応援してくださるみなさんのためにもこれからも頑張りますと言いつつ、前回の投稿から1ヶ月もたってしまった私を許して下さい……。
半年以上もたっていたのに、みなさんのおかげでランキングにのることが出来て脳が焼かれたので初投稿です!!
後にファンたちの間で伝説と語られるB小町の解散ライブ。
それは大成功に終わった。
アイドル活動が控えめになっていたB小町のメンバーだったが、解散ライブのために厳しいトレーニングを行うことでそのパフォーマンスのレベルは全盛期の頃と比べても遜色ない程であった。
そして、さらに話題になったのがアイだ。
あゆみと和解したことでアイの中にあったわだかまりが消えた。
ファンへの、B小町のメンバーへの、苺プロの仲間への、家族への、そして母親への。
大切な人たちへの愛してる。
それはドームにいた全員のみならず、これからアイと出会っていく人たちにも届けられていく。
「「「「解散ライブお疲れ様でしたーーーー!!」」」」
「いやー!!最後のライブも最高だったね!!」
「ミスなく終わってよかったよホント!!」
「私泣いちゃったよ!!」
「私も私も!!てゆーかみんな泣いてたよね!!」
「泣くつもりはなかったんだけどなぁー!!」
「仕方ないよ!だって最後なんだもん!!」
伝説の解散ライブが無事に終了し、アイのマンションで苺プロの初期メンバーだけで打ち上げを行うことに。
おそらく最後になるこの打ち上げだが、寂しさよりもライブを無事に終えることが出来た喜びにあふれていた。
いつもなら苺プロの初期メンバーだけで行われ他の人間は参加することはないこの打ち上げ。
しかし、この日だけは違った。
「あの……本当に私も参加してよかったのでしょうか……」
アイの母親であるあゆみも、この打ち上げに参加していた。
本人は断ったのだが、アイたちに何度も説得されたことで打ち上げに参加することにしたあゆみだったが、やはりアイを虐待していたことに加えほぼ他人ばかりの中にいることが気まずいらしい。
「大丈夫ですよあゆみさん。せっかくアイと和解出来たんですから、たくさんの時間を一緒に過ごしていきましょう」
「そうだよおかあさん!!やっと会えたんだから楽しまなきゃ!!それにみんなのことも紹介したいし!!」
「大丈夫ですよアイのおかあさん!!私たちもアイといろいろあったけど、こうして仲良しになれましたから!!」
「いろいろあったかもしれませんが、今からでも遅くはないですよ!!」
「みなさん……本当に……本当にありがとうございます」」
アイたちの励ましの言葉にあゆみは目に涙を浮かべて感謝する。
こんな自分を許し、受け入れてくれたこと。
そんなことなどあり得ないと思っていた。
だが、アイ達はあゆみを許して受け入れた。
それはあゆみにとって奇跡に等しかった。
「もう泣かなくてもいいよおかあさん!遅くなっちゃったけど、みんなのことを紹介するね!!」
「うん、お願いアイ」
アイはあゆみに笑いかけながらみんなの紹介を始める。
あゆみは芸能人であるB小町のことは知っているが、裏方である壱護やミヤコのことは知らないからこその紹介である。
「まずはメンバーのみんなからね!!おかあさんも知ってると思うけど、めいめいにたかみーにニノだよ!!」
「めいめいでーす!!」
「たかみーです!!」
「ニノですよー!!」
「活躍はいつもテレビで拝見しています。アイと仲良くしてくれてありがとうございます」
たかみー達の紹介を受けて感謝を伝えるあゆみ。
テレビなどで仲のいい姿を姿を見ているあゆみはB小町のメンバーに感謝していた。
捨ててしまったが、彼女たちがいるのなら大丈夫だろうと。
「こっちが社長とミヤコさん!社長が私をスカウトしてくれたからアイドルになれたんだよ!!ミヤコさんはいつも私たちのサポートをしてくれるんだ!!」
「ありがとうございます。あなた達のおかげでアイはアイドルになれました」
「スカウトしたのは自分ですが、ここまで来られたのはアイ達の努力の賜物です。自分は大したことはしていません」
「そうですね。私たちもアイ達に東京ドーム公演という最高の舞台の景色を見せてもらいましたから。むしろ私達の方がこの子達にもらってばかりですよ」
「そんなことないって!!私達が頑張れたのも社長やミヤコさん達がサポートしてくれたおかげだよ!!」
「そうだよ!!辛い時とかいろいろサポートしてくれたじゃん!!」
「そのおかげでここまで来られたんだからね!!」
「だから大したことしてないみたいなこと言わないでよね!!」
自分たちは大したことはしていないと謙遜する社長とミヤコにアイ達が反論する。
アイ達にとっても辛い時を支え続けてくれた社長たちやスタッフ達には感謝している。
だから、大したことはしていないという発言をアイ達は認めることは出来なかった。
「そうかい……ありがとよ」
「ふふ……みんなありがとう」
アイ達の言葉に頬を赤くする壱護に嬉しそうに微笑むミヤコ。
面と向かって言われたのが照れくさかったのか、その言葉は少しぎこちない。
だが、部屋の全員がほわほわとした空気に包まれた。
「それじゃあいくね!もう自己紹介はお互いにすませているかもしれないけど紹介するよ!!この人がライナー!!私が預けられた施設にいてね!私がアイドルになった時にマネージャーなってずっと私のことを支え続けてくれたんだよ!!」
「ライナーさん……あなたはずっとアイのことを」
「たしかに私はアイ達のことを支えてきましたが、私もアイ達に何度も支えてもらいました。だから、お互い様なんです」
「そうだったんですね」
たしかにライナーは苺プロの立ち上げ当初からアイ達を支え続けて来たが、ライナー自身も辛い時期を、主に声優をしていた時期をアイ達に支えてもらっていた。
だから持ちつ持たれつという言葉がピッタリな関係と言っていいだろう。
「それじゃあそれじゃあ!!アクアとルビーを紹介するね!!」
「アクアです!!」
「ルビーでーす!!」
「よろしくね、アクアくん。ルビーちゃん」
アクアとルビーが元気よく自己紹介すると、緊張していたあゆみが笑顔になる。
中身は転生した存在であるが、そんなことを知る由もないあゆみたちは癒されていた。
「この子達はずっとおかあさんに紹介したかったんだ!!」
「そうなの?」
「うん!!」
あゆみにアクアとルビーを紹介出来てごきげんになるアイ。
ライナーたちもあゆみにとって孫であるアクアとルビーを紹介出来たことはやはり特別なのだろうと微笑ましく見ていた。
だが、ライナー達は忘れていた。
アイはアイドルとしてのプロ意識はかなり高いが、抜けているところがあるということを。
「だってアクアとルビーは私とライナーの子供で、おかあさんの孫だもん!!」
「……………………孫?」
いきなりぶち込まれたアイのまさかのカミングアウトにあゆみの思考が停止する。
ライナー達の思考も停止していた。
「そう!!アクアとルビーはおかあさんの孫だよ!!」
「……孫?でも……アクア君とルビーちゃんは……社長さんとミヤコさんの子供じゃ……」
「あ、それ嘘!!本当は私とライナーの子供だよ!!」
「おい!!アイ!!」
止めようとしたが遅かった。
みんなで協力して育児をしたから、みんなの子供のような存在だからあゆみにとって孫のようなものなのだと。
そう言えばあゆみも驚きつつ受け入れることが出来ただろう。
だが、アイがアクアとルビーは自分とライナーの子供であると言ってしまった!!
「あゆみさん!!これは……」
「アクア君とルビーちゃんが……アイとライナーさんの……子供?え、でも……アイはアイドルで……ライナーさんはマネージャーで?あれ?でも……B小町は恋愛禁止じゃ?そもそも……アクア君とルビーちゃんが産まれた時って……アイ……未成年じゃ……?」
「あの……これは」
「…………うう」
「あゆみさん!!」
ライナー達が慌てて訂正しようとするが、もう遅かった。
あまりの衝撃に意識を手放し倒れるあゆみをライナーが受け止める。
「おい!!大丈夫か!?」
「大丈夫です、意識を失っているだけです」
「そうか……よかった。とりあえずソファに寝かせておこう」
「わかりました」
意識を失ってしまったあゆみをソファに寝かせる。
「…………座れ」
「…………はい」
それだけで伝説のアイドルとまで言われているアイが、フローリングの床に正座する。
それを誰も止めはしない。
むしろ壱護が言わなければ他の誰かが言っていたという確信があった。
「すぅうううううう」
壱護が深く、深く息を吸っていく。
それを見たアイ以外の人間が耳に手を当てる。
「このクソアイドルが!!」
壱護の怒声が部屋中に響く。
部屋が防音仕様でなければ近くの部屋にもハッキリと聞こえていたであろう。
「なんで自分の子供だって言ってんだ!!」
「だ……だってぇ。アクアとルビーは……おかあさんの孫だから……喜んで欲しくってぇ……」
「タイミングってあるだろ!!」
あゆみをアイに会わせると決めた時にアクアとルビーのことをどうするか相談した結果、しばらくは世間に公表している壱護とミヤコの子供ということにしておいてから、落ち着いたころに本当のことを言うということにしていた。
だが、アイがすべてをぶちまけた!!
「ですが、アイに秘密にしていた俺達にも責任が……」
「だとしても和解したその日に言うか!?普通!?」
アイに秘密であゆみと会えるように説得をしていたライナーと壱護にも責任はあるだろう。
しかし、ライナーも壱護もまさか和解したその日にアクアとルビーがアイとライナーの子供であるということを明かすとは思いもしなかったのである!!
「で、どうするの……?」
「事情を説明して言わないように頼むしかねぇだろ」
「説明して大丈夫なの?本当のこと聞いたらまた気絶しちゃうんじゃない?」
「そうなったら、気絶しなくなるまで説明するだけだ!!」
「大丈夫なのそれ!?アイのおかあさんショックで死んじゃわない!?」
「大丈夫だ!!みんなで祈れば大丈夫だ!!」
「それ全然大丈夫じゃないやつ!!」
全員があゆみに説明するべきだと理解はしているが、あまりの事実にあゆみが大丈夫なのか心配の声が上がる。
しかし、アイが言ってしまった以上もう隠すことは不可能である。
そのため、ライナー達に出来るのは、詳細を知ったあゆみが死なないこと祈ることだけであった。
「…………うう」
「あ、アイのおかあさん起きたよ!!」
「記憶…………失ってねぇかな」
「…………可能性にかけましょう」
騒ぎのせいか、意識を取り戻すあゆみ。
あゆみが記憶を失っているという僅かな可能性にかける壱護とライナー。
もはや穏便に済ませるにはそれしか道は残されていなかった。
「すみません……私ったら急に」
「無理しないでください。ソファに座ったままで大丈夫です」
「ありがとうございます」
意識を取り戻し、立ち上がろうとするあゆみをソファに座らせる。
事実を知ってまた倒れられても困るからだ。
「あの……アクアくんとルビーちゃんのことなんですが……」
(くそっ!!記憶を失っていなかったか!!)
(説明……するしかありませんね)
「それについてはちゃんと説明させてください」
開口一番にアクアとルビーのことを聞いてきたあゆみに、記憶を失っているという僅かな可能性にかけていた壱護とライナーは軽く絶望していたが、覚悟を決める。
「まず一番最初に知ってもらいたいのは、悪いのは全部アイということです」
「え……アイが……どういうことですか?私はてっきり……」
「わからなくはないですが、ライナーは被害者です」
「え……ちょ、ひがい……しゃ?」
「アイのおかあさん落ち着いて!!」
「また気絶しちゃうから!!」
「深呼吸して!!深呼吸!!」
「ひっひっふー!!ひっひっふー!!」
「それ出産する時のやつ!!」
アイが悪いという事実に、あゆみが絶句する。
あゆみとしてはライナーがアイに手を出して妊娠させたと思っていたのだが、真実はライナーが被害者であった。
その事実に再び混乱するあゆみを全員が必死にフォローしたことで、また気絶する事態はなんとか避けられた。
「大丈夫ですかあゆみさん?もしあれだったら別の日でも……」
「大丈夫です、何があったかちゃんと知っておきたいんです」
「わかりました。何があったのか全部お話します」
真っ青な顔のあゆみを心配して別の日にすることを提案するライナーに、あゆみはこのまま聞くことを選ぶ。
ライナーもあゆみのまっすぐな目を見て、あゆみの覚悟を知り話すことを決める。
「ライナー、説明しようにも俺達じゃちゃんと説明出来ねぇだろ。元はと言えばアイ、全部お前が悪いんだからお前の口から説明しろ」
「…………はい」
「隠蔽してたけど、ライナー達も被害者側だからよくわかってなかったんだね」
「私達にいたっては完全に蚊帳の外だったもんね~」
「あーあ、メンバーなのに秘密にされてショックだったな~」
「…………誠に申し訳ございませんでした」
「あ……あの」
「あれはじゃれあいみたいなものですから、心配しなくても大丈夫ですよ」
「そ……そうなんですか?」
口々にアイを責めるメンバーに慌てるあゆみに心配しなくても大丈夫だと説明するライナー。
よくわかっていないが、アイを責めるメンバーの口調が軽いものであるためそういうものなのかとあゆみはとりあえず納得することにした。
「アイ……説明……してくれる?」
「……うん」
アイ達のじゃれあいが落ち着いたところで、あゆみがアイに説明を求めるてアイもそれに応じる。
「私……おかあさんに……捨てられた……よね」
「うん……そう。私は……アイを捨てた」
捨てられた。
そのことを改めてアイの口から言われる捨てられたという事実。
それをあゆみは受け止める。
「捨てられちゃって、私はおかあさんに愛されていなかったんだって思ったんだ」
出所してもあゆみはアイを迎えに行かずに、捨てた。
だから、アイは自分が愛されていないと理解してしまった。
「だから、私は誰かに愛されたくて、誰かを愛したくてアイドルになったの」
アイドルとして、たとえ嘘でも愛していると言っていれば、いつしかそれが本当になるかもしれない。
壱護のその言葉に、アイはアイドルになることを決めた。
「アイドルとしてみんなに愛してるって言ってても、私は心の底から愛しているって言えなかったんだ」
アイドルとしてどれだけ大勢に愛していると言ったとしても、それが心からの愛しているだと確信が持てないでいた。
「だから、母親になれば子供を愛せると思ったの」
母親になれば。
自分の子供になら。
心から愛せると言えるのではないのかと。
「だから……アクアとルビーを産んだの」
「…………アイ」
愛されたかった。
愛したかった。
だから、アイドルに、母親になった。
そうさせたのは自分なのだと。
「だから……ライナーさんと」
「いや……あの……ライナーと、っていうか。私が、っていうか……」
「…………アイ?」
言いよどむアイに疑問を抱くあゆみ。
アイがちらりと視線を向けると、ライナー以外の全員が言葉にはしないものの冷たい目でハッキリと言っていた。
(((((((本当のことを言え)))))))
「あの……お薬を盛りました……私」
「…………くすり?」
薬を盛ったというまさかの発言にあゆみの脳が何度目かの混乱を迎える!!
「くすりって…………なん、の?」
「よく…………眠れるやつです」
僅かな可能性を信じて何の薬を盛ったのか聞くが、盛ったのはよく眠れるお薬。
「どう…………して」
「そりゃあ……その……ねぇ」
どうしてと聞かれるが、行為が行為なので言葉に出来ずに気まずそうにチラリとアクアとルビーに視線を向けるアイ。
それだけでアイがライナーに対して何をしたのかがハッキリとしてしまった。
「わ、私は……アイとライナーさんが……恋人になって……そうなったんだと。なのに……くす……り?」
「アイのおかあさん!!」
「しっかりして!!しっかり!!」
「大丈夫!!あの、その、大丈夫だから!!」
崩れ落ちるあゆみを必死でフォローするメンバー。
こうかは いまひとつの ようだ……
「え……じゃあ……ライナーさんは、もしかして」
「自分の子供だって…………知りませんでした」
「具体的にはアクアとルビーが3歳ぐらいになるまで自分の子供だって知りませんでした」
「ああっ」
自分の子供だと知らなかったという事実を、壱護がさらに補完する。
こうかは ばつぐんだ!
ソファから崩れ落ちるあゆみ。
「大丈夫……ですか?」
恐る恐るあゆみに声をかけるライナー。
だが、あゆみは顔を伏せたまま、膝を床につき、両手を揃え、額を床に叩き付ける。
それすなわち土下座である!!
「アイがみなさんに!!特にライナーさんに!!多大なるご迷惑をおかけしてしまい!!誠に申し訳ございませんでした!!」
星野あゆみ。
心からの謝罪であった!!
「土下座なんてやめてくださいあゆみさん!!」
「いいえやめません!!謝って許されることではありませんが、あの子がそんなことをしたのは私の責任です!!」
「いやいや!!あゆみさんは悪くないですって!!」
「そうですよ!!悪いのは全部アイなんですから!!」
「うっ!!」
土下座して謝るあゆみを、必死に止めるライナーとフォローするメンバーたち。
「私があの子を虐待したから!!だから、あの子は!!」
「そりゃ虐待はいけないけど、だからって普通は薬を盛ってそういったことをしたりしないから!!」
「うぐっ!!」
「しかも未成年の時にやってるし!!」
「あぐっ!!」
「恋愛禁止されてるアイドルなのに!!」
「ぎえっ!!」
「本人のプロ意識めちゃくちゃ高いくせに、1番やっちゃいけないことしてるから!!」
「ぐえっ!!」
あゆみをフォローするための言葉がそのままアイに突き刺さっていく。
その度にアイがアイドルとして出してはいけない声を出しているが、誰も気にしない。
むしろ、もっとやれと思っている。
「あなたにも原因はあるかもしれませんが、悪いのは全部アイですから頭を上げて下さい」
「……社長さん」
みんなのフォローと壱護の言葉であゆみはようやく頭を上げる。
虫の息になったアイを無視して。
「うぅ……らいなぁああ」
「あの……みんな……アイが」
「アイ?ほっとけば?」
「しばらくすれば元に戻るでしょ」
「てゆーか、加害者のあんたが被害者のライナーに甘えんな!!」
「ごめんなさいぃいい!!」
助けを求めてライナーにすがるアイをボロクソに言うが、したことがしたことなのでこの扱いは当然である。
むしろライナーがアイに甘すぎるという意見まである。
「おら!!こうしてあんたのためにおかあさんが謝っているんだからあんたも謝れや!!」
「ほらほら!!床に額を押し当てるんだよぉ!!」
「土下座するんだよ土下座ぁ!!」
「あの…………あれも」
「じゃれあいですよ、じゃれあい」
アイに土下座を要求するメンバーに、あゆみに冷たい笑顔でじゃれあいだと説明するミヤコ。
アイに味方はいない。
「みなさま……愚かなわたくしめのせいで多大なご迷惑と苦労をおかけしてしまったことを、心からお詫び申し上げます」
一番星の生まれ変わり。
完璧で究極のアイドル。
最強で無敵のアイドル。
伝説のアイドルなどと呼ばれ、女優としても大活躍しているアイが土下座し、額をフローリングの床に押し当てて謝罪をする。
星野アイ。
心からの謝罪であった!!
ファンに見られでもしたら大炎上不可避な光景であるが、そもそもの元凶がアイなので誰も同情はしない。
「本人はこう言っているけど、どうするのライナー?」
「え、俺?」
「当たり前でしょ、1番の被害者がライナーなんだから!」
「生かすも殺すもライナー次第よぉ!!」
自分にどうするか聞かれ困惑するライナーだが、1番の被害者であるため当然といえば当然であった。
「アイ」
「…………っ!」
ライナーは責めるような目で、冷たく強い声になる。
それはいつものライナーを知るアイ達も見たことのない姿で、アイ以外の全員にも緊張が走る。
「妊娠したことを隠すためにスケジュールの管理や、出産するための病院探し。出産してからもバレないようにするためにどうするか悩み続けていたし、記者につけられていないか毎日警戒ばかりしていた。」
アイが妊娠したと知り、バレないようにするためにライナー達はかなりの苦労をするはめになった。
妊娠がバレないように活動を休止。
アイを知る人間がいないであろう地方の病院に入院させた。
出産してからも、アクアとルビーがアイの子供だとバレないように記者に尾行されていないか常に警戒していた。
「妊娠したことがバレたらどうしようと、心配で眠れない日もあった」
もしも未成年のアイドルであるにもかかわらず、アイが妊娠したことがバレたら全てが終わる。
アイはもちろん、B小町も苺プロそのものも活動を続けていくどころか、それぞれの人生が終わってしまうと言っても過言ではなかった。
そのせいで眠れないことも、眠れたとしても悪夢を見てしまうことが何度もあった。
「…………」
もしもバレてしまったら、アイ達B小町はおろか苺プロの人間全員が全てを失うことになりかねない。
そのことを考えて、眠れなかった夜は1度や2度ではなかった。
「それはアイ。お前のせいだ。お前がアイドルでありながら、考えも無く無責任に妊娠をしたせいだ」
「…………うん」
自分のせいでライナー達が苦労していたことはアイも理解していた。
だが、庇ってくれることが多いライナーに改めて言われたことで、改めて自分がどれだけ愚かだったのかを改めて理解して目に涙が浮かぶ。
そんなアイを見て、ライナーはふっと力を抜き膝をついてアイと目線を合わせる。
その目は先程までの責めるような冷たい目ではない、いつものような優しい目だった。
「だけど、アクアとルビーに会えた」
最初は自分の子供だとは知らなかったが、それでも出産に立ち会い、ずっと2人の世話をして、成長を見守ってきた。
「子育ては大変なことも多かったが、それ以上にアクアとルビーの成長を見守ることが出来たのは幸せだった」
子供を育てるという経験。
それは前世で戦い続けて来たライナーにとっては初めてのことばかりで、戸惑うことも多かった。
しかし、2人が初めて立ったこと。
初めて歩いたこと。
初めて言葉を話したこと。
他にも様々な出来事があって、そのどれもがライナー達にとって大切な思い出である。
「こんなにも幸せになれたのは、アイ。お前のおかげだ。アイが俺達にアクアとルビーを会わせてくれたからだ」
未成年でありながらライナーの意志を無視して妊娠したことは決して許されることではない。
それでも、アクアとルビーに出会えたことは間違いなくライナー達にとって幸せなことであった。
「だから……まぁ……ありがとう……アイ」
「うわぁあああん!!ライナァアアアア!!」
自分の犯した罪の重さを改めて認識し、自業自得とはいえボロボロになったところにライナーにありがとうと言われたことでアイは限界を迎えた。
「ごべんなざぁい゙い゙い゙!!」
「俺だけじゃなくて、みんなにもな」
「みんなぁあ゙あ゙あ゙!!ごべんんんん!!」
申し訳なさからアイ、号泣!!
まさかのギャン泣き!!
「あー、うん。もういいよ、うん」
「ライナーがいいなら……ねぇ」
「アクアとルビーにも会えたし……ねぇ」
「まぁ……結局バレなかったから……いいんじゃねぇか?……なぁ?」
「そう……よね?バレなかったんだから……ねぇ」
アイの予想外のギャン泣きにもともと許すつもりではあったとはいえ、メンバーもアイを責める気にはなれずアイを許すのであった。
許すしかなかったともいう。
決して、いい歳した大人のギャン泣きにちょっと引いたとかそんなことはないのである。
「ほらほら、もうみんな怒ってないから早く泣き止みなさい」
「……っ、……ほんっ、とう?」
「本当、本当!もう怒ってないよ~」
「よしよし、いい子だから泣かないで~」
「ほーら、笑って~」
「ううー」
アイを泣き止ませるために、小さな子供にするように優しく声をかけ、よしよしするB小町メンバー。
アイは子供扱いされることがちょっと不満そうではあるが、まんざらでもないのか口元はにやけている。
「てゆうか、こういうのはアイのおかあさんの役割じゃない!?」
「そうじゃん!!私達アイのおかあさんの役割を奪っちゃったよ!!」
「ほら、アイのおかあさん!!やってやって!!」
「え!?私ですか!?」
「そうですよ!せっかく仲直りしたんだから!!」
「え!?あの!?え!?」
本来なら母親がするべきと思ったメンバーに背中を押され困惑するあゆみ。
和解からの、アイの妊娠にライナーへの薬を盛ったことなどの情報で頭の中がぐちゃぐちゃになっているところへのアイへのよしよしへの誘導。
あゆみの脳は混乱から立ち直れていない。
「おかあ……さん」
「…………アイ」
不安そうな、しかし少し期待のこもった眼差しにあゆみは覚悟を決める。
「よしよし……アイは、いい子だね」
「おかあ……さん」
あゆみになでなでされて、アイの目に涙が浮かぶ。
お手伝いをした時や、テストでいい点を取った時。
誰かにやさしくした時にあゆみにして欲しかったことだった。
「アクア、ルビー、おいで」
目に涙を浮かべつつもアイはアクアとルビーを呼ぶ。
自分の大切な子供であり、あゆみの孫である2人を。
「アクア、ルビー、おばあちゃんにごあいさつをしてあげて」
「「うん!!」」
今まで壱護とミヤコの子供としてしか紹介が出来なかった2人を、ちゃんと自分の子供であるとあゆみに教えてあげるために。
「アイの息子の星野アクアです!!」
「おかあさんの娘の星野ルビーです!!」
アクアとルビーが大きな声であゆみに自己紹介をする。
アクアとルビーもずっと望んでいた。
自分たちはアイの子供であると大きな声でいうことを。
「アクア君、ルビーちゃん。あらためてだけど、よろしくね」
「うん!!よろしくおばあちゃん!!」
「おばあちゃんよろしくね!!」
「うう……おばあちゃん」
アクアとルビーにおばあちゃんと呼ばれ、感極まって泣き出すあゆみ。
孫というのは誰にとっても特別な存在である。
アイと和解出来て、そのうえ孫まで出来た感動によってあゆみの涙腺は崩壊してしまった。
「ほら、ライナーも!!」
「「お父さん!!」」
「ああ!」
アイとアクアとルビーにも言われ、ライナーもあらためてあゆみに自己紹介を行う。
「アクアとルビーの父親で、アイの……夫?でいいのかわかりませんが……」
「何言ってるのライナー!?夫でいいに決まってるじゃん!!」
「そうだよ!!ママの旦那さんはパパ以外認めないよ!!」
「おとうさん以外にアイにふさわしい人なんていないよ!!」
「だそうなので、言わせてもらいますお義母さん。俺はアクアとルビーの父親で、アイの夫のライナー・ブラウンです!!」
アイ達に認められて、ライナーは自信を持ってあゆみに言う。
自分はアクアとルビーの父親で、アイの夫であると。
「ライナーさん……ありがとうございます」
経緯があれであるため父親であることを拒絶されてもおかしくない。
ライナー達のやり取りを見てそんなことを言わないとは思っていたが、ライナーはアイ達を拒絶せずに受け入れた。
そのことがシングルマザーとして苦労したあゆみにとって救いになった。
「うう、よかったね……アイ、ライナー、アクア、ルビー」
「私まで泣けてきたよ~」
「ずっとがんばってきたものね」
「いろいろあったが、オールオッケーってやつだな」
まさかの暴露のせいで一時はどうなることかと思われたが、アイとあゆみは和解することが出来た。
アクアとルビーはおばあちゃんに会えて、あゆみは孫たちにおばあちゃんと呼んでもらえた。
そして、ライナーにお義母さんが出来た。
今まで多くの困難があったが、すべてが丸く収まった。
いわゆるハッピーエンドである!!
「よし!アイがおかあさんと仲直り出来たから、もうアイをボロクソに言うのは終わり!!アイ達の新しい門出を祝おうよ!!」
「そうだね!!乾杯しよう乾杯!!」
「みんなー!!グラス持ってー!!」
アイがボロクソになりはしたが、なんやかんやで平和に解決したことで改めて乾杯をすることにした一同。
今まで色々あったが、これからは明るい未来が待っているとここにいる全員が信じていた。
「よーし!それじゃあみんなグラスは持ったな!?」
「持ったよ!!」
「準備オッケーだよ!!」
「社長!!早く早く!!」
「わかってるから、ちょっと待てって!!」
全員を代表して、社長である壱護が乾杯の音頭をとる。
みんなグラスを片手に、今か今かと待ちきれない様子である!
「それでは!!アイ、ライナー、アクア、ルビー、あゆみさん!!星野家の新しい門出を祝って!!」
「「「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」」」
幸せな毎日が、ここから始まる。
「ちなみになんだけど、もしアイが妊娠したことがバレたらどうするつもりだったの?」
「俺がアイに無理矢理手を出したということにして、全ての責任を負うつもりだった」
「ほんっっとうにバレなくてよかったね!!!!」
「ごべんなざぁあ゙あ゙あ゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!!!」
始まる…………はず。
書き始めた時は4000字くらいで終わると思っていたのに、いざ完成したら1万字超えたのでびっくりしてます。