投稿が遅くなってしまって申し訳ないです。
朝の光が廃墟の街を照らし出す。私たちはバックパックにありったけの食料と水、そして昨日見つけた地図を詰め込み、拠点とした格納庫を後にした。目指すはニールマンが見つけた地図に記されている、この近辺で最も巨大な施設だ。
「行くか……」
格納庫を一歩出れば、そこには昨日と変わらぬ、荒廃した荒野が果てしなく広がっていた。
「……なんもありませんねぇ」
「大きな戦争でもあったんだろうさ。それも、我々の知るそれよりもずっと酷いものがな」
歩くこと一時間。崩壊した建物の残骸以外、動くものは何一つ見当たらない。痺れを切らしたニールマンが呟くのも無理はなかった。遮るもののない荒野を、私たちはひたすら進んだ。
「大佐、もしかしてあれじゃないですか?」
ニールマンが指さす先に、周囲の残骸とは一線を画す巨大なコンクリートの建造物が姿を現した。
「早速向かおう」
「了解です!」
だが、近づくにつれて異様さが際立ってくる。
「一体、何があったんだこれは……」
正門は見る影もなくひしゃげ、周囲には激しい銃撃戦の痕跡が刻まれていた。それもつい最近のものだ。
【G&K……S0……地区……】
ひどく汚損しているが、かろうじて読める金属製の看板。この施設の名称、あるいは管理番号だろうか。
正面玄関を通り抜け、エントランスに足を踏み入れる。内部の損壊も凄まじく、ここで繰り広げられた戦闘の絶望的な激しさを物語っていた。
「ん……?」
バリケードの残骸を乗り越えようとした私の足に、何かが引っかかった。
それは「腕」だった。
だが、断面からは骨ではなく複雑な配線と、黒く乾ききったオイルのような液体が漏れ出している。まるでSF小説に登場する人造人間のパーツだ。周囲を見渡せば、暗がりに「全く同じ顔をした少女たちの遺体」がいくつも転がっている。
「なんだこりゃ……気味が悪いな」
本能的な忌避感が背中を擦る。急いで奥へ進むと、そこには古めかしい軍事施設とは似つかない、巨大なディスプレイと無数のスイッチが並ぶ制御盤、そして用途不明の巨大な機械が鎮座していた。
私たちは階段で上の階へと向かう。電気が死んでいるのか、金属製のエレベーターは沈黙したままだ。
幸い、上の階は下層ほど損壊しておらず、あの趣味の悪い「人形の死体」も転がっていなかった。しかし、最上階の奥の部屋に近づくにつれ、鼻を突く嫌な臭いが立ち込めてきた。……死臭だ。
部屋に入ると、そこには予想通り、この施設の責任者と思わしき男がいた。
壁にもたれかかり、うつむいたまま腐敗が進んでいる。初めて出会った「人間」が死体というのは、およそ気分のいいものではない。
その男に覆いかぶさるように、もう一つの遺体があった。先ほど見た機械の少女だ。主を庇うように盾となったのか、その体は二十ミリクラスの機関砲で撃ち抜かれたかのように、原型を留めぬほど無残に破壊されていた。
近くに落ちていた身分証を拾い上げる。
「ソ連人か……」
写真は腐敗して判別できないが、文字は読める。私はそれをそっと元の場所に戻した。いくら赤軍が憎かろうと、死者を愚愚弄する趣味はない。
周囲を漁るが、期待した食料は見当たらない。
「せめて、まともな地図があればいいんだが……」
そう思いながら机の引き出しを開けると、状態の良い詳細な地図が出てきた。これは大きな収穫だ。
「大佐! 何者かがこの施設に入り込んだようです」
外の気配を察知したニールマンが駆け寄ってくる。入る時には感じなかった鋭い気配。この施設の生き残りか、あるいは彼らを皆殺しにした襲撃者か。
どちらにせよ、ルガーP08とMP40しか持たない我々にとって、相手が誰であれ脅威であることに変わりはない。
「そうか。こっちも粗方終わったところだ、さっさとずらかるぞ」
戦うには情報も装備も足りなすぎる。私は「退却」を選択した。
手に入れた物資を抱え、私たちは足早に施設を後にした。
背中に、誰かの視線を感じる。
だが、その主が追いかけてくる様子はなかった。もし赤軍の連中なら、ドイツ兵を見つければ血眼になって追ってくるはずだ。少なくとも、それとは違う勢力なのだろう。
その様子を、物陰から見つめる四つの影があった。
「……なんでこんなところにドイツ人が?」
「45姉、アレ一度追いかけたほうがいいんじゃない?」
「いいや、私たちはとりあえず当初の目標を果たしましょ。まずはそれからよ」
冷徹な、しかしどこか含みのある少女の声が響く。
「「「了解」」」
ルーデルとニールマンが探検しました、
やっと人形たちが出せてよかった……
次回更新も少し時間がかかると思います。
ごめんね