考察でライナーは訓練兵の時も副長の時も自分が誰かにして欲しかったことを人にしてあげているという考察を見ました。
だからこの作品のライナーはアイの面倒みるためにマネージャーになって、B小町の仲を取り持ったりしました。
自分も恵まれていないのに、人にやさしく出来るライナーに脳を焼かれたので初投稿です!
俺の名はライナー・ブラウン。
日夜、仕事と育児、その狭間で戦う中間管理職、マネージャーだ!
★誤解編
『はーい!』
「俺だ、開けてくれ」
『わかった!』
チャイムを鳴らすと、ドアの向こうからパタパタとこっちに来る音が聞こえて来てかぎとチェーンが外されてドアが開く。
「おかえりライナー!」
「ああ、ただいま」
育児の手伝いとして何度も来てはいるが、ここはアイの部屋で一緒に暮らしているわけじゃないし、泊まったことだって一度もないのにアイは毎回『おかえり』と言ってくる。
言わなくていいと何度も言ったのにやめようとしないアイに、ついに俺の方が折れて『ただいま』と言うようになってしまった。
「オムツとミルク買って来た。だいぶ少なくなっていただろ?」
「仕事終わりなのにいつもありがとねライナー」
「帰るついでに寄ってるだけだから気にすんな。それにアイがオムツやミルク買ってるの見られたらヤバいかもしれないからな。だからこういうのは任せとけ」
子供たちを産んでまだ活動を休止して子育てに専念しているとはいえ、育児は大変なことだ。
だから、仕事が終わったあとにアイの手伝いをしている。
それにアイドルのアイがオムツやミルクを買っていたら怪しまれる可能性があるから、アイが買わなくてもいいようにそれらの補充もかねて定期的に立ち寄っている。
「あー!あー!」
「うー!むー!」
「アクアとルビーもただいま」
無事に産まれた双子は男の子と女の子で名前は男の子の方が愛久愛(あくあ)で女の子の方が榴美衣(るびい)。
名前に思うところがないわけではないが、アクアの名前は最初愛久愛海(あくあまりん)になりそうだったんだから、それに比べれば少しはマシ?だろう。
「ほら、2人ともだっこしてやるぞ!」
「あー!きゃー!」
「きゃっ!きゃっ!」
アクアとルビーの二人を一緒にだっこする。
一人だけをだっこするとルビーはやきもちを焼くし、アクアは大人しい子だからかあまり態度には出ないが羨ましそうにする。
だからだっこするときはなるべく二人一緒にするようにしている。
「やっぱりライナー力持ちだね。私じゃ2人一緒にだっこそんな簡単に出来ないもん」
「まぁ俺は男だし、体もデカいからな」
アイは女性なことに加え身長も150くらいだから、男で身長が190近い俺と比べても仕方ないだろう。
「私も鍛えないといけないね」
「復帰に向けたトレーニングもしないといけないから、ちょうどいいかもな」
出産して体調も落ち着いてきたから復帰に向けたトレーニングもしていかないといけない。
妊娠中も軽い運動くらいならしていたが、妊娠する前と比べたらどうしても体力は落ちてしまう。
アイが復帰するときはライブをする予定だから体力は絶対に必要だ。
「あいつらもお前からセンター奪ってやるって意気込んでるからな。頑張らないとセンター奪われるかもしれないぞ」
「そうだね!私もうかうかしてられないね!」
アイが出産するために休止してから、あいつらは張り切った。
それはアイがいない間もB小町の人気を落としたりしないためでもあるし、アイが復帰してもセンターを勝ち取るためにすごく張り切っている。
それを聞いてアイも張り切る。
「ぎゃー!ぎゃー!」
「おっと、どうしたルビー!」
「あはは、センターを取られるって言ったからルビー怒っちゃったよ!」
「ごめんごめん!謝るから暴れないでくれルビー!」
センターを取られると聞いてルビーが怒ったとは思わないが、2人をだっこしている状態で暴れられたら落としてしまうかもしれない。
謝ってもルビーのごきげんが直るとは思わないが、ここは謝っておこう。
「ごめんなルビー。アイはセンターを奪われたりしないよな。だってアイにはお前たちがいるもんな」
2人が産まれたことでアイのやる気も上がっている。
元々の努力と才能に加えて、2人のために頑張ろうとしている。
妊娠していて本格的なトレーニングが出来なかったが、そんなブランクなんてものともしないだろう。
「うーうー」
「あ、許してくれたみたいだね」
「ありがとなルビー」
謝ったことでルビーのきげんが直ったのか、暴れるのをやめてくれた。
アクアもルビーも言葉を理解しているような気がする。
スマホなんかで調べただけだが、2人とも普通の赤ん坊より頭がいいのかもしれない。
「見ていて思うんだけどさ……」
「ん、何がだ?」
俺たちを見ていたアイがつぶやく。
「こうして見ると、やっぱりアクアとルビーってライナーの子供みたいだよね!」
「おい!なんてこと言うんだ!」
とんでもないことを言いやがった!
いや、そう思うのも仕方ないと言えば仕方ないのだが。
「だって2人ともライナーと同じ金髪だもん!」
「それはそうなんだけどなぁ……」
そう、アクアもルビーも髪が金髪だった。
当然、俺が父親だと疑われた。
アイは日本人だから金髪にはならない。
社長は金髪だが地毛じゃなくて染めているから社長でもない。
そもそも日本人は黒髪だから父親が外国人の可能性が高くなる。
芸能界に外国人はいるにはいるが、そんなに多くないしアイと会ったことのある外国人なんてほぼいない。
だから当然、外国人で金髪かつマネージャーでずっと一緒にいる俺が父親だと疑われた。
「どうする?今からでもライナーが父親だって言う?」
「やめろよ!誤解を解くの本当に大変だったんだからな!」
この子たちが金髪で俺が父親だと疑われて、当然俺は否定したが金髪だったからどうしても信じてもらえなかった。
アイが俺が父親じゃないと否定したことと、スマホで調べまくって子供たちの色素が薄いのだろうということでなんとか納得してもらったのに、これで俺が父親だって言ったらもう絶対にそうなってしまう!
「わう!あう!」
「きゃっ!きゃっ!」
「2人も喜んでるよ!」
「勘弁してくれ……」
もう何回目になるかもわからないこのやり取りに全く慣れないが、3人が楽しそうにしているのを見て仕方ないと思ってしまうのだから俺もどうしようもなくなっているんだな。
★ミルク編
「おなかへった?おっぱいのむ?」
「わかった、哺乳瓶取ってくる」
当然だがアクアもルビーも赤ちゃんだから食事はミルクだが、アクアはおっぱいじゃなくて哺乳瓶でミルクを飲みたがるから哺乳瓶を用意する。
「アクアは哺乳瓶が好きだねー」
「おっぱいを吸うのが苦手な子もいるみたいだからな。アクアもおっぱいを吸うのが苦手だから哺乳瓶が好きなんじゃないのか?」
「そういうのもあるんだね」
子育てを手伝うのためにいろいろと調べていた情報のなかにそういったことがあったからアクアもおっぱいで飲むのが苦手なのかもしれない。
アクアもすごく頷いている。
本当に俺たちの言葉を理解しているっぽいな、これ。
「おぎゃー!おぎゃー!」
「はいはい、またおっぱい?」
「よーし、アクア。ミルクは向こうで飲もうな」
ルビーがおなかが減ったらしく泣き出したから、アイがルビーにおっぱいを飲ませるから視界に入らないように部屋の隅に移動して壁の方を向く。
こうすれば流石に見えたりすることもないだろう。
「別にそこまで行く必要なくない?」
「少しは恥じらいを持てよお前」
背後からのアイの言葉に反論する。
アイドル以前に女性なんだから誰かに見られないように気を付けて欲しい。
「もういいよライナー」
「わかった」
授乳が終わったらしいアイが声をかけてきたから、アイのところに戻る。
おなかがいっぱいになって幸せそうにしているルビーをだっこしているアイはやさしい顔をしている。
「アクアもおなかいっぱいになってよかったね。あ、そうだ」
ミルクを飲み終えたアクアにもやさしく笑いかけるアイだが何か思いついたように俺を見た。
「どうする?ライナーもおっぱいのむ?」
「ぶっ!!」
アイのまさかの発言に思わず吹いてしまった!
「飲むわけないだろ!何を考えているんだお前は!」
「あはは、冗談だって!」
「言ってもいい冗談と悪い冗談があるだろ!」
アイは楽しそうに笑っているが、言われたこっちは少しも笑えない。
冗談にしてもタチが悪すぎる。
「飲んだりしないから、そんな目で見ないでくれ」
ジトっとした目で俺を見るアクアとルビーから目を逸らす。
2人がかしこいおかげで育児にしてはだいぶ楽だと思っているが、今だけはその2人のかしこさが恨めしかった。
★お風呂編
「ライナー、アクアをお風呂に入れてあげて」
「ああ、わかった。ほらアクア、一緒にお風呂入るぞ!」
「あーい」
アクアとルビーが成長してお風呂に入れるようになってから、俺がいる時はアクアは俺がお風呂に入れるようにしている。
というのも、ミルクの時から思っていたが2人は赤ちゃんにしてはかなりかしこいが、特にアクアは精神の成長が早いように俺は感じる。
体は赤ちゃんだが、精神はすでに少年のようなそんなちぐはぐ感がある。
そんなことはあり得ないと否定してしまうのは簡単だが、俺という別の世界の記憶を持って産まれた存在がいる。
ならばアクアがこの世界で死んでしまった誰かの記憶を持って産まれて来たとしてもあり得ないことではない。
それに俺がこの世界にいるのなら、もしかしたらあいつらだって。
「いや……そんなわけないよな」
あの世界の誰かもこの世界にいるのではないか。
それを思い浮かべた自分をすぐさま否定する。
アクアとルビーがかしこいのはこの子たちが特別なだけで、あいつらとは何の関係もない。
仮にあいつらがこの世界にもいたとして、俺は会ってどうしたいんだ?
謝りたいのか?
責められたいのか?
許されたいのか?
それとも殺して欲しいのか?
巨人の存在なんて誰も知らないこの世界で罪を打ち明けて、自分だけ楽になろうとしている。
あの世界にいた時と何も変わらない。
いつまでたっても自分のことばかり考えている。
「どうしたのライナー?」
「すまん、ボーっとしてた」
「お風呂入っている時は気を付けてね」
「ああ、わかってる」
そんなことを考えていたせいでアイに疑問に思われた。
いかん、今はあの世界どうこうよりもアクアをお風呂に入れてあげるのが先だ。
「アクアはライナーとなら大人しくお風呂に入ってくれるんだよね」
アイによるとアクアは入るまでは嫌がるが、入ると大人しくなるらしい。
これもアクアの精神が赤ちゃんより成熟していることの証明になりそうだ。
「2人一緒だと1人をシャンプーしている時とかもう1人には待ってもらわないといけないからな。湯舟に浸かっていると溺れそうで怖いんじゃないのか?」
「そうなのかな?あ、そうだ!」
アイと一緒にお風呂に入るのが恥ずかしいであろうアクアのためにそれらしい理由を言ったのだが、アイが何か思いついたらしい。
正直、悪い予感しかしない。
「みんなで一緒に入ろうよ!」
「だからそういうこと言うなって!」
ミルクの時もそうだが、アイドル以前に未成年のアイがそんなことを言うのは大問題なんだよ!
「よくない?4人なら1人をシャンプーとかしている間にもう1人の面倒を見れるし、お湯だって節約できるでしょ」
「節約とかそんな問題じゃないんだよ!」
言っていることはそれっぽいが、未成年のアイドルと一緒に入浴は許されるわけがない。
「アクアをお風呂に入れて来る!」
「あはは、いってらっしゃーい!」
逃げるように浴室に行く。
2人が産まれてからアイが俺をからかう頻度が増えてしまった。
育児の手伝いで俺たち4人だけになることが多いからか?
なんにせよ、母親になったんだから少しは落ち着いて欲しいもんだ。
「なあアクア……お前のお母さんもう少しどうにかならないのか?」
「……むぅ」
「すまない、お前に言っても仕方がないよな」
思わずアクアに愚痴を言ってしまったが、アクアもそんなこと言われても困るだけだろう。
「さっさと風呂に入ってしまうか」
「あう!」
アクアの服を脱がせて俺も服を脱ぐ。
アクアをだっこしてふと脱衣所の鏡を見て、アクアを片腕で抱いてもう片方の腕に力を籠める。
「やっぱり落ちているな」
マネージャーの業務の傍らに鍛えてはいるが、やっぱり兵士や戦士だった時と比べると筋力が落ちている。
成長するからいつかは2人を一緒にだっこ出来なくなる日が当然来るが、その日が少しでも遅くなるようにしたい。
「もっと鍛えないとな」
もっと鍛えないと。
もっと鍛えてもっと2人をだっこしてあげたい。
「む……あう」
「はは、アクアに筋トレはまだ早いな」
アクアが俺のマネをして腕を曲げる。
筋肉があるわけがないからガッカリしているが、赤ちゃんのアクアが筋トレは出来ない。
この子が強くなっても、強くなった後も俺が守ってあげないとな。
★生放送編
「ん、もうこんな時間か」
アラームが鳴ったから仕事を一旦切り上げる。
仕事をずっとしていたからというのもあるが、それよりも今日は記念すべきアイの復帰第一弾。
それも生放送の歌番組だから見逃すわけにはいかない。
「アクア、ルビー。一緒に見よう……ってルビー寝てるのか」
2人と一緒に見ようと思ったのだが、赤ちゃんだから仕方ないのだがよく眠る。
アクアは起きているが、ルビーは眠ってしまっている。
気持ちよさそうに眠っているから起こしたくないが、見逃す方が嫌がるだろうから心苦しいが起こそう。
「ほら、起きてくれルビー」
「んー、やー!」
「アイが出る番組がはじまるぞ!」
「あい!」
俺が起こそうとしても全然起きなかったのに、アイの名前を出した途端にあっさり起きるんだから本当にアイのことが大好きなんだな。
「一緒にアイを応援しような」
「あい!」
「あーい!」
2人を幼児用のイスに座らせてテレビを付けてチャンネルを合わせると、番組がはじまる。
オープニングの音楽が流れて司会者たちがゲストの紹介を始めていき、ついにB小町が紹介される。
「わー!」
「きゃっ!きゃっ!」
そわそわしていた2人がアイが映った途端にテンションが驚くほど上がる。
自分の母親ということもあるだろうが、それでもちょっと喜びすぎな気がする。
もしかしたら2人の精神年齢はアイドルの良さを理解できるくらいまで成長しているのかもしれないな。
『本日活動再開となったアイさん!』
『大丈夫?ちゃんとご飯食べてる?』
『ハイ!いっぱい食べてます!』
久しぶりのテレビで生放送だから変なことを言ったりしないか心配だったが、どうやら大丈夫そうだ。
歌が中心の番組だからトークとかもあまりないから、子供たちのことがバレることもないだろう。
『そうそう!ご飯と言えばこないだウチの子が―』
『ウチノコ?』
「「「ブーッ!」」」
安心していたところにアイのウチの子発言で3人同時に吹いてしまった。
どうするんだ!?
生放送だぞ!!
『ウチの子ってライナーのことなんですけど!』
『ライナー?』
『私たちのマネージャーです!』
『そのマネージャーさんがどうしたの?』
どうやらなんとか俺がウチの子ということで話は進みそうだ。
そりゃあ、未成年のアイドルが出産していたなんて普通思わないだろうからウチの子が俺でもなんとかなったが、もうちょっと他に良い言い訳が無かったのか?
『休止中にちゃんとご飯食べろとか、栄養バランス考えて食べるように言われたんですよ!なのに言った本人はカップ麺とかコンビニのおにぎりとかばっかり食べていて全然説得力がなかったんですよ!』
『それはひどいね』
アイの話がご飯と関連があったから話がそのまま進んでいったからよかった。
これでアイに子供がいるとは思われないだろう。
『では!B小町さんパフォーマンスの準備をお願いします!』
トークを何とか乗り越えてパフォーマンスの段階へいった。
多少問題はあったが、これで話題はアイのウチの子発言からB小町のパフォーマンスのすごさになるだろう。
そして、B小町がパフォーマンスを始める。
アイが強烈な輝きを放ち、他のメンバーがそれに続く。
アイの光に焼かれ、アイの光に焼かれなかった者も他のメンバーによって焼かれていく。
これでB小町の人気はさらに上がっていく。
「きゃー!きゃー!」
「うきゃー!」
2人とも大喜びしているが、アイは2人のことを誤魔化さなければいけなかった。
今回はウチの子が俺ということにしてなんとかなったが、もしもアクアやルビーの名前が出ていたら誤魔化すことは出来なかったかもしれない。
注意はするが、アイは天然なところがあるからまた今回みたいなことがあるかもしれないから対策を考えないといけない。
それにアイとこの子たちが気兼ねなく一緒にいれるようにしてあげたい。
B小町のパフォーマンスが終わり、俺は現場に一緒に行っている社長に電話をする。
『……俺だ』
「……テレビ見ました」
『……見たか』
「……見ました」
俺たちは見た。
アイが思いっきりウチの子と言ったのを。
「俺に考えがあります」
『……言ってみろ』
俺は社長に作戦を伝える。
★作戦編
アイの復帰第二弾がライブハウスでのライブであり、そして俺の考えた作戦の実行日でもある。
「よぉ、みんな」
「あ、ライ……ナー」
「え、なにその子たち!かわいい!」
「双子!?すごくかわいい!名前は!?」
「男の子がアクアで、女の子がルビーだ」
「アクアくんとルビーちゃん!かわいい!」
ライブの前のみんなの前に現れる。
そう、アクアとルビーを連れて。
「あれ、でもちょっと待って。ライナーが連れて来たってことは……もしかして」
「ライナーの……子?」
「違う!社長たちの子だ!」
予想はしていたがやっぱり俺の子供だと疑われたから全力で否定する。
「なーんだ、社長たちの子か」
「本当に?実はライナーの子ってことない?」
「ない!社長たちの子だ!俺も育児の手伝いをしていただけだよ」
「本当?同じ金髪だよ」
「色素が薄いから髪が金髪なんだよ。血の繋がりがあるから同じ金髪なわけじゃない」
「へぇ~、そうなんだ」
やっぱり金髪だから俺の子だと疑われたから説明しておく。
どうやら納得してくれたみたいで安心した。
「でも、どうして連れて来たの?」
「この子たちも産まれてだいぶたって安定したんだ。だからみんなにも紹介しようと思ってな」
作戦のこともあるが、アクアとルビーをみんなに紹介したかったのも本当だ。
みんなにだけ秘密にするのはひどいからな。
「ずるいよライナー!自分だけこの子たちのお世話して!」
「私たちもこの子たちのお世話したかったよ!」
「悪い悪い、お前たちもライブとかしていて大変だと思ったから秘密にしていたんだよ」
アイの子供だから教えられなかったというのはあるが、アイがいない間もB小町を支えていたみんなに負担になるかもしれなかったから教えづらかったのはある。
「あーん、でもこの子たち本当にかわいい!」
「でしょ!本当にかわいいでしょ!ウチの子!」
「え?ウチの子?どういうこと?」
「もしかして……アイの子?」
アイがウチの子と言うが、これは作戦だ。
ここからが本番だ。
「休止中だからアイにもこの子たちの世話をしてもらっていたんだが、アイがこの子たちのことを気にいっちまってな」
「はーい、ママだよ~!」
「あーい!」
「まーま!」
「こうして2人の母親は自分だと洗脳しようとしている」
これが俺が考えた作戦だ。
アイは天然なところがあるから、またウチの子発言とかしかねない。
だからそんな発言しても大丈夫なようにすることと、誰かの前でもこの子たちと親子のように接しても誤魔化しやすいようにみんなに2人を紹介することにした。
「たしかに私もこの子たちのママになりたい!」
「いいね!私たちもママになろうよ!」
「アクアくんルビーちゃん!私たちがママだよ~!」
いや、アイが2人の母親と言っても問題ないようにしたくて考えたが、結構うまくいっている。
アクアとルビーの2人がかわいいからみんなママになりたがっている。
まさか、こんなに作戦がうまくいくとは。
「アイずるいよ!2人のお世話していたなんて!」
「私も2人のお世話したい!」
「あはは、ごめんねみんな!」
2人の世話をしていたアイを羨ましそうにしている。
これからは他のメンバーにもアクアとルビーの世話を頼んでもいいかもしれない。
そうすればアイが2人と一緒にいても怪しまれないようになるかもしれない。
「そうだ!私も休止すればこの子たちと一緒にいられるんじゃ!」
「おいおい、せっかくみんながそろったんだからやめてくれよ」
冗談だろうが休止するとか言い出したから止めておく。
これでまた誰かが活動を休止したら悪い意味で話題になってしまう。
「それにこの子たちにかっこいいところを見せてやれ!」
「「「「うん!」」」」
あれだけ2人と一緒にいたがっていてもライブが始まる時間になると全員の意識が切り替わる。
ほんのすこしだけ心配になったが、これなら問題ない。
ライブは絶対に成功する。
「俺たちは観客席から見ているからがんばれよ!」
「わかった!」
「アクアくん!ルビーちゃん!見ててね!」
「2人とも!ママがんばるよ!」
「アイずるい!2人ともママたちを応援してね!」
2人に様々な声をかけながらみんなはライブに向かう。
2人の存在がバレても誤魔化しやすいようにみんなに会わせたが、思った以上にみんなにいい影響があった。
これからのB小町も活躍しそうだ。
「よし、俺たちもライブを見ような」
「あーい!」
「はーい!」
双子用のベビーカーを押して観客席へ移動する。
これでB小町のみんなが2人をかわいがっているところをSNSにアップしたらアイが2人をかわいがっていてもそこまで怪しまれることはないだろう。
「あうあう!」
「あーあ!」
「どうした?もしかしてこれが欲しいのか?」
アクアとルビーの2人が手を伸ばしてサイリウムを欲しがっているから2人に渡す。
これでライブ中でも2人がみんなからわかりやすくなるだろう。
「お、始まるぞ」
アナウンスが流れてB小町のメンバーが出て来る。
音楽が流れてみんなが歌い、会場が盛り上がる。
俺だけじゃなく、B小町のみんなも、ファンのみんなも、ここにいる全員が待っていた光景。
「ん、なんだ?」
その盛り上がりが急に変わり、B小町のみんなも動きが止まってしまった。
「なんだあの赤ん坊!ヲタ芸打ってるぞ!!」
「乳児とは思えないキレだ!!」
「オイ……何で……2人が……ヲタ芸をしているんだ」
アクアとルビーがヲタ芸を打っていた。
それも乳児とは思えないほどのキレッキレな動きでやっていた。
「連れて……来るべきじゃ……なかったか?」
思わず呟いてしまったが、もう遅かった。
2人のこのヲタ芸の動画は21万リツイートされ、転載動画もすぐに200万再生されたことで、俺は無事に社長からかなり長めのお説教をされるのだった。
早くライナーを刺したいと考えながら日々を過ごしている自分はヤバい奴だと思います