達もたくさんライナーに支えてもらったからね!次は私達の番だよ!!」

 

「パパ!私もがんばるからつらかったら言ってね!!」

 

「ああ、辛かったら遠慮なく言わせてもらうさ。みんなありがとう」

 

 こうして、ライナーが自殺するという危機を乗り越えた彼らの絆は深まりこれからますます活躍していく!!

 

 

 

 はずであった。

 

 

 

 それは苺プロの事務所にて。

 

「……ふぅ」

 

「どうしたんですかライナーさん!!」

 

「大丈夫ですか!?何かあったんですか!?」

 

「いや……仕事が一段落ついたからからホッとしただけで……」

 

「そうだったんですか、よかった……何もなくて」

 

「ライナーさん……もし辛いことがあったら遠慮せずに言ってくださいね」

 

「あ、ああ……ありがとう」

 

 B小町と比べると付き合いが短い事務所スタッフではあるが絶対に自殺はしないと言ったライナーの言葉を疑っているわけではない。

 しかし、進撃における罪悪感で自殺しかけたあの光景と地下室におけるエレンとのやり取り。

 

 それらの衝撃的なシーンを映像で、なおかつ本人の声と演技力で見てしまった苺プロの面々の心配があっさりとライナーへの信頼を上回ってしまった!

 

 それはファミレスで食事をした時。

 

「ライナー!ナイフなんか持っちゃ危ないよ!?」

 

「いや、でもステーキを食べるんだから……」

 

「ステーキは私が切ってあげるから、食べるならお箸を使ってね!!」

 

「もしかして自殺するって思われてるのか?」

 

 それは事務所でも。

 

「ライナーさん!!どこへ行くんですか!?」

 

「いや、ちょっとトイレに」

 

「そうだったんですね。あ、僕もトイレ行きたいんで一緒に行きましょう!!」

 

「もしかして自殺するって思われてる?」

 

 それは移動の際も。

 

「ライナーさん!今日収録ですよね!運転は俺がします!事故になったらいけないんで!!」

 

「ありがとう。でも、他の車に突っ込んで自殺なんてしないからな」

 

 それはアイの部屋で家族団欒の時間を過ごしていた時も。

 

「それじゃあ、風呂に入って来る」

 

「待って僕も一緒に入る!」

 

「そうだよパパ!一緒に入った方がいいよ!!」

 

「そうそう!節約になるし、何かあっても安心だし!!」

 

「一緒に入るけど……1人で入っても自殺はしないからな」

 

 しばらくの間、1人にすると自殺してしまうと思われてしまったライナーは苺プロの面々に付きまとわれてしまうのであった。

 

 そして様々な困難を乗り越えて進撃の巨人は完結したのだが。

 

「どうしたライナー?話だなんて?」

 

「あの……進撃なんですが」

 

「アニメもついに完結したな!いやー、よく頑張ったぞライナー!」

 

「ありがとうございます。その……アニメは完結したんですが」

 

「アニメはって……まさか!!」

 

「実写版の映画をするから出てくれないかと……」

 

「絶対に断れそんなもん!!」

 

 ライナーの受難はまだまだ続くのかもしれないのであった。

 

 

 




思ったんですが、もしもアイとライナーが結婚したらガビ山先生はどんな反応をするんだろうか?

普通に考えたらお祝いコメントかお祝いイラストだと思うんですが、ワンチャン引き延ばした銃フェライラストを送るんじゃないかと思ってしまった自分を誰か殴ってくれ!!
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