MD次元ではカードの精霊はありふれたもの   作:春山乃都

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常連客の『クシャトリラ・ライズハート』と新パック

 遊戯王マスターデュエル。通称『MD』

 

 

 

 言わずと知れたデュエルモンスターズをより手軽に、より気軽に、そしてより幅広い世代の人々が楽しめるようにと生み出された今となっては世界の中心とも呼ばれるようになったコンテンツ。

 

 その広がりによって生まれた交流は人と精霊との間だけではなく、精霊どうしでも新たな繋がりが生まれていたりする。

 

 

 

 これは一人のデュエリスト『稲田遊賀』と共に在る精霊が、仕事先の喫茶店によく来る精霊とのちょっとした会話を描いただけの物語である。

 

 

 

 ずっと、シェイレーンは頭の片隅に引っかかっていた事がある。それが遊賀の故郷に帰省した際に出会った精霊『聖魔の大賢者エンディミオン』の言っていた自分にとって良くないことが起こるという言葉。それがずっとずっと気になっていて…その日漸く納得した。あぁ確かにこれは自分にとって良くない事だと。

 

 

 だから、ありったけの感情をこめて叫ぶ。

 

 

 

 

「なんで『ティアラメンツ』の規制が一つもないのよ‼」

「それ我に言われても困るのだが?」

 

 と、叫んだ時目の前に居た喫茶店の常連客『クシャトリラ・ライズハート』は好物の餡蜜片手にそういった。

 

「あぁ、ごめんなさい。ちょっと怒りと憎しみとか口から零れちゃって」

「なんというか貴様は相変わらずだな」

 

 そう呆れつつ美味しそうに餡蜜を頬張るライズハート。を、何故かシェイレーンは見つめていて。

 

「…どうしたと言うのだ見つめて?」

「あぁいえ、貴方って『クシャトリラ』だったのね」

「すさまじく今更な事だなおい⁉」

 

 知らなかったのかという彼に、シェイレーンはうんと答えた。

 

「だってこの前新しくMDに実装されたパックのカード見るまで知ってたのは『クシャトリラ』って言う名前ぐらいだったし。その名前だって少し前に知ったばっかりだし」

 

 言いながら視線をデュエルしているシェイレーンのマスターである遊賀へと向ける。なんか新しくMDに実装されたテーマである『クシャトリラ』のあれこれを相手と一緒に話ている様だ。

 

「貴様それは流石に……あぁ、別に珍しくは無いのか。よく考えれば我の仲間のてぃーちゃんも同じようなものだったからな」

「てぃーちゃん?」

「ん?…あぁそうか、知らんか。我の仲間の精霊『ティアラメンツ・クシャトリラ』だ」

「なにその悍ましい何か⁉」

「我の仲間を悍ましいとか言うな‼」

「あ、はい。ごめんなさい」

「うむ、謝ったから許す。次から気を付ける様に」

 

 言いながら腕を組むライズハート。

 

「でだ、実際てぃーちゃんもMDが広まるまでは『ティアラメンツ』という物を知らなかったのだ」

「そうなの? ティアラメンツって名前なのに」

「名前だからこそだ。『ティアラメンツ』というテーマを知っててぃーちゃん結構落ち込んでいたのだぞ?」

「いやなんでよ?」

「固有名詞の類ではなかったからだ。おかげで普段していたクシャトリラのティアラメンツですと言う自己紹介が意味の分からない事になってしまったと心底落ち込んでいたぞ」

「あー…成程」

 

 確かに、その自己紹介の仕方だと意味わからない事になるかとシェイレーンは頷く。人的に言えば人間のヒューマンですって名乗ってる感じだ。初めて聞くと、ん?って感じになるやつ。

 

「その時はみなで励まして気を取り直したのだが…また落ち込んでしまっていてな。おーがんと一緒に頭を悩ませていたのだが答えが出なくてな、こうして頭を休ませに来たのだ」

「お、おーがん…って、落ち込んだって何があったのよ?」

「うむ、此度のMDで新パックで我ら『クシャトリラ』が出ただろう?」

「出たわね」

「それに自分が入って無くてな。仲間外れだと落ち込んでいるのだ」

「あ、あぁー…確かに、無かったわね」

「うむ、尤も貴様からすれば喜ばしい事なのだろうがな」

「うん!」

「元気に頷くな本当に」

 

 実際、『ティアラメンツ・クシャトリラ』という存在を聞いて最初に思ったのは多分『ティアラメンツ』が強くなるだろうから実装されなくて良かったと言う物だったので、迷いなく頷いたシェイレーンであった。

 

「でも正直どうしようもない事なんじゃないの?」

「そうだな。実際、ふぇんくんにもそう言われた。それこそ実装されるのを待つしかないとな」

「あとは月並みだけど何か気を紛らわせるような何かをするとかじゃない?」

「気を紛らわせる…か」

 

 ふむ、と少し考える仕草をしてからそうだと顔を上げた。

 

「ならば精霊界にある『壱世壊=ペルレイノ』に連れて行ってみるか‼」

「何でよ⁉」

 

 まさかの自身の故郷の名が出て思わずそういうシェイレーンにいやなと彼は言う。

 

「前に言っていたのだ。自分と同じ名前を持つ『ティアラメンツ』達が居ると言うペルレイノを見てみたいなとな。実際、かなり美しい場所だと聞く。気分転換には丁度良いだろう。うむ、いいアイデアではないか感謝するぞ‼」

「いや感謝されても困る」

 

 はっはっはと笑いながらライズハートに肩を叩かれるシェイレーンは困ったようにそういった。

 

「うむ、そうと決まれば早速帰ったら皆と相談してみよう。存外、他の場所の方が良いと言う事になるやもしれんしな」

「……まぁ、旅行の計画はしっかりしておくべきだものね」

 

 その通りだと頷く彼は、ふと辺りを見渡し始めて。

 

「どうしたのよ?」

「ぬ、いやなに。何時もならば我が悩んでいたらすぐにでも話に割り込んで布教してくる『宣告者の神巫』が結局来なかったなと思い探したのだが…今日は居ないのだな?」

「あぁ、それね」

 

 大した事じゃないとシェイレーンは肩を竦めながら答える。

 

 

「色々とやり過ぎて『崇高なる宣告者』に思いっきり折檻されたから今日は休みよ」

「何をやらかしたのだあやつは?」

「知らないわよ」

 

 彼女が知ってるのは唯ひたすらに疲れた様子の『崇高なる宣告者』の姿だけである。




 めちゃ雑人物紹介こーなー

『稲田遊賀』

 デュエルしてた。成程現状のMDではこんな感じになるのかと試しに組んでみたと言う相手と一緒になって興味深く頷いてばかりある。



『ティアラメンツ・シェイレーン』

 新しいカードが実装された事よりも『ティアラメンツ』に一切の規制が入らなかった事を全力で嘆きと怒りと憎しみを抱いた。新カードを確認した事によって何時も来る精霊がクシャトリラである事を知った。


『クシャトリラ・ライズハート』

 出たわね(震え声)

 クシャトリラが実装されるより結構前から喫茶店に訪れている常連客。何時も餡蜜頼んで美味しそうに食べている。他クシャトリラの精霊とかなり仲が良い様子。帰って思いついた事を話したらどうせだから精霊界の色んな所見て回ろうという事になっててぃーちゃんも乗り気で嬉しそうである。




『宣告者の神巫』

 ちょっと布教してきますね‼と言いながら国会に突撃しようとしたので崇高なる宣告者に首をきゅっとされて気絶させられた上で簀巻き状態にして封印された。しかしとてもうれしそうである。

『崇高なる宣告者』

 とても疲れている。
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