遊戯王マスターデュエル。通称『MD』
言わずと知れたデュエルモンスターズをより手軽に、より気軽に、そしてより幅広い世代の人々が楽しめるようにと生み出された今となっては世界の中心とも呼ばれるようになったコンテンツ。
それが広まって精霊と言う存在も広く認知されるようになった為か、彼らが登場する映像作品がとても増えたと言う。
これは一人のデュエリスト『稲田遊賀』と彼と共に在る精霊が、ある帰り道にレンタルショップに立ち寄った際の何気ない会話を描いただけの物語である。
それは辺りが薄暗くなり始めた頃の帰り道、何気なく目についたので立ち寄ったレンタルショップでの事。特に見たいと言う訳でもないが、何気なく目の前にあった作品を手に取る。
「あ、『灰流うららの一日』の新しいのだ。もう出てたんだ」
「なにそれ?」
「なんて言えば良いだろ…あー、『灰流うらら』が只管色んな場所をうろうろしてる様子を映してるだけの…旅番組みたいな感じ?」
「面白いのそれ?」
「これとは別の見た事あるけど意外と面白かったぞ」
いや何故面白いと思ったのかは自分でもちょっと分からないけどと遊賀は思う。内容的には本当に唯々『灰流うらら』がそこら辺をうろうろと観光してやたら美味しそうにご飯食べてちょっとひどい目に合うだけのものなのだが。定期的に映るうららの虚無顔がなんか面白いんだよなと思いながら棚に戻す。
「借りないの?」
「そうだな。別に今見たい感じのでもないし」
「そういう事ね…あ、見て『それ行けスプリガンズ‼』の劇場版の新しいの置いて在るわよ!」
「あれもうレンタルで出てるのかこれ」
はっやいななんて思いながら『それ行けスプリガンズ‼ ~ペルレイノ危機一髪~』と書かれているものを手に取る。
「これはー…どんなのだっけ?」
「キトカロスが暴れまわるやつ」
「…あぁーあれか。『天霆號アーゼウス』が薙ぎ払って終わりかと思ったらルルカロスになって復活する」
「それそれ…漫画版の読んでた時も思ったけどあの場面の絶望感凄かったわよね」
「MDではよく見る光景だけどな」
「よく見る光景だからこそでしょ……そういえば前から気になってたことあるのだけど」
「なんだ?」
「この作品とか、『ティアラメンツ』のカードでもちょっと書かれてるあの赤い奴なに?」
「あぁー…」
一応知ってはいるが、正直詳しいわけではない。軽く知り合いに話を聞いたことがある程度だ。その内容にしても大したものでは無く。
「なんか…『ティアラメンツ』強化カード入りテーマとは聞いた」
「邪悪のそれじゃない。え、もしかしてMDにも実装されるの?」
「多分、いや流石に何時になるかは知らないけど」
言いながら、見るかと彼女に問いかけると別に首を振る。
「見たければ配信されてるの見るもの」
「またお前、ここに来た意味全否定な事を」
「実際何でここに来たのか分からないし」
「何でって…映画探し」
なんというか、本とかもだけど読んだり見たりって言うのも好きだがそれ以上にこうして探してる時間が好きなんだよなと彼は言う。
「ふーん…あ、なんか凄い題名のあるわよ」
「あ、なに?…ヴォエ⁉」
「え、なにどうしたのよ⁉ これなんか良くないものなの⁉」
と言いながらシェイレーンは手に取ったものを見ながら慌てる。良くないものであるかと言えば、間違いなくそうだと言える。彼女の手の中にあるそれ『デュエルモンスターズ史 =地獄編=』はデュエリストならば誰しもこのような反応を示す作品で。
題名の通り地獄が映し出されるのである。
「それは、それは駄目だシェイレーン。お前にはまだ早い。心が壊れる」
「怖い怖い怖い、なんなのよこれ?」
「禁止や制限されているカードに只管ボコボコにされる映像が2時間流れ続けるだけの作品」
「ヒエッ…」
勢いよく持っていたものを棚に戻すシェイレーン。その反応は当然のものだ、遊賀も興味本位で見てみたら10分で限界だった作品だ。これの製作者は間違いなく心が病んでいたに違いない。
「…その、なにかおすすめ作品とかある?」
「おすすめかー」
若干涙目のシェイレーンの言葉に、少し考える。ぐるっと回ってみた感じ流行りの作品から少し昔の作品まで一通り揃っていたからおすすめとなると幾つか選べると思う、多分。何が良いかなと歩けば最近の作品としての特徴としてカードの精霊に出演してもらった作品が幾つも並んでいて、あぁいやそれだけでなくデュエルモンスターズと何の関係もないものもあるなでかでかと『名作映画』と書かれている作品の内の一つを手を伸ばし、その隣にあるものを見て思わず、あ…と声を零しながらそちらを手に取った。
「…『ワイトベイキングが芋を焼く理由』かぁ」
割とタイムリーと言いますか、少し前にこれの書籍版の話をしたのを思い出す。けど個人的にはとてもいい作品だとは思うが…シェイレーンにおすすめできる作品かと言えば、どうだろうか。
「どう思う?」
「どう思うもなにも見たことないから分からないわよ…ってこれ良くおすすめで流れてくるやつね。マスター的にはどうなのこれ?」
「いやまぁ良い作品だとは思うけど…うーん、どうだろう。割と精霊を選ぶ作品だとも聞くしなー」
「精霊を選ぶって何?」
「そのまんま人を選ぶと同じ感じだと思うぞ?」
そう言ってからふむと少し考えて。
「…どうせだから見るか」
「何が如何どうせなのか分からないけど、良いと思うわ。あ、映画見ながら食べるお菓子とか買ってもいい?」
「まぁ雰囲気を楽しむって意味じゃいいかも知れないな、何買う? ポップコーンとかか?」
「ババロアは?」
「映画見ながら食うものかそれ?」
「だって…美味しいじゃない」
ただ食べたいだけじゃないかそれ? なんて思いながら、まぁ良いかと買ってしまう自分は彼女にとても甘いのかもしれない。
めちゃ雑人物紹介こーなー
『稲田遊賀』
映画を見る時は飲み物だけ派。地味に家で映画鑑賞するの久しぶりだなと序に幾つか別の作品を借りていった。その中には見る気分じゃないと言った『灰流うららの一日』もあったとか。
いやだって、どうせ借りるなら見たいなと。
『ティアラメンツ・シェイレーン』
映画は大量の菓子と共に、でもポップコーンやスナック菓子はなんか食べてる時の音が気になるお年頃。こっそり『デュエルモンスターズ史 =地獄編=』を借りてみて、無事地獄を見た。その日一日中引っ繰り返った状態で浮かんでいた。遊賀はとても驚いた。
『灰流うららの一日』
灰流うららが只管色んな場所をうろつく光景を流してるだけの作品。絵面的には地味な事が多いが、やけに食べる姿が美味しそうだったり偶に発生する珍事がとても面白いと評判。中でも外国に撮影に赴いた際に『儚無みずき』が言ったここに来るまでに資金使い果たしたからバイトしながら帰ろうと言う発言を聞いた際に生まれた虚無顔灰流うらら、通称『虚無うらら』は一種のブームとなった。
なお、その際の出来事などを撮影したものは『灰流うららたちの半年』という題名で映画として上映。レモネードがあまりに売れずぶちぎれたり、何故か犯罪組織同士の抗争に巻き込まれた上でダンスする事になったりと見どころ満載である。中でも『幽鬼うさぎ』のポーカーは今でも現地では伝説として語り継がれている。
『デュエルモンスターズ史 =地獄編=』
なぜ作った。お手軽うつ病発症映像。製作者は視聴者と一緒に病院に行くべき。この地獄が現世に存在したってマジ? 等々、数多くの罵倒を叩きつけられた映像作品。見たものの中には心が壊され廃人同然の状態になったものも居ると言う。
『ワイトベイキングが芋を焼く理由』
視聴準備中。