「………なんだ、この気配は。何処かの馬の骨が我が領域の土を踏んだか………ホロビ!」
「お呼びになられましたか?アーク様」
自らの領域に足を踏み入れた気配、其れに気付いたアークの呼び掛けに応じたホロビが姿を現し、その前に傅いた
「我が領域に足を踏み入れた者たちがいる……警備はどうなっている。言い訳を聞いてやる……話せ」
「はっ…!此度の侵入者は人間の冒険者が数名との報告が上がっております。恐れ多くもアーク様に報告する事ではないと、このホロビの一存でアーク様への進言が遅れた次第です」
侵入者が忌み嫌う存在たちであった事を知り、アークの仏頂面に僅かな怒りが浮かぶ。その変化に気付きながらも、ホロビは彼の次なる言葉を待つ
「人類の侵入を許しただけでは飽き足らず……俺への報告を怠るとは、お前は何時から、それだけの地位を得た……立場を弁えろ」
「申し訳御座いません…如何なる処罰も覚悟しております…。ですが、全てはアーク様を御慕いするが故の行いであると申し上げます」
命令違反、それはアークに対する裏切りを意味する。しかし、ホロビも裏切るつもりで、その報告を怠った訳ではない。主人であるアークを思うが故の行動、故に彼は如何なる処罰も受け入れる覚悟を決めていた
「アークさん。ホロビを叱らないであげてもらえるかな?今回の件は私に関係あるんだ」
「ジン!控えろ!アーク様の前だ!」
「構わん……何が言いたい?ジン」
その様子を見ていたのか、姿を見せたシズがホロビを叱らないように咎める。主人であるアークに意見をするのは基本的に許されることではないが、シズの場合は其れを関係ないと言わんばかりに進言する時がある。今回の場合も其れに該当し、何を言っても無駄だと悟っているアークは彼女の発言を許した
「侵入したのは、私が人間だった頃に旅をした冒険者たちと其れ等を束ねる長……恐らくはアーク様、引いてはリムル様たちに危害を加えるつもりはない人間たち……だから、此度の件はこのジンに預からせていただけませんか?無論、如何なる処罰も覚悟しています」
真っ当な意見にして、かつての自分に関係する者たちであるが故に自分に一任してほしいと発言するシズ。その様子にアークは未だに傅いたままのホロビに視線を向けた
「…………ホロビ。お前はどうする」
「………ジンの意見に賛同します。ですが!命令違反は重大な罪!アーク様の御采配に従いたく存じます」
「そうか………ならば、ジンに手を貸せ。この件はお前たちが請け負え。異論は認めん」
「「全てはアーク様の意志のままに…」」
率直な意見には耳を傾ける、それがアークのやり方。傅き、頭を垂れるホロビとシズにその行く末を託し、去り行く背を見送る
「一体、どういう心境の変化なの?アーク様が人類の侵入を許すなんて……何かあったのかしら?私たちが知らない間に」
次に現れたのはアズ、相変わらずの彼女はアークに問い掛けながらも、程良い感触の胸を背中越しに当てる
「アズ……お前、何を知っている」
「何も知らないわ。だけど……大規模な時空転移に気付かない程に私はバカじゃないの。アーク様が何をしたかは知らないけど……其処で何かしらの出会いがあったんじゃないかと推測しただけよ」
「………無かったといえば、嘘になるな。少なくとも、まだまだ発展途上の悪意……この先、ヤツが如何なる道を歩むかはヤツ次第だ。〝
かつて、この世界とは異なる世界でアークが出会った青年。その者も仮面ライダーの力を持つ戦士だった。しかし、悪意を狩る為に生き、闇を歩むのが普通のアークとは裏腹に青年は誰かを守る為に力を振るっていた。其れが僅かに心境の変化を及ぼしたのだろうか、アークの中で確実に何かが変わり始めていた
「ちょっと妬けるわね…私の知らないアーク様を見損ねたみたいで……ねぇ?ナキもそう思わない?」
「そんなポンコツを知ったところでどうなると言うんです……いっそのこと、別世界でしたか?其処で是非ともくたばってもらいたかった…」
「アズ。この馬鹿犬をスクラップしろ」
「早まらないで、アーク様。ナキはあとで何時も通りにジンが叱ってくれるわ」
「…………ジンだけはやめてください、話が長いから苦手なんです」
今日もアークに辛辣な態度のナキであったが、ジンの名を聞いた瞬間に震え出す。何が彼女をここまで追い詰めるのかは不明だが、それだけの支配力があると捉えるべきなのだろうという決断に至るのは火を見るよりも明らかである
「我が父。人類側の代表者が対話を求めています」
「そうか、報告を御苦労……我が娘よ。既にホロビとジンは会議場に向かっているハズだ……我々も向かう」
「「全てはアーク様の意志のままに…」」
「我が父の意志に従います」
その発言を待っていたと言わんばかりに、アークは身を翻し、壁に立て掛けていた愛刀を手に取り、軽く指を鳴らし、前方にゆらゆらと揺らめく
「この会議、俺にも参加の権利はあるな?リム公」
「アークか。ホロビとジンから顛末は聞いている……丁度、お前の意見も仰ぎたかったんだ。フューズさん、同席する事を許してやってくれるか」
「私が拒む理由等はありません。貴殿がアーク=プロフェッサー殿でよろしいか?私はフューズ。ブルムンド王国の
「エレン………ああ、其処の人間たちか。久しいな」
自己紹介と共にアークの噂を聞いていると口にするフューズ。その発言の中にあった名前に該当する者たちが居たことに気付き、久々の再会に無機質な声色で労う
「私が来た理由は、十月ほど前に森の調査を依頼した此奴等からの報告を受けました。先ずは、ギルドの英雄を丁重に弔ってくれた事に感謝を……御礼が遅くなり申し訳ない」
ギルドの英雄、その言葉が差す人物をリムルは知っていた。その人物は表向きには姿を消したことになっている、その人物が今も生きている事を知るのは一握りに過ぎないが、エレンたちはフューズに真実は告げていない様子だ。それもその筈、姿を消した
「アーク様。発言と素顔を晒す許可をいただきたく思います」
「ジン……其れが何を意味するかを理解しているのか?お前は表舞台から退いた、その素顔を晒す事はお前が悪意を拒否したと判断するが構わないな?」
「ですが…恐れながら、アーク様。私はマギアである前に元は人間です…。こればかりはアーク様の命令であろうと従う訳にはいきません…どうか、寛大な判断を」
悪意を狩る為に生きるアーク、光と闇の二つを知るが故に何方でも生きたいと願うシズ。相反する二人の考えに周囲に張り詰めた空気感が伝わってくる
「好きにしろ……其れがお前の意志なら、俺が口に出すのは管轄外だ」
「ありがとうございます、アーク様。それでは……主人からの許しも得たから、此処からは〝シズエ・イザワ〟としての発言をさせてもらうね」
その揺らがない決意に折れたらしく、シズの発言を許したアークは壁に凭れ掛かり、其れ以上は何も語ろうとなしなかった。其れにシズは感謝の意を述べ、身に付けていた仮面を取り、その素顔を晒す
「シズエ・イザワ……!?」
「久し振り……フューズ。どうか、彼等を叱らないであげて…私は既に人を捨てた身、今となってはギルドの英雄だったのも過去の話…私はね、生きる為に人である事を捨てたの」
かつての友人であるフューズに素顔を晒し、驚きを見せた彼に自分の状況を語るシズ。髪色、服装は異なるが優しい眼差しと声だけは変わっておらず、彼女に会えた喜びに涙を流す
「アーク殿……我がギルドの英雄を救っていただいきありがとうございます。貴方には感謝してもしきれない」
「単なる気まぐれだ…俺は人類に加担するつもりは無い。其れに処理するべき厄介事も残っている……イカヅチ、この前に来た獣モドキの動きはどうなっている?」
感謝の意を述べるフューズの手を取ろうとはせず、偵察に出ているイカヅチに連絡を取る。彼からすれば、シズの仲間だったというだけで、協力関係には無い人類に過ぎず、その手を取ることは意味がないと判断したのだ
『おう!アーク様か!あのヤローなら、今んとこは大人しいもんだぜ?なぁ!ソウカ!』
『イカヅチ!お前は声が大きすぎる!これはアーク様だけじゃなく、リムル様にも繋がっているんだ!少しは声量を抑える努力をしないか』
「だそうだが?リムル」
「今はまだという訳か……ありがとう、ソウカにイカヅチ。二人はそのまま監視を頼む」
『『かしこまりました』』
「それで?本当の用件を教えてもらえるか?わざわざ、其れを伝える為だけに
リムルの問い掛けに、フューズの目付きが鋭くなり、一気に空気が変化する。アークも同様らしく、壁に凭れてはいるが、その答えを待つ
「数ヶ月前の事です。ブルムンド王国の
「なるほどな……ガゼル王来訪の時と同じ理由だったか」
「ドワーフ王…………が来たのですか?」
「ああ……なんでもリム公を見定めにきたらしい。最終的には盟約を結ぶという形に落ち着いたがな」
「はい………?盟約………!?」
聞き間違いだろうか?と言わんばかりの表情で、フューズはアークの言葉に疑問を抱く。刹那、扉を叩く音が響き、一人の男性が入ってくる
「失礼します。リムル様、例の回復薬の売り方についての御相談を…………あっ、来客中でしたか、失敬。其れにアーク様も御一緒でしたか」
「ベスターか……今は会議中だ。要件は後でリムルに聞かせろ。俺のことは気にするな」
「それでは後ほど…アーク様にも意見をいただきたいのですが…」
「………気が向いたらな」
「ベスター…………………ん?ベスター?ドワルゴンの大臣のベスターか!?」
「そうだよ、元大臣だけどな。今はカイジンに匹敵するウチの優秀な研究者兼技術者だ」
(あの伝説鍛治師まで!?)
次々と飛び出す名前にフューズの脳内処理が追い付かず、遂に彼は固まった。回復までに暫くの時間が必要と判断し、次にもう一組の来客に視線を映す
「エレン。聞いてもいいかな?其方の方々はどういったお知り合いなの?」
「全然知らない人だよぉ?シズさん。わたしたちも此処に来る直前に知り合ったばかりなの」
「ふむ……君等もブルムンドの
「あ、いえ私達は………」
「………その前に聞かせてくれ。なんでスライムが喋ってんだよ」
誰もが気にも留めず、触れようとしなかった核心をリーダー格であろう男が突く。その発言に空間が凍り付いた
「だっておかしいだろ!?スライムだぞっ!後ろの強そうな奴等を差し置いて、こんなぷるぷるした奴が偉そうにしてんだよ!?其れに其方の爆炎の英雄を従えてるのも若僧じゃねぇか!何がどうなってんだぁ!?」
「ホロビ。手段は問わん、この身の程知らずを早急に処理しろ」
「アーク様。御気持ちは御察し致しますが今は穏便に事を運ぶべきかと思われます」
「ホロビがやらないのなら、私に任せてもらえないかしら?アーク様」
「アズに遅れは取らないよ。アーク様だけには飽き足らず、リムルさんもコケにしたのは見過ごせない……君は私が始末する」
「ふわぁ………どうでもよくありませんか?正直、私も怒りを抑えるのが精一杯ではありますけどね…」
「…殺気立つな……我が配下たちよ…」
殺気立つ滅亡迅雷.net、敵意を隠そうともせずにフォビオに啖呵を切る彼等を咎めたのは、アーク。彼は壁に凭れ、呆れたように問う
「「「「全てはアーク様の意志のままに…」」」」
「またしても騒がせたな…リム公。此奴等には厳重に言い聞かせておくことにする」
「お待ちください!この失礼な者にはよぉ〜く言い聞かせるべきです!」
「シオン、アーク様が仰ったばかりじゃない。リムル様を慕う気持ちは解らなくもないけれど、この場はアーク様の顔を立てて欲しいわ」
「むむっ………姉者がそこまで言うのなら……仕方がありませんね…」
「どうやら、其方のねーちゃんは其処のオッパイよりは話せ---おぐっ!?」
瞬間的に放った言葉にシオンは愛刀の剛力丸を、アズは何処からか取り出した巨大な鎌を振り下ろす。無論、騒ぎを避ける為に刃の無い方向での峰打ちである
「口は慎みなさい?次は確実に削ぐわよ」
「アズ…シオン…お前たちは退がれ。話をややこしくするだけだ」
「「は……はい…」」
呆れた声でアズとシオンを咎めたアークは彼女たちを退がらせ、首でリムルに会議を進めるように促す
「其方の人、すまないが話を聞かせてくれるか?」
「私たちはファルムス王国から来た調査団で、私はお目付役のロンメル、此方は団長のヨウム。此方に御邪魔したのは成り行きですが、調査対象の
ロンメルと名乗った青年の話では、自分たちは強欲な領主に金で雇われた寄せ集め集団で正規に組まれた調査団ではない。更に言えば目付け役を命じられたロンメルは対象を強制的に従わせる魔法で彼等の裏切りを防止していた、事もあっさりと漏らす
「なるほどな………だったら、取り引きをしないか?アーク…頼んでおいたモノは完成してるか?」
「見縊るなよ?抜かりはない……ヨウムだったか?お前に問う」
リムルの企み笑顔に、アークも邪悪な笑みを見せ、ヨウムに対し、鞘に帯刀した状態の愛刀を向ける
「
「……………………はい?」
英雄にならないか?と提案されたヨウム、彼が出す答えは……?
NEXTヒント 英雄
アークさんのヤバさに惚れたら、お気に入り登録お願いしまーす。コラボとかも気軽にメッセージ飛ばしてくれたら、反応しまーす
ヒロインは誰がいい?
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ナキ
-
アズ
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ヴィオラ(ウルティマ)
-
ジョーヌ(カレラ)
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ブラン(テスタロッサ)
-
ラミリス