「どうしました?」
「~~っ」
背後から声を掛けられ、みっともない声を出しそうになり、振り向いた。クワトロを監視していたつもりのカイに背後から語りかけたのはシオンだった。噂のガンダムMK―IIを駆る少年パイロット。改めて見た目も声も女の子じゃないかと思ってしまう、セイラ・マスどころか今の自分の方がまだ見栄えがするとした。
「おぉ、あの怪しいグラサン大尉が何か気になっちまってな。お前さんはどうだい、素顔を見せない上官を変に思わねえか?」
「【シャア・アズナブル】みたいな被り物よりはマシだと思ってます」
遠回りだが、お見通しと言われていた気分になるが、地上に降りたエゥーゴ部隊はカラバと合流する機会も宇宙で起きてる事すら知る術は無いまま奪取したガルダ級二機で安全な場所を探すしかない、今はガルダに何か細工をされてないか必死に調べていたが成果を出せてはいないのを尻目に見ていたのだが、何故かシオン相手にはペースは掴めないとしていたら背後から【本名】が近付いて来た。
「シオン、丁度良かった。君に見てもらいたいものがあるから、MSデッキに行ってくれ」
「了解です」
カイには、言われた通りにするシオンに嫌な感覚が拭えなかった。対面した相手は想定出来る事全てをやるような男と認識はしていた。尤も、シオンに自分が思っている事を感知されて塩対応されていたとは知る術は無い。
そして?
「宇宙じゃないのが、残念・・・・っ」
MK―IIの【両肩】をエマの機体を参考に改良した機体のテストを兼ねて、シオンは先日の新型を仮想したシミュレーションをしていた。確かに、宇宙でなら百式にも負けない機動性を持つだろうが、地上ではと思いながら空中戦を行うが、やはり差は埋められない・・・・機を見てフライングアーマーに戻り、先日クワトロがやったような図にするべく、フルパワーでアーマーから機体をジャンプ上昇させて、超高度から落下しつつ襲い掛かるが、やはり新型の動きが鈍くなったところをライフルで撃ち抜いて終了させた。
「おう、お疲れ・・・・なんだが、俺達から見てもおかしな敵だな?」
「はい、実際ああだったにしてもシミュレーションでも先日と似た感じになりますね?」
ロベルトとアポリーは、言ったようにデータを元にしたシミュレーション上の新型の動きに戸惑っていた。単に上空からの攻撃に対応出来ない欠陥機だとは思えない、パイロットの問題とした場合、ある可能性が浮上した。それをシオンに聞かせるべきか否か。
「シオン・・・・一つ、話さなきゃならねえ事がある。このパイロットだがな?」
「お、おい【リカルド】?」
「リカルド?・・・・昔の名前ですか」
二人は目を丸くしたが、持ち直した。この少年にはあるがまま見ただけで洞察されてしまうのは聞いた限りと【前例】で察している。ならばと・・・・。
一方、クワトロはカイと宛がわれた自室で対面していた。
カイ・シデンはブライトやハヤト同様に嘗てのホワイトベース隊のクルーの一人であり。
【ベルファウストの件で筋金入りのジオン嫌いの一人ではある】
まして、そもそも【サイド7】への攻撃を指示したのは誰なのか。
皮肉な事に早目に実行した作戦の影響で早期に捕らわれただけでなく、ブライトがハヤトを始めとする旧知の者に対する連絡が遅れていたので顔を合わせたら最初に皮肉を言い出す事になった。
「マスクの次はサングラスかい、そうやってまで戦い続ける理由は何だ【シャア】?」
「私はクワトロ・バジーナだ」
「だから、今回みたいな悪辣な事を見抜けませんっての・・・・シャアなら見抜けたハズだがな、パイロットとして戦いたがってばかりなせいで衰えたのかい?」
【シャアなら】
自覚は有って無きが如しだが、今のシャアには内部からザビ家を倒したような行動力も胆力も無いと指摘された。
「噂のアムロ・レイの再来に助けて貰ったから礼を言うべきだが、当の可愛らしい坊やにはそんな姿見せ続けて良いんかよ?」
「待ちたまえ・・・・何故、知っている?」
聞き捨てならない。シオンの事は隠せないだろうし、バレている覚悟はしていたが、経緯は把握しておきたいとして問うたが、返ってきた答えに完全に甘かったと自覚した。
皮肉な笑みを浮かべてカイが退散する辺りで、クワトロはデッキに向かったがシオンとアポリーにロベルトが集まって先日のシミュレーションの件でMK―IIのコックピット周辺で打ち合わせをしていた。正直、戦いたがっていると指摘したカイから見たら、逃げだろうが?
【計算通り】
「苦労を掛けるな」
「それは言いっこなしですよ『大佐』」
「お粥が炊けたよとか言い出さないで下さいな流れですね」
「何でそんな渋いのを出す?」
少なくとも重くはない空気だ。そう、クワトロは?
【既にシオンには打ち明けていたのだ】
ブライトの話を参考にしたからでも、後回しにするメリットが一切無い。シオンに関しては何やら昔ながらのドラマやらのような冗談を言う程だ。カイが知っている理由に関してもシオンが塩対応にしても、今は喜ぶべきだろうとした時。
『敵機接近!各員戦闘準備!』
「またか、小刻み気味なのが気になるが。シオン、何か感じるか?」
「いえ、最低でも初手から気に掛かるのは無いです」
「わかった。出撃準備だ!」
カイが見たら、シオンを体よく使っているとする流れだがシオン本人は、別に気にしていない。そもそも、ロベルト達にすら聞かせられない事で自分なりに【能力】の使い方を考え始めてしまった。
【勿論、そう甘くは無いが】
それが理由で始まる物語の序章が始まった。
そろそろ、地獄への扉が開くかその手前?