エゥーゴのジャブロー攻略作戦が失敗と言う形以上な結末に終わり、クワトロを始めとした降下部隊がガルダを使って追撃部隊の一派目を退けた時、ティターンズも勿論静観していたワケではない。
「咄嗟の思い付きとやらにしては安手と言うべきですかな?」
「『報復』と見れば良い、奪取したものを活用するだけだしな」
ゴーグルをした2mの巨漢はティターンズの総司令官たる『バスク・オム』である。ジャブローの核は、デラーズ紛争の例からコロニー落としを警戒していてティターンズは落とす為のコロニーと実行部隊を探していたとする策略。
「今、エゥーゴの主力部隊は地球。そして、我等は廃棄コロニーを数機確保していると言うワケだ・・・・ジャブローを核で焼かれた後にするべき事は?」
「防御が薄くなったエゥーゴの本拠地への報復・・・・『一部の過激派』のやり口としては有りがちですな」
「そう言うな、1年戦争からデラーズ紛争を知る者からしたらやむ無しよ」
「そう、廃棄コロニーを調査していたのはティターンズだけではない。とち狂ってしまった一部の仕業よ・・・・『他に影響を与える程度』の被害なら我等の望むところ・・・・」
『勿論、これは本命ではない』
内心で、そうほくそ笑むバスクの顔を合図に『月』に向けて、コロニーを向けるべく?『残っていたエンジン』の火を着けた。宇宙に残るエゥーゴには現時点で最大の危機が始まる。
・・・・・・・・。
「何だとっ!コロニーが一つ、月に向けて動き出した!?」
「はい!このままではフォンブラウンからグラナダ辺りに落ちるコースです!」
ブライトは事態を悟った。月へのコロニー落としを敢行して一気に勝負に出る気かと、コロニー落としを批難しようにも?
「ジャブローの報復とすれば良い・・・・か、クワトロ大尉が聞き出した限りだとコロニー落としを警戒していたからティターンズが宇宙を探っていたらしいが、戦略としては正しいとでも言うべきなのか・・・・っ!?」
悔しさのあまりに拳を握るしかないブライトだが、この事態を打破するには死を覚悟せねばならない・・・・コロニーを移動させているのは核パルスエンジンとして、それを破壊して都市への直撃を避ければ芽はあるが、温存した形になるティターンズ相手に残った戦力では勝算が極めて薄いのだ。そして月では?
『避難を進める』
月のエゥーゴ首脳陣はそれしかなかった。主力部隊が地球にいるのでは防衛力は無い。これではどうにもならない!徹底交戦を唱えられるような者はいない。
「破壊は無理なら、せめて軌道を逸らすしかないか・・・・戦力差が有りすぎるのが問題ですが、万一に賭けるしかありませんな」
「これは『星の屑作戦』の応用ですか?教訓を活かされてると見るべきですかな、他に目を移し?阻止したくても主力が現地に到着できないよう仕向けられてしまった。そう言えばバスク・オムはあの戦いの終盤に参加していたのでしたか」
「・・・・」
有りがちな結論。本来は激を飛ばすべきウォン・リーすら言葉が無くて正にお通夜状態である。今から地上部隊に帰還を命じてもどうにもならない。ガルダ二機に満載したMS隊をどうするべきかだけで一苦労なのだ。
そして、地球上では?
カイ・シデンは状況を分析していた。自分以外の潜入した者達も今はクワトロを始めとした実戦部隊の現場での判断力頼みである。北米へ向かいつつMS隊の何割かを途中で親エゥーゴ派の陸戦部隊と合流させるのと引き換えにドダイを受領した。問題は宇宙に戻るか否かだが、これに関してはエゥーゴ上層部が右往左往していて判断が付かない、実際は間に合わないと判断してせめて地上に降りた部隊を早まらせまいとしたブレックスの策である。
更なる遠謀が絡み合う佳境の中、離れた場では新たな意図が動き出していた。
『はい、テスト終了!二人共、帰還して!』
「了解」
「了解、いやはや・・・・その機体?『事故』で失われた機体を再現したようなもんらしいけど、お前向きなんじゃないか?」
「関係無いさ・・・・それよりさ『失言』は控えろよ?」
『北米オークリー基地』
コロニーが落ちた地の近くにある基地の近くでハイザックの試験型改修機に乗る青年は眼鏡を曇らせながら、親友の乗るガンダムタイプの機体を見ていた。
『ガンダムMK―II試作0号機』
巷で噂になっているガンダムMK―IIのプロトタイプのコピーなようだが、自分が目の当たりにした機体のように凄まじい負荷が掛かるワンオフ機として共通点はある。事情は察しているが、あれで燻ってたものを再び燃やしてくれないものか?
「ご苦労さん!二人共、腕は上がってるようだねえ?」
身長が180近い、大柄な女性『モーラ・バシット』に出迎えられてコックピットから降りて来たのは?
『チャック・キース』と『コウ・ウラキ』
デラーズ紛争を戦い抜いた『アルビオン』のクルー、後にティターンズに参加していない側の中でも特に重要な人物でもある。何故なら、あの戦争の真相を間近で見ているパイロットなのだから。
データをまとめて一息付いたコウは怪訝な顔を隠せなかった。あの紛争で、後にティターンズを結成した者達に目を付けられた自分にテスト機とはいえ再びガンダムを使わせるような事が有り得るのだろうか?そう考えていた時に基地司令から呼び出しがあった。
「コウ・ウラキ中尉?テスト機の扱いは良好なようだな」
「はっ!」
司令とは付き合いがそれなりだが、コウの印象は良い方では無かった・・・・サウス・バニングやエイパー・シナプスのように敬意を抱ける類いのものが無いからだ。事情を知る者達から結果的に事態を悪化させたと糾弾されているが派閥争いを始めとした暗闘の煽り、結果論である為にコウのような者達の中では二人への敬意は揺らぎはしない。
「中尉・・・・率直に言おう!ガンダムMK―II試作0号機の正式なパイロットとして現場復帰を命ずる!ジャブローを核で壊滅させたエゥーゴのテロリスト共の討伐に当たれ!」
唐突な命令・・・・実はデラーズ紛争後の記録消滅後にティターンズからの勧誘を断った際の言動でパイロットとして燃え尽き症候群であると揶揄されたコウにとって転機が訪れた。
原作では長期化させる目的があったのだが、主力部隊が地上に降りた状況でやるべき事は?な賜物。
まだ全容は明かしてないが(不穏)