転生科学者は悪意を貫く。   作:田中滅

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今回の見所!アークさんが旅に出る!以上!と言いたいが、実は次からはコラボするから、その前日譚!みたいな感じだ!


第三十八話 使節団からの旅

「漸くの来訪か……使節団を送り出したのが数日前……予想通りの速度といったところか…」

 

魔国連邦(テンペスト)の第二の街である《デイブレイク》に聳え立つ〝タワー・オブ・アーク〟。ベニマル率いる使節団が旅立ってからの数日、町は更に発展を遂げた。来るべき使者を迎える為の宿泊施設、食事処、温泉、更に国中に届く放送施設などを増築し、始まりが簡素な村であったとは思えない程に右肩上がりの発展を遂げていた

 

「果たして……どの程度の実力だろうな……獣人族(ライカンスロープ)共は…」

 

愛刀を手に今日も今日とて、眠りを知らない体を愛用の椅子に委ねる彼は気配の正体足る獣人族(ライカンスロープ)の未だ見ぬ実力に興味を抱く

 

「アーク様。使節団が到着したとのことです、リムル様がアーク様にも御目通しをと」

 

興味を抱いたのも束の間、目の前に姿を見せたホロビから、リムルの伝言を聞き、彼はゆっくりと腰を上げた

 

「分かった……」

 

短く淡白に返事を返すと、指を鳴らし、銀色の幕(オーロラカーテン)を出現させ、相棒の待つ魔国連邦(テンペスト)の首都である《リムル》に足を踏み入れる

 

「来たか。いいか?念を押しておくが、使節団に失礼な態度は取るなよ。お前にはありとあらゆる前科があるんだからな」

 

「生憎だが、前科は数え切れないくらいに存在する……今更、高々無礼を働くだけでは何の情も沸かん」

 

「お前はなんだ、転生の時に常識を忘れてきたのか」

 

今更ながら、数え切れない罪を犯した悪意の塊であるが故に微塵も悪怯れた素振りを見せようともしない彼を前にリムルは常識とは何かを今一度、鑑みるが答えは見つからなかった

 

「御初に御目にかかります、ジュラの大森林の盟主様並びに御意見番様。私はカリオン様の三獣士が一人、“黄蛇角”のアルビスと申します」

 

虎車から降りてきたのは一人の女性、杖を片手に長い髪を触る彼女はアルビス、フォビオと並ぶ獣王国(ユーザラニア)の幹部格である

 

「これは御丁寧に。俺はリムル=テンペスト、見ての通りスライムだ」

 

「若しくはわらびもちと認識しても構わない。似たようなモノだ」

 

「誰がわらびもちだ!!こんのマッドサイエンティスト!!」

 

「ぐおっ!?」

 

最早、我慢の限界だったリムルの物理攻撃(フライングクロスチョップ)が炸裂し、真正面から受けたアークは叫び声と共に吹き飛ぶ

 

「すまんな、使節団のみなさん。この通り、アホ博士は俺が粛清しておいたからな」

 

「天才科学者である俺に体当たりしやがったなっ!?エロびもち!斬り刻んでやらァ!!」

 

「誰がエロびもちだゴラァ!!コンセント抜いたろかっ!!」

 

自己紹介と定番のやり取りを繰り広げるリムルとアーク。その時、別の虎車の扉が乱暴に蹴り開けられた

 

「オレたちと同盟を結ぶのは構わねぇが、弱小なスライムを盟主に仰ぐだと?馬鹿にしてんのかっ!?その上、矮小で小賢しく卑怯な人間どもとつるむなんざ、魔物の風上にも置けねえな!」

 

「スフィア。カリオン様の顔に泥を塗るつもりですか?失礼な言動は控えなさい」

 

スフィア、そう呼ばれた女性は獣人族(ライカンスロープ)の特徴が色濃く現れており、人間と獣、二つを合わせた正にその代表とも呼ぶべき姿をしていた

 

「人間と我々の区別も付かないか……所詮は獣が知性を得ただけの見掛け倒しにも関わらず、其処のわらびもちは構わんが、この俺を下に見るとは…笑えないジョークだ」

 

彼女の言い分に異議を唱えたのはアーク、自分が最も嫌う存在と同一視された事に怒りを見せるかのように冷たく吐き捨てる

 

「ジョークだぁ?それ以前の問題だ、人間如きを同胞にしてるんなら、盟主殿の実力も高が知れてるぜ」

 

「………所詮は獣か…」

 

馬の耳に念仏、その諺が表すようにスフィアには何を語ろうと、聞き入れようとする態度が見受けられない。其れに呆れ果てたアークは興味をなくしたようにそれ以上の言葉の追撃をやめた

 

「ナキ。お前が対処しろ……偶には役に立ってみせろ」

 

「えっ……何故に私……ジンとかでいいじゃないですか」

 

「異論は認めん」

 

指名を受けたナキは嫌そうな雰囲気を醸し出し、シズに任せれば良いと告げるがアークはそれを良しとしない

 

「分かりましたよ……じゃあ、そこのヨウム?でしたか。その人も戦ってください」

 

「はぁ!?」

 

一度、言い出したら聞かない主人の性格を理解しているが故にため息を吐きながらもナキは戦う意志を見せ、更にヨウムにも参加を促す

 

「おい!ちょっ!!アーク!お前!」

 

「お前に止められる筋合いは無い……これはあの女が売り、俺が買った。故に関係ないお前は指でも咥えてろ」

 

「関係あるわい!!盟主だぞ!?盟主!!というか、なんだよ!そのヤンキーみたいな発想は!?思考回路爆発してるのか!!お前は!」

 

「………やれ、ナキ」

 

短く淡白に指示をナキに飛ばしたアークは腰に下げたホルダーから白銀のメダルを取り出し、投げ渡す

 

「全てはアーク様の意志のままに……」

 

刹那、ナキの纏う雰囲気が変化する。投げ渡されたメダルを口で掴み、上空に放り投げた

 

「武装……」

 

突如、腰に現れたベルトに装填されたメダルから放たれた白銀の光。神々しくも見えるが、其れが示すのはナキの悪意、カタチとなった其れは悪意の鎧を形成していく

 

《マギアライズ!駆けろ…駆け巡れ………悪意を力に……ナキ・オブ・マギア……the wild fang……》

 

全身を覆う黒と白銀の装甲、仮面に覆われた妖しく光る右眼は紫色に染まり、剥き出しの左眼からは赤い瞳が憎悪を掻き立て、両腕の爪は死神を彷彿とさせる。アークが悪意をカタチにした鎧をその身に纏うように、ナキも自らの悪意を纏ったのだ

 

「この姿では初陣になりますね……加減とか出来ないので、楽しませてくださいよ…」

 

悪意の鎧を纏い、何時もとは裏腹にやる気にを見せるナキ。それはアークが悪意に思考を蝕まれるのと同様に彼女が与えられたベルトの副作用なのか、闘争心が湧き上がっていくのを感じていた

 

「面白い。其処まで言うからには其れ相応に実力を持っているんだろうな?このオレが直に確かめてやる!」

 

スフィアも彼女の悪意(オーラ)に触発されたのか、その言葉を開戦の合図に地を蹴り、速攻性のある鋭い爪で襲い掛かる。しかし、紙一重で爪撃を躱わしたナキは瞬足を生かした速攻を仕掛ける

 

「やるなっ!!まさか俺と同じ速攻型とはな…!」

 

「これでも元々は牙狼族ですからね…!」

 

「ヤバい!早く止めないと!……ちらっ」

 

次第に激化する手合わせ、慌てたリムルは止める為に消し掛けた張本人に視線を向ける

 

「ずずっ……茶が美味いな」

 

「我が父。それは御茶ではなく、オイルです」

 

「茶啜ってんじゃねぇよ!!」

 

我関せずな態度を見せるアークは自分が事の発端であるにも関わらず、悠長に湯呑みに注がれたオイルを啜っており、まさかの行動にリムルは突っ込みを放っていた

 

「アルビスだったか。これは其方側の魔王の差し金だな?」

 

「流石の御慧眼……イカヅチ殿の仰っていた通りの方ですね、アーク=プロフェッサー様」

 

「考えずとも理解は出来る。使者を相手に無粋な態度を見せたのも、狙いがあったからと解釈すれば、早々に合点はいく………ジン、出番だ」

 

「お任せを」

 

アルビスと会話しながらも、手合わせを見ていたアークは更に激化するであろう状況を止める為にシズに呼び掛けた

 

「そこまでだよ」

 

「ジン……!?」

 

「これ以上の戦いは不用とアーク様が判断された」

 

「俺を止めた……何だこいつは……アンタ、名前は?」

 

止めに入ったシズが変身したイフリートの姿を見た瞬間、ナキは震え出すが、スフィアは冷静だった。戦いを止めた彼女に興味を抱き、名を問う

 

「アーク様に仕える滅亡迅雷.netが一柱、ジン。この国に迫る厄災を燃やす焔だ」

 

変身を解き、紅蓮の髪を掻き上げたシズはコードネームを名乗る。表舞台から姿を消した以上、大々的に名乗りを挙げることは許されず、外交的にはコードネームを名乗っている

 

「それはそうと、スフィア……貴女、徐々に本気になってませんでした?」

 

「まあな、其処の牙狼族がなかなかの手練れだったからな。何はともあれ、堪能させてもらった」

 

「正しくは機械狼(マギアウルフ)です……」

 

「そうか、其奴はすまねぇな」

 

徐々に本気を出し始めていた事を認めながらも、手合わせの結果に満足したのか、彼女は拳を高らかに突き上げた。牙狼族と言われた事に対し、ナキが指摘すれば、律儀に謝罪する姿勢を見せる

 

「見たかっ!彼らは強く度胸もある!我らが友誼を結ぶに値する素晴らしい相手だ!彼らとその友人達を軽んじることはカリオン様に対する不敬と思えっ!わかったな!!」

 

スフィアの宣言に使節団の使者たちも同意し、ヨウムと剣を交えていた獣人族(ライカンスロープ)基グルーシスも彼と固い握手を交わしていた

 

「………リムル。俺は野暮用で留守にしなければならない……」

 

「ん?なんだ?出かけるのか?研究材料でも探しに行くのか?」

 

唐突に名を呼ばれ、振り返れば、指を鳴らし、銀色の幕(オーロラカーテン)を出現させたアークの姿を視界に捉える

 

「いや……並行世界に行く」

 

「おー並行世界か………って!!お使いに行くみたいな感じで言うな!納得しそうになっただろ!」

 

普通に放たれた発言に一度は納得しそうになったリムルだったが我に返り、突っ込みを放つ

 

「俺が不在の間は滅亡迅雷.netがお前に力を貸す……」

 

「………分かった。戻ってこいよ、お前には見てもらうべき世界があるんだからな」

 

「ああ……長旅にはならん。ロゼッタ、お前が指揮を取れ……やれるな?」

 

「お任せください、我が父」

 

「任せる…」

 

そう告げ、アークは銀色の幕(オーロラカーテン)の向こう側に消えていく。その背を配下足る滅亡迅雷.netは見送り、次にロゼッタの前に傅いた

 

「「「「アーク様不在故にロゼッタ様の意志に従います」」」」

 

「我が父に及ばずながら、指揮を取ります。どうかよろしくお願いします……盟主様」

 

「ああ。頼んだ、ロゼッタ」




銀色の幕(オーロラカーテン)を抜けた先に待ち受けていたのは、並行世界のジュラの大森林。其処でアークが出会ったのは、別の世界の仮面ライダーと……

NEXTヒント 悪魔

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