遊戯王マスターデュエル。通称『MD』
言わずと知れたデュエルモンスターズをより手軽に、より気軽に、そしてより幅広い世代の人々が楽しめるようにと生み出された今となっては世界の中心とも呼ばれるようになったコンテンツ。
このコンテンツにより精霊でさえも手軽にデッキを構築しデュエルを楽しめる様になったからか、精霊同士でデュエルを楽しむ光景もよく見られるようになった。
これは一人のデュエリスト『稲田遊賀』と彼と共に在る精霊の元に遊びに来た精霊とのやり取りを描いただけの物語である。
シェイレーンは割と知り合いや友達が多い方である。だが、ここによく遊ぶ仲であるかと条件を付けるとかなり少なくなる。お隣に住んでいるアリアンナとアリアーヌ。精霊界に住んでいるが人間界に来るたびに遊ぶメイルゥによく遊賀の家に顔を出すキスキル。
それと、今まさに一緒にデュエルしている『海晶乙女ブルータン』位である。
「はい、ターンエンド」
「それじゃあたしのターンね、ドロー。あ、良いの引けた…あーこの場合は、うん行けるわね、じゃあ使お。『ハーピィの羽根帚』を発動」
「じゃあそれは『海晶乙女アクア・アルゴノート』の効果で無効するわね、で『海晶乙女コーラルアネモネ』を特殊召喚」
「やっぱり通らないわよねこれ…と言う訳でバトルフェイズに移行するわね」
「は、え、待って凄い嫌な予感するんだけどもしかして」
「はい『拮抗勝負』ね」
「やっぱりー⁉ いやでも、ここ凌げれば手札的には…良しシェイレーンちゃんの手札にあれが無ければまだいける。じゃあ『海晶乙女アクア・アルゴノート』を残して…良いよ‼」
「分かった、それじゃあ手札から『エクソシスター・マルファ』の効果発動」
「あ、駄目だこれ」
勝負の結末を察したブルータンは死んだ魚の様な目をしながらひょいっと『エクソシスター・ミカエリス』によって除外された『海晶乙女アクア・アルゴノート』を眺める。
彼女が敗北しテーブルに突っ伏すのはそのすぐ後の事だった。
「よし‼ 勝った!」
「私は負けたー」
「お疲れさま。はい飲み物」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとう! 見てたマスター⁉ あたし勝ったわよ‼」
「おぉ見てた見てた。凄いドロー力だったな」
「ねぇ稲田さーん。あの状況をどうにかする手段ありましたー?」
「無理」
「無慈悲ー!」
なんて叫びながら飲み物を飲んで一息。
「あ、このピーチティー美味しい。何処のですか? それとも手作り?」
「あぁー、貰いものだから正確には分からないんですよ」
「そうですかー」
そう残念そうに言いながらゆっくりと味わうブルータン。さてと視線をシェイレーンへと向けた。
「それにしても『拮抗勝負』使われると厳しいなー…」
「貴女の『海晶乙女』はまだ対処できる方だから良いじゃないの。あたしが普段使ってる『エクソシスター』と『凶導』は基本的に対処出来ないんだから。というかさっきのデュエルは『拮抗勝負』よりその前の『ハーピィの羽根帚』が致命傷だったじゃない」
「そうねー。貴女はどう対処してるの?」
「『神の宣告』詰めるだけ積んであとはお祈り」
「お、おう。あ、稲田さんはどうしてるんですか?」
「俺? 俺は使ってるデッキが割とトラップ魔法に対処できる方だからきちんと盤面を整える位ですね」
「ですかー…やっぱりお手軽に出来る対策なんて無いって事ですかね」
「俺が知らないだけで案外あるかもしれませんけどね」
なんて言いながら牛乳を飲む遊賀。ふとあぁでもと言葉にする。
「『デビル・フランケン』が禁止になる前は割と簡単な方でしたね」
「マスター、その話は駄目よ。あのカードは生まれるべきでは無かったのよ」
「そこまで言うか?」
「『ティアラメンツ』…『ティアラメンツ・メイルゥ』からの『スプライトエルフ』で一本釣りして『ナチュル・エクストリオ』…クソがよぉ」
「あそっちもそういう感じなんです?」
そう遊賀が問いかけると。
「そりゃもうそうよ。なにせあたしたちはティアラメンツもっと自重しろやクソがという気持ちで結ばれた『ティアラメンツ大嫌い同盟』だもの。ねー」
「ねー」
「割とどろどろとした結びつきじゃないかそれ?」
「少なくとも『ティアラメンツ』への憎しみと怒りでどろどろなのは確かね」
「まぁ私はどちらかと言うと『ティアラメンツ』よりも『剣神官ムドラ』と『宿神像ケルドゥ』の方が嫌いなんですけどね」
「分かる、あたしも嫌い」
言いながらガッと強く手を握る二人。遊賀はすごく反応に困っていた。
「そうそうシェイレーンちゃん。この前実装された『クシャトリラ』ってあるじゃない? あれ『ティアラメンツ』に強いって聞いたから組んでみたの」
「そうなの? でも『クシャトリラ・ライズハート』がまだ重要なカードが実装されてないとか言ってたわよ?」
「それ本当? って事はそれが実装されればもっと『ティアラメンツ』をボコボコに出来る訳ね」
「でも『ティアラメンツ・クシャトリラ』とかいうカードもあるらしいから『ティアラメンツ』も強化されることになるでしょうね」
「え、なにその悍ましいの?」
なんて、わいわいと割と楽し気な二人の会話を聞きながらまぁそういう楽しみ方もあるかと肩を竦め牛乳を飲む。
「あ、そうだ稲田さんちょっと『クシャトリラ』を試してみたいんですけどデュエルしてもらってもいいですか?」
「ん? あー、良いですよ。どんなデッキ使って欲しいとかって言うのはありますか?」
「んー、それじゃあ結構強めのでお願いします」
「分かりました。それじゃあー…これかな?」
と選んだデッキをセットし対面出来る様にと退いたシェイレーンの据わっていた椅子に座る。
「頑張ってねマスター‼」
「私の応援はしてくれないの?」
「いやマスターと貴女がデュエルするならマスターを応援するわよ何言ってるのよ」
「酷い⁉ ふんだ、こうなったら『クシャトリラ』パワーで稲田さんボコボコにしてやる!」
「お手柔らかに、さてそれじゃあ」
楽しい楽しいデュエルの時間である。勝敗はどうなったかなんて事は言う必要もない事だが。
先攻を取った遊賀の初手『隣の芝刈り』を通してしまった瞬間からブルータンの瞳が死んだ魚のそれになったとだけ言っておく。
めちゃ雑人物紹介こーなー
『稲田遊賀』
デュエリストとしての格の違い無自覚に叩きつけた男。礼儀として全力で行った結果完封してしまった。が、これだと試しにならないのでは? と少し困った。
『ティアラメンツ・シェイレーン』
遊賀が勝つと自分が勝った時以上に喜ぶ子。別に友達であるブルータンに負けてほしい訳ではない、がそれ以上に遊賀が勝つところが見たいのである。心の底から『ティアラメンツ』に壊滅的な規制が掛かる事を待ち望んでいる。
『海晶乙女ブルータン』
シェイレーンの友達。己のマスターが幾度となく『ティアラメンツ』にボコボコにされた挙句『ティアラメンツ』で無いからとデッキを馬鹿にされて以来強火の『ティアラメンツデッキ』嫌いになった。シェイレーンとは初めて公園で姿を見た際にお互いに同じような波長を感じ取りすぐに仲良くなった。
『ティアラメンツ』憎しの感情から初めて『海晶乙女』以外のデッキを組んだのだが。その結果、『ティアラメンツ』関係なく他のデッキ使うの割と楽しいなと思うようになった。