MD次元ではカードの精霊はありふれたもの   作:春山乃都

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『それ行けスプリガンズ!! ~やべぇ奴らが大集合で大決戦!?~』 【その後の話】

「…どうしようこれ」

 

 なんて事を元教導国家、現大穴と化した場所を覗き見ながらマクシムスAは言葉を溢す。その言葉と煤けた背中から途方にくれ居てる事が見てとれる。

 

「お前、お前なぁー!」

「いだだだいだいにゃー!?」

「その、ほんとにうちのキットがすみません。いや謝って済む話じゃないのは分かってるんだけども」

「ぶっちゃけ今現在謝る以外に出来ることが殆ど無いんすよね」

「んにゃー!?」

 

 なんて怒り心頭な『教導の神徒』にこめかみを集中攻撃されている『スプリガンズ・キット』の悲鳴が響き渡る。

 

「はー、やばかった。顔が溶けるかと思った」

「マクシムスCか…仮面歪んでるが大丈夫なのか?」

 

 と、そんな悲鳴を無視して彼に話しかけるマクシムスC。溶けて歪んだからかどうにも収まりが悪そうに仮面をいじりながら言葉を返す。

 

「一応はな、自分は仮面がこうなった位の被害しかない…まぁ、それ所ではない状況だがな」

「全くだ。今もどうしたものかと頭を悩ませていた所だよ」

「この大穴だからな。再建するにしても新しい場所を見つけるところから始めねばならないな」

「ん? いや場所に関してはもう幾つか見繕ってある、あとはそのうちの何処にするのか話し合って決めるだけだ」

「…早いな。ということは悩んでいたのは再建に必要な人材や費用の事か」

「それに関しても既に『スプリガンズ』が罪滅ぼしとして再建に協力すると言っていた。予算に関しても彼らをタダ働きでこき使うから…まぁギリギリ、なんとかなるかなぁ。あ、やばいまた胃が」

「お、おう。まじで仕事が早い」

 

 と、若干戦くマクシムスC。の脇からにゅっと生えてくるアフロ。マクシムスDである、まだアフロを取ってなかったようだ。

 

「では何に対してどのように悩んでいたんだマクシムスAは」

「うわ、アフロだ」

「良いだろう?」

「いや全然」

「何に、か…それはこの穴を覗けばすぐ分かる。ある意味想像通りのものがあるからな」

 

 そう言うならばとアーゼウスによって産み出された大穴を覗き込む二人。どこに何が、なんて思っていたが、それはあまりにも分かりやすく底に鎮座していた。

 

 

 

 『星神器デミウルギア』が。

 

 

 

「な、はぁ!? デミウルギア!? なんで!?」

「あぁ、成程確かに想像通り予想通りだなこれは」

「だろう?」

「何処がだ!? ドラグマの地下にこんなものがあることのなにが想像通りなんだ!」

「イドリースが攻めてきた理由だよ」

「あ、いやそう言うことか! それは…確かに想像通りだ」

 

 これを求めてドラグマに攻めてきたのかと納得するように頷くマクシムスC。そんな彼を横目に、底にいるデミウルギアを眺めるマクシムスD。

 

「んー、パッと見た所。完全に停止、あるいは死亡しているというべきか」

「そのようだ。元々なのかそれともアーゼウスに焼かれたからなのかは分からんがな」

 

 言って、ため息ひとつ。

 

「ある意味、早々にアーゼウスによって薙ぎ払われて助かったというべきか。下手に対処が遅れてイドリースによってこれがたたき起こされていたら事はドラグマだけの問題では無くなっていた」

「最悪の場合、精霊界が吹っ飛ぶ事になっていただろうねこれ」

「…頭が痛くなってきた。ある意味キットの行動が最善だったと言うことか? まずい気分も悪くなってきた」

「結果的にそうだったと言うだけだろう。あの娘にそこまでの思慮深さはない。それと、最悪を想定するなら人間界も滅びることになっていただろうな」

「そこまでなのか!?」

「あぁ、尤もどれもこれも場合によってはの話でしかないがな」

 

 考えても仕方の無いことだが、首を振りながら言う。

 

「しかしこれ以上悩んでも時間の無駄か。流石に、これを我々だけでどうこうするのは手に余るからな。他精霊と協議しなければ」

「そうだな…しかしなぜこんなものがドラグマの地下にあったんだ?」

「逆だろう。こいつの上にドラグマが作られた、と言う方が正しいだろうな」

「何故そんな事?」

「流石にそこまでは知らん。作った本人に聞く他無いだろう」

 

 が、しかしと辺りを見渡して。

 

「その張本人はここには居ないようだがな」

「ふむ…あぁそうかあいつか。今からでも探すか?」

「もうアディンに説明して探させている。恐らく既に周辺には居ないだろうから巻き込まれた精霊の探索救助の次いでだがな」

「? なんだ、どう言うことだ?」

「君微妙に察しが悪いよな」

「悪口かお前」

「いいや別に悪いことではないだろう。察しがよくても無駄に胃が痛くなるだけだぞ?」

「…それは嫌だな」

 

 そう言って納得したように頷くマクシムスC。そんな彼を横目に、さてとマクシムスAは手を叩く。

 

「とりあえずこれ以上考えてもどうしようもないことは置いといて今解決すべき事をどうにかしよう」

「と言うと、ドラグマ再建予定地の選定か?」

 

「いや今まさに到着した賞味消費期限が切れる寸前の大量の食料をどうするかと言うことだ」

 

 指差された先、そこには今日中になんとか消費しようと追加で運ばれてきた食料の山と、それを運んで来たは良いが目の前の惨状に理解が追い付かず唖然としてる複数のドラグマの精霊たちだった。

 

「…あぁ、いやだがそれこそどうしようもないのでは?」

「いや、一応考えはある。上手く行くかは正直分からないが」

「ほう、それでその考えとは?」

 

 あぁと答えたマクシムスA。その視線の先にははぐれたとか行っていたらキトカロスを探しているのだろうレイノハートとメイルゥ。詰まり今回開かれていた祭りに訪れていた精霊たちがいた。

 

 

 

 

『今回の騒動に巻き込んでしまったお詫びと、手伝いをしてくれたお礼として食料を無料で配布することとなりました。好きなだけ持ち帰ってください。なお、消費賞味期限は凡そ一週間程なので無理の無い範囲でお願いします…此方としては無理して大量に持って行ってくれた方が助かりますが』

 

 何て言いながら実質食料の押し付けを受けたレイノハートとメイルゥの二人は、同じく提供された食料を運ぶための鞄を背負いながら溜め息を吐きつつ帰路に着いていた。

 

 ひどく気が重そうなのは大量の食料を手に入れてしまいどうしたものかと悩んでいるから……ではなく、当初の目的であった自分達の財布を持ち去ったキトカロスを見つけ出すことが出来なかったからである。

 

「結局見つからなかったな」

「そうですね。問題が発生した時点で別の場所に向かったのですかね?」

「もしくはアーゼウスのあれの巻き込まれて吹っ飛んだかだな。それだととても嬉しいが…いや駄目だな、財布が巻き込まれたらすげぇ困る」

「そうですね。財布が消し飛ぶのは困ります」

 

 と、キトカロスへの心配は一切ない二人。まぁ仕方の無いことである。

 

「まぁ今回は色々と諦める他無いか。正直色々と疲れててあれこれ考えるのが面倒だ」

「そうですね…でもこの大量の食料どうするかは考えた方が良いのでは? 僕たち二人、キトカロスが帰ってきても三人ですから消費しきれませんよ?」

 

 と、レイノハートが背負う鞄に目を向けつつ自分の鞄を軽く揺らすメイルゥ。それに、考えがあると彼は答えた。

 

「シェイレーンとそのマスターを頼ろう。あの二人は料理も出来るし、まぁ相談くらいは乗ってくれるだろう」

「あぁ成程。相談に乗ってくれると良いですね」

「あわよくば手伝ってくれるとなお良しだな」

 

 なんて会話をしながら精霊界から人間界へ。そして目的の人物の自宅へと向かい。

 

 その途中で、目当ての人物と偶然、出会った。

 

 

 それは公園、キッチンカーを横目に、『ティアラメンツ・シェイレーン』とそのマスターである『稲田遊賀』がキッチンカーで買ったのだろうクレープ片手に立っていて。

 

 

 

 その目の前に、両手にクレープを抱えた『ティアラメンツ・キトカロス』が居た。ドラグマで探していたキトカロスが。

 

 

 

「……は?」

 

 どう言うことだと、声が出る前にキトカロスの言葉が聞こえる。

 

「本当にただ置いといただけのチラシと予定表見ただけわたしがそこに向かったと思うなんてちょっと心配になる位単純ですよね」

 

 無言で、横に立っていたメイルゥが背負っていた鞄を下ろし、軽く準備運動。 

 

「でもそう言うちょっと騙されやすいところもわたし大好きなんですよ。好きなもの食べに行けますし!」

 

 

 そして自らを射出した。

 

 

「死ねぇ!」

「え? ごぶへぇ!?」

 

 見事に鳩尾に叩き込まれる膝。吹っ飛び転げるキトカロスに勢いそのままに飛び乗り、無言で鳩尾にメイルゥは拳を叩き込む。

 

「ごへぇ!? え、メイぐへ!? メイルゥ!? なんぐふ!? なんでここに!? ドラグマに行った筈ごほぉ!? あそこに行ったらこんな早くここにぃ!? め、滅茶苦茶執拗に急所攻めてくる!?」

 

 そんな様子を状況が理解できず唖然としているシェイレーンと遊賀の二人を気にせずレイノハートはゆるりと歩み寄る。

 

「なんでここに居るのか、か。色々あったからだ色々な。まぁそんな事はどうでも良い。今はお前に在ること訊く方が先決だ」

「な、おごぉ!? なにをでうぅ!?」

「メイルゥ、ちょっと止まれ」

「あ、はい」

 

 やっぱりクローラーの方が殴り心地良いな、なんて思いながら止まりキトカロスの上から退くメイルゥ。キトカロスが立ち上がるの確認してから、彼は問いかけた。

 

「俺たちの財布は、その中身はどうした?」

「あ、レイノハートのは使いきりました。海鮮丼美味しかったですよ! お金は来月か再来月辺りには返しますよ!」

「そうか」

 

 成程と頷くレイノハート。

 

「じゃあ金返すまで飯抜きだ」

「え、はぁ?! 死んじゃいますよ!?」

「大丈夫だ安心しろ、ちゃんと米やパンは食わせてやる」

 

 ただし、と言葉を切り。

 

「お前の好物の類いは一切食わせん。ひたすら俺たちがそれを食ってる姿見てろボケが!」

「そ、そんなぁああああああああ―――!?」

 

 悲痛な叫びを響かせながら崩れ落ちるキトカロス。どうやら彼女にとって一番厳しい罰を与えられたようで。

 

 

 正直、自業自得の極みである。




めちゃ雑人物紹介こーなー


『マクシムスA』

 大体察した。そして胃が死に絶えた。どうしようもないと幾つかの問題をぶん投げたがそのうち戻ってくる。

 実は精霊界や人間界の外によく分からん化け物どもが居ることを知ってたりする。


『スプリガンズたち』

 これから3ヶ月奉仕活動としてドラグマ再建の手伝いをする。本来なら年単位は必要とする筈の国家再建を持ち前の技術力であっという間に終わらせた。が、それはそれとして申し訳なさが天元突破してる。特に再建が始まったばかりの頃のドラグマの精霊たちになんとも言えないような表情向けられて申し訳なくてたまらなかった。

 が、一ヶ月間続いた以上な量の食事を一緒に胃のなかに詰め込み続けてたらなんか仲良くなった。正直奉仕活動よりこれがきつかったと後に語ったと言う、勿論全員がだ。


『ドラグマの精霊たち』

 アーゼウスが全部吹っ飛ばしてなかった精霊界が吹き飛んでたと言われなんとも言えない表情を向けてた。そして一緒にとんでもない量の食事を食べ続け、なんか仲良くなった。テオが後に語る。「いやほんと、あれまじで辛かったんだわ、何度かエクレシアと一緒にアーゼウスに消し飛ばしてもらおうかと相談した位だし」と。

 因みに地味にエクレシアとキットの仲が険悪になった時があった、理由はエクレシアの体重が増えてキットの体重が増えなかったからとかなんとか。


『ティアラメンツ・メイルゥ』

 抉り込む様に拳を叩き込む。しばらくの間美味しいものがたくさん食べられて幸せ。


『ティアラメンツ・レイノハート』

 まじ許さんとなった。しばらくの間作る料理の量が減って大変楽である。


『ティアラメンツ・キトカロス』

 彼女にとっての地獄の様な1ヶ月の始まりである。ぶっちゃけ殴られるよりよっぽどきつい。でも誰もかわいそうとは思わない、だって自分のせいだし。これを切っ掛けに懲りてほしい所…まぁ無理だけど。




『星神器デミウルギア』

 ある意味イドリースが攻めてきた原因。何故かドラグマの地下で眠っていたやばいやつ。現在完全に機能を停止しており、精霊として死亡していると言って良い状態にある。が、そんな状態でも幾らでも使いようがあるのでマクシムスAはとても困っていた。

 後日、『スプリガンズ・キット』の協力により詳しい状態を把握に成功。結果、どの様な技術をもって行われたか不明であるがデミウルギアの外殻がひどく劣化させられている事が判明。もし、仮にだがイドリースがこれを叩き起こして居た場合、自らのエネルギーに耐えきれず弾け飛び、文字通り精霊界を薙ぎ払う特大の爆弾と化していたらしい。

 そしてそれは精霊界の外に居る連中にも見える特大の花火であっただろう事をマクシムスAは察して、また胃が痛くなった。



『天霆號アーゼウス』

 今回の戦犯にして非常に納得行かないが一番のMVPである。


 実は精霊かどうかも謎な正体不明の機械だったりする。ボロボロの状態で放置されている時にキットが発見し、四苦八苦しながらもなんとか修繕に成功。以来ずっと一緒に行動している。こいつが自重無しで吹っ飛ばすときは大抵世界の危機なので、よくなんとも言えない表情をされる。

 意思があるのかそれともただのAIなのかは不明だが、少し前に死んだ魚の様な目をしたエクレシアに腹に付いた肉を消し飛ばせないかと相談されたときはとても困ったとかなんとか。
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