気が付けば数年ほったらかしな上にドルフロ2までリリースされてました。
今回のお話では404と指揮官が出てきます。
翌日 グリフィンS08地区・前線基地
「……奇妙な格好のドイツ人二人組を見かけた、だと?」
基地の指揮官室。モニター越しに報告を終えたUMP45に対し、デスクに座る指揮官は怪訝そうな声を上げた。窓の外にはS08地区特有の荒涼とした景色が広がっているが、室内には戦術人形たちの活動音と、サーバーの微かな駆動音だけが流れている。
「ドイツ連邦軍……あるいは現地の武装勢力ではないのか?」
「いいえ。見た目は何というか……そうね、まるで一九四〇年代の記録映像からそのまま抜け出してきたドイツ兵、って感じだったわ」
通信画面の中で、UMP45は皮肉めいた笑みを浮かべ、指先で髪を弄んだ。
「装備も時代錯誤だった。おそらくルガーP08とMP40。骨董品ミュージアムを襲ったわけでもなさそうだし、その使い慣れた身のこなしは、ただのコスプレイヤーには見えなかったわ。詳細は報告書に同封して送ってあるから、後でじっくり読んでみて。……それじゃ、仕事は終わり。私たちは休ませてもらうわよ」
通信が切れると、指揮官は深く椅子にもたれかかった。手元のタブレットに送られてきたばかりの画像データ——404小隊が隠密裏に撮影した画像——を表示させる。
そこには、埃にまみれながらも背筋を伸ばして歩く、二人の男の姿があった。
一人は鋭い眼光を放つ、どこか人を寄せ付けない覇気を纏った男。
もう一人は、その後ろを警戒しながら従う実直そうな男。
「P08とMP40を持ったドイツ人……」
指揮官は独り言を漏らす。グリフィン内には、その名を冠した戦術人形ならいくらでもいる。だが、写真に写っているのは明らかに生身の人間だ。この汚染されたイエローゾーン、それも鉄血の勢力圏に近い廃墟を、防護服もなしに軍服一つで歩き回る人間など、この世界の常識ではあり得ない。
「……もし、彼らが人形でないのなら、一体どこから来た? あの装備でこの地獄を生き残っているというのか…いやそれにしたって100年以上前の戦争だぞ…」
指揮官は顎に手を当て、思考を巡らせる。
もし彼らが何らかの特異な戦闘技能を持つ「人間」だとしたら、このS08地区の勢力図に不確定要素が加わることになる。あるいは、放棄された旧時代の技術拠点に隠れ住んでいた「亡霊」か。
「……少し、調べる必要がありそうだな。放っておくにはあまりに不気味だ」
指揮官はデスクの端末を叩き、部隊編成の画面を呼び出した。
「捜索部隊を編成するか…戦闘が目的ではないが……相手が誰であれ、素性ははっきりさせてもらわなければならない」
彼は男らしい決断力を持って、特定の座標にマーカーを引いた。それは、ルーデルたちが潜伏しているであろう、あの旧ソ連時代の遺構を指していた。