転生科学者は悪意を貫く。   作:田中滅

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今回の見所!遂にアークさんの関係者が登場!以上!


第二十五話 揺らぐ心からの役職

「仮面ライダーアミティ………善意を力に変える〝ライダーシステム〟の初期データはこんなモノか……初陣としては悪くない」

 

封印の洞窟付近にある研究所、此度の戦争に於ける新たな〝ライダーシステム〟を使用した仮面ライダーに関するデータを纏め、更なる戦力の増強に邪悪な笑みを見せる少年の名はアーク=プロフェッサー、滅亡迅雷.netを束ねる長である

 

「アーク様。御言葉ですが……会議には御参加されないのですか?」

 

「ホロビか……心配するな。会議にはアズとジンを向かわせた、俺が出向くよりは適任だろうからな」

 

背後から聞こえた忠実な右腕でもあるホロビからの問いに、振り返らずに答えを返すアークの声は相も変わらずに無機質であり正気を感じられない。其れもその筈、彼は機械仕掛けの体を持つ〝機械狩人(アークマギア)

と呼ばれる種族、故に彼には〝心〟も、〝夢〟も存在しない。生きる為に悪意を狩り、糧とする、そういう存在なのである

 

『アーク様。アズよ』

 

「どうした?会議に不備でも生じたか…」

 

刹那、頭の中に響き渡るのは頭脳派でもあるアズの声。突然の彼女からの連絡にアークは問いを投げかけた

 

『不備は無いわ。けれど……リムル様の言い分がね……オークの罪を咎めずに御自分で背負うと言っているのよ。如何致しますか?』

 

「はぁ………何処までも酔狂なヤローだ…罪を咎めずに背負うだと?何を考えている……アズ、俺も出向く」

 

『畏まりました』

 

相棒の酔狂過ぎる決断を聞き、研究の手を止めたアークは身を翻し、壁に立て掛けていた愛刀を手に取る。同時に彼が軽く指を鳴らすと、前方に揺ら揺らと揺らめく銀色の幕が姿を現した

 

「リムル……突然だが俺にも参加する権利はあるな?」

 

「アーク!?お前どっから…!」

 

銀色の幕を潜り抜けた先は会議室、何の前触れも無い唐突な相棒の来訪にリムルは勿論ながら、会議に参加していた配下並びに来訪者たちも目を見開く

 

「細かいことは気にするな……それで?アズからの報告では、オークの罪を咎めずに自分で背負う………そう言ったらしいな?」

 

「ああ……何も俺は無作為にこの決断を降した訳じゃない……良く考えた上での決断だ、コイツらが何故、あんな事をしなければならない状況に陥ったのか………もしも、同じ立場ならば、リザードマンも同様の判断をしたかもしれない………そう考えた……。違うか?首領」

 

「…………確かに一理ある。しかし、それは建前に過ぎない、貴殿の本音を伺いたい。構わぬか?盟主殿」

 

「本音も何も、オークの罪は俺が引き受けた。だから、文句なら俺が聞いてやる。正義を、筋を通すってのはそういうことだ。これが俺の〝善意〟………異論がある者は前に出ろ」

 

リムルの決意、其れは筋の通った言葉に誰もが納得を示す中、納得のいかない者たちも存在した

 

「お…………お待ちいただきたい!いくらなんでも、それでは道理が………!」

 

「道理がどうした……我を通す為ならば、手段を選ぶ必要は無い……上に立つ者はそれを覚悟しなければならない……〝大いなる力には、大いなる責任が伴う〟……違うか?豚頭魔王(オークディザスター)の息子よ」

 

「そ、それは………そうですが……」

 

待ったを掛けたのは、生き残ったオークの中でも一番の権力を持つ豚頭魔王(オークディザスター)ゲルドの息子である豚頭将軍(オージェネラル)。しかし、その反論を打ち消す様にアークの鋭い横槍が入り、彼は言葉を失う

 

「御言葉だが、アーク殿。其れは少々狡い御答ではないか?」

 

「狡い……確かに合理的とは言えないだろうな。俺自身も納得しているか?と問われると、簡単に首を振りはしない……だが、時には狡さも必要だ。其れに…魔物には不変のルールがあると聞いた」

 

「アーク様の言う通りよ。私たちは里を蹂躙され、オークを恨んだ……けれど、それはオークの力を侮った私たちの驕りが招いた事態……立ち向かった時点で覚悟は出来ていたわ」

 

「アズの言う通りだ。俺たちも里を滅ぼされた事を許すつもりもないが、次があれば、同じ無様は晒さない。そうだな?お前たち」

 

ベニマルの発言に鬼人全員が首を縦に振る。其れはリムルの決定に従うという事を示していた

 

「なるほど………ですが、一つ、どうしても確認させていただきたい。貴殿等はオークをどうなさるおつもりだ?罪を問わぬということは、生き残った彼等全てを、受け入れる………そういう解釈になるが?」

 

「奴等の罪を背負ったのは、リムルの意志だ……俺に聞くのは見当違いだ」

 

「心配するなよ、アークに首領さん。確かに数は減ったがオークは十三万もの大群だ。そこでだ、俺は考えた」

 

首領の疑問に頷きながらもリムルは企み笑顔を見せ、その様子にアークは興味を持ち、会議を傍観する事にしたらしく、壁に凭れ掛かる

 

「考えとやらを聞かせてもらおうか?リムル。実現に値するかどうかも含めてな」

 

「ああ……今後、リザードマンには良質の水資源と魚を。ゴブリンからは住む場所を。俺たちの町からは、加工品を提供し、その見返りにオークは労働力を提供してもらうものとする。ジュラの大森林の各種族間で、大同盟を結び、相互に協力関係を築く。多種族共生国家とか出来たら、面白いと思わないか?勿論、無理にとは言わない……」

 

「相変わらずの夢物語だな?わらびもち」

 

「うるさい、帰れ」

 

夢物語、絵に描いたような絵空事、机上の空論。相変わらずの相棒の考えに呆れ、肩を竦めるアーク、流れるように放たれた罵倒にリムルは苛立つ

 

お前らしい答えだ(・・・・・・・・)

 

しかし、続いた言葉は優しいモノだった。声は相変わらずの無機質であるが僅かに優しくも聞こえた言葉、普段は多くを語らない彼からの賞賛とも取れる言葉にリムルの表情も自然に綻んだ

 

「わ………我々が………!その………同盟に参加させて貰えると言う事ですか?」

 

「帰る場所も行く宛もないんだろ?居場所は用意してやる。だから其れ相応の成果を上げてみせろ。分かったな?」

 

「ははっ……!」

 

「「はっ!!!」」

 

新たな居場所と仕事、生きる意味を得たオーク達は歓喜の声を挙げる。次にリムルはリザードマン側へと向き直る

 

「リザードマンはどうだ?」

 

「是非、協力させていただきたい」

 

「トレイニーさんは?」

 

「宜しいでしょう。私の守護する樹人族からも、森の実りを提供いたしましょう。当面、オーク達の飢えを癒す事は、出来るかと思います」

 

「おおっ………!」

 

リザードマン、森の管理者からの確約も取り付け、話が綺麗に纏まったと思った瞬間だった

 

「では………森の管理者として、私、トレイニーが宣誓します。リムル様を、ジュラの大森林の新たなる盟主として認め-----」

 

「盟主っ!?ちょっと待って!なんで俺っ!?アークもいるだろ!」

 

「生憎だが…堂々と光を歩むつもりは無い。役職を持てば…動きが制限されるからな。俺はやりたいようにやる」

 

そう告げるとアークは軽く指を鳴らした。刹那、前方に揺ら揺らと揺らめく銀色の幕を出現させる

 

「アーク……なんだ?それ」

 

「俺が所有する時空間移動スキルの《オーロラカーテン》だ。空間と空間を繋げ、自由自在に移動が可能なスキル……歩く手間が省けるから重宝している…」

 

「へー……教えてくれるか?そのスキル」

 

「無理だな。お前の魔素量で扱える代物じゃない……今はまだな」

 

《オーロラカーテン》を知りたいリムルに対し、即答で返すアーク。しかし、僅かにその口元は綻んでいるようにも見えた

 

「そうか……あっ、そうだ!盟主をやらないならさ、前に言ってた技術顧問をやってくれないか?お前の知識を貸してくれよ」

 

「……………考えておく」

 

呟くように答えを返すと、《オーロラカーテン》を潜り抜け、アークは研究所に帰還する。背後には会議に出席していたアズとシズの姿もあった

 

「アーク様……以前にも同じ提案をされた時は断ったと聞いていたけど……何故、今度は考えておくなの?」

 

「それは私も気になってた。アークさんは技術を漏洩させたくないから、技術顧問の役職に付きたがらないってリムルさんから聞いてたけど……」

 

去り際にリムルと交わした何気無い会話、アークからすれば世間話程度の認識であるが、以前の彼からは想像も付かない答えにアズやシズは勿論であるが会議の内容を共有していたホロビたちも困惑していた

 

「この世界も捨てたもんじゃない………そう思っただけだ……今でも人類との共存に関しては否定的な事に変わりはないし、この先も其れが揺らぐことは有り得ないだろう……。だが……見てみたくなった(・・・・・・・・)……リムルの掲げる理想を。例え……其れが、夢物語で、絵に描いたような絵空事で、机上の空論だとしても……俺は、見たいと思ってしまった(・・・・・・・・・・・)

 

不思議だった、そう語るアークの横顔は普段の冷静な雰囲気でも、悪意が全面的に出ている好戦的な雰囲気、その両方でも無かった。まるで、何かに想いを馳せる瞳で、流れ行く雲が浮かぶ青い空を見上げていた

 

「アークさんの言いたいこと……何となくだけど理解出来るよ、私も。確かに、リムルさんの目指す世界は実現が難しい理想なのかもしれない………だけど、私は恩人を信じるって決めたから、其れがアーク様の意志なら、従います」

 

「ジンの言う通りね。我々は忠実なる貴方様の配下……その意志に逆らうことなんか絶対に有り得ないわ」

 

「右に同じくです。このホロビ、アーク様に二度目の命を与えていただいた日より、貴方様の御意志に従うと決めています」

 

「私も気は進みませんが………アーク様の役職が上がれば、寝首を掻いた時に箔がつきますから……意志に従いますよ」

 

「アンタには恩があるからな、何があろうと意志に従うぜ?俺たちの悪意はアンタのモノだからな」

 

「ククッ………クハハハハ!」

 

目の前に五体の魔人が傅き、頭を垂れる。其れと同時に大地に愛刀を突き立てる金髪の少年は邪悪な笑い声を挙げた

 

「其れでこそ、我が忠実なる滅亡迅雷.netだ。良いだろう……お前たちの悪意を、このアーク=プロフェッサーが改めて引き受ける。今後も、俺に仕えろ」

 

「「「「「全てはアーク様の意志のままに…」」」」」

 

悪意を狩る狩人、自らをそう名乗る者に仕えた五体の魔人。彼等の名も後世には存在しない、語り継がれるのは〝滅亡迅雷.net〟という組織名のみ。悪意を糧に、闇に生き、影を歩んだ者たち、と歴史書に綴られている

 

「…………プロフェッサー。お久しぶりです……私を覚えておいでですか?」

 

不意にラストネームを呼ばれ、アークは背後を振り返る。懐かしい声、自分を呼ぶ声、有り得ない、そう感じながらも彼は振り向いた

 

「その手にあるのは……俺のガスマスク……まさか……いや、有り得ない……だが……有り得ないなんて事は有り得ない……お前……〝ロゼッタ(・・・)〟……なのか?」

 

振り返った先に佇んでいたのは、赤いメッシが特徴的な銀色の長髪を靡かせた美しさを感じさせる同時に儚さも同居させた様な美少女。最初こそは身形が違う彼女を否定するも、その手に握られた一つのガスマスク、其れを見たアークは驚きを感じながらも、美少女を〝ロゼッタ(・・・)〟と呼んだ

 

「はい……貴方様の〝()〟のロゼッタです……!御会いしとうございました……我が父!〝プロフェッサーA(・・・・・・・・・)〟」

 

「ん?今なんて?この人……私の聞き間違いだよね?」

 

「当たり前だ、ジン。アーク様に御息女がいらっしゃるなんて聞いたこともない」

 

「でも、嘘を言っているようには見えないわよ?ねぇ、ナキ?」

 

「別にどうでもいいです……アーク様に娘が居たとしても関係ありませんし……今すぐにでも息を止めてやろうか……このポンコツ…」

 

「ナキ……テメェは言葉を選べよな。それに、お前らも落ち着け。まだ、肝心のアーク様が娘だって認めてねェだろ」

 

衝撃の発言に、困惑するシズ、冷静ではあるが目が泳いでるホロビとアズ、相も変わらず物騒な発言が目立つナキ、其れ等を咎めるイカヅチ。妙な関係性が出来上がりつつある彼等。しかし、衝撃はこれで終わりではなかった

 

「ロゼッタは正真正銘、俺が一から創り出した最初のマギアであり、俺の最期を看取った娘だ」

 

「「「「「ウソだろっ!?」」」」」

 

この日、流石に〝滅亡迅雷.net〟も衝撃に驚きを隠せず、その叫びは大森林中に木霊したとされるが、その真意は誰も知らない……何故なら……此れは闇を生きた機械仕掛けの魔人の物語だからである…




アークの娘を名乗る少女、その名はロゼッタ。何故、彼女はこの世界に?そして、彼女が語るもう一人の娘の存在……果たして、アークの過去になにが……?

NEXTヒント ロゼッタとゼア

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ヒロインは誰がいい?

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