私に銀の弾丸を、貴方に百合の花束を   作:山本珈琲

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(誤字脱字報告に)感謝...圧倒的感謝....!!!


第2章 新たな日常の始まり
EP_016 円卓に集う少年少女


 

 

pipipipipi

 

・・・

 

pipipipipi!

 

・・・

 

Pipipipipi!!

 

 

・・・・

 

 

PIPIPIPIPI!!!

 

 

「んにゃぁ...良く寝たぁ...」

 

 目覚ましの音で目覚めた私は、んみゅーと言いながら上体起して伸びをした。普段寝覚めが良い方である私だったが、体が疲れて未だ寝たりないのかボーっとする頭を半ば強引に動かした。

 

「えぇっと確か昨日、道に迷って男の子に助けられて、それで...」

 

 そこでハッとした私は周りを見渡した。部屋の隅に置かれたままの私のトランクやバック、ホテルのように綺麗で広い部屋、そこまで確認した私は急いでベットから降り立ち窓に掛かっていたカーテンを両脇に勢い良く広げた。

 

「あぁ、私。本当にアルファ学園に来たんだ...」

 

 窓の外、遠くに映る近未来的な街並みと、世界最大規模を誇るアルファ学園の校舎を見ながらそう思わず言葉に出た。

 

 

 


 

 

Side 響

 

 そうして窓の外を見る事暫く、ふと時間を確認してみるれば太く短い針は数字の5より少し前を示していた。幼い頃から慣れ親しんだ時間であり、普段であれば走りに出かけるのだが此処は学園の中、未だルールや内部の施設を知らない私がウロウロするのも良くないと考え、昨日手つかずのままにしていた荷物を片付けることにした。

 

「よしッ!これでお終いっと!」

 

 そう言って作業を終える。この部屋は二人部屋であり隣で眠る人物は相当深く眠っているのか身じろぎ一つ無かったが、万が一にも起こさぬように慎重に音をたてぬように気を使ったこともあり予定よりも時間が掛かってしまったが、それでも時間にはまだまだ余裕があるうちに終わらせることが出来たので、私は小声でそういった。

 

 念のために時計を確認すれば針は数字の5と6の間を指していたので、昨日は入れなかったお風呂にせっかくなら湯銭にお湯を張って堪能しようと考えすぐさま行動を開始した。手早く静かに準備を進め、とても学生の寮にあるとは思えないお風呂を心ゆくまで堪能し(湯銭大きい!シャワーも個別で分けられトイレも個室!!しかもフカフカの綺麗なタオルもついてる!!)湯気を立ち昇らせる体にバスタオルを巻いてから姉に渡された化粧水を体に塗っていく。備え付けのドライヤーを使って髪を手早く乾かして、寝起きで少し粘ついていた口を漱いで歯を磨く。体に残った水気と汗で少し温度が下がり冷えてきた体の水分をもう一度タオルを使ってしっかりふき取り下着を履き鏡を使って水気が残っていないかチェック。

 そして最後に、綺麗に畳んでおいた、皺ひとつない制服にゆっくり袖を通す。

 

「.....よし!完璧!」

 

 そうして鏡を見てみれば、そこに居たのは小さな頃からずっと憧れ続けた真新しい制服をこの場所で着ることができた私の姿があった。此処にきて何度目かも分からない喜びからその場で飛んだら跳ねたり回ったりしていた。暫くしてから、はしゃいで動いたせいで少し崩れた制服をいそいそと直して鏡で最終チェックをし脱衣所を後にする。

 

 時計の針は6から7に変わろうとしていたが、未だ顔も知らないルームメイトは依然として起きておらず、動いた様子すら確認出来ないのだ。流石にそろそろ起きて準備をしないと間に合わなくなると判断し彼女に声を掛けた。

 

「あのー、そろそろ起きないと遅刻しちゃいますよー?」

 

 驚かさないよう声を小さくしたのもあってか変化無し、仕方がないので私はさっきよりも近付いてから先程より少し大きな声で呼びかけた。

 

「あのー!起きないと遅刻しちゃいますよ!」

 

 普通なら何らかの反応があっても可笑しくはない大きさの声だったと言うのに依然として何の反応がない。

 この際相手の機嫌を損ねてしまうのを躊躇っている場合ではないと思った私は布団に包まった小さな塊を揺すりながら先ほどより大きな声で呼びかけた。

 

「起きて!くだ!!さい!!!」

 

 そう呼びかけながら暫くゆすっていると、塊の中から"うぬわぁん"と鳴き声のような声が漏れ出てきた。この機を逃すものかと私は畳みかける。

 

「早く起きないと初日から遅刻しちゃいますよー!!!」

「うぅぅ...眠いぃ...」

 

 そう言って布団を掴みなおそうとして力が緩む、朝に全然起きられなかった姉を起こすために磨かれた私の技術はその一瞬を見逃さなかった。

 

「そぉおおい!!!」

 

 威勢のいい掛け声と共に布団を引っ張り上げる。そうすると私が掴んでいた獲物はカジキの一本釣りのように宙を舞い、ぞの下に蹲っていた本体を眼前へと曝け出した。

 

「早くしないと遅刻、しちゃい、ます、よ....」

 

 其処に居たのは、見るモノを魅了する人形だった。

 

「うぃぅ...寒い...初対面相手にこんな無体を働くなんて血も涙もない...」

 

 いや、喋っている彼女は人間だ。けれども、その外見はまさしく人形と言っても過言ではないほどに可憐で華奢で、美しかった。

 身長はひどく小柄で人より少し小柄な私よりも数段小さい体が、丸まって蹲っている事もあってか一層小さく見える。彼女の肌は真っ白で、最高級の美術品を思わせる気品差を醸し出していた。そんな彼女の中でも一際目を引くのは、腰よりも下まで伸びた美しい金髪である。彼女の体を覆い隠さんばかりに広がっていたが、それらは一切絡まることなく窓から差し込んだ朝日によって黄金のようにキラキラと光っていた。

 その姿に私が思わず言葉を失い固まっていると、彼女は小さく”それじゃお休み”と言って、あた布団を被ろうとする。その時になってようやく我を取り戻した私は急いで彼女を止めた。

 

「だ、ダメですよ!早く支度しないと初日から遅れちゃいますよ~!」

 

 そういって布団をもう一度引っぺがすと、焦っていたこともあって力が籠ってか思いの外勢いが付いてしまい、半ば包まりかけていた彼女は回転しながら反対側へと落ちて行った。その様子を見て焦った私はベットを避けて回り込み、声をかけた。

 

「す、すみません!!!大丈夫ですか?!?!」

 

 そう声を掛けると、彼女は寄ろよとしながら立ち上がった。

 

「あんなに勢い良く投げ出されて、大丈夫に見えるのか?」

 

 そういって恨めしそうに青と緑の混じった淡い翡翠のような瞳で此方をジトッと睨んできた。

 

「す、すみません」

 

 そういって私が縮こまって頭を下げると、頭上から溜息が聞こえてきた。

 

「結果がどうあれ、私が遅刻しないように気を使って態々起こそうとしてくれたんだろう?ならこれ以上何か言うつもりはない、だから顔を上げろ。やりづらい」

 

 そう云われて顔を挙げると、まだ少し眠そうな目で此方を見ながら聞いてきた。

 

「昨日は私がここに来る前に、そっちが寝てしまっていて自己紹介が出来ていなかったな。私はエリカ・アーデル・ミュラ―。」

「すっ、すみません!挨拶もしないまま勝手に休んでしまって!」

 

 そういってもう一度頭を下げようとすると、”別に責めてる訳でも謝ってほしいわけでもない”とぶっきらぼうに云われた。

 

「それで、そっちの名前は?」

「え、あっ、はい!私はパイロット科一年の紅羽 響って言います!同じ部屋の住人として、これから一年間どうぞよろしくお願いしますミュラーさん!」

 

 そう言うと彼女は非常に嫌そうな顔をした。な、何か今他にも失礼な事をしてしまっただろうか?!

 

「そのミュラーって呼び方はやめろ...此処に来てまで一緒に過ごす奴にその名で呼ばれるのは苦痛だ。それから敬語も要らない。同じ一年、其れもパイロット科同士の人間なんだから普通にエリカで良い。」

 

 そう云って彼女が右手を差し出してきた。それを慌てて左手で掴みながら応える。

 

「うん、わかった!これから一年間宜しくね、エリカちゃん!」

 

 そう私が答えると彼女は”ちゃん呼びは予想外だが、こういうのも悪くないな”と言ってくれた。

 

 

 次の瞬間、彼女が此方に倒れこんできた。

 

 見た目から分かる通り体重も軽いのだろう、此方に倒れてきたが私は小動もしなかったが、内心ではひどく焦っていた。

 

 何故?急に倒れた。何が原因?如何すれば良い?先生を呼ぶべき?先に意識の確認をしなきゃ。もしかしてさっき落ちたので脳にダメージが?分からない。如何すれば良い?私は何をすればいい?

 そんな混乱の極致にある私の思考だったが、私の胸元から微かに音が聞こえた。彼女が何かを言っているのだ。それを理解した瞬間私は彼女のすぐ傍まで耳を近づけて意識を集中させた。

 

「ぅ..ぁ...ぇ..」

 

 駄目だ良く聞こえない、さらに近づける。

 

「す...ま...ぃ..む...か」

 

 もう少しで聞こえる、彼女の口のすぐ傍まで耳を近づける。

 

「すまないが、朝の準備を手伝ってほしい。低血圧で真面に朝は動けないんだ...」

 

 そう蚊の鳴くような小さな声で言っているのが聞こえた私は、思わずその場でズッコケそうになった。なんてことはない、姉と同じで朝は真面に動けない人種であり、ふらついた拍子に此方に倒れこんできただけだった。

 思わず安どのため息をついてから、私は彼女のわきの下に手を通し持ち上げて洗面台まで運んでいった。

 

 そこからは家で姉に対してやっていたのと同じ行為をするだけである。蛇口をひねり水を出して、顔にかけてやり、残りは自分で洗うように言う。その間に部屋に置いてあった服を運び籠に入れておく。それから服を脱がせて風呂に入る、この際普段なら一緒に入ってシャワーも浴びるのだが、流石にそこは一人で入るようお願いした。そこまですれば流石に目が覚めてきたのか開いた眼をパチクリとさせていた。その姿に体を拭くように指示して、私は一言声をかけてから後ろに回り、ドライヤーを使って手早く髪を乾かしてあげる。最後に服を渡して脱衣所を出て待つ事数分後、扉がゆっくりと開いた。

 

「手間を掛けさせた、すまない」

 

 そういって私と同じようにアルファ学院の制服に手を通した彼女は、風呂から上がってすぐという事もあり白い肌をほんのりと上気させながら此方に感謝を述べてきた。

 

「いえ!さっき事故とはいえベットから叩き落しちゃいましたしその代りにでも思ってください」

「そういってもらえると助かるな。しかし妙に手馴れていたな」

 

 そういって不思議そうな表情で、首を僅かに傾けながら問いかけてきた彼女に私は笑って答えた。

 

「アハハ...私にはお姉ちゃんがいるんですけど、普段は凄くピッシリしててカッコいい姉なんですけど、どうにも朝だけは駄目みたいで長年それを補助してきたからだと思います...」

 

 そう私が苦笑気味に答えると、一番小さなサイズの制服でも僅かに丈が長いのか袖で僅かに隠れた両手をポンと得心したように打った。

 

「成程通りで...しかしそのお陰で少し余裕が出来たようだな」

 

 そう云われて部屋に備え付けられた時計を二人で見上げれば、太い針は7時を少し過ぎた程度を示しており、今から食堂に向かえばご飯を多少の余裕をもって楽しめる程度には時間的猶予があった。

 

「もうちょっと後の方が良かったかな...?」

 

 私が不安げにそう聞くと、彼女は少し笑ってから頭を横に振った。

 

「いや、私だって時間にせっつかれて食事する趣味は無い。丁度良い位の時間だ」

 

 その言葉に私は顔をパッと明るくさせ、その喜びのまま彼女に質問した。

 

「わたし、このまま食堂に行って朝ごはんを食べるつもりだけどエリカちゃんは?」

「私もそのつもりだよ響。昨日の内に荷ほどきなんかも終わらせているからな」

「じゃあさ!私はエリカちゃんと一緒に行って食べたいんだけど駄目かな...?」

「私は別に構わない。お互い一年間共に過ごすんだから早いうちにお互いの事を知っておきたいしな」

「やった!じゃさっそくしゅっぱーつ!!」

「元気がいいな全く」

 

 そういって苦笑いする彼女だったが、その場で突如ヘナヘナと崩れ落ちた。急いで駆け寄ると此方を見上げて半ば船を漕ぎながら云った。

 

「すまん、まだ眠い...ちょっと動けそうにない....」

 

 そう云った彼女に私は、これはお姉ちゃん以上の難敵だと評価を改めてから質問した。

 

「エリカちゃん、背負うのと抱えるのどっちが良い?」

「...んみ?一体、何を...?」

「どっちが良い?」

「zz...んあ?!じゃあ背負う方で...zzz」

「おーけー」

 

 それだけ私は返すと彼女を素早く背中に背負った。いわゆるおんぶとお云われる体制である。一人抱えた際の軽さに驚いていると、今の衝撃で少し目が覚めたのか後ろから小さな声でエリカちゃんが困惑したように聞いてきた。

 

「響..?一体何を...?これは、背負われているのか...?」

「うん、もし如何しても嫌だったら降ろすけど...」

「いや、このままで構わない...手間をかけさせる...」

「気にしないで!それじゃあ今度こそ出発!」

「おぉー......んぐぅ...」

 

 掛け声に反応してから眠ってしまった彼女の朝の弱さに思わず苦笑しながら私はポケットから学生証を取り出しドアの機械に翳す。するとピッと音がした後にガチリと鍵が外れた音がした。それを確認してからドアノブを回し扉を開いた。

 廊下には私と同じように、少し早めに食堂に向かう生徒がちらほらと確認できた。勿論私と違って背中に誰かを背負った人などいなかったが。

 

 そうして周りの注目をしばしば集めながら歩くこと数分、食堂に到着する目前にエリカは目を覚ました。

 

「くぁあぁっふ。良く寝た...」

「おはよう、もう大丈夫そう?」

「んー...?あぁ、本当に此処まで背負ってきてくれたのか?」

「え?うん。だって一緒に食堂に行くって約束したもん」

「それだけでか?」

「それだけって、人との約束は大切にしましょうってお母さんに教わったから」

「そうか...いい母親だな」

「うん!私たち皆の自慢のお母さんだよ!」

「そうか、ならその調子で大切にすると良い...もう降ろしてくれても大丈夫だ」

「ほんとに?また倒れたりしないよね?」

「あぁ、大丈夫だ。.....多分」

「うーん、最後に不安な一言が付いた気がするけど分かった!また辛くなったら言ってね?」

「あぁ...これは姉の方はこれからさぞ苦労しそうだな(ボソッ」

「ん?何か言った?」

「いや、何でもない」

「そっか!じゃあ行こう!!」

 

 そういって二人で並んで歩く、途中で家族の話をしながらそうして歩くこと数分、目的へと到着した。

 

「「おぉー...」」

 

 上に『第一食堂』と書かれたそこは、私たち一年生の人で埋まっていた。昨日案内された時にも勿論案内されたが、人がいなかった昨日とはまた違った印象を受けるその姿と大きさに、二人揃って感嘆の声が漏れ出た。

 

「あっ見てみてエリカちゃん!此処でメニューの確認ができるみたいだよ!」

「本当だ、えぇっと内容は...」

「今日のおすすめ定食・煮魚定食・照り焼き定食・豚の生姜焼き定食それから....」

「イングリッシュブレックファスト・ヨークシャプティング・スコッチエッグ・ベーコン付きパンケーキ・シリアル・サンドウィッチにベーコンエッグ...」

「デザートも12345....凄く沢山ある!」

「知識として知ってはいたが、実際に見るとやはりこの数には驚くな...」

「ね?ね?わたし早速食べてみたい!」

「私は一応決めたから良いが、響は決めたのか?」

「うん!だから早くいこう!」

 

 そういってエリカちゃんの手を取り足早に食券登録販売機の前までかけて行く。一般のモノとは違って食券を発行するのではなく、機械を使ってメニューを選び、そのあと端末を翳すと番号が登録されるからあとは待つだけで良いのが特徴的である。

 

「これとこれで、よしッと...響、そっちのほうは....」

「これと、これと、あとこれも!せっかくだからこっちも頼んじゃおうっと!ん?エリカちゃんこっち見て如何したの?」

「いや、何を頼んだのか聞こうと思ったんだが...そんなに頼んで大丈夫なのか?」

「え?あぁうん!お金ならちゃんと考えて使ってるから大丈夫!」

「いやそうでは無くて、その量をこんな朝から食べきれるのかという意味だったんだが...」

「えっと、全然大丈夫だよ?コレでも少なくした方だし」

「それでなのか...」

 

 そう驚いた様に云う彼女に首を傾げながら注文を終えて席を探しに動くと、後ろから”あっ”と聞いたことのある声が聞こえ立ち止まり(後ろを歩いていたエリカちゃんが私にぶつかって「んぎゅ」とかわいらしい鳴き声を漏らした)振り向いた。

 

 其処に居たには昨日私を助けてくれた男の子であり、私から持ち掛けた約束を此方の都合で破ってしまった黒い髪の毛に灰色が混じったの髪をした男の子がいた。

 

「レイ君」「響か」

 

 ほぼ同時にお互いの名前を呼び向き合う。彼は今しがた朝食を終えたらしく、そこにはたくさん積まれた空っぽのお皿が積まれていた。そこまで考えいた私は昨日の事を思い出し勢いよく頭を下げた。

 

「あの!昨日は私の都合で約束を破って御免なさい!」

 

 そう言ってから頭を挙げると彼は面食らったような顔を一瞬浮かべたが、周りを軽く見渡してから苦笑いを浮かべていた。

 

「別に怒ってないし前もって連絡くれたから約束を破ったわけじゃないだろ?だから謝罪は別に要らないし負い目を感じる必要もこれっぽっちも無い。いいな?」

「でも...!」

「それに!こんだけ人がいる中で急に頭を下げられても困る」

 

 そう云われて周りを伺えば、確かに周りの人たちが何事かかと此方を見ていた。その様子に自分が見られ事よりも彼に迷惑をかけてしまった事に周知を感じて縮こまっていると彼から声を掛けられた。

 

「まー、なんだ。俺は丁度飯食い終わっちまったけど、さっきまで食ってた場所の相席でもよければ後ろのもう一人も含めて座れるが?」

 

 ”丁度そこに連れが要るから紹介したいし”と親指で指刺した先には確かに食事中であろう金髪の青年の後ろ姿が確認できた。

 

「う、うん。それでオネガイシマス...」

 

 そう私が答えると、彼はおーけーと答えた。

 

「悪いけど先にこれだけ片付けておきたいから、先に好きな場所に座っておいてくれ。エド...連れの名前なんだけど、そいつにも先に挨拶だけ済ませておいてくれ」

「あ、あええ。分かった!」

 

 んじゃまた後でな~と言いながら離れる彼の姿を見送って、私たちは丸テーブルを中心とした席に向かった。

 

「今の男子...地元から来た友達とかそんな所か?」

「んえ?ううん、昨日私が遅刻しそうなところを助けてもらったのが初対面だから、知り合ってまだ半日未満だよ?」

「そうなのか?にしては随分気安いやり取りだったな?」

「まぁ、いろいろあって、ね」

「ふーん、そうか」

 

 そう喋りながら歩くこと十数秒、目的地へと到着した。

 

「すみません、貴方がエドさんですか?」

 

 そういってカレーを食べ終わり端末いじっていた先客に声をかける。

 

「んぁ?はい、そうで..す...」

 

 そういって私の顔を見、次いでエリカへと向いた瞬間に徐々に動かなくなっていった動きが完全に止まった。

 

「何?」

 

 流石に無言で見続けられ居心地が悪かったのか、半ば私に隠れるようにして彼女が睨み返した。

 

「美しい....(ボソッ」

「あのー、どうかしましたか?」

「ん?えっ?!イエ!問題ありません!!」

 

 先ほどの熱に浮かされたような様子からとてもそうは思えなかったが、一先ずはその言葉を信じて話を進める。

 

「それで、貴方がエドさんで間違いないですか?」

「え?ぇはい。俺...いえ自分はパイロット科一年のアルフォンス・エドガーですけど。何で名前を?」

「良かった!えーと、初めましてエドさん。私はパイロット科一年の紅羽 響っていいます!それでこっちが」

「同じくパイロット科一年のエリカ・アーデル・ミュラ―だ...ミュラー以外の呼び方なら好きに呼べ」

「です!お名前の方はお連れのレイさんについさっき教えてもらいました!えっと、馴れ馴れしかったですか...?」

「イエ全く!むしろ下の名前のアルで呼んでください!」

「良かった!それじゃこれから同じ1年生のパイロット科同士頑張りましょうね、アルさん!!」

「はい!!」

「一応宜しくな、アルフォンス・エドガー」

「此方こそよろしくお願いしますアーデルさん!!」

 

「良かった、無事に馴染めたっぽいな」

 

 そう云って近づいてきたのは先ほど別れたレイ君だった。声を掛けよう落とした瞬間、端末が震え音楽が流れる。と同時にアナウンスで私とエリカちゃんの番号が呼ばれる。

 その様子で私たちが呼ばれたのが分かったのであろう。レイ君は少し笑ってから「野郎二人で駄弁って待ってるから」とだけ言い、アルさんの横の席である奥の席へと座った。

 彼に小さく頭を下げてからエリカちゃんと二人で受け取りに向かった。

 

 受け取り口で料理を受け取り「エリカちゃん、その量で足りるの?!」「私は逆にその細い体の何処にその量を詰め込む気なのか疑問だが」等と言い合いながら席へと向かう。遠目から席の方を見ると、何やら二人してもみ合っている様子。

 何かあったのかと急いでそちらに向かうと、アルさんがレイ君の頭をヘッドロックしているではないか!何かあったのかと急いで聞くと「男同士のじゃれあい」だとアルさんは答え、レイ君の方を見てみれば渋々といった様子ではあったが「まあ、そんな所」と答えた。確かに地元の中学男子たちも似たようなことをしていた記憶があり、本人たちが言う通りじゃれあいの一つなのだと納得した。

 

 

「三人はもう自己紹介はやったみたいだし俺も改めてやらせてもらうよ」

 

 そう前置きしてからレイ君は話し始めた。

 

「アルファ学院パイロット科一年所属の九十九 零といいます。趣味は色んなところに行ったり人と話したりまぁ色々。好物は味付けがちょっと濃いめの和食、嫌いなものは特にありません」

 

それから全員の自己紹介をしていき最後にエリカちゃんの出番となった。(ちなみに其々が自己紹介をする中エリカちゃんは手を止めず黙々とシリアルを食べ続けていた)

 

「アルファ学院1年パイロット科、エリカ・アーデル・ミュラ―。何度も言うが苗字呼びや敬語はいらない。以後よろしく」

 

 とだけ言ってトレーを持ち上げ、「先に片付けてくる」とだけ言って一人返却口へと向かった。(私も頼んだ料理の7割を食べきっていた)

 

 それから3人で話しているとエリカちゃんが戻ってきた。

 

「お帰り!今ちょうど今後の事で話してた所なんだよ~」

「あぁ、ただいま。今後の事....パイロット科のカリキュラムとかか?」

「そんな所、えーっと、エリカさんとアーデルさん。どっちで呼べばいいかな?」

「別に好きな方で良い...それとさん付けも要らないし言葉遣いに気を付ける必要もないといっただろ」

「んー、分かった。それじゃ今後はエリカって呼べせてもらうよ」

「好きにしろ...そっちはなんて呼べばいい?」

「俺も何でもいいよ」

「九十九って呼ぶぞ」

「オッケー、んじゃ改めよろしく、エリカ」

「よろしくな九十九」

 

 そう云って握手をする二人、どうやら皆仲良くなそうだと思い私は嬉しくなってアルさんを含めた三人に話しかけた。

 

 そうして互いの自己紹介を終えた私たちは、教室に向かうまで雑談をしながら和やかな時間を過ごしていった。

 




なんか、改めて自分の最近の投稿ペースメッチャハイペースだなって思いました....

 やーーーーっと入学編である第一章終了ですよ奥さん!マジで長かった...此処までひっぱといて目玉のロボット君最初の謎シーンと棒立ち姿しかない学園ロボットバトルもの小説があるってマジ?

 なお今回の野郎二人の取っ組み合いの原因ですが、ドッキリみたいな方法で昨日言ってた女子(響)に合わせてきた意地返しでした。あとこの二人は同室で、前々回の話の後にも色々話して仲良くなってますし、記憶喪失の話も伝えてあります。え?なぜ本編でやらないのかって?答えは単純、作者が書きたくないからです。いやね?流石にそろそろお話進めたいんですよね私も。なんでどっかしらを割愛しないと何時まで経っても進まないので今回はちょっと省きました。

因みに本作、ハーレム要素ありますオデご了承を。

とはいえただのハーレム物など作者は書きたくないので、所謂俺TUEEEE展開からのキャー素敵!みたいなものをやるつもりは毛頭ございません。先に行っておきますと主人公は女で囲みます、ですがその分苦しめます、それはもうしっかりと。
私ハッピーエンドが好きな人間ですが、そのくせ登場人物が苦しんでいるのを見るのが好きというなかなかアレな性癖を持っておりまして、本作もそれをやりたいがために書いたのもあります。
より正確に言うと”登場人物が情けなくのたうちまわて苦しんで、鼻水やら涙やらを垂れ流して震えながら立ち上がる姿”が性癖の一つなので、今後の物語ではそれを遺憾なく此処に垂れ流して書いていこうと思います。


まぁ主人公君は忘れてるだけでそう云った経験を何度もしてるんですけどね
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