MD次元ではカードの精霊はありふれたもの   作:春山乃都

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お休みの『I:Pマスカレーナ』とデュエル観戦

 遊戯王マスターデュエル。通称『MD』

 

 

 言わずと知れたデュエルモンスターズをより手軽に、より気軽に、そしてより幅広い世代の人々が楽しめるようにと生み出された今となっては世界の中心とも呼ばれるようになったコンテンツ。

 

 これのお陰で多くのデュエリストや精霊たちは文字通りどこでも誰とでもデュエルを楽しめる様になった、それはデュエル観戦もまた同様。が、しかしそれはそれこれはこれとデュエリスト達も精霊たちも熱きデュエルが行われるとなれば現地へと吸い寄せられてしまう、そういう生き物なのである。

 

 

 

 これは一人のデュエリスト『稲田遊賀』と彼と共に在る精霊がただデュエル観戦を知り合いと一緒にしている様子を描いただけの物語である。

 

 

 

 その日、遊賀とシェイレーンはレース会場に訪れていた。目的は勿論、そこで行われるデュエル大会の観戦である。さて、そんなレース会場で行われるデュエルとは何かといえば、当然。

 

 

 

 『ライディングデュエル』である。

 

 

 

「相変わらず人が多いわねここ」

「そうだな。今回は特にそこそこ大きなライディングデュエルの大会だからな。そりゃ人も多くなる」

 

 なんて、話をする二人手に持っているものを落とさないようにしながら席に座り。

 

「そうそう、だから割と席を確保するの大変だったんだからねー?」

 

 と、隣に座る精霊『I:Pマスカレーナ』にそう言われた。

 

「あなた達の分の席も確保してあげたこのマスカレーナさまに感謝するが良いぞー」

「どんな感じによ?」

「ど、どんな感じに⁉…え、じゃあ時代劇的な感じで」

「じゃあ、こちら好物の山吹色のお菓子でございます」

「ほほぉこれはこれはおぬしもわるよのぉ……これ感謝ではないよね?」

「やっておいてなんだけどそうね、まぁとりあえずはこれ頼まれてたやつ」

「おぉーありがとー」

 

 なんて茶番を終えたマスカレーナは、はいとシェイレーンから手渡されたポップコーンとコーラを受け取った。

 

「しっかし相変わらずの映画館でよく見る組み合わせよね。他の頼まれた事無いけどそれで良いの?」

「ふ、何時だろうとどこだろうとマスカレーナさまはこの二人と一緒だと誓ったのさ…まぁ、ぶっちゃけこれ以外がしっくりこなかったからってだけなんだけどね」

「あっそう」

 

 まぁそういう事もあるかと自分の分のコーラを飲むシェイレーン。

 

「…ん、はぁ。それでどんな感じなのよ?」

「現在両者ともに最終確認中ー。まぁあと少しで始まるでしょ。因みにどっちが勝つと思う?」

「分かんない」

「素直ね…じゃあ稲田さんはどう思う?」

 

 そう首を傾げるマスカレーナに、遊賀は少し考えながら距離はあるが割としっかり見える出場者二名を見る。

 

「んー…そうだな。一方は前回大会4位の『ドライトロン』使い。しかしもう一方は全国大会で3位に食い込んだ『氷結界』を使いこなす猛者だからな。単純なデュエリストとしての腕前なら後者の方がって感じなんだが…まぁ、有利なのは『ドライトロン』の方だろうな」

「マスターが有利不利をはっきり言うの珍しいわね」

「ま、それも仕方ないんじゃない? あちらさんは『ライディングデュエル』始めたの最近だって話だし」

 

 でしょ? なんてポップコーンを食べながら問いかけるマスカレーナに頷いて見せる。

 

「まぁ大会に出るのだからきちんと相応の練度ではあるんだろうけど流石になー。あの『ドライトロン』使い、割とライディングデュエルに命かけてるタイプだし…尤も有利不利程度で勝敗が決まるほどデュエルは単純じゃないけどな」

「でも第一コーナを取った方が先攻を取れるってルールだからねー。コイントスって言うある種の運要素が無くて純粋な腕前があれば先攻後攻好きな方を選べるのはでかいんじゃない?」

「だから有利なのは『ドライトロン』使いだって言ったんだよ」

「あぁー、成程」

 

 頷きながらシェイレーンはモニターに映し出されている両選手を見る。どちらも調子が良さそうだ。

 

「まぁ、案外Dホイールの性能次第な所もあるけどな。其処ら辺はマスカレーナの方が詳しいだろ? というか全然詳しくないから教えてくれ」

「んー、そだねー」

 

 スマホを取り出し軽く調べるマスカレーナ。暫くしてからうんと頷いて。

 

「性能的にはどっちがって事はないかなー。良くも悪くも安定性重視って感じ。こりゃテクニックの差がもろに影響してくるだろうねー」

「って事はあとは単純に手札次第って感じか…まぁそれ言ったらどうしようもないけど」

 

 そう呟きながらそわそわと落ち着かない様子の遊賀。楽しみで仕方ないと言った感じだ。まぁそれはシェイレーンも同じで。

 

「お、最後の確認が終わったみたいね」

 

 くしゃっと食べ終わったポップコーンの袋を握り潰し、笑顔を浮かべるマスカレーナ。彼女もまたこれから始まるデュエルが楽しみで仕方ないと言った様子。あぁいやそもそも、今この場に居る人々はみんなそうなのだ。

 

 二台のDホイールが、二人のデュエリストが並ぶ。両者ともに顔を見合わせて…獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

 カウント、さぁ始まるぞ。スピードの世界で進化したデュエルが。響く言葉は勿論、あれだ。

 

 

 

『ライディングデュエル‼』

 

『アクセラレーション‼』




めちゃ雑人物紹介こーなー


『稲田遊賀』

 久しぶりのライディングデュエル観戦にうっきうきのデュエリスト。資格取って自分もライディングデュエルに挑戦しようか真剣に悩んでる。まぁ金銭面の問題で無理なのだが。

 まさかあそこで効果を使うとはなーと帰り道に楽し気であったとか。


『ティアラメンツ・シェイレーン』

 普通にテレビで放送されてるの見れば良いのではと思いつつ何時もマスターと一緒に見に来てる子。マスターが楽し気で自分も嬉しい、そしてライディングデュエル観戦楽しい。マスターがDホイールに乗るようなら速攻で後ろに乗せてもらう積り。

 まさかの展開に思わず立ち上がって叫んでしまって少し恥ずかしかった。まぁ会場に居たみんな叫んでたから気にする必要などなかったのだが。


『I:Pマスカレーナ』

 ライディングデュエルは生で見るに限ると入り浸ってる遊賀とシェイレーンの友人。普段は宅配業を営んでいる。ライディングデュエル観戦が趣味でDホイールにやたら詳しくなった。しかしデュエル知識がそこまで豊富ではないのでなんだかんだ解説してくれる遊賀がありがたいと思ってたり。

 凄まじいテクニックに語彙力が消滅し凄いとしか言えなくなってた。



『ドライトロン使いのデュエリスト』

 歴戦のDホイーラー。MDでのランクはシルバーだが、殆どMDをしておらずライディングデュエルばかりしているから。前回大会において惜しくも準決勝で敗北しその際Dホイールが故障してしまい不戦敗で4位に。今大会こそはと今までの全てを糧とし挑み、前回大会において敗北した大会優勝者を退け、優勝を勝ち取った。

 決勝で繰り広げられた第三コーナーでの攻防は後々まで語り継がれる伝説となる。


『氷結界使いのデュエリスト』

 彼女は天才だった、わずかな期間でDホイールを乗りこなして見せた。しかし負けた。理由は単純なもの、相手の方が強かった。それだけである。

 MDでのランクはダイアモンドだったが、この試合以降ライディングデュエルに人生を捧げ、気が付けばゴールドランクマで落ちていたが一切の後悔はないと後に語っていた。

 『ドライトロン使い』へのリベンジは…世界大会で。




『MD次元のライディングデュエル』

 みなさんご存知、スピードの世界で進化したデュエル。最初は普通のデュエルのルールで行われていたが専用のものが作られたりアクションデュエルの要素を取り入れてみたり、なんか違うなと改良されたりと色々な試みがなされてきた為、結構変わっている。

 三年に一度、世界大会が開かれている。
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