MD次元ではカードの精霊はありふれたもの   作:春山乃都

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 今さらだけどこの作品はMDのメイトってカードの精霊じゃね?っと言う発想から生まれてたりする。


お客の『春化精の女神 ヴェーラ』と効果音

「納得いきません!」

 

 そんな声が店内に響く。どうしたのかと視線を向ける客と同じようにテーブルを拭いていた『ティアラメンツ・シェイレーン』もまた視線を向ける。

 

 そこにはなにやら不満げな精霊『春化精の女神 ヴェーラ』とそんな彼女を見ながらポカンとした表情を浮かべている恐らく彼女のマスターなのだろう男性と、自分のマスターである『稲田遊賀』が居た。

 

 一体どうしたと言うのかと首を傾げながら近づく。マスターに危害加えようとして居るかもしれないと言う可能性を考えてしっかりと武器を握りながら。

 

「何かあったのマスター?」

「え、いや別に、これと言ったことは無かったぞ? 普通にデュエルしてただけだし…取り合えずその武器しまえ」

「急に叫んだ理由が分かるまで駄目よ」

「あぁ、そう」

 

 言いながらちらっと店長の方を見る遊賀。別に良いんじゃない? と言いたげな店長。と、その横でいつでも大丈夫と言わんばかりに立っている『崇高なる宣告者』の姿。

 

 それに気がついているか分からないが、ヴェーラのマスターはメガネの位置を微調整しつつ問いかけた。

 

「えっとー…ど、どうしたんだい急に叫んで?」

「どうしたもこうしたもありません主様! なんですかこれは!」

 

 言いながらビシッと指差したのはデュエルの盤面。MDを用いて行われているそれは、シェイレーンが見る限りでは別に叫ぶほどの盤面ではない様に思えた。精々自分のマスターの方が若干有利かな? と言ったところだ。

 

 とは言っても所詮は少し程度。叫ぶほどの状態では無い筈だがと思っていると。

 

「絶対におかしいです! こんな」

 

 彼女はグッと、拳に力を込めて。

 

 

 

「こんなわたくしが召喚された時にドゴー! なんて音がするのは!」

 

 

 

 一瞬、シェイレーンには何を言っているのか分からなかった。そして少しして彼女の言葉を理解すると同時に力が抜けるのを感じた。

 

「わたくしが召喚されるのですからもっとこうシャラーンだったりキラーンとかシャキーンって感じの音がすべきなんです! こんなドゴー! なんてズッシって感じだったりガチガチー! って感じの音では断じてありません! もうわたくしプンプンですよ!」

「なんて?」

 

 困った様子の己のマスターにこれでもかと思いをぶつけるヴェーラの言葉に、思わず問いを投げ掛ける。

 

「ですから、ズシッとしててガチガチなドゴーって音ではなくキラキラなわたくしに相応しいもっとシャラリーンって感じの音であるべきだと言ってるのです!」

「どうしましょうマスター。内容が全く頭に入ってこないわ…」

「そうだな…擬音が、多いな」

 

 彼女のマスターはこれを数に理解できるのかとシェイレーンは視線を向ける。すごい曖昧な笑みを浮かべていた。

 

「そっかー、うん。まぁ確かに君らしい音ではないね、うん。でも僕に言われてもどうしようもないかなー」

「だとしてもです! そもそも何故こんなにもゴリゴリーって感じの音なのです!?」

「それはー…君が地属性だからじゃないかなー?」

「じゃあ地属性やめます!」

「やめます?! いやそれされると困るけど?!」

「え、あ、じゃあやめるのやめます!」

 

「すごい事言ってるけどできるのか?」

「無理よ。カードの属性なんてあたしたちが自分で決めてる訳じゃないし」

「まぁだよな」

 

 当然の事を返され静かに頷く遊賀。その目の前でヴェーラがうむむと頭を悩ませていた。

 

「でも納得は言っていませんよ主様。わたくしはこうキラキラーって感じの方が良いです、そん感じの音あります?」

「そんな感じのって言われても…えっと、光属性ならシャキーンって感じだけど?」

「!! いいですねそれ! シャキーンでドドーンって盤面にドーン! って現れるわけですね! ぜひドゴーと交換してもらいましょう!」

「いやそんな簡単に出きるものじゃないんだって」

「…そんなに難しいのですか?」

「うん、難しいと言うかほぼ無理」

 

 そういわれた瞬間、シュンと落ち込むヴェーラ。それを見て分かりやすく慌てた様子の彼女のマスターは、そうだとなにかを思い付いたのか声を溢す。

 

「えっと、なにか食べるものでも頼むのはどうかな? ナポリタンとかすごく美味しいよ」

「ナポリタン?! 良いんですか主様!?」

「うん…あとで怒ら、いや考えないでおこう、うん。と言うわけでお願いします」

「あ、はい」

 

 と答えながら遊賀は視線を店長へ向ける。店長は笑みを浮かべながらサムズアップしていた、どうも聞こえていたようでいつの間にか『崇高なる宣告者』もキッチンへと戻っていた。

 

 それを彼も見ていたのかヴェーラのマスターはそれじゃあと微笑みながらしっかりと遊賀を見る。

 

「すみません、途中で止めてしまって。デュエルの続きといきましょう」

「…えぇ、そうしましょうか」

「あ、デュエルの続き! 大丈夫ですよ主様、わたくしがババーンって出たのですからあっという間に勝利確定です!」

 

 と、どや顔を浮かべながら言うヴェーラ。それを見て、なにをやらかしそうにもないし大丈夫かと地味にずっともっていた直剣をしまい、まぁデュエルはこのままマスターが圧倒して勝利して終わるでしょうけどね! と、心のなかで全力のどや顔を浮かべながら仕事に戻るのだった。




めちゃ雑人物紹介こーなー

『春化精の女神 ヴェーラ』

 実は作中もっとも幼い精霊。そういう精霊だから子供っぽいとかでなくまじで子供。好奇心から色々やらかし良く怒られる。結局召喚時の音に納得言ってないのでどうにか変えられないかと思案中。ナポリタンは口以外は汚さずに食べれた、偉い。でも夕食が食べられなくてしょんぼりすることとなる。肉より野菜が好き。それ以上に主様が好き。


『春化精使いのデュエリスト』

 あのあと負けた。あと一歩だったんだけどなーと呟きながら負けてご立腹なヴェーラの汚れた口を拭い、今度は負けないよとはっきりと言った、同時にナポリタンをたべたことは内緒にしようとも。もっとも、帰宅後見事に夕食をヴェーラが食べきれなかった事から勝手にナポリタンをたべさせたことが発覚し、『丘と芽吹の春化精』に怒られた。


『ティアラメンツ・シェイレーン』

 一目見た時点でヴェーラがとても幼い事に気がついてた子。だからこそやらかすかもしれないと滅茶苦茶警戒していた。因みにマスターである遊賀が勝利した瞬間渾身のどや顔を浮かべていたりする。




『稲田遊賀』

 仕事が終わってからヴェーラが子供であったことを聞かされとても驚く事となる。なんか子供っぽいなとは思っていたが、やっぱ精霊って人間と全然違うなーとしみじみ思うのだった。



『宣告者の神巫』

 今回何故か無反応だった狂信者。あの時布教に赴かなかった理由? そんなの何れ信仰を抱く誰かを救い導く事となるお方だからに決まってるじゃないですか。いくら『宣告者』様があの方以上に偉大で尊いと言えどそんな不敬極まる事する訳無いでしょう。

 そう、ふと疑問に思い問いかけてきたシェイレーンにたいしていつも以上に信仰心でどろどろとした瞳を向けながら言ったらしい。シェイレーン曰くちょっと怖かったらしい。

 なお今回の騒ぎに関しては自ら試練に身を投げ出し己を更なる高みへと昇華させようとしているのですね! 『宣告者』さまほどではありませんが幼いながらに立派です! とか考え、自分が手を貸すわけにはいかないとか思ってたりする。


『崇高なる宣告者』

 ナポリタンを美味しい美味しいと食べるヴェーラにほっこりしてた。

 そしてそれ以上にまた変なこと考えてると胃を痛めてた。
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