私に銀の弾丸を、貴方に百合の花束を   作:山本珈琲

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(ホントは文字数8000文字程度で終わらせるつもりが1万5000文字オーバーしてて)ヤバいわよ!!!

話の展開はポンポン思いつくのに手が、手が追い付かない...!


EP_012 決意を胸に期待を背に

 side零

 

 どうも皆さんこんにちは、アルファ学院1年の九十九零です。早速ですがココで皆さんに問題です、私は今どこで何をしているでしょうか?ヒントが全くなくて答えになっていないですって?これは失礼!では早速正解の発表をs「何かよそ事を考えているとは随分と余裕があるじゃあないかい後輩くぅん?」

 

 はい、正解はでっかい格納庫の通路で一つ上の先輩に正座で説教されている。でした!それでは皆さんまた来週!

 

 不肖九十九零は現在鉄の金網通路の上で10分ほどお説教をされています。脛が痛いよぉ...

 

「大体君は何を考えてあんな事を仕出かしたんだい?!あの時私が君を止めていなかったら体勢的にここから10メートル以上も下にある地面に向かって頭から落ちていたんだぞ!」

「その件に関しては本当に申し訳なく思っておりまして...」

「反省しているのなら最初の態度は何だったんだろうねぇ?人が本気で心配しているというのに此方を全く見ない処か性懲りもなく機体に向かって手を伸ばすのが君の反省の態度なのかい?だとしたらすまないねぇ、どうも私もまだまだ見識が浅いようだ!」

「それに付きましては自分の意志を固めるためにやったと言いますかなんというか...」

「ほーん?自分の意志を固める為なら自分の命を救ってくれた先輩を無視しても良いのだねぇいやぁ失敬失敬!!!」

「アノ...ソノ...」

 

 ずっとこんな感じである。今回に関しては120パーセント自分に非がある為何も言い返せないのである。

 そんな風に言われ続ける事暫く、ついに救いの手が差し伸べられた。

 

「姉さん、今回はその辺りにしておきませんか?様子を見る限り本人も本気で反省しているようですし。それに先ほどの様子もおかしかったですし何かしら事情が有るのでしょう」

 

 そういって止めに入ったリース先輩が俺にはその時慈愛の笑みを浮かべる聖母に見えた。本人の顔は無表情だけど。

 

「ーーーはぁ、どうやらそのようだし今回の件についてはこのくらいにしておこうかねぇ...其処、露骨に安心した顔をするんじゃないよ。全く...」

 

 その言葉を聞いて自分の中でもある程度気持ちが収まったのか此方を見てそう言った。

 

 ようやく許された俺は静かに立ち上がると(足は痺れていなかったが、相変わらず脛は痛かった)しっかり目を合わせてから深く頭を下げながら口を開いた。

 

「今回の件は多大なる心配とご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

 

 そう言い切ってからゆっくり頭を上げると、先ほどまで不機嫌そうな顔をしたアメリア先輩は毒気を抜かれたような顔をしてから、苦笑して「そこはありがとうございますの方が個人的には好きなんだがねぇ...」とこぼしていた。

 

 それから2,3言葉を交わしていたが、リース先輩の「リーダー、流石に時間が...」という言葉でお開きとなた。確かに時間を確認すると、まだ時間はあるが、そろそろ戻らなければいけないかな?と考える時間になっていた。

 

「えぇー?もうそんな時間なのかい??私としてはもう少し話していたかったんだがねぇ」

 

 そう口を窄めながらぶー垂れる姉の姿に、僅かだが確かに驚いたという表情を浮かべたリース先輩は諭すようにゆっくりと口を開いた。

 

「別に今日此処で別れたら暫く会えなくなる訳ではありませんし、今度どこかでゆっくりできる時間を作ってそこでお話をする機会を設けましょう?」

 

 そういって此方に目配せしてきたので俺はすかさず「連絡先を教えてもらいましたし、忙しいときでなければ何時でも」と答えた。

 その答えに一応満足したのか少し考えるそぶりをしてから頷いた。

 

「それもそうだねぇ、君たちは1年として新しい生活に慣れなきゃあいけないし、こっちはこっちで暫く忙しくうなりそうだけれど一先ずはそれで手打ちにしようじゃぁないか」

 

 そういってアメリア先輩がウンウンと頷いていると、千尋先輩が近づいてきた。

 

「無理やり決めてしまい申し訳ありません。もし嫌で断っても私が姉を説得しますので...」

「いえ、確かに一緒にいると疲れますけどその分面白い人ですから安心してもらって構いませんし、2つもしたの後輩にそんなに気を使って頂かなくても大丈夫ですよ葛城先輩」

 

 そう伝えるとほっとしたような雰囲気になった。この表情は殆ど動かないけど割と感情の動きが分かりやすいな。

 

「そう言って頂けるとは、此方としても喜ばしい限りです。なにせあの気難しい姉がここまで他人に、其れもあったばかりの異性に対して気を許すことなんて考えられませんでしたから」

「そうなんですか?割と初めからグイグイ来てましたけど?」

「えぇ、ですから私も最初は自分の目を疑いましたよ?あの姉があんなに楽しそうに他人と会話する姿なんて見る事処か想像すらしていませんでしたから」

 

 そう言って「いやぁ私はなんて良い先輩なんだろうなぁ!アーハッハッハ!!」と高笑いをしてるダメなおっさんモードに戻った彼女を優しい目で見ていた。やっぱこの人あの駄目な葛城の方、ダメリア葛城対してかなり甘いな!

 

「あぁそれともう一つ。もしよろしければ私とも連絡先を交換しておきませんか?」

「え?えぇまぁ此方としては構いませんが...」

 

 そう言ってから互いの端末を重ねるようにかざすと、登録されたことを知らせる通知音が鳴った。

 

「これで...はい、登録されていますね」

「此方としては先輩の、それも3年生の方と繋がりを持てるのはありがたいんですけれど...」

 

 そう言って言外に何故急に自分と連絡を取れるようにしておけるようにしたのかを尋ねると、彼女は少し眉を下げながらすみませんといったオーラを出しながら質問に答えた。

 

「その件についてなのですが、簡単に言うと姉の動向を知る為ですね」

「あの人の?」

 

 そういって俺が指さす先には、此方が話し終わるまで暇になったからか一緒に居た男子共に絡んでいるダメな先輩の姿があった。男子共は何やら緊張しているのかタジタジである。弱い、余りにも弱すぎる...。

 それを見た可哀そうな方の葛城先輩は、それはそれは深ーいため息を一つ吐いた。

 

「えぇはい。今回居なくなったように姉は時折フラッといなくなるんです」

「そんなに多い頻度で居なくなるんですか?」

「そう...ですね。自身の気乗りしないモノになると特に顕著ですね」

「そんなんでよく責任者とかになれましたね?!」

「本人もそう言っているのですが....如何せん彼女の立場で平の整備員というのは多方面に色々な問題を呼びかねないので、最大限譲歩した結果が今の立ち位置なんですが本人もそれが気に入らないのか昔よりサボるようになってしまっていて...」

「多方面に問題...?それよりも仕事が出来てないっていうもっと別の問題が発生してませんかソレ?」

「あぁ見えて彼女、本当に優秀なんですよ、欠片もそうは見えないでしょうけれど」

 

 そう言って男子に絡むのが飽きたのか今度は通路に寝っ転がって下を見ながら「ひーとがゴミのようだー!」とか言ってる馬鹿を残念そうな目で見ていた。アレが優秀....???

 

「それからもう一つ、私の事は葛城ではなく千尋で構いませんよ?葛城呼びですとどちらか判別がつかないでしょうし。後、学園で分からない事や困ったことが有れば気軽に相談してください。姉の相手をするお礼にもならないでしょうが...」

「そう、ですね、お言葉に甘えさせていただきます。千尋先輩、今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いしますね、九十九君」

 

 そう云うとなんだか少し笑えて来て、二人揃ってクスッと笑っていると「あー!!!」と大きな声と共に勢いよく千尋先輩に飛びつく影がいた。

 駄目な方の葛城である。

 

「チーちゃんが笑ってたー!初対面の!!それも男の子相手にー!!!」

「私だって人間なんですから笑うことだってあります...」

「いーや!私が知ってるチーちゃんはそんな簡単に笑わない子だよぉ!!!」

「馬鹿なこと言ってないで帰りますよリーダー」

「ギャー↑!チーちゃん取られる!!!」

 

 など馬鹿な事を云う蝉のようにしがみ付いた姉を引っぺがし足がつかないよう両脇下に手を入れて運ぶ様はとても年齢17,8の女性に対する運び方ではは無かったが、相手がアレなので残当である。

 それからジタバタしていた動きをピタっと辞めると、千尋先輩に目配せした。それを受けた彼女は少しため息をつくと彼女を下すと「手身近にお願いしますよ」とだけ言って先に帰って行った。イヤコレをそのまま放置して帰るの?回収に来たんじゃないんですか?はやくかいしゅうしてやくめでしょ(他力本願)

 

「いやぁ、戻る前にいくつか言いたいこと聞きたいことがあって、千尋には先に帰って貰ったよぉ」

「そうですか、お出口は彼方ですのでどうぞお引き取りください」

「人の話を聞いていたかい後輩くぅん?おねーさんは会話するために残ったんだよぉ??」

「そうですか。では帰りますさようなら」

「先輩になんて態度をとるんだい君はぁ?!ほらチーちゃんみたいに下の名前で敬いたまえよ!」

「分かりました。では下の名前で今後呼びますねダメリア先輩」

「ダメリア先輩?!いったい私のどこを見たらダメなんて単語が思いつくんだい!」

「え?何がってそりゃあ行動から話し方まで全部ですけど」

「うわーん!後輩がいじめるよぅ!チーちゃんに言いつけてやるぅ!!」

 

 なんて三文芝居をしてから、互いに一息入れるてから目を合わせた。

 

「しかし驚いたねぇ、私たちの名前を聞いても何の反応も示さないとは...ね?」

「生憎と最近まで病院暮らしだったもので世間に疎いもんで」

「おや、そうなのかい?それでよくパイロット科を目指してここに入れたねぇ」

「かなり無理しましたけど無理やり過去の試験範囲を覚えたんですよ。正直もう一回受けても受かる気はしませんよ」

「アッハッハッハ!随分はっきり言い切るねぇ!やっぱり君は面白い!」

「人に言えるほど先輩も普通じゃないでしょうに」

「それはそうだねぇ!!そんな後輩君に一ついいことを教えておこう、私たち姉妹にあんなふうに接することが出来る人間なんて、この学園には一人も居ないんだよぉ?嘘じゃアない」

「元々胡散臭いのが最後の一言でさらに信憑性が低下したんですけれども」

「アーハッハッハ!」

「ナニワロテンネン」

 

 暫く楽しそうに笑っていたが、目元の涙をぬぐいながら口を開いた。

 

「それから最後にもう一つ、さっきの私の質問に君はどう思って何を感じた?」

「さっきの質問?」

「ほら、君が手すりの奥にフライングゴーしようとする前のさ。まさかそこから聞いてなかったのかい?」

 

 そうジト目を向けられ急いで頭ので過去を遡る。

 

「あーっと確か、『人間同士で争うために作った兵器で、人が作り上げた最強の兵器の一つで、人類の守護者と呼ばれるようになった大量破壊兵器』でしたっけ?」

「まぁ細部は違うが概ねその通りさ。それで?君は私のこの意見についてどう思うんだい?」

 

 そう言って此方を覗く目は、此方の質問に対して嘘や誤魔化しを見透かそうとしているようだった。

 そんな視線に晒されながら上を見上げ考え込むこと数十秒、俺は質問に答えることにした。

 

 そう考え頭を戻すと、口の橋は上げ笑顔を作っているが目が一切笑っておらず、底冷えするような無機質な目をした先輩と目が合った。

 

「結論が出たようだねぇ?ささっ君の考えを聞かせておくれよ?」

 

 そう急かす様に云われた為、勿体ぶらずに手短に答えることにした。

 

「別に何とも」

 

 一切の澱みなくそう言い切ると、先程まで表情に張り付けていたにやけ顔を鳩が豆鉄砲を食らったような表情へと変えてポカンとしていた。

 

「何とも、思ってない...?いやそんな、何かあるだろうもっと言うべき何かが!?」

 

 聞いた本人が両手をワタワタと動かしながら聞いてきたが、そんな事言われてもこちらも困るのだが。

 

「いやホントに何とも思ってませんよ?まぁあえて言うならそういう考え方も有るんだな~位のもんですし」

「えぇ...???私がこう云ったらなんだがパイロット科でこれから学んでいこうっていう人間がそれで良いのかい??」

「良いも何も別にそこらへんは何とも。というか他人に押し付けたり、よほど過激な考えや危険な思想で、他社を害する事に繋がらない限りその辺りは当人の自由では?」

「いやぁそうかもしれないし、そういう考えは私個人としては嫌いではないがね?そうではなくてだねぇ!?!」

「だって先輩の言ってたことは歴史書が間違ってなければ全部本当の事じゃないですか」

 

 そういうと今度こそ絶句といった様子ではあったが、それでも尚未だに口を開いては閉じたりを繰り返していた。その様子から本人が納得しない限りは何時までも質問してくるだろうと考え、面倒だが仕方ないと自分を納得させて細かい説明を始めた。

 

「まず確認なんですが、そもそもストライカーが初めて歴史に現れたのが今から何百年も前に起こったていう第三次世界大戦で合っていますよね?」

 

 そう確認を込めて聞くと、葛城先輩は一先ず落ち着いたのかゆっくりと深呼吸をしてから大きく頷き目線で続きを促した。

 

「んで、過去から現代にいたるまでそのストライカーのコアとして使われているのが、大戦が勃発する20年ほど前に世界各地に飛来した隕石から確認された未知の鉱石、『アストラ鉱石』で間違いないですか?」

「未だに文献が少なくて、その辺りは学会でも諸説あるが大体の説では概ねその通りだねぇ」

 

 そう言って自身の覚えている知識が間違っていない事を肯定してくれた。

 

「その物質を使って様々な実験が行われたとされていてねぇ、中には悲惨な事故や非人道的な行為もされていたのでは無いかとされているが...まぁこの説はそもそもそれを立証するモノがない完全な憶測だがそれでも殆どの学者は確実に”起こっていた”と考えられているよ?勿論公にされているわけでもないけれどねぇ」

「そういった、所謂”手段を問わない未知に対する模索”をしなければ、あそこまで早く実用可能段階まで行くことは不可能だろうからねぇ」

 

 まぁ今の使用法や安全面を考えるとお世辞にも使いこなしていた、とは言えないけれどねぇと言ってから先輩はもう一度此方に向き直った。

 

「今あげた仮説達は何も物的証拠がないから公にされていないなんてそう単純な話じゃないんだねコレが」

 

 そう言ってもう一度大きく息を吸うと、此方をしっかりと見ながら言葉を続けた。

 

「分かり易く言えば隠したいのさ連中は。この学校、というよりその大本であるO.R.Aの年寄り共や、その老い耄れの庇護下に入って甘い汁を吸っている既得権益にしがみ付いて自身の腹を膨らませる事しか考えていない能無し共はさぁ?」

 

 そう語気を荒げ心底軽蔑したような表情をしながら吐き捨てるように言い切った。

 その様子からしてそういった連中に対して良い感情を微塵も持っていない事がハッキリとわかる様は、出会ってから僅かばかりの間で見せた表情の中で、一番感情を剝き出しにしている様であった。

 その表情をすぐさま取り繕うようにして先ほどまで浮かべていたにへらとした表情を浮かべてから、仕切りなおす様に言葉を重ねた。

 

「私としてはそんな大昔の事なんかで現状の”ストライカー至上主義”がそう簡単に崩れるもんでは無いと分かり切っているんだがねぇ...どうやら年を食ってそんな事も分からなくなる位に耄碌した老害共は、自分たちが寄生している金の成る木に少しでも傷がつくのを酷く恐れている様でねぇ?頑なに認めようとしない処か独自に過去の文献を調べようとするものが居ると、そういった人間に圧力をかけて辞めさせようとするのさ!」

 

 そう言って心底可笑しいとでも言うように顔の表情”だけ”は満面の笑みを浮かべて続けた。

 

「私もそう云った圧力を掛けられた事のある人間でいろいろ苦労したんだよぉ?まぁ最終的に余りにも度が過ぎたオイタをしたから、そこら辺の一般人よりもちょーとばかりコネや能力があった私は全部纏めて真正面から叩き潰してやったがね?」

 

「余りにも愚かだとは、そうは思わないかね後輩君?未だに解明されていることの方が遥かに少ないアストラ鉱石の謎に迫る為の研究を、自分たちが寄生している木に傷がつくかもしれないと過剰に反応して手当たり次第に当たりの草木に火を放つ、そうやって寄生したストライカーという兵器の上に、隠すように土をかけ根を張った既得権益と腐敗で育った木の上で、まるで自分達が王とでも言わんばかりにふんぞり返っている中身空っぽの張りぼての王に、その言葉を真実と疑わず唯々鵜呑みにして首を縦に振る事しかない愚鈍な民衆。そしてその周りで自らが持つストライカーという力の本当の重みと覚悟、責任とでもいうべきものを知らず知ろうともせずに棒切れを振り回すかのように軽々しく扱うパイロットとは名ばかりの人間たち」

「奴らが寄生しているストライカー、正確に言えばその鉱石であるアストラ鉱石。一般で公にされている過去の事件や事故、隠しようのない被害をもたらした未曾有の災害に発展したモノまで様々だが、これらを全てひっくるめても氷山の一角にしか過ぎず、これらの事件を起こしたアストラ鉱石の根本的な謎やそれに伴う危険性なぞ本質的には数百年前と何も変わっていない。むしら星辰戦争当時の方が進んでいた疑惑すらあるのにも関わらず、それらに含まれた当時の人間達が必至の思いで後世に伝えようとしたモノすら纏めて無かったことにしようとする彼らの態度や意志が心底、あぁそうさ本当に腹の底から気に食わないんだよ私は」

 

 そ少し息を切らしながら万感の思いを乗せるように彼女は確固たる意志の元に言い切った。誰にも理解されずとも構わないとでも言うような態度は凛としていて、その見目も相まって場違いにも俺は”美しい”と、そう思った。

 そうやって少しの間見惚れていると、先程の何処か自分に言い聞かせるような物言いではなく、此方に対して伝えるようにして、少し嬉しそうに云ってきた。

 

「そんな風に考えていた私の前に、今までの人間とは全く違う考えの君が来た!」

 

 そう云ってから俺の周りをグルグル回りながら本当に面白い等と言いながら彼方此方をじろじろと見てきた。さっきまでの姿はきっと夕暮れの太陽が見せた幻覚だったのだと切り捨て素朴な疑問をぶつけた。

 

「そんな見たことも無いような珍妙な生き物を発見したみたいな反応をするほどですかね?この学園なら人も多いしそういう考えの人間一人や二人位はいるもんじゃないっすかね?」

 

 「そう!まさに君の言う通りだとも後輩君!!この学園、というよりもこの近辺を含めた”学園都市アルファ”は、土地の広大さは内部の施設や人間だけで賄えるほどの途方もない大きさであり、その生活水準と化学力は他の国の水準を30年以上上回っているとされる程の数値を誇っている!必然そういった場所には様々な人種の人間が集まる。だというのに!君のような考え方をする人間を私は終ぞ見つけることはなかった...」

 

 そこでだが!と大きく言い切って区切ると、彼女は周囲を回るのをやめ、真正面に回り込むと此方を覗きこむようにして続けた。その目を新しい玩具を見つけた猫のような爛爛と光らせながら。

 

「故に!だからこそ驚いたものさ!ここに来る人間は大なり小なり、特にパイロット科の人間はその立ち位置もあってだがねぇ?昔話に出てくる英雄様の乗ったストライカーの姿に憧れた人間や、その強さに対して惹かれたものが殆どで、極めて稀だがストライカーやこの組織に対してほの暗い感情を向ける者達がいる程度で君のように本心からどうでも良いと言い切るような人間は今まで一人も居なかったのさ!」

 

「いや別にどうでも良いとは言ってませんよ?!俺だって男の子ですから巨大ロボには惹かれますし...」

 

 そう彼女の発言を訂正すると、彼女は首を左右に振ってあたかも出来の悪い子供に言い聞かせるようにして続けた。その様に地味にカチンときたが留めておいた。

 

「いいかい後輩君?今の君のような発言をするものはこの学校に居ないと考えていた方がいいよ?」

「?なんか可笑しなこと言いましたか俺?」

「あぁ言ったとも!ストライカーを、それも先程その姿を見た上で巨大ロボなんていう人間他には居ないぞ?」

 

 何が面白いのかクスクスと笑いながら彼女は続ける。

 

「まず私が知る限り普通の人間はストライカーに対して巨大なロボカッケー!なんていう純真無垢で幼稚な「オイ喧嘩売ってんなら買うぞコラ」そう怒らないでくれたまえよ!?私は別に君を貶したいわけではないからその両手を下げたまえ!地味にまだ頭痛いんだからな!?」

 

「コホンッ、少々脱線したが要はストライカーをストライカー以外として見る人間は少数派で、その中でも君のような独特な感性をしたものは居ない、ということだねぇ!」

「首をかしげて如何したんだい?何?”ストライカーをストライカー以外として見る”の意味が分からない、と?あぁすまないこれは私の落ち度だなねぇ」

「簡単に纏めて説明するとだがね?ストライカーというタダの兵器に対して、過去の英雄様の世界を救った活躍だの、人類守護の体現者だの世界の危機すら覆した絶対的な力だの、そういった情報のフィルターを通して見える歪に歪んだ姿であり、世間一般からみた姿の事さ」

「イマイチ把握仕切れていないようだからもっと分かり易く言うとだがね?例えば趣味趣向がとても似ており大変仲の良いA君とB君が居ました、そんな二人がある日、フラッと立ち寄った料理店で同じ品を頼んだ。そうして食べ始めるとA君が料理に対して不味いと言う、それを聞いた隣で食べていたB君も美味しくないと感じた。確かにA君の味覚にその料理は合っておらず不味いといったが、B君にとっては本来そうではなかった。けれどもB君もその料理を美味しくないと感じた。それは何故か?」

「答えは簡単、A君が不味いといったからだ。勿論これはひどく極端な例だがね?云わばモノを見たり考えたりする際に掛かるフィルターみたいなものさ。此処に居る人間はその厚さや色、形なんかは違えど誰しもがストライカーというモノに対してある種のフィルター越しに見ている。この私も含めてね?」

 

「だからこそ君は異質なのさ!今この世界で生きている人間にとってストライカーという名を冠するものはそれだけで特別視される。だと云うのに君ときたら一般人ならいざ知らず、いやぁ?一般人ですら思い浮かばないような考えをしている!だと云うのにそれを一切自覚していない!これを面白いと言わずしてなんと云うか私は生憎と存じていないのだよ!」

「にしたって笑いすぎでしょうがアンタは」

「そりゃあ笑いもするさ!こんな歪な考えが一般化した世の中で、よりによって一番考えが歪み最も触れる機会が多いであろうパイロット、それを育成する世界有数の名門校の専門を学ぼうという人間が、ストライカーを唯の巨大ロボ扱いって...ッ!」

 

 そう笑いをこらえるように黙り込んだ姿にムッとして俺は少々子供っぽいと思いながらも言い返した。

 

「だってどう見たってでけーロボットじゃないですかアレ。ほかにどいう説明するってんです?」

 

 そう言い返すとブフォッと音がすると彼女はその場に倒れこみ、おなかを抑えてゴロゴロのたうち回った。

 

「シ、死ぬ!笑い死ぬ!!ストwストライカーをwwよりによってでかいグフッアw、で、デカいロボ扱いwwww死ぬw後輩にw殺されるwww」

 

 そう言いながらしばらくの間、鉄で出来た床上を元気に転げまわっていたが体力が尽きたのか仰向けになって寝転がった。動き回ったことでかいた汗で髪が額に張り付き、顔の良さも相まってCMみたいな感じに見えるが実情は後輩の意見を笑って転がりまわった結果という顔の良さもあって残念冠が半端ない事になっていた。

 

「君の考えが、私が思っていた以上に面白い物なのは充分理解できたし満足なんだが、君はまだ何かを言おうとしていたね?良ければそれを教えてくれないかい?」

 

 モノによってはまた死にかけるかもしれないしねぇ等とヒーヒー言いながら云ってきた。

 俺としては自分の考えが今日あったばかりの人間に面白いだの可笑しいだの、果ては異質とまで言われたのでヒッジョーに気乗りしないがそれで今度会う際にギャイギャイ言われて絡まれるのも嫌なので素直に答えることにした。が面倒なので煙に巻けそうなら巻きたかったので意地の悪い言い方をした。

 

「俺の考えは最初に云ったのが全てですよ」

 

 そういうと地面に寝転がったまま此方を見上げると、彼女は笑いながら続きを促すよう言った。

 

「そうだねぇ、確かに君の”私の”意見に対する感想は教えてくれたが私が知りたいのはそこじゃあない。君自身がストライカーという存在に対して先程の話を踏まえたうえでの考えが私は知りたいんだ。駄目、かい?」

 

 そう少し悲しそうに言われると、男の此方は立つ瀬がないのでやめてほしい。見た目も相まって実情知ってる人間なら兎も角、何も知らない人間が傍目から息が切れて地面に倒れた不安そうな綺麗な少女と、その前に立って見下ろす男としか見えないのである。ハッキリ言って事案である、この瞬間に通報されたとしても、此方に非はなくとも反論しづらい状況である。

 仕方ないので手を差し伸べ、捕まるように指示しする。その動作で俺が質問に答えると分かったのであろう彼女は少し安心した表情を浮かべると「私はか弱いレディーなので丁重に頼むよ紳士君」等とこの期に及んで宣ってきた。確かに見目だけなら立派なレディーだが中身が伴っていない奴の言葉を聞くつもりは俺にはない。

 手をしっかりと握ったのを確認すると、相手の腕や肩に負担が掛からないよう最低限気にしながら一気に引き上げた。

 己の予想よりも遥かに軽い体重だった彼女は、その勢いのまま此方にぶつかるようにして勢いを止めた。彼女の背が己よりも数段低くなければ顎に頭頂部が激突していたであろうことに少し冷やりとしながら驚きで固まってしまったのか自分の胸辺りに顔を埋めるような形で動きを止めた彼女に謝罪する為に一歩離れて口を開いた。

 

「あのー大丈夫ですか?」

 

 そう声をかけてから一息おいて続ける。

 

「すいません。維持返しのつもりで強めに引っ張り上げようとしたんですけど、先輩が予想より軽かったんで勢い乗っちゃったみたいで...腕とかひじに痛みとか特にありませんか?」

 

 そう伝えると彼女はようやくハッとすると、此方に目を合わせた。

 

「あ、あぁ!もちろん大丈夫だとも!し、しかし感心しないなぁー!後輩君!!もう少し女性で尚且つ年上の先輩を大切に扱いたまえよ」

 

 そういって先ほどまで笑っていた影響か、僅かに朱が差した方を膨らませながら云ってきた。

 

「今のは俺も少々やり過ぎだと反省してますけど、先輩ぶるならもう少しちゃんとした姿を見せてくださいよ...今のところこの短時間だけでも殆ど駄目な人間の姿しか見てませんよ俺」

「駄目とは何だね駄目とは!!それにそうだとも!幾らちょっと機嫌が悪いからって本気で思いっきり引っ張り上げなくてもいいじゃあないか」

「....ん?別に俺本気で引っ張手はないですよ?軽すぎてこっちにぶつかったときはケガさせて無いかとちょっとヒヤッとしましたけど」

「え?あれ本気じゃないの?見栄っ張りの嘘とかじゃなくてホントに?」

「こんなんで嘘ついて何になるんですか全く、そんなに聞くほど俺のいう事信じられませんか」

「いや君結構細身だし、前は病院生活って言っていたからてっきり...」

「あー成程そういう。確かに半年くらい前までは寝たきりでしたけど周囲の方の手助けもあってかなり早くにリハビリは終わらせれたんですけど、せっかくなんでその延長線で体も鍛えてたんですよ。それと元々の線が細いのは余り言わないでください...絡んでくるダメンズ共にも同じように揶揄われてて地味に気にしてるんで...」

 

 実際酒の席で「お前さん筋肉とか付いて実際の体つきは良いのに、体全体の線細いし顔も中性的だしで髪伸ばしたら女に変装とか行けるんじゃねw?」と一人の阿呆が言った一言で周りの連中も「確かにw」「てか割と本気で似合うんじゃねw?」「似合いそうw」と周りにいた酒が回ったパー共にもみくちゃにされた経験が未だに頭をよぎるのだ。(その後数人の頼りになるメンツ数人と絶対君主の咲さんの助けにより救出されたが、そのころには何処から持ってきたのか甚だ疑問だがウィッグやら何やらを付けたり被せられた見るも無残な姿にされていたが)

 

 ちなみに本人は全く気付いていないが、周りの連中は酒こそ飲んでいたがほぼ素面に近い状態であったことを。しかも本人には「確かにw」「てか割と本気で似合うんじゃねw?」「似合いそうw」と聞こえていたが正しくは「確かに...!」「てか、割と本気で似合うんじゃね...?」「似合いそう...」であり、この様子から分かると通り当人たちは割と本気で言っておりそのせいでウィッグやら何やらを使ったガチ目の女装と相成ったのだ。

 ちなみにこの姿を生み出す原因であり、ウィッグを持ってきた人物である哲...Tさんの供述では「どっかのタイミングでふざけて被ろうと思ってた”パーティーグッズ用!白髪仙人の一つ縛りヘアー(定価4800円)”を使うならここしかないと思った、後悔はしていない」との事。(今後当時の状況を詳しく説明してもらう必要ありと判断)

 

 

 閑話休題

 

 割と本気目で傷ついている様子の後輩の様子に、でも女装に合いそうだけどねぇ?と云わないだけの人情と呼ぶべきものが辛うじて残っていた彼女は、仕切りなおす様に「そ、そうかい?」とだけ言うと質問の答えを促すよう強引に話をそらした。

 

「え?あぁ質問の答え?といっても俺自身まだそこまで自分の事ながら把握できていないんです」

 

 そう前置きを置いてから続ける。

 

「自分はちょっと状況が特殊で、詳しく言えないんですが色々ありまして....まぁ分かり易く言うと記憶がないんですよ、自分の名前以外なーんにも」

 

 そういう表情が見たくないんで余り周りに云うつもりも無いですしと云う彼の前には、確かに聞いてはいけなかったと彼を憐れむような表情を僅かに浮かべた葛城の姿があった。

 そしてそれに言い聞かせるように言葉を続けた。

 

「俺自身確かに不安な事とか分からない事もたくさんありますけど、割と楽しい日々を送ってますよ?なにせ見るもの聞くこと食べるものぜーんぶ初めての感覚ですからね。まぁ勉強に関しては覚えていてくれれば楽だったんですけどねー」

 

 気にするなろ言外に云われると、彼女も表情を元のにへらとしたものに変え、自身の態度で「分かったよ後輩君」と返した。

 

「しかしそれなら尚の事謎が深まるのだがねぇ?」

「それに関しては余り周りに云わないようにと注意されているので詳しくは...」

「ふぅうん?まっいいさ!それよりしっかりと正規の試験を受けて合格したのかい?君と短いながらも関われば裏口入学なぞ詰まらないことをする質では無いと私は思っているのだがねぇ」

「そこに関してはご安心を。試験会場ではなく特別室でですが資格を持った方の元厳正に行われた試験でギリギリだったらしいですけど見事合格してますから!」

「そりゃよかった!何せうちの学校は専門的な学校ではあるが基礎の学問における点数も重要視しているからねぇ、そこそこいるんだよねぇ、客観的に見てどう考えても入学できそうにない人格だったり知能の連中が。しかもなぜかそういう人間は 何 故 か お偉方のご子息様に多くいるんだよねぇ、いやぁ不思議だねぇ!」

 

 そういってまたヒートアップしそうになった先輩をドウドウと宥めてから「私はウマかなにかかい?!」てから、話を続けた。

 

「正直この学園に来るつもりなんて最初は微塵も有りませんでしたよ?でも、俺の事を引き取ってくれた人がこの学園に入った方が良いって」

「それでこの学園に来たっていうのかい?たったそれだけで!?」

「正確に言うと彼もそれを望んでないようでしたけどね」

「んんん?どういう事だいそれは?」

「本人としては確かに入ってほしい、けれどそれはあくまで普通科の方であって間違ってもパイロット科では無いですし、本人としてはむしろ此処に入ってほしくなかったんじゃないですかね」

「普通科ぁ?確かに此処はネームバリューもあるから社会に出るときにウチの名を背負っていれば大抵の処にはいい顔されるだろうけどパッとしない事で有名なそんな場所に入れようなんてなんでまた...ッ!もしかして...?」

「多分先輩の考えの通りだと思いますよ?彼としては俺に将来自分でやりたいことを見つける際の手助けに出来るからって思ったんでしょうね。本人に直接聞いたわけじゃ何ですけど人柄とか、周りの話とか聞くとそう的外れってわけではないと思います」

「君の口振りからしてその”彼”とは血の繋がりは無さそうに聞こえるのだが...」

「えぇはい、お察しの通り血の繋がりはありませんよ。というより俺自身が元々何処の誰の人間なのか未だに分かってないみたいですから」

「えーっとつまりあれかい?何処の馬の骨とも分からないような記憶消失の青年を拾って世話するだけじゃなく、その子のためにたっかい学費を態々払って大人になったときに困らないようにしていたと?」

「まぁそんな所じゃないでしょうかね?半分くらい憶測ですけどほかの人も概ね似たり寄ったりな結論でしたしそこまで間違っては無さそうですよ」

 

 そう答えると彼女は手を目にかざしながら、深いため息をつきながら壁に凭れ掛かった。

 

「君はその人に懐いているようだがハッキリと云わせてもらうよ。その人は底抜けのお人よしを通り越して善意100%で動く聖人という名のな狂人か、君みたいな青年が好きで好きでたまらない稀代の変態か、もしくはもっと別の悍ましいナニカじゃないかと私は思うねぇ」

 

 散々な言われようではあるが、俺は笑って流した。

 

「本人も自分のやってる事の異常性を分かった上でやってるので手が付けられませんよ」

「自覚ある狂人ってぇ事かい?なおの事厄介だねぇ」

 

 そう云って二人して笑ってから続けた。

 

「まぁそんな人なんですけど、何でも俺をこの学園のパイロット科に入学させるよう多方面から圧が掛かったみたいでして...この辺りの理由とかはできれば聞かないでいただける...」

「正直謎だらけだけれど了解したよ。それで?」

「はい、彼本人は大丈夫と言っていたんですが日に日に圧が強くなっていったみたいで...その状況を変えたくて今年パイロット科に入学するって俺から言い出したんです」

「成程...ね」

「最初は無理しなくていいだのなんだの言われましたけどアンタが言うなって云って黙らせました」

「恩人に対しても手厳しいねぇ君は」

「凄く感謝もしてますし慕ってますけど、猶の事俺の事に関して一人で無茶しようとしてるのがカチンときたので。だから死ぬ気で勉強も覚えられたんですけどね」

 

 そう云って笑ってから彼は表情を真剣なものに戻して口を開いた。

 

「だから俺自身、こいつを見るまで特に何とも思ってなかったんですよね。ロボットも嫌いじゃないですけど、正直そこまで余り興味も無かったですし」

「でも、ここに来てこいつを見て考えが変わりました」

 

 そこで区切りまた続ける。

 

「なんというか見た瞬間に言葉で言い表せない感情が沸き上がったんです、多分ですけど寂しさとか懐かしさとか、多分そういう感情だったと思います」

「今こうして見ていても妙に安心するっていうかなんというか...すいません、ちょっと自分でもよくわかんないです」

 

 そう云ってまた少し笑ってから口を開く。

 

「でも、なんか確信したんです。俺は此処に居るべきで、こいつに乗るべきだって。笑えますよね?記憶もなんもない奴が何カッコつけて云ってんだって」

「他人から見てどんだけ異常で理解不能だと言われても、それでも揺らがない確信が確かに俺の中に有るんです」

「だから何て云うか、頭ではこいつが唯の道具、それも兵器だっていうのは理解してるんですけど、俺の感じてる事を言葉で言うなら...手掛かり?ちょっと違うな...繋がり...だともっと分け解らないな...すいませんちょっと自分でもよく分からないです」

 

 そう云って彼女の質問に対する答えを半ば放棄しながら頭を下げる。

 

「繋がり、繋がりねぇ...」

 

 そう言いながら壁から背を離し機体の方にある手すりに向かってゆっくり動いていく。そうしてちょうど俺の真後ろに回り込む場所に立つと「顔を上げたまえよ」と云われた。

 その言葉に従って顔を上げ振り返ると此方に背を向け見上げるようにしてストライカーを見ていた。

 

「繋がり...成程ね。つまり君も他と同じようにフィルター越しにコレを見ているわけか」

 

 そう云ってから一呼吸置いて彼女は続けた。

 

「ほんの少し安心したよ、君も私を含めた人間のように自分の視点を持った一個人なのだと分かって」

 

 そう云って彼女は振り返る続けて云う。

 

「良いじゃないか!自身の過去を知る為にストライカーに乗る!それもこれがおとぎ話の様な力では無く一つの兵器だと理解した上でそれでもコレを過去を知る為の道具として使う!自身を知りたいという何とも身勝手であやふやな、それでいて何よりも尊重されるべき行為のために学んでいく!」

 

「他の誰かが君の行為を愚かだと笑っても、私は君の味方であると此処に約束するよ。」

「だからもっと胸を張りたまえよ少年!君は今日から此処で学んでいく一人の学徒であり、私の自慢の後輩なのだから!!」

 

 そう云って笑い手を差し伸べる彼女の姿を見て俺は心の底から安心し、この人なら助けてくれると頭で考えるより心で理解した。

 今なら千尋さんがなんやかんや甘いのも理解できる気がする、なんて考えながらその手を取った。

 

「これからよろしくお願いします。アメリア・葛城先輩!」

「期待しているよ。九十九 零君?」

 

そう云って二人笑いあった。




 ちなみにこの作品でも重要な位置にいる作者お気に入りの葛城姉妹ですが、元のプロットでは影も形も有りませんし、そもそも作られた経緯が前回の話を書いている途中に設定が頭に降りてきたから設定から何まで練り直したというのが真実。お前小説なめてんの?
 多分と云うか確実に今後もこんな風にキャラやら設定が追加されていくんだろうなと我が事ながら他人事のように遠い目をしながら茶を啜っています。
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