―――くそがぁー!
「ん? あぁ気がついたか。しかしこの状況でここまで声を届かせるとはすごいな」
まぁだからどうしたって感じだがと呟き、さてと前を見て。どうしようかと考える。
「想定の3、いや4倍は居るな。本気でドラグマを一方的に落とせる数を用意してきたと言うことか」
困ったな、なんて言いながら纏わり付く『クローラー・レセプター』に『凶導の白き天底』は鬱陶しそうに腕を雑に振り数十のレセプターを叩き落としていく光景を見る。が、大して状況に変わり無く相変わらず視界を埋め尽くすほど居るレセプターに纏わり付かれ思うように動けないで居た。
「いやはや全く、通常時に来られていたら押し潰されていたな…そういう意味ではこのタイミング出来てくれて助かったと思うべきだと思わないかな?」
そう、誰に向けたかも分からない問いかけの返答は雷の瞬きだった、音を響かせ何体ものレセプターが焼け焦げながら落ちていく光景にほほぉなんて声を溢し、視線を横へ。いつのまにか中に佇んでいた『スプライト』達へと向けた。
「いや流石と言うべきか。協力、感謝するよ」
「ふん、ただの気まぐれだ」
そう、腕を組ながら言葉を返す『スプライト・ブルー』。バチバチと音を鳴らしながら佇む彼に成程とマクシムスDは頷いた。
「てっきり自分達が見て回った場所に設置されていた『強制脱出装置』が軒並み故障していることを知って自分達のせいではと相談していたらしいからそれで手を貸したのかと思ったが、そうか気まぐれか」
「……そうだ、なんの関係もない」
「いや滅茶苦茶気にしてたじゃんおまいってぇ!? いきなり殴るなよ!」
「うるさい黙れレッド!」
理不尽だと叫ぶ『スプライト・レッド』を横目に、地上では『ドラグマ』の舞台に合流したのだろう『セリオンズ』が暴れまわってるのを確認しつつ、マクシムスDはくつくつと笑う。
「まぁそういうことならそれで良いだろう。事実がどうであれ君たちは関係無かった、そういうことにするとしよう」
「…良いのか?」
「あぁ、今は状況を打破するのが先決だ。そのくらい目をつむるだけで君たちが手伝ってくれるならば幾らでもというやつだ」
「ふん、任せろ。瞬く間に終わらせてやる」
言って掌からバチリッと雷を弾けさせる『スプライト・ブルー』。
の、脇を高速で通りすぎ目の前の視界を埋め尽くす『クローラー・レセプター』を薙ぎ払いながら三体の精霊が『機怪神エクスクローラー』へと突撃していく。
「おぉ、なんだ!?」
「今のはドラグマの騎士か。他の二人は誰か分からなかったが、お前の所の騎士はあの速度で飛べるのか…意外な特技だな」
「いや、そんな特技もってるとは聞いたこと無いが。お陰で進めそうだから今は気にしないでおこう」
「では俺たちも行くぞ、このままではあの三人に全部持ってかれてしまう」
それは不味いと心のなかで思いながら前方に文字通り雷となって飛ぶ。
つもりだったブルーの横をこれまた高速で、しかし今度はクローラー達から離れていくように突撃した時以上の速度で二人の精霊が通りすぎていった。
「いやなんでだ!?」
「ドラグマの騎士と紅いのだったな今のは、感じからして逃げた様に思えるが一体……あ」
何故離れていくのかと思わず叫ぶマクシムスD、そして何かに気が付き先ほどの二人と同じように、いやそれ以上の速度で何処かに飛んでいく『スプライト』たち。本当にどうしたのかと前を見て。
『やったるにゃー!』
「あ」
そんな声を聞きながら視界全てを埋め尽くす光にジュッ…なんて音を響かせながら飲まれた。
『夢幻転星イドリース』は嗤う。眼下の『クローラー』たちと戦っている精霊たちを嗤う。いやいっそ憐れんですら居た。何をやっても無駄だというのに、よくもまぁ頑張るものだと分かりやすく馬鹿にしながら嗤っていた。とはいえ、これ以上放置していた万が一が合っても困るとゆるりと動き出し。
『やったるにゃー!』
「あ」
そして、いつの間にか目の前に出現していた最終兵器の放つ破滅的光にジュッと音を立てて飲み込まれた。
ある意味、一番状況を理解することが出来たのは、前線と呼ばれるだろう場所から離れた運営テントに居た精霊たちだった。離れていたからこそ、彼ら彼女らはしっかりとそれを見たのだ。
天を裂き地を轟かせながら降臨した『天霆號アーゼウス』に『スプリガンズ・キット』がかっこいい感じに腕組ながら搭乗する瞬間を。
そこからは、一切の迷いは無かった。
『やったるにゃー!』
「総員退避ー!」
「ぎゃー!?」
「やばいやばいやばい!」
「それだめだってキットー! 本末転倒ってやつだからー!?」
「ここから叫んでも無駄だからさっさと逃げるぞエクレシア巻き込まれるぞ!」
「逃げるぞメイルゥ」
「あ、ちょっと待ってくださいもちょっと殴り心地堪能してから」
「行ってる場合かボケ!?」
「おぉう!?」
やたらと綺麗なファームで走り出すマクシムスCと嘆き叫ぶエクレシア。そんな彼女にそう言いながら気絶してるマクシムスAを担いだテオも走り出し、同じように丁寧に何度もクローラーを殴っていたメイルゥを担ぎ上げたレイノハートは全力疾走する。
「これ大丈夫なのか!? 間に合うかこれ!?」
「意外とゆっくり広がってますよあの光。レイノハートさんよりちょっと速い位です」
「それ間に合わねぇって事じゃねぇか!?」
「マクシムスC様! マクシムスB様がはぐれました!」
「今気にしてる余裕無いから無視しろ無視!」
「マクシムスC様! 何処まで逃げればよいのですか!?」
「とりあえずドラグマの外まで走ってそこが範囲外であることを祈れ!」
雑ぅ! なんて声を響かせながら向かってくるクローラーを無視しただ迫り来る光から逃げて、逃げて、逃げて。
「おらしゃー! もう無理走れん頼むここまで来ないでくれ本当にまじでお願いしますー!」
ドラグマの東門から転がりでてそのまま器用に土下座をしながらそう光に向かって叫ぶマクシムスC。その言葉が届いたのか、広がっていた光が東門を呑み込み、丁度…マクシムスCの仮面に付いてる刺を半分ほど巻き込んだ所で止まった。
「あ、ほんとにとまっあっつ!? なんだおいなんか熱いし仮面から焼ける音がする!?」
「マクシムス、仮面が溶けて垂れて来てますよ!?」
「まじかあっつ!? あぁやばいやばいまじ熱い!?」
「ちょ、落ち着いて!」
ぎゃー! なんて悲鳴をあげながら転げ回るマクシムスCとなんとか助けようとするエクレシアとテオ。その拍子に
テオは担いでいたマクシムスAを地面に落としてしまい、あっと声を出して怪我をさせてないか確認しようとして。
ドスン! となにかが空から彼らの背後に落ちてきた。
振り返り見てみれば、そこには綺麗に頭から地面に突き刺さった三人の精霊。ルルカロス、マクシムスD、そしてアルバ・ゾアであった。それはもう野に咲く花の如く見事に刺さっていた。
「ぐ、ぬぅ…これは、一体なにが……?」
そして、三体の精霊が突き刺さった衝撃で、気絶していたマクシムスAが目を覚まし。
視界に飛び込んでくる、綺麗に消し飛んだ『教導国家ドラグマ』であった場所とその中心に佇む遠目に見えるアーゼウスの掌の上でやりとげたように汗を拭う『スプリガンズ・キット』。
「…は?」
一瞬、思考に空白。すぐに気絶する前の状況を思いだし、瞬時に事態を理解したマクシムスAは…再び気絶した。
『ふぅ…これで万事解決にゃ!』
「何処がだぼけぇ!」
遠くから貸すかに響くキットの言葉に、そう突き刺さったまま叫ぶマクシムスD。本当に野に咲くはなの如く力強い精霊である。
めちゃ雑人物紹介こーなー
『マクシムスたち』
マクシムスAはこれからの事が想像できてしまい気絶、マクシムスBは行方不明、マクシムスCは仮面が焼けた。そしてマクシムスDはアーゼウスの光に巻き込まれ綺麗に地面に突き刺さり、仮面の上にアフロが出来た。
『ティアラメンツ・レイノハート』
疲れれて喋れず動けない。
『ティアラメンツ・メイルゥ』
もうちょっと殴りたかったなと素振り中。
『ルルカロスとアルバ・ゾア』
巻き込まれて吹っ飛ばされ地面に突き刺さった。みんな仲良くアフロである。
『夢幻転星イドリース』
元凶の筈なのにもっとヤバイやつに吹っ飛ばされた。たぶん何処かに頭から突き刺さってる。結局なにしたかったんだお前。
『スプリガンズ・キット』
善意100%。クローラーが多すぎてアルバ・ゾアが進めないでいるのを見て全部吹っ飛ばして道を作ろうとしたらしい。その全部が文字通りだったというだけである。
『天霆號アーゼウス』
私がやりました。
誰よりも多く敵を屠り、誰よりも甚大な被害を産み出したヤバイやつ。