機動戦士Zガンダム 静寂なる宇宙へ   作:くまたいよう

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 複雑な宇宙世紀側、序盤の策謀主体な戦いの勝者は?な回です。


序盤の賭け 勝者の笑み

「艦隊特攻でピンポイント攻撃・・・・それしかないが、ティターンズの部隊が確認されていないだと?」

 

 アーガマのブリッジでは、不穏な空気が流れていた。取り付けた核パルスで移動しているらしいから、それを破壊して軌道さえ逸らせれば良い。

 

『地球に落ちるのとは違う』

 

 だが、おかしい・・・・迎撃部隊が確認されていないのは、潜伏しているからにしても・・・・と考えたが、恐らくコロニーに集中させて、途中からか終了後に死角から襲う作戦と現場に向かいながら思うが、後の事は考えられても充分な対処は出来ない。

 

 クワトロは戦争等と言うものは、所詮はその前後の戦術の優劣程度で決まると言っていたが、これはそれ以前の問題として覆せない域。

 

『戦略面での負け』

 

 そう言うべきか?とブライトは歯噛みした。所詮はスポンサーに頼らなければならないレジスタンス組織・・・・否。

 

 

『企業の私兵の限界』

 

 

 以前語った事が重くのし掛かっていたが、月都市にコロニーを落とさせる訳にはいかない、その後に起きる戦闘については、実は対策と考えが無い訳ではない。

 

 

 その頃?

 

 

「『デラーズ紛争と同じ』・・・・ですな」

 

 月に残ったエゥーゴの出資者達は塞がらない傷を抉られていた心境だった。報告によると、コロニー自体は廃棄されたものではなくて新品に近い・・・・つまり?

 

「核パルス破壊で軌道を逸らすだけではなく、フォンブラウンからの推進レーザーを送って軌道を変える」

 

 ザワッとなった。当時の事を知る者の発案だが、それではコロニーは地球に向かう・・・・ティターンズから着せられた濡れ衣だけでなく、デラーズ紛争でしてやられ、自害した者達の同類となる事態になる。それには沈黙をせざるを得ないでいたウォン・リーもヒステリックに叫ばざるを得ない。

 

「馬鹿な!それでは、地球にコロニー落としをする事になるぞ!」

 

「案ずるなウォン・・・・どの道、実働部隊はそれは了承するまい・・・・核パルスは独断ででも破壊してくれるよ」

 

「尤も?それが奴等の狙いの一つよ」

 

 ウォンを始めとした数名が目を丸くして『どういう事だっ!?』と言いそうになるが、苦々しい顔で語った。

 

「つまり、ティターンズ側の狙いは?我等スポンサーと実働部隊の不仲を狙うものだ」

 

 そう、これがクワトロ達が捕虜にしたジドレを含む何名かに吹き込まれた策、見返りとしては『捕虜交換』を最優先で行う事を始めとしたものだが、正攻法を好むかクワトロのような現場に理解のある者達への揺さぶりを兼ねた内容でもある。

 

「それから、恐らくティターンズは直ぐには出てこないだろう」

 

「うむ、恐らく連邦側?ルナ2の生き残り等が来るだろうな」

 

「な、何故そのような」

 

「我等なりに考えたのだよ?今回のエゥーゴ設立からの開戦は賭けに等しいが、不味い事になるのは避けたいから、こんな発想が出来るのだろうな」

 

「そもそも、我々のような者達が背後にいないと考えない程に愚かではあるまい?」

 

 とは言ったが、これは実は『策謀』である。何名かに密かに裏でこのような発想が出来る事を吹き込まれていたのだ。ウォン達にはその意図を知る術は無い。

 

『敵の中に味方を作る。兵法の鉄則』

 

 ゲリラ作戦を散発されるにしても新設組織であるので時間を稼ぎたかったのがジャブローでの凶行の一因である。ウォンを始めとした好戦派は自分達が失態を犯した為に口を挟めずにいた。

 

 

 そして?

 

 

「艦長!軌道を逸らせました!コロニーは都市から数百キロ離れた場に落ちる計算です!」

 

「うむ、来るぞ!」

 

 クルー達の報告通り、核パルス破壊だけならアーガマを始めとした数隻だけでそう難しい事ではない、事前に周囲に飛ばした索敵用の艦の情報はまだ来ていない、ならば?

 

「索敵部隊からです!ルナ2の方向から、数は我が方の倍です!」

 

「部隊は・・・・艦長!どうやら、ティターンズではないようです!ルナ2の所属部隊多数のようです!」

 

「・・・・やはりな」

 

 そう、ティターンズはなるべく戦力を温存しつつ自分達以外かエゥーゴに属さない宇宙移民多数の連邦軍をぶつける気だ。だが、ルナ2の部隊なら?この場で『心理的』に有効な手段がある。

 

「予定通りにしろ!本意では無いが、やむを得ん!」

 

 アーガマを始めとした艦艇は離脱を試みた。だが、主力部隊不在を見抜かれているので敵からしたら怖さが無い・・・・追撃を掛けられるとしての『策』を始めた。

 

 そして、ルナ2からは『ボスミア』を始めとした経験豊富な部隊がアーガマを補足した。

 

「敵は暗証空域に逃げ込むルートです!」

 

「ふん、やはりマトモにはやり合う戦力は無いからな、逃げ込む前に沈めてくれる!ルナ2の借りを返してくれるぞ」

 

「?艦長、哨戒艦からの報告!側面に輸送機サイズの艦が一隻」

 

「放って・・・・いや、何かあるかもしれん・・・・詳細は?」

 

「MSが一機入る程度のサイズのようですが、ハッチが開いて・・・・か、艦長ぉぉっ!!」

 

 緊急で送られたデータがモニターに映った時に大半がパニックを起こした。映ったMSが問題に過ぎたのだ。

 

「っ!?ば、馬鹿・・・・な」

 

『ガンダム試作2号機』

 

 記録が抹消されたとは言え、目撃したりした者も何名かはいる!かの『ソロモンの悪夢』に奪取され、コンペイトウと名を変えたソロモンの観艦式で連邦の何百もの戦艦を葬られたという歴史的失策の象徴、幾ら隠蔽しても知る者がいなくなるワケではない。

 

「え、エゥーゴ・・・・めっ!まさか、本当に・・・・い、いや迎撃だ!爆発はさせるなよっ!」

 

 クルー達は無茶と言う事は無かった。確かにアレがコンペイトウを襲撃したものと同じならば、誘爆の余波だけで危険だ。

 

 

 だが?

 

 

「艦長!成功です!敵の足が鈍りました!」

 

「やれやれだな」

 

 そう、あれはリック・ディアスとのコンペに敗れた新型候補・・・・何を血迷ったのか、ガンダム試作2号機と言う連邦の失策の象徴の外見で組み上げられたものだ。そして、アレに搭載されていたのは核では無く、旧ジオンのアッサムが使ってたような『プラズマ・リーダー』タイプの兵器、デラーズ紛争で月都市近辺で撃破されたタイプの残骸とデータで目眩ましと撹乱程度は可能にしたものだ。

 

 それをいきなり放って撹乱させる映像を見るブライトは他人事には思えなかった。ルナ2の部隊は先日の件からして、あんな事をされては冷静さは保てまい、自分も敵の立場なら確実にそうなる・・・・そして?

 

「おのれ、ハッタリだったか!アーガマは?」

 

「離脱しました。我が部隊は・・・・別方向から未確認機!」

 

 潜伏していたのはガンダム2号機の後継機だけではなかった。どうにか形になった部隊の一つが最大戦速で迫り、宇宙用SFCに乗ったネモ部隊で一撃離脱を試みたのだ。

 

 爆発こそしなかったが、集まった艦艇は次々と機関部やブリッジに被弾してMSを出す暇も無かった。後に女性ばかりで編成されていた部隊と『故意』に情報を流された為に面子を潰されたのである。

 

「ご苦労!噂の『可変MS及びMA』が配置されてない今だけしか通用しない策だったが、だからこそ有益だった!諸君の短いながらも貴重な働きに感謝する」

 

 女性艦長からの言葉にハイタッチするのは流石にクワトロを始めとした精鋭ばかりのアーガマには入れなかった悔しさをバネにした女性達であった。

 

『ケーラ・スゥ』『ルー・ルカ』

 

 後にエゥーゴの頼みになるとされている女性パイロット達であるが、それは思わぬ形で早期に実現したのである。

 

 そう、アーガマが逃げ込んだ暗礁空域の先において思わぬ事態が起きたのだ。

 

「艦長、ティターンズのものと思わしき戦艦が2隻確認されました!機種はサラミス級のようです!」

 

「何っ?しかし、2隻か・・・・次が無いか注意しておけ!突破するぞ!」

 

 念入りな警戒をするブライトだが、実は驚異と言える程ではなかった。数こそ揃っていたが指揮を取るのは?

 

「カクリコン、俺は神の存在を信じるぜ!」

 

「ああ、あの忌まわしいブライトが乗ってるかもしれない戦艦が来てくれた!」

 

 ジェリドとカクリコンは先日にヤザンもろともMK―IIを撃とうとした一件で暗礁空域の散策任務に回されていた。これで一気に本隊に返り咲けるチャンスと踏んで出撃したが?

 

『ジェリド中尉、後方から未確認部隊!か、数は・・・・~~っ』

 

 通信が途絶えた。後方を確認すると自軍の艦と出たばかりのMSに数十のビームが降り注いでいる?これ程の規模は未経験だ。エゥーゴの伏兵だとしたら何とか離脱を図るしかないが、アーガマに向かったハイザックとジム・クゥエルは旧ジオンの流れを組んだ外見の機体一機に次々と撃ち落とされていた。

 

「な、何だありゃ・・・・?見た目はゲルググを半魚人っぽくした奴なのに?あれじゃNTが乗ったガンダムみたいじゃねえか?」

 

 ジェリド達はビームの雨から逃れた同胞の弱音に反論する事も出来なかった。必死に離脱するしかない悔しさに震える余裕すらない、離脱をした時には1隻のサラミスと自分とカクリコンのを始めとした半壊したMSが5機しか残ってなかった。

 

「敵部隊、撤退です!」

 

「ふむ、アーガマに接触だ!追いてこい」

 

 ハスキー気味な声で指示をする女性は喜びを隠し切れなかった。

 

 自分の乗る白いカスタム型を含めた『チャイカ』と量産に何とか成功した『ガザC』これと後方に位置する『グワダン』だけで早期帰還は賭けに近かったが、相応の戦利品が手に入ったのだと。

 

「ふふふ、パイロットスーツは『演出』と表情に出る心配があるからだが、正解だったよ」

 

 未知の機体数十に対面していては動けないのを見て取ったからだ。流石に『数で誤魔化せるのは今回きり』としても。アーガマに通信を送り、画像を見ると調べた資料に乗っていた顔があったので猿芝居を開始した。

 

「お初にお目に掛かる・・・・此方は『元・ジオン公国のシャア・アズナブル大佐』・・・・今は『クワトロ・バジーナ』と名乗ってエゥーゴに協力している御方に合流すべくアクシズから馳せ参じた部隊だ・・・・今はティターンズの追撃から離脱が優先なので、先導した先での会見を申し込みたい」

 

 知っている者多数にしても、衝撃的な内容。ブライトにしても最初の衝撃が記憶に新しいので、知らない者の動揺が心配だ。それに、この数の差ではどうにもならないので、当面は従うしかなかった。先導を開始した者は予想以上の成果に顔が綻んでいた。

 

「良い艦だよ・・・・貴様が地球圏で働いて用意した艦、しかも?あの『木馬の艦長』もか?これは良い・・・・後悔しても遅い・・・・貴様が『本名』を名乗らずにいた報いだ・・・・とは言え、それでこれだけの事をやれるのは流石だ!地球で無駄足を踏んでいるようだが、貴様の地球圏での努力の成果、この『ハマーン』が有り難く頂くぞシャア」




 どうだシャア?貴様の力になりたいが為に、はるばるアクシズから戦闘は可能な兵数十と共に?このハマーン自らが駆け付けて、貴様の努力の結晶であるアーガマ隊を救った形で早速役に立ったぞ?感謝してくれるか?

 表向きは、こんな感じ?なハマーン様が単艦でゲームみたいに早期に登場・・・・アーガマと他数隻GET。




 漫画版で寄りによってガンダム2号機の外見の新型造ろうとしたアナハイムの一部って、今話みたいなハッタリ効かせようとしたんだろうか?な出演。


MS紹介?


ハマーン専用チャイカ。

近藤漫画でハマーンが乗っていた機体を劇場版のガザCみたいにハマーン専用カラーにしたもの。
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