「大したもんだな……一瞬で村が町に早変わりってかァ?人工知能もビックリだぜ…」
ドワルゴン王国からの帰還から数日後。大所帯となった住人と共に新天地に移り住み、発展を遂げていく街並みを傍観する影が一つ。村の守護者たるアーク=プロフェッサーである
「アーク。こんなとこにいたのか」
名を呼ばれ、振り返れば、相棒のスライムが、ぽよ…っと音を鳴らし、此方に向かって来るのが見えた
「なんだ、わらびもち。スキルの確認で郊外に行ってたんじゃねぇのか」
「誰がわらびもちだ。其れはそうとお客さんだ」
「あ?客だァ?」
そう告げるリムルの隣には、確かに見慣れない人物が佇んでいる。見る限りは魔物又は魔人の類いではない、其処から導き出されるのは彼が人間を引き入れたという現実。嫌う存在が視界に入ると、アークは露骨に表情を歪める
「此方はシズさん、町に戻る途中で助けた冒険者の一人だ。此奴はアーク=プロフェッサー、基本的に思考回路が爆発してるマッドサイエンティストだけど偶に頼りになる俺の相棒みたいなヤツだ」
「初めまして、私はシズ。スライムさんに助けてもらった冒険者だよ」
「…………興味ねぇな」
身を翻し、立ち去る彼の背は寂しさを隠す様にも、世界そのものを拒絶している様に見える。何故、彼は孤独を好むのか、リムルにも其れは理解出来ない
「すまない……悪いヤツじゃないんだ」
「うん、其れはなんとなく理解出来たよ。でも………少しだけ寂しそうだね」
相棒の態度にリムルが謝罪すれば、シズは彼に漂う雰囲気を感じ取り、仮面の下で彼に同情する
「俺も全部を知ってる訳じゃないんだけど……アークは前世で人工知能をメインに研究していた科学者だったらしいんだ。人類の生活を良くする為に研究していた………でも、今の彼奴は悪意の塊としての闇を糧に生きている……俺はさ、アークが光の下で心の底から喜びを感じて、顔がくしゃっとなる日を見たいんだ」
今までに見た彼の表情の中に心の底から喜びを見せたモノは存在しなかった。悪意を狩ることだけに執着する彼にとって、喜びは不必要な感情、それでもリムルは彼が本当に笑える未来が来ることを望んでいた
「スライムさんは優しいね。きっと……アークさんにも伝わってるよ」
優しく笑う彼女にリムルも笑い返す。此処にアークが居て、三人で笑い合える日が来ると信じ、顔をくしゃっとさせる
(人類は滅亡するべきだ……其れは何処の世界でも変わらない……だが、本当にそうか?全てが滅びるべき悪であると決め付けるのが正しいのか?)
リムル、シズから離れたアークは自問自答を繰り返す。悪意を生む人類は忌むべき存在、だが彼の中に生まれた一つの問い。其れは主人たるガゼル・ドワルゴの役に立ちたいが故に悪意に染まったベスターの存在、彼は悪意に染まっても己が欲よりも自らの忠誠心を優先していた。其れを滅びるべき悪であると決め付けてしまう事に疑問を抱き始めたのだ
『博士。博士は何故、私を御造りになったのですか?』
『何故か……妙な事を聞くじゃないか。お前は私の娘、其れ以外に理由が必要かな?』
『私は機械です、博士との間に血縁関係はありません。故に娘と呼べる事実関係は存在しません』
『血の繋がり等は関係ないよ。私がお前を作ると決めた日から、お前は私の娘だよ』
頭に過ぎるのは前世の記憶。娘と呼んだ人工知能搭載人型ロボットと交わした他愛もない会話、彼女を作った理由、其れは失ってしまった命に会いたいが故に踏み入れてしまった犯してはならない領域。そうだ、そうだった……自分もかつては悪意を、善意に変え、誰かの為に欲を注いでいたのだと彼は思い出す
「人類全てが滅びるべき悪意であると結論付けるのは時期尚早かもしれねぇな……案外、捨てたもんじゃないな、この世界も」
「アーク様が笑っている…………また拾い食いですね?さては」
「………ホロビ。この馬鹿犬を早急にスクラップにしろ」
「落ち着いてください。後で叱っておきます」
主人の表情に何かを感じたナキの呟きを聞き、処分命令を降すアークをホロビは止める
「………悪意を検知。ナキ!変形しろ!」
「えぇ……イヤですよ……」
「さっさとしろ」
「はい……」
増大する悪意を感じ取り、ナキにバイク化を命じるが数日前の出来事がトラウマになっている彼女は断ろとする。だが、其れを由としないアークに命じられ、嫌そうにしながらも応じる
「まるで別人じゃないか……」
「間違いありやせん!あの人はあの伝説の英雄、爆炎の支配者シズエ・イザワでやす!炎の最上位精霊を宿す最強の
「まじかよっ!?」
「伝説的な英雄じゃない!それって!」
「お前たちっ!離れてろ!」
火柱に気付いたシズの仲間である三人の冒険者が慌てた様子で姿を見せれば、リムルは彼等に退避命令を出す
「リムルの旦那……悪いが、そんな訳にはいかねぇよ。俺たちは冒険者だ、仲間を放っておける程、甘くはねぇ」
「そうでやす。力をお貸しするでやす」
「ほっとけないわ!」
心強い味方、彼等の決意に押され、共闘を黙認するリムル。そして、もう一体、爆音を響かせ、彼は姿を現した
「言っただろ?リム公。人類は滅びるべき悪だってな」
「其れでも……俺は人類を信じたい。だから…力を貸せよ、天才科学者」
「………酔狂なヤローだ。だがまぁ……嫌いじゃねぇ」
相棒の言葉に、不思議と何かを感じた彼は狂気沁みた笑みを浮かべ、愛用の黒羽織の袖から取り出したベルトを腰に装着し、愛刀の滅亡迅雷を大地に突き立てる
《アークドライバー………!》
その声が響き渡ると共にアークの体を黒く、禍々しく、悪意の塊とも呼べる瘴気が包み込む
「変身……」
呟く様に言葉を放つと同時に、空高くに袖から取り出した一枚の黒いメダルを弾き、縦回転せた後、掴み取り、ドライバーに装填する
《アークライズ!滅せよ…滅びせ………悪意を力に……アーク・オブ・仮面ライダー……the deadliest scientist……》
全身を覆う黒と紫色の装甲、仮面に覆われた妖しく光る右眼は紫色に染まり、剥き出しの左眼からは赤い瞳が憎悪を掻き立てる
「ホロビ……ナキ!」
「「……御身の前に!」」
「これより……我々、滅亡迅雷.netは悪意を狩る……」
「「全てはアーク様の意志のままに…」」
イフリート、上位精霊を前に一匹と一体は実力を最大限に発揮!果たして、シズを救えるのか!
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