転生科学者は悪意を貫く。   作:田中滅

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今回の見所!ダブルライダーキックが熱い!


第三十五話 災厄からの手加減

「全ては我が意志のままに……悪意と恐怖の前に平伏せ……今宵が…お前の…滅亡の日だ」

 

全身を覆う黒と紫色の装甲、腰に追加された腰布には罅割れの模様が装飾され、仮面に覆われた妖しく光る右眼は紫色に染まり、剥き出しの左眼からは赤い瞳が憎悪を掻き立てる。その姿は悪意と破壊、二つの欲望を一つにしたことにより、得たグラッジの新たなる姿。その佇まいは威風堂々の名利に相応しいと呼べる

 

黒炎獄(ヘルフレア)!!!」

 

開戦の狼煙を上げたのは、ベニマル。黒い炎が暴風大妖禍(カリュブディス)を起点に円形状に広がり、空泳巨大鮫(メガロドン)を呑み込む。然し、『魔力妨害』の影響下にある暴風大妖禍(カリュブディス)への被害は皆無、本来は塵一つも残さずに焼き尽くす威力の黒炎獄(ヘルフレア)。その力を持っても、焼き焦げたのは、空泳巨大鮫(メガロドン)一匹程度で未だに状況は変わらない

 

「お供が焦げただけか。聞きしに勝る厄介さだな」

 

「ええ、それに範囲内に捉えた筈の本命は痛痒を感じていないようです」

 

「リム公。悪意の根源は俺が引き受ける……お前はベニマルや滅亡迅雷net.と周りの雑魚の相手をしていろ」

 

「珍しいこともあるもんだな。何時もなら、闇を生きる俺には関係ないとかなんとか言うクセに」

 

暴風大妖禍(カリュブディス)を見上げ、珍しくも自分に任せろと発言した相棒の姿にリムルは驚き、彼に視線を向けた

風に棚引く腰布は未知なる力を演出するように、ゆっくりと棚引き、その手に握られた愛用の刀は今か今かと戦場という名の死に場所を欲し、頼もしい彼は其処に佇んでいた

 

「役立たずは指でも咥えていろ。視界に入ると目障りだ」

 

暴風大妖禍(カリュブディス)よりも先にお前からサヨナラすんぞ」

 

「そうか、街が滅んでも構わないらしいな」

 

「マジですんません!お願いします!アークさん!」

 

「最初から、そう言いやがれ……わらびもちが」

 

変わり身の早い相棒に呆れながらも、愛刀を握る手に力を込めるアーク。更に新たなる力を得たが故にライダーシステムの副作用が起こす侵蝕が早まり、その思考を悪意に染めていく

 

「俺たちは空泳巨大鮫(メガロドン)を殲滅する!各隊で一体ずつ、相手にしろっ!」

 

「各隊………我々はやはり、同じ隊らしいな」

 

「えっ?なんかこれ、私も戦う感じですか?」

 

「なにを当たり前のことを言ってるの?ナキ。アーク様の御命令を無視すると……どうなるかは理解できるよね?」

 

「ひっ……!」

 

「はっ!んなことよりも、あのデカブツにカミナリ落とすのが先だろうが!」

 

「品がないわね……野蛮人の集まりだから、当たり前のことではあるんでしょうけど…でも、それは私も同じ。我こそ、偉大なる悪意の化身にして稀代の天才科学者……〝 アーク=プロフェッサー〟様が配下……その名を」

 

「「「「「滅亡迅雷.net……我等が主人の名の下に悪意を狩る……滅亡せよ」」」」」

 

堂々と名乗りを挙げ、前線に躍り出る五体の魔人。それに伴い、各隊、空泳巨大鮫(メガロドン)を見据え、真っ直ぐと駆け出した

 

「射抜け……毒蠍隊…!」

 

「やれやれ…戦闘しか頭にない輩はこれだから困りますね……ランガたちと連携でもしますかね、私は…」

 

「焼き尽くせ……ライダーパンチ…!!」

 

「はんっ!!生温ぃな!!野郎ども!!カミナリ落としてやりやがれ!!」

 

「血気盛んなのは構わないけど、アーク様の邪魔だけはしないようにしなさいよ?イカヅチ」

 

ホロビが率いる毒蠍隊と呼ばれたソルドたちが矢を放つの横目に、ランガたちと合流したナキは洗練されたチームワークを発揮し、イフリートに変身したシズは炎を纏わせた拳を振り抜き、意気揚々とイカヅチは従えたソルドたちと駆け出し、呆れた眼差しで彼を咎めながらも携えた大鎌を手足の様に操るアズの器量の高さは群を抜いていた

 

「アーク。今、ハクロウが仕留めた空泳巨大鮫(メガロドン)で最後だ」

 

「確認した……待て、何か聞こえる」

 

「なんだ、この不快な音は……!」

 

暴風大妖禍(カリュブディス)を見据えていたアークの機械仕掛けの耳が逸早く捉えた音、それに気付いたリムルも不快感極まりない音に表情が一変する

 

「リムル。背後は任せる………やれるよなァ?」

 

「誰に物を言ってるんだよ。任せろ、アーク」

 

「ククッ………クハハハハ!やっぱり……お前…最高だぜ!」

 

不快な音と共に降り注ぐ鱗の雨、一瞬の油断が隙を生じる中を真っ直ぐにアークは駆け出した。空気を足場にするかの如く、跳躍したかと思えば、愛刀に手を掛け、その場にいる誰よりも、あらゆる魔物よりも、彼は空高く飛び上がった

 

「《暴食者(グラトニー)》」

 

一瞬だった。絶え間なく降り注いでいた暴風大妖禍(カリュブディス)の鱗はリムルが新たに会得したスキル《暴食者(グラトニー)》の効果で、《捕食》と《腐食》の二つが重なり合った力は圧倒的にして規格外。無数に降り注いでいた鱗は一瞬で消え去る

 

「悪意検知………滅亡の時だ…滅びろ。ライダーキック…!」

 

「喰らい尽くせっ!!ライダーキィィィィィック!」

 

魔素を極限までに高めたアークは手にしていた愛刀を抜刀すると柄に蹴りを叩き込み、暴風大妖禍(カリュブディス)の表面を削ぎ落とす。更にリムルの《暴食者(グラトニー)》を応用した蹴りも完全に倒すに至らなかったが一部を《腐食》させる

 

「ちっ……狙いが逸れやがったか……」

 

「俺も流石に本体までは喰えなかった」

 

「《腐食》が効いたじゃねーか、それだけでも失敗たぁ言わねぇだろ……」

 

「まぁ、そうなんだけどさ……それで次の作戦はあるか?」

 

「あるか、んなもん。テメェで考えろ」

 

「急に冷たい!?」

 

流石に大技でも傷付けることしか出来ないと理解した瞬間、先程までの頼もしさは何処にと言いたくなる投げやり気味に突き放す相棒にリムルは突っ込みを放つ。其処からは、樹妖精(ドライアド)三姉妹が合流し、ドワーフの天翔騎士団(ペガサスナイツ)による援軍で、十分以上に戦力を増強した総攻撃で無事に撃退する事に成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「計算した時間から、かなりの時間が経ってんじゃねぇか……流石にこれ以上のライダーシステムの使用は……体に負担がデケェ……さて、どうしたもんか…」

 

優勢と思われた戦況は明らかに劣勢を極めていた。暴風大妖禍(カリュブディス)にも消耗は見えるが、テンペスト側の被害も深刻で、回復薬(ポーション)が尽きかけている為に怪我人の治療も満足に出来ない状況に、仕切り直す事も視野に入れ始めるアーク。思考を巡らせ、持ち前の学習能力(ラーニング)で得た行動予測から、新たなるアプローチを鑑みる

 

「…………核……おい、リム公。あのバケモンの核が何か解析とか出来るか?」

 

「ん?ああ、ちょっと待ってくれよ………うん?あっ!コイツ!おい!ミリム!」

 

アークの問いから始まった解析で何かに気付いたリムルは側に居たミリムに声を掛けた

 

「うむ、覚えがあるのだ。確か前に来たフォビオだったか?そやつの気配を感じるぞ」

 

「やはりか………なら、話は変わってくるな」

 

竜眼(ミリムアイ)》で確認すると、暴風大妖禍(カリュブディス)の体内にフォビオの反応があり、それを聞いたアークは変身を解くと、ミリムの方に視線を向ける

 

「アーク!あいつ、私の名前を言ってないか?という事は私の客と考えてもいいか?いいよな?」

 

「らしいな……好きにしろ」

 

「頼めるか?ミリム」

 

「任せるのだっ!」

 

「最後に、彼奴には尋問がある。くれぐれも息の根だけは止めるな」

 

「分かったのだ!アーク!実はな!最近ちょっと手加減を覚えたし、丁度いいのだ」

 

((覚えた………?))

 

自分絡みと理解した瞬間に、暴風大妖禍(カリュブディス)に向かっていくミリム。アークからの手加減要請を快諾し、手加減を覚えたと口にする彼女に、リムルも、アークも違和感を覚える

 

「これが………手加減というものだ。竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)!!!」

 

その言葉と共に放たれた青白い光を纏った無数の気弾は暴風大妖禍(カリュブディス)を撃墜し、十時間も苦戦した怪物が僅か一瞬で塵芥と化す。解放された事で落下してくるフォビオを回収し、上空で勝利のサインを送るミリムを見上げ、リムルは大きく息を吸う

 

「何処が手加減っ!?」

 

「はぁ………やはり、ベルトの件は保留だ」

 

これが後に手加減とは手を抜く事に在らずと言わしめた伝説の始まりである

 




解放されたフォビオ、然しまだ彼は悪意を捨て切れず………

NEXTヒント ゼア

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ヒロインは誰がいい?

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