MD次元ではカードの精霊はありふれたもの   作:春山乃都

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『ティアラメンツ・シェイレーン』は限定スイーツが欲しい 【後編】

 イベントに訪れたは良いもののとんでもない化け物こと『時花の賢者―フルール・ド・サージュ』がいることに気が付いてしまった遊賀とシェイレーン。イベント開始と同時に凄まじい速度で走っていった彼女を見てスイーツを諦めかけていた二人はどうしたかと言えば。

 

「お、おぉ。結構揺れるなこれ、う、おぉおお!?」

「ちょっとマスター大丈夫なの?!」

「わりと大丈夫だぞ? そっちは?」

「あたしとしては何時もと違うからすっごい変な感じぃいいいいいいいい!?」

「おぉ、凄い角度で跳ねたな」

 

 普通にイベントを楽しんでいた。 

 

「お、おぉん。頭くらくらする」

「大丈夫かシェイレーン」

「ごめんなさいマスター…ちょっと駄目」

「じゃあ少し休むか」

 

 と、『ゴーストリックの妖精』や『ゴーストリックの魔女』が起こした所謂ポルターガイストの様な現象によって座っている椅子と一緒に部屋の中を跳ね回る事となった二人。乗ったこと無いけどロデオマシーンってこんな感じなのかな、なんて思っている遊賀。その横でシェイレーンが、カードの精霊相手なら容赦は必要ないよねと言わんばかり暴れる椅子に振り回され少し調子が悪そうだ。

 

 そう言うこともあって『ゴーストリックの魔女』にスタンプを押して貰ってから『ろきの部屋』と書かれているエリアから出てしばらく歩き…何故か『らーの部屋』と看板で書かれている休憩エリアにあるベンチに座り、設置されていた自販機で買った水を飲んで一息。

 

「あー…なんで神関係の名前ついてるのかしらね」

「さぁ? 謎解きとかに関係があるんじゃないか?」

「あ、それありそうね…でもこれと言って謎解き要素無かったわよね?」

「だな」

 

 そこそこイベントをまわった筈なんだがと、埋まりかけているスタンプカードを眺める。

 

「これといってヒントの類いも無かったし。解くための謎を見つける所からにしてもちょっと難し過ぎない?」

「説明ではそこまで難しいものではないって話だったんだがな。流石に取っ掛かりが無さ過ぎてどうにもな」

 

 言いながら二人して首を傾げる、とそこに声がかけられた。

 

「いや、謎解きが出来ないのはこちら側の問題なのだ」

「はい?」

 

 声のした方を見るとそこには大きめの鏡を抱えながら休憩エリアへと入ってくる精霊『ゴーストリック・アルカード』は、よいしょと休むのに邪魔にならない位置に鏡を設置して、こんと軽く叩いた。

 

「本来、謎解き用の問題が書かれた看板があったのだが、この者が勢い余って壊してしまったのだ」

「ごめんなさーい」

 

 何て『ゴーストリック・マリー』はひょっこりと鏡に姿を映しながら言う。てへっと言った感じに舌を出している彼女は正直反省している感じではない。アルカードは深くため息を吐いた。

 

「えっと、つまり…そもそも解く謎が無かったってこと?」

「あぁ、申し訳ない事この上ないがな。とりあえずこの者が新しいのを用意できるまでは看板代わりに謎を出す事になったから、楽しんでくれると助かる」

 

 では頼んだぞと言いながら忙しげに休憩エリアから立ち去るアルカード。それを見送ってからぱたぱたと手を振っているマリーへと視線を向ける。と、鏡の中の彼女は楽しげに笑みを浮かべた。

 

「謎解きやりまーすか?」

「あー、じゃあせっかくだしやります」

「わっかりまーした! それでは謎解きどーん! この人だーれだ!」

 

 言いながら何処かから持ってきたのかボードを持ち出し鏡に映すマリー。そこに書かれていたのはこういうもの。

 

 

『そこにはあなたとわたし。三つ消したらお一人登場! 一つと二つで皆殺し! そしたらわたしは真っ二つ! はてさて出てきたあの人だーれだ』

 

 

「結構物騒な内容ね」

 

 怖っと呟きながらさてと考えるシェイレーン。どう言うことなのかと頭を悩ませて。

 

「んー、3で1で登場ってことは。いやでも真っ二つ?……あぁそう言うことかこれ」

「待ってマスター。もしかしてもう分かったの?」

「ん? あぁ、別に難しい問題でも無いからなこれ」

「これで?」

「これで、まぁまだあってるか分からないけどな。とりあえず答えが分かったらどうすれば良いんですか?」

「その答えの場所に行けば良いのでーす」

「あぁ、やっぱりあの名前ってそう言うことだったんだ」

 

 成程なと頷く遊賀。これにはシェイレーンもピンと来たのかあぁそう言うこと、と呟く。何故か部屋や場所に神関係のカードの名前がつけられていたのは考えていた通り謎解き要素だった様で。

 

 それなら神関係のカードの中で先程の謎の答えとなるカードはと言えば…と、そこまで考え所でシェイレーンは詰まった。

 

 理由は極めて単純で、シェイレーンは別に神やそれに関係するカードに詳しくないからである。

 

 そう言うわけで今一ピンとこないシェイレーンは素直にマスターに聞くことにした。

 

「ねぇマスター、この謎解きの答えなんだけど」

「いやここでは言わないぞ? 他にも人居るんだし」

「もっともね」

「そもそも正解かどうかもまだ分からないからな。とりあえず答え合わせに行くけど、シェイレーンはもう大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫よ」

 

 それは良かったと言いながら移動を始める遊賀についていくシェイレーン。そうして到着したのは『おべりすくの部屋』と看板に書かれた部屋の前。あの問題って答え『オベリスクの巨神兵』だったんだ、なんて思いながら部屋に入り。

 

 

 

「おら死ねぇ! 今回と言う今回は絶対に許さんから死ねぇ! さっさと死んで詫びて死ねぇ!」

「ぐ、ぬ、おぉお!?」

 

 

 

 とんでもねぇ修羅場に出くわした。

 

 完全に怒り狂っている『時花の賢者―フルール・ド・サージュ』が何故か居る『フルール・ド・バロネス』にこれでもかと拳を叩き込んでいた。

 

「えぇ…」

「いやどういう状況よ」

 

 ただただ困惑する二人。どういう事なのかと見渡してみると、部屋の端で『マドルチェ・クロワンサン』と『ゴーストリック・シュタイン』が仲良く怯えて居り、さらにその横で困った様子の『ゴーストリックの猫娘』が立っていた。

 

「にゃー…んにゃ?」

 

 と、猫娘が二人に気が付いたのかとてとてと近づいてきた。

 

「にゃー、こんな状況でもうしわけないにゃー」

「いやまぁ、はい。別に気にしていませんので」

「そもそもどういう状況なのよこれ」

「正直良く分かってないのにゃー。あのサージュがお手伝いさんを見つけるや否や殴りかかっていったのにゃー。なんか知り合いっぽいからどうにもにゃー」

「えっと…止めないの?」

「正直、あのサージュからガチギレした時の魔女と同じ気配がするから関わりたくないって言うのが本音だにゃー」

「あー…」

 

 何となく言いたいことが分かると改めて視線を向ける。

 

「く、ぐ!? 何故だサージュ!? 時花の賢者たる汝が何故そうも荒ぶる! 一体なにがあったと言うのだ!? 正気を取り戻すのだ!」

「おらぁ!」

「ぐぉぉお!? そ、そうだ! 汝は甘味を好んでいたな! ここは一つ、甘味を食しながら話し合うのはどうだろうか! 私も食べさせて貰ったのがパンプキンプリンは絶品だったぞ!」

「良し分かりました殺します」

「なんと、さらに圧がました!? 流石に、これ以上は被害が拡がりかねん…っ! 止むを得ん、私はサージュを別の場所に連れていき正気を取り戻す! 済まないがこの場は任せた!」

「あ、はい。分かったにゃー」

「うむ! さぁこっちだサージュ!」

「待てやごらぁ!」

 

 器用に盾で攻撃を捌きつつ、外へと飛び出すバロネスとそれを追うサージュ。そして訪れる沈黙、静寂。少ししてから控えめに猫娘が声を溢す。

 

「…取り合えず、謎解きの続きしますかにゃ?」

「…まぁ、はい」

「じゃあその、準備しますにゃー」

 

 こうして再開した謎解き。それからはこれといって問題もなく進み。なんかあっさり食べ放題券を手に入れた二人。それを利用して程々にスイーツを楽しみ、目当ての限定スイーツ片手に帰路に着く。

 

 何だかんだでこれでもかとイベントを楽しんだ二人の感想は楽しかったけどなんか疲れた、と言った具合だった。

 

 

 

 

 因みに、限定パンプキンプリンは滅茶苦茶美味しかったとの事。




めちゃ雑人物紹介こーなー

『ティアラメンツ・シェイレーン』

 イベントは楽しかったしスイーツは美味しかった。目的の限定パンプキンプリンも想像以上の味に大満足…だったのだが、それ以上に疲れを感じた子。友達へのお土産に幾つかケーキを買った。大変好評だったそうな。


『稲田遊賀』

 謎解きがデュエルに関係する物だったのであっさり解いちゃった人。こんなあっさり貰って良いものなのか? と思いつつも普段食べられない色んなスイーツを食べ比べた。ひっそりと置かれていた良い茶葉を見つけ購入、ちょっとご満悦。


『マドルチェ・プディンセス』

 紆余曲折、謎解きに苦戦しながらも気合いで食べ放題券を勝ち取り、これでもかとスイーツを楽しんだ。心底幸せそうに笑みを浮かべながら帰宅した彼女に待っていたのは顔面への膝蹴りだった。


『フルール・ド・バロネス』

 実はドラグマ事変以来ずっとさ迷ってた。なんとかコンビニにはたどり着けたが既に目的の商品は置いておらず落ち込みながら帰り道を進み、途中で何故か精霊界に存在する『マドルチェ・シャトー』に迷い込み、今回のイベントの事を知り純粋な善意から手伝いを申し出る。何故サージュが怒り狂っているのか今一分かっていない、ちゃんと連絡入れたのに…


『時花の賢者―フルール・ド・サージュ』

 きっかけは1本の電話だった。それは何時も何時も良く分からん場所をさ迷っているたわけからのものだった。なにをやっているんだと呆れながら話を聞いていると。

「汝の作る料理が恋しいのだ。好意によるものなのは分かるが流石に甘味ばかりではな」

 こいつ絶対殺すと、心に誓った瞬間だった。


『マドルチェ』

 実はとある場所から貰った大量の材料が余っていたので食べ放題券をばらまいても問題なかったりする。


『ゴーストリック』

 色々在ったがとても楽しかった、毎日でもやりたい!
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