私に銀の弾丸を、貴方に百合の花束を   作:山本珈琲

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初の自作小説なので暖かい目で見て頂けると有難いです。


プロローグ
EP_??? 最?譛溘?ノ闘倥


 

──de────── ──────e────

 

 

 全身が激痛に襲われ、思考がまとまらない。身体のあちこちが麻痺し、まるで別人のように感覚が鈍くなっていく。

 

 

──dan────── ──────o-s──

 

 

 視界がぼやけ、手足の感覚が鈍くなる。まるで水中にいるような感じだ。どんなに力を込めても、思うように動かすことができない。

 

 

──dan──rou──── ──da-ge──u──

 

 

 耳に音が届かず、まともに聞こえない。吐き気がこみ上げ、胃がひっくり返るような感覚がする。

 

 

──da──er── ──d────ger-us──

 

 

 浸食された体のあらゆる部分が蠢いてる感覚がする、自分が人でないナニカに変わっていくのがはっきり分かる。

 

 

 身体中から悲鳴がこだまする。死の存在が確実に近づいていることが分かる。もう、このまま眠りについてしまおうかと思うほどだった。

 

 

「起きろこのバカ!!!!」

「「「起きて兄ちゃん」」」

 

 

 もう、聞ける筈のない声が、聞こえた気がした。

 

 幻聴だ、死ぬ間際に都合良く脳味噌が聞かせた、ありもしない幻だ。

 

 

 ──dangerous(デンジャー)── ──dangerous(デンジャー)──

 

 

 けれど

 

 その声に

 

 身体が

 

 魂が震えた気がした

 

 

dange「ヤバい状態だってのは言われなくても分かってるって」rous

 

「パイロット、この機体はもう限界です! それに貴方の体も危険な状態です、速やかに脱出を!!」

 そう怒鳴るように戦闘補助AIが機械音声で言ってきた。

元々はもっとお堅い無機質な喋り方だったてのに、随分と人間臭い話し方をするAIになったもんだ。

 なんて、現実逃避気味なバカな考えが頭を過ぎった。

 

「んで、脱出して何処に逃げろってんだよ?こんな敵だらけのど真ん中で」

 俺も焦っているのか、つい皮肉気味な返答になってしまった。

「ですが!」

 そんな俺に、悲壮感を漂わせながら言い募ろうとする。

「それに、こうなるのは初っ端から分かってただろ? んじゃ俺がこの後どうするかもわかるよな? だから...」

「なりません!」

 そう続きの言葉を遮るように言った。

「私の使命はパイロットである貴方を無事生きて返すことです!」

 機械音声の癖に今にも泣き出しそうなのが分かる声で、叫ぶようにそう言い放った。

 

 ったく、この頑固なとこは一体誰に似たんだか。

 

「ですから今すぐに撤退をs「頼む、これはアイツらと約束した、俺があのバカにしてやれる最初で最後の手向けの機会なんだよ。だからさ、頼むよ」ッ...!?」

 

 続く言葉を遮るように、そう思わず口をついて出た言葉は、自分でも驚く程に弱弱しく、そして泣きそうな情けない声だった。

 

 暫くの間、機体の損傷を知らせる警告音と、機体の軋む音だけが響いた。

 実際には殆ど時間は経っていないだろうが、体感では酷く長く感じた無言の空間は、諦めたような、それでいて呆れたような声に破られた。

「分かりました、パイロットの意思を尊重し最大限サポートするのもまた私の役目です」

 そう言うと1度間を置いてから続けて

「私が貴方に昔、貴方自身の考え方についてに訪ねた際に「後悔しない選択肢なんて無い」と答えたことを、私は今でも深く記録しています。

何故、そう言い切れるようになってしまったのかも、今ならば理解できます。

 私は機械です、だから本来こんな事を言うのは可笑しなことなのでしょう。それでも、この際ハッキリと申し上げます。

私は、これからする選択を後悔する事だけは絶対にありません、私の全てを掛けてそう言い切れます。

 

 

 ですからレイ(パイロット)

 

貴方が選んだ道の先に、どんな結末が待っていようと。

 

 たとえそれが誰にも理解されず、愚かだと嗤われるものであったとしても。

 

 その選択は(その責任は)、貴方と、もう一つ()の選択であることを覚えておいてください。

 そしてどうか、ご自身の選択にそれでもと胸を張って逝けるような選択と最期を。

その瞬間を迎えるまで、私もお付き合い致します、パイロット」

 

 そう、万感の思いを込めて言い切った。

 

 

それに対して俺はただ、「あぁ」とだけ応えた、いや、そうとしか応えられなかった。

 

 あぁ、本当に俺は仲間に恵まれた。

俺の人生は良い事ばかりじゃなかった、違うな、ロクでもない事ばっかりだった。

一般的に見ても悲惨な一生と言われても反論できないような道だったと思う。

 

それでも。

 

逝ってしまったあいつ等と。

未来を託して残したあの4人に。

そして此処にいるお前と。

その全部に。

お前が言ってくれたように、俺は胸を張って言い切れるよ。

 

「お前らと逢えた、それだけで最高の人生だった」って。

 

 

 

「オペレーションシステム、再起動開始」

 

機械音声がコックピットに木霊する。

 

「エネルギー再充填を開始」

 

その音声を聞きながら、この場にいるもう一つの相棒の存在を思い出した。

 

「お前とも短いようで、長い付き合いになったもんだな...」

 そう、愛機であるコイツのコックピットの壁を手で撫でるように触れそう呟いた。

こんなクソみたいな戦争の中を生き延び数多の戦場を駆け抜けた、鋼鉄で出来た巨大な人型兵器。

 コイツ自体に意思があるとは思ってないが、そう労うように未だに上手く動かない腕で、優しく撫でるように触った

 神様なんて大層な物を信じちゃいないし、万が一いるとしても相当性格の悪いクソ野郎なのは間違いないと思ってるのが俺だ。

 けど、長く大切に使われた物に魂が宿るっていう独特な存在の日本の付喪神は結構好きだ。特に万能の神様って奴じゃないのが特にグッド。

 でもまあ俺の場合、大切に扱うなんて事と程遠いだいぶ無茶な扱いをしてきた自覚があるし、既にズタボロなのにこれからぶっ壊れる事確定の戦場に行くもんだから縁遠い存在なのは間違いないと思うが。改めて思い返すと、意思があったらぶっ殺されても文句は言えねぇ扱いが多かったな俺

 でも、コイツを信じて戦わなくちゃ出来ないこともたくさんあった、だからだろうか?無意識で口が動いたのは。

「此処でこのクソみたいな戦争を終わらせるんだ、だから最後まで付き合ってもらうぞ、兄弟」と。

 あぁ、無駄な事だと分かっている。それどもつい、自分自身にも言い聞かせるようにそう言葉が出てしまったのだろう。

 けれど、

その瞬間、微かに掌にあたる機体が熱を持った、ように感じた。

 

「エネルギー充填速度が急激に上昇、充填量想定の60%以上、並びに必要装填時間が予測の半分以下の時間で完了」

 

 その報告に、コイツがまるで俺の言葉に応えてくれたみたいだな、なんて阿呆な考えが過った。

 

 

 機体は何とか動く状態に戻ったが万全とは程遠い。

 

「エネルギー充填完了」

 

 相変わらず体中が痛ぇしダルい。

 

「機体損傷を確認、応急修理を開始」

 

 目だってまだ少し霞むし、頭もガンガンズキズキと頭痛がする。

 

「ジェネレータ、出力再上昇」

 

 手足の感覚は鈍いし、普段通りに動かすのだって一苦労だ。

 

「システム再稼働を確認、戦闘モードを起動します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、それがどうした?

 

 

 

 

 

 

 

身体が痛む?なら生きてる証拠だ。

 

目が霞む?見えるなら失明したわけじゃない。

 

頭痛がする?自分の状態が分かる位にはまだ思考できる。

 

手足の感覚が鈍い?ならまだ繋がってるって事じゃねえか。

 

下を向くな、前を視ろ。

虚勢を張れ、決して臆すな。

逆境を笑え、自分を奮い立たせろ。

 

 

 さっきに比べれば遠くなった、だが着実に「死」が近寄ってきてる。

 

 遅かれ早かれ俺が死ぬのは間違いない。

 

 でもそれは

 

 《 今 じ ゃ な い》

 

「ユーハブコントロール」

 

 なら俺は、

 

「アイハブコントロール」

 

まだ戦える

 

 

 

 

 

 

「さぁ、やろうか」(えぇ、やりましょう)

 

 

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