2000字程度と短く、割と軽く読める作品ですので良ければ! イラストの方も
【挿絵表示】
……魔法使い、魔界で言う星ドクロとして僕はまだ勉強中だ。
「アーネスト、まだ勉強中かい?」
放課後に教室で魔術書を読んでいると、魔法学校の僕の担任、風魔法を得意とする緑ドクロのセシル先生が話しかけて来た。
「はい。……けど、これを読み終えたら帰る予定です」
「ふふ、僕が学生だった時を思い出すよ。勉強熱心なのは良いけれど、程々にね」
────
勉強に魔力の研鑽、おかげで優等生を自負する僕だ。それに……。
「グルルルッ!」
「こんな所にドラゴンだなんて……スター!」
偶然遭遇した乱暴なドラゴンが襲いかかる。けれど僕は星魔法スターを放ち、光の流れ星で吹き飛ばす。
ドラゴンは向こうの地面に落下して昏倒する。それから僕の後ろにいたペンギンのような姿の悪魔、プリニーが顔を出した。
「いやー助かったっス! いきなりドラゴンが襲いかかって来たっスから、ヒヤヒヤしたっス」
「この辺りの魔物は割と荒っぽいから、気をつけなよ。……全く」
ちょっとした人助けも、そしてドラゴンだって魔法で一撃、大抵の悪魔は敵じゃない……けれど。
そんな僕でも一人、敵わない相手がいる。──それは。
────
「アーくんっ!!」
すぐ空の上からの声。見ると羽根と角を生やした、露出度の高い際どい格好をした長いピンク髪の女の子がいた。
「リリアがどうして……こんな所に?」
そう言うと彼女は僕のすぐ目の前に頬を膨らませながら応える。
隠す所は隠しているけれど、大きな胸にお尻やふともも……ムチムチしていて、異性の色気がある夜魔族と言うか悪魔の種族の子、リリア。彼女は僕の……恋人なんだ。
「だってアーくんの帰りが遅いんだもん。今日は二人でたっぷりイチャイチャしようって、そう約束してたのに」
「ごめん! つい勉強をしてたら遅くなって……。でも、だからこうして危ないけど近道して帰ろうと」
「……ううっ、アーくんは私のこと、嫌いになったんだ……」
ただ僕の言葉がよく伝わってなかったのか、今度はしゅんとなって半べそをかくリリア。ついたじたじになってしまう。
「そんな事あるわけないって。僕はちゃんと君の事を……」
「おやおやっス。女の子を泣かせるなんて、罪な男っスね。
お嬢さん、良かったら代わりにおいらが付き合っても良いっスよ」
……そうしていると、さっき助けたプリニーがリリアにこう言ってナンパしていた。
「ええっと、そう……言われても」
「今はこんな姿っスけど、人間だった頃にはモテモテで、女性経験も豊富だったんっス。
それにこんなに可愛いお嬢さんを放っておけないっス! だから──」
「……スター」
僕はさっき使った魔法攻撃スターを躊躇いなくプリニーに向けて放った。
「ぎゃああーっス!!」
スターを受けて爆発。黒こげになったプリニーは白目を向いてばたりと気絶した。
「せっかく助けたのに、僕の大切なリリアに手を出すなんて……少しお仕置きだよ。
──それとリリア、遅れたのは本当にごめん。だから……」
僕は再度謝ろうとする。けれどリリアは。
「……ふふっ!」
頬を赤らめて、少し姿勢を下げると彼女は、僕の頬に軽く口付けした。
────
それからリリアと一緒に二人で歩いて……ううん、彼女は歩く僕の傍を浮遊しながらついて来ていた。
「……あのさ、リリア?」
「うん?」
「僕の帰りが遅れた事、さっきまで不機嫌だったのに……どうして今はそんなに嬉しそうなんだ?」
歩きながら僕は話す。すると、彼女はくすりとはにかんでこたえる。
「だって、さっき私の事を助けてくれたでしょ?
魔法はやり過ぎかもしれないけど、でも、そこまで私を想ってくれているって分かったから」
この答えにはちょっとドキっとしてしまう。
「それくらい……当然だよ。だってリリアの、彼氏なわけだし」
半分照れ隠し、もう半分は本音で僕は呟く。リリアもそれを聞いて照れているような仕草を見せる。
「アーくんも知ってると思うけど、私は男性を誘惑して精気を糧にする……夜魔族。でもアーくんがちゃんと好意を示してくれるの、夜魔族であるよりも女の子として、ずっと嬉しいから」
他の魔界は知らないけれど、この魔界ではリリアみたいな夜魔族は、実は割といたりもする。男性の誘惑よりも一人の相手を選んで、恋したり愛したりする夜魔族。それが彼女で、彼女に選ばれた相手が僕と言うわけだ。
「何だか、そう言われると気恥ずかしいな。……僕も嬉しいけど」
つい頬を掻いて少し赤面してしまう。彼女はそれを見て可笑しそうにくすりと笑った後、僕に身体をくっつけて来た。
「リリア!?」
豊満で弾力のあるリリアの肢体に包まれる感覚。ハグは恋人同士だからよくあるけれど、彼女のムチムチとしたえっ……けふんけふん、魅力的な身体にはいつもドキッとさせられてしまう。
「君の──アーくんの一途な思いが、何より私は大好きなの。今でこそ魔力も強くて優秀かもしれないけど、そんな事よりもずっと私はありのままの君が……好きなの」
「……!」
そうだった。僕が今のようになる前、普通のドクロ達と変わらないくらいの頃から……リリアは僕の傍にいてくれていた。
色気たっぷりで蠱惑的だけれど、お茶目で甘えん坊で、僕にたっぷりの好意をくれた。だから僕は、それに応えるために勉強して、魔力を高めて強くなった。
リリアがいなければきっと、こうはなれなかったと思う。僕はつい笑みが溢れてこたえた
。
「僕もリリアが、大好きだよ。これからも君の好意にふさわしいように強くなる、。それこそ……魔王にさえなれるくらいに。
だから、その、この先も僕の隣にいて欲しい」
口から出た告白の言葉。彼女はさっきよりも頬を赤くして、瞳を丸くして僕を見つめた。……そしてリリアは僕に愛おしげに頬擦りして。
「もうっ! アーくんは欲張りなんだから!」
「悪魔なんだから、欲望に忠実なのは当たり前だよ。僕はリリアのために……」
「その気持ちと思いだけでも幸せだよ。これからだってずっと傍にいるから。可愛いくて、格好いい私の……アーくん!」
僕とリリア、互いに幸せな気持ちで瞳を合わせる。
それから数百年後、僕は実力をさらに磨いて魔王にまでのし上がる事にはなるけれど、この時の僕らは……まだ知るよしもなかった。
「リリア、僕達の家まであと少しだね」
「はい! 家に帰ったら二人でたくさん愛し合いましょう! アーくん、今夜は眠らせないんだから!」
リリアの言葉に今度は僕が顔を赤くしてしまう。僕一人を好きでいてくれると同時に、彼女は夜魔族。僕への誘いもその分沢山あるし、割と激しい。けど僕の答えは、当然。
「もちろん! リリアが満足出来るくらいに僕も励むから、さ!」
その部分も含めてリリアが大好きだから。彼女は僕が……幸せにしてみせる。