転生科学者は悪意を貫く。   作:田中滅

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今回の見所!アークさんだって、センチメタルになる!以上!


第八話 平和からの依頼

「………………青い空を拝める日が来るとはな」

 

リムルの旅立ちから数日が経過し、眠れない夜に慣れ始めた頃。時の流れを気にする事もなく、流れ行く雲が浮かぶ青い空を見上げ、転生前は一度も見なかった景色に瞳を細める

 

「アーク様……此処にいましたか」

 

「あぁ?ナキか。何だ」

 

物想いに耽る彼を現実に引き戻したのは、配下であるナキの声。覇気の無い声と冷たい視線は彼女特有とも言えるが、些かの無機質感は否めない

 

「リグルド殿にアーク様を呼びに行けと言われたので……不本意ではありますが……お声掛けしました」

 

「リグルドが?なんだってんだ……ったく……」

 

気怠る気に立ち上がり、頭を掻きながら、件の人物であるリグルドの元に向かう。すると、村の中心部に近付くにつれ、多くの声が耳に入ってくる

 

「アーク様!御足労願いまして申し訳ありません!」

 

「ああ……そいつは構わねぇが……なんの騒ぎだァ?コイツは」

 

姿を見せたアークにリグルドが気付けば、彼は気怠る気に目の前に広がる光景を問う。その光景とは数日前とは比べ物にならない人数のゴブリンの大群である

 

「はっ!リムル様とアーク様のお噂を聞き、庇護を求めて近隣のゴブリン村から集まってきたのです!」

 

「噂ねェ………受け入れようってんなら、別に好きにすりゃいいが。俺に断りを入れる必要はねぇだろ」

 

「し、然し……アーク様も我々の主人である訳ですから……筋は通すのが当たり前かと」

 

「ふぅん……そういうモンか。まぁ………後はリム公が帰ってからにすりゃいい……俺は色々とやる事があるからよ」

 

代表者を名乗らないと決めているアークは、この場にいないリムルが如何なる決断を降すかを知ってか、知らずか、その場を後にする

 

「アーク様。発言しても?」

 

「なんだァ?ホロビ」

 

封印の洞窟方向に足を進めるアークに付き従っていたホロビが声を掛ければ、彼は気怠るそうに視線を動かす

 

「何故、全てをリムル様任せに?アーク様の御力があれば、直ぐに威を示せるかと思うのですが……」

 

「悪意の無いヤツに興味がねぇんだよ。お前やナキは少なからず悪意を向けるべき相手が存在する……でもな、彼奴等が向けるのは悪意とは真逆の感性だ」

 

「真逆ですか………其れは悪意を忠誠に変えたナキとも異なるのですか?」

 

真逆、アークの心意を知りたいホロビは答えに行き着く為に再び質問を投げかける

 

「…………そうだな。そして、其れは俺が()になる前、疾うの昔に捨てた感情でもある…」

 

機械仕掛けの体となった今では存在しない感情を懐かしむ姿は彼が嫌う人類と大差ないが、その瞳から涙が落ちることはない

 

「アーク様がアーク様になる前………ですか?」

 

「ああ………遠い昔だ……期待してた時期があったんだよ、俺にも……」

 

転生した今では、遥か昔の様に感じる前世。度重なる裏切りは彼の中に存在した平和を願う心を、悪意に変え、人類を生み出した世界に絶望感を抱かせるまでに彼を変えた

 

何時からだろう、悪意を心地良く感じる様になったのは。何時からだっただろう、人類を信用しなくなったのは。何時からだろう、平和を忘れてしまったのは。その問いに対する答えは、壊れてしまった(・・・・・・・)心では決して導き出せない

 

「アーク様……道端で鳥を拾いました」

 

再び、ナキの無機質な声で現実に引き戻され、視界を巡らせると彼女が傷だらけの鳥を放り投げる

 

「……………これをどうしろと?」

 

「食べるかと思いまして」

 

目の前に置かれた鳥を前に問い掛ければ、返ってきたのは、耳を疑う答え。何を言ってるんだろうかと思いながらも、口を開く

 

「俺はメシを食えねぇよ」

 

「無理矢理ねじ込みます」

 

「ナキ、アーク様に失礼だ。後で叱っておきます」

 

力任せな答えを口にするナキをホロビが咎める姿は兄が妹に言い聞かせるかの如く。不思議と目の前の現象にアークは頬を緩ませる

 

「アーク様が笑った………さては拾い食いですか」

 

解体(バラ)されたいのか?馬鹿犬」

 

「ナキの悪意は悪意と呼ぶべきなのだろうか………」

 

冷たい視線である事は変わりないが、側から見れば楽しんでいるかに見える。その光景にナキの抱くモノが誠に悪意であるかを疑うホロビであるが、其れは杞憂というものだ

 

(あの〜、アークさん?ちょっとだけ話を聞いてもらえたりとかはします…?)

 

「あ?誰だ」

 

突如、頭の中に響いた声。辺りを見回すが声に該当する存在は見当たらない

 

「どうかしましたか?アーク様」

 

「なんか頭の中で声がした」

 

疑問に思ったホロビが声を掛ければ、アークは疑問に感じた違和感を口にする

 

「スキルの類いでは?」

 

「スキル………てことは……わらびもちの仕業か」

 

(誰がわらびもちだゴラァ!ポンコツ!)

 

「……………空耳だな」

 

下手に出ていた最初とは裏腹に、掌を返した様に放たれた罵倒。空を見上げ、聞こえた声を空耳と断定し、歩き出す

 

(マジですんません!アークの知恵を借りたいんだよ!)

 

「知恵だァ?何をやらかした…」

 

(ちょっと厄介毎に巻き込まれてな………あと!ドワルゴンの大臣がベルト(・・・)みたいなの使って、俺が見つけた職人たちやエルフのおねーさんたちに怪我を負わせたんだよ!兎に角!来てくれ!)

 

ベルト(・・・)だァ?仕方ねぇな………ホロビ!ナキ!」

 

ベルト(・・・)という言葉を聞き、何かを感じ取ったアークは背後に控えていた配下を呼ぶ

 

「「……御身の前に!」」

 

「滅亡迅雷.netの出番だ……悪意を狩りにいく……」

 

「「全てはアーク様の意志のままに…」」

 

此れから語るは悪意を狩る為に、悪を名乗った滅亡迅雷.netが歩んだ、暗く、深く、陽の当たらない闇の世界の物語である……

 

(あ?エルフ?あのヤロー………色欲に塗れた遊びしてやがったな……後で解体(バラ)す)




ドワルゴン王国で裁判が行われる中、悪意に満ちた笑い声が響き渡る……その声の主とは…!

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ヒロインは誰がいい?

  • ナキ
  • アズ
  • ヴィオラ(ウルティマ)
  • ジョーヌ(カレラ)
  • ブラン(テスタロッサ)
  • ラミリス
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