転生科学者は悪意を貫く。   作:田中滅

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今回の見所!アークさんとシズさんが再会!以上!


第十五話 再会からの揺らぎ

「宴の席は空いているか?リグルド」

 

「こ、これはアーク様!勿論にございます!ささっ……此方へ」

 

宴会が開かれていた村に姿を見せたアークを見るや否、リグルドは彼からの問いに心良く返事を返し、リムルの隣に案内する

 

「おぉ!アーク!お前も来たのか」

 

「アークさんが来るなんて珍しいね」

 

「別に何処に居ようと俺の勝手だ」

 

彼に気付いたリムルは手にしていた串焼きを口に含みながらも、相棒の登場に僅かに驚いた視線を向ける。そして、彼の隣に鎮座していた黒髪の女性も意外な存在の登場に驚きを見せる

 

「アークさんにもらった体だけど気に入ってるよ。彼等には驚かれたけど、命を繋げた事を今は嬉しく思ってる」

 

「勘違いするな、お前は貴重な実験体(サンプル)に過ぎない。進むべき道を見誤った時は……俺が狩るだけだ」

 

女性基シズが感謝の意を示すのに対し、アークは相も変わらず彼女に興味を示そうとはしない

 

「若、姫様……無事で良かった………」

 

宴に参加していたアズは、自分の同郷である里の若君と姫君を見つけ、その安否に安堵感に包まれた表情を見せる

 

「お前こそ。あの後直ぐに里を出て行ってしまったから心配していた」

 

「貴女のお姉さんと妹さんの事は残念でした……私たちに力があれば……」

 

「御二人が無事だった事に比べれば、些細な事よ。今は彼方のアーク様に〝小豆(アズ)〟の名を賜り、配下に降っているわ」

 

亡き同胞を慈しむ姫君とは裏腹に、アズの口から放たれたのは非情な答えと新たに得た名と主人の存在。以前からは想像もしない出来事に姫君は瞳を見開く

 

「貴女が誰かの下に就こうだなんて………其れ程迄の御方だと言うの?アーク様という方は」

 

「見極めは必要かもしれないわ………それでも、彼の方以外に悪意を忠誠と受け取ってくれる方は存在しない。若と姫様も何かを得るなら、其れ相応の対価は必要だと知るには良い機会よ……」

 

「一つだけ聞いても?貴女にあるのは憎しみだけですか?今でも心は……」

 

姫君からの問い、其れに対するアズの答えは決まっていた。捨てた筈の感情、復讐を糧に生きると決め、悪意の赴くままに旅を続けた先で出会ったのは、心亡き機械仕掛けの人形(アークマギア)。彼の導きに従い、名を得た今、かつての主人と呼ぶべき姫君に如何なる答えを返すべきかと思いながらも、彼女は優しく笑う

 

大鬼族(オーガ)の誇りとともに…。今も昔も私は私よ」

 

去り行くアズの背に姫君は変わらぬ彼女の心意に胸を撫で下ろす。姉であり友人であり従者でもあった彼女、かつての優しい雰囲気は消えたと思っていたが根本的には変わっていなかった事を嬉しく思ったのだ

 

「傷の舐め合いは終わったか?アズ。お前が望むなら、彼奴等と行く事を許す……お前が決めろ」

 

「愚問ね………名を得た時の誓いに嘘偽りは無いわ。この命が尽き果てる時まで……我が命はアーク様の意志の下に…」

 

同胞とは違い、陽の当たらない道を歩もうとするアズ。引き返す機会があると別の道を示すアークに対し、彼女は名を与えられた時の誓いを優先し、彼の前に傅き、(こうべ)を垂れる

 

「失礼。アーク殿と申したかの」

 

「誰だ……」

 

宴会も終盤に近付き、眠れぬ体を少しでも休めようと夜空を見上げるアークに声を掛けたのは年老いた大鬼族(オーガ)の男性、その穏やかな雰囲気の裏に見えるのは凄まじいまでの殺気に他ならない

 

「ワシは剣術指南役をしておる者ですじゃ…。貴殿は相当な剣術の使い手と見受けるが、誰に教えを?」

 

「師は居ない……ある理由から、名高い剣豪の知識と経験を学習(ラーニング)しただけだ」

 

「なるほど………ではワシに指南させては貰えらませんかの?貴殿が名を与えたアズは勿論ながら、若を筆頭とした大鬼族(オーガ)に剣術を教えたのはワシでしてな……」

 

「……………考えておく」

 

剣を扱う身としては正式な教えを乞うのは魅力的な提案であるが悪意を持たない魔物と馴れ合いには好意的ではない彼にとっては未知の体験と言える。拒否することも出来たにも関わらず、口から出た本人も予想していなかった一言。悪意を狩ることだけに執着していた自分とは結び付かない別の思想、其れはリムルの掲げる理想に機械仕掛けの体が心を学び始めているに他ならない

 

「アーク様。アズの同胞である大鬼族(オーガ)はリムル様の配下に降るとの事です」

 

「………戦力の増強にはなるだろうな」

 

リムルと大鬼族(オーガ)の若君による会話を聞いていたホロビからの報告に、アークは高い戦力を得たと確信する

 

「其処で、我々も戦力増強を図るべきかと思うのですが……此れは欲しいと、アーク様が欲する種族はございますか?」

 

「ゴブリン、牙狼族、大鬼族(オーガ)と順調に戦力は手にしているからな。此れという種族は無い、逆に問うがお前ならば次に何を狙う……」

 

「戦力になるのは……蜥蜴族(リザードマン)豚頭族(オーク)の二種族でしょう。然し、問題があります」

 

問いを問いで返されたホロビは冷静に思案し、二つの種族を挙げるが問題点があると切り出す

 

「問題………豚頭族(オーク)大鬼族(オーガ)の里を蹂躙した話か。確かに俺も其れは気になっていた、アズにベルトを渡したフードの魔人についても情報が薄い………此奴を使ってみるか」

 

ホロビが答えるよりも前に問題を指摘したアーク。自己完結にも見えるが、彼の意志以上に尊重すべき事はホロビの頭の中には存在しない。故に彼の意志が自分の意志であると確信しているのだ

 

「このマギアは確か……」

 

「以前にナキが拾ってきた鳥だ。既に仕留められていたが、マギアにする事で新たな体を得た此奴に偵察要員としての役割を与えた」

 

アークの視線の先には赤い体の鳥型マギアが鎮座し、今か今かと指示を待っていた

 

「なるほど。ナキだけでは頼りないですからね」

 

「今なんか私の悪口を言いましたね………」

 

「なんだ、生きていたのか?ナキ」

 

自分の悪口を聞き付け、姿を見せるナキに悪態にも似た問いを投げかけるアーク。主人からの意地の悪い呼び掛けに彼女は何時もと変わらないため息を吐く

 

「私を虐める時のアナタは悪意に満ちていますね……そういう所は好きになれそうにありません」

 

「お前に好かれようと思った事は無い………さて、此奴に命を吹き込むとするか」

 

「アーク様……差し出がましいかもしれないけど、聞いても?」

 

「なんだ」

 

鳥型マギアを起動させようとするアークにアズが声を掛け、彼は彼女に視線を向ける

 

「このマギア?を動かすには名付けをする必要があるんじゃないの?」

 

「そうだ」

 

「本来、名付けは相応の対価を支払う危険な行為よ。私に名付けしてから大した時間も経過していないにも関わらず、安易に名付けを行うのは愚の骨頂だと思うわ。名付ける対象によっては膨大な魔素を消費するとも言われているし……少しだけ時間を置くのが得策よ」

 

流れる様に語る姿はアークが今迄に名付けたホロビ、ナキよりも遥かに高度な頭脳から導き出された解答。元々が頭脳派だった可能性の高い彼女は名付けを受けた事により、大鬼族(オーガ)の上位魔人である鬼人にアークの力が混じる形で新たな種族へと進化を遂げていた、その名を機械鬼(アークオーガ)。この世界に生まれた新たな種の一つである

 

「ふんっ……俺に意見するか。見た目はこの短時間で野生さが薄れ、人間に近い容姿を手に入れたらしいな……」

 

「力を得る対価に貴方様の思想を理解しようとしたら、この姿に進化していたわ。角があるだけ、ゴブリンとしての外見を残していないホロビよりはマシだと思うわよ」

 

「ふんっ……言ってくれるじゃないか、新参者。俺は確かにゴブリンとしての外見は影も形もないが、力だけで言えば、大鬼族(オーガ)にも劣らんぞ。其れにだ、アーク様への忠誠は誰よりも高いと自負している」

 

「私はアーク様にくたばってもらいたいです」

 

「お前がくたばれ。駄犬」

 

進化を遂げた喜びを交えながら、他者に対する悪態をアズが吐き捨てれば、負け時と言い返すホロビ、そしてナキは未だに過去の出来事からアークに対する殺意が高く、当の本人は彼女に冷たい視線を向ける

 

「間も無く夜明けだ………リムルの元に向かう、付いてこい……其奴に名付けをするのは奴の結論を聞いてからだ」

 

「「全てはアーク様の意志のままに…」」

 




リムルの配下となり、名を得たオーガ達。彼等の前に滅亡迅雷.netが姿を現す……

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