転生科学者は悪意を貫く。   作:田中滅

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今回の見所!アークさんが慈悲を見せる!以上!


第二章 転生科学者と悪意の目覚め
第十一話 暴走からの我儘


「悪意を検知……炎の精霊か。お前の目的はなんだ」

 

「誰でやす?この人」

 

「なんかわからねぇがカッコいい鎧なのは確かだ」

 

「………………」

 

顕現したイフリートに、会話を試みようとアークは目的を問う。背後に控えた三人の冒険者の中で男性陣は未知の存在である仮面ライダーの姿に期待の眼差しを向けるが、女性であるエレンだけは真顔である

 

「アーク……向こうに会話の意思は感じられない。どうする?」

 

リムルの言葉通り、イフリートに会話の意志は存在していない。上空に浮かぶ無数の火の玉から感じ取れるのは明確な殺意と破壊衝動のみである

 

「策はある……ホロビとナキが彼奴の注意を引く間、お前はランガで回避しながら接近しろ…。火の玉は俺が引き受ける」

 

冷静に思考を巡らせ、状況に適した策を提案するアーク。その策を実行する為、リムルは自らの影に潜んでいたランガを呼び出し、飛び乗る

 

「頼んだっ!そう言えば、アイツらは……」

 

「あっちぃ!あっつ!?」

 

「カバルの服が燃えてるぅぅぅぅ!?」

 

「大丈夫でやすかーーーーっ!!!」

 

「……ランガ!」

 

三人組を心配するも杞憂だったらしく、それなりに立ち回っており、自分たちの策に集中する事に専念しようとリムルは駆け出す

 

「滅びろ……!」

 

「我が爪の餌食となれ!」

 

「水刃!」

 

ホロビの放った毒の矢とナキの爪がイフリートの火球を相殺し、僅かに生じた隙を狙い、リムルが《水刃》を放つも、直撃する前に蒸発してしまい、攻撃が通らない

 

「我が主!精霊種に爪や牙などの攻撃は通用しません!下位精霊であれば、雨などで弱体化するのですが……」

 

「雨か……どうする………待てよ?大賢者!」

 

『告。魔法に寄る攻撃は精霊種に有効な攻撃手段に成り得ます』

 

何かを思いついたリムルが《大賢者》に呼び掛けると、その意図を理解したようで的確な返答が返ってくる

 

「そういうことなら……っ!エレンだったか?俺に水系魔法を打ってくれ!」

 

「うえぇっ!?リムルさんに向けてっ!?」

 

「頼むっ!」

 

「わ、分かった!水氷大魔槍(アイシクルランス)!!!」

 

突然の発言に、驚きを隠せないエレンだったがリムルの眼の奥に何かを感じ取り、水系魔法を放った。すると、リムルが魔法を捕食し、いきなりの事に誰もが目を見開く

 

「イかれてやがる……」

 

「私の魔法を食べたぁぁぁぁ!?」

 

『告。「水氷大魔槍(アイシクルランス)」の解析および習得に成功しました』

 

「よし!水氷大魔槍(アイシクルランス)!!!」

 

驚くアークとエレンを他所に、捕食した魔法を習得したリムルはイフリートに水氷大魔槍(アイシクルランス)を放つ

 

「イかれたヤローだな」

 

「でも何とかなっただろ?後は任せていいんだよな?天才科学者」

 

悪態にも似た褒め言葉を放つ相棒にリムルが不敵な笑みを向ける。その姿に全てを悟り、彼は愛刀を片手に走り出す

 

「滅亡の時だ…滅びろ」

 

彼は空高くに滅亡迅雷を放り投げるも、僅かな隙にイフリートは動きを見せる

 

『………炎化爆獄陣(フレアサークル)

 

刹那、アークを囲うように陣が発生し、燃え上がる

 

「アーク様!」

 

「遂にくたばりましたか」

 

(冷却機能を最大限の数値まで上げれば耐えらない熱量でもないな………ナキは後で解体(バラ)す)

 

敵の術中に陥りながらも冷静に対応策を導き出し、さらりと物騒な発言を放つナキの呟きを聞き逃さないのは流石と言える

 

「滅亡の時だと言っただろ………ライダーキック…!」

 

『!!』

 

炎の中からイフリート目掛け飛来したのは一振りの刀。然も陣から発生した炎の渦を取り込み、燃ゆる刃と化す

 

「後はお前の役目だ」

 

「ああ、任された。お前の敗因は一つ、俺……いや、俺たちを敵に廻したことだ。シズさんは返してもらう」

 

その言葉と共にユニークスキル《捕食者》を使用したリムルに呑み込まれたイフリートは、自分の周囲が暗闇に支配された事に気付き、背後に気配を感じ取る

 

『観念せよ、イフリート。貴様にこの空間は破れん。リムルとアークは我の盟友。貴様の敵う相手ではないわ!!』

 

その気配、ヴェルドラは盟友のリムルとアークの力量がイフリートよりも上位であると語る。その威厳に気負けしたのか、遂に抵抗を辞めたイフリートは唖然とするしかなかった。一方で、呪縛から解放されたシズは倒れるように落下し、リムルをクッションに倒れる

 

「スライムさん……アークさん……ありがとう…」

 

感謝の言葉にリムルは優しく笑い、アークは変身を解き、何も言わずに去っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

「………まだか」

 

「アーク!お前、一週間も何処に!」

 

騒動から一週間、目を覚さない見守っていたリムルの前に姿を見せたアーク。騒動後に姿を眩ませていた彼の登場にリムルは興奮気味に問う

 

「お前に話しても理解できねぇよ」

 

「んだとゴラァ!《大賢者》!何とか彼女を助けてあげられないか?」

 

『告。イフリートとの同化が彼女を延命させていたようです』

 

「なっ……!?じゃあ、俺のやったことは……」

 

失敗じゃない(・・・・・・)、其れはお前が見出した成功に繋がる道の一つだ。あの状況で、お前は最善の策を導き出した」

 

「アーク……」

 

《大賢者》からの申告に自分を責めようとしたリムルであったが食い気味にアークが彼を慰める

 

「スライムさん……アークさん……」

 

「シズさん!?」

 

「…………ようやくか」

 

自分たちを呼ぶ声に振り向くと、うっすらと眼を開けたシズが居た。彼女が目を覚ましたことにリムルは喜び、アークは冷めた視線をを向ける

 

「ずっと側に居てくれたの……?」

 

「まあな。アークは一週間くらい音信不通だったけど」

 

「…………一つだけ聞かせろ。生きる意志(・・・・・)はあるか?」

 

冷めた視線である事に変わりはないが、彼の意外な言葉にリムルは声も出ないくらいなは驚き、シズも初めての会話成立に驚きを隠せない

 

「アーク。どういうことだ?」

 

真っ先に沈黙を破ったのはリムルだった。彼は相棒の態度に僅かな変化を感じ、疑問を投げかける

 

「どういうも何も言葉通りの意味に決まってんだろ」

 

「言葉足らずの間違いだろ。すまん、シズさん……答えてやってくれるか?」

 

言葉足らずにも程がある彼に、ため息を吐きながらもリムルは横たわるシズに問い掛ける

 

「分からないよ………そんなことを聞かれたのは初めてだから………でも………我が儘を言ってもいいなら………私は………」

 

長い旅の果てに、英雄と呼ばれた彼女は生きたいと願う想いを心の奥に封じ込め、理想の英雄であろとした。然し、彼は一言で封じ込めていた筈の想いを呼び覚ました。無機質な声に滲む優しさに自然と涙が頬を伝う

 

「生きたい………生きて、あの子たちにまた会いたい……!!」

 

心からの叫び。何時以来だろう、感情を口にしたのは、二度と会わない、会えないと思った教子たちへの想いを叫ぶ

 

「そいつが聞きたかった。意志があるなら、率直に言わせてもらうぜ………人間をやめろ(・・・・・・)

 

その言葉と共に笑う科学者を前に、リムルは勿論ながらシズも息を呑む。この先に待つ新たな始まりとは……




シズに迫った時間、その打開策は人間をやめること!?アークの目的とは………

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