ジャブロー脱出後、小刻みに続く襲撃に対して五度目の出撃をしたシオンは、地球でのフライングアーマーの扱いに慣れて、通常のドダイを使う必要が無くなっていた。数が限られているから部隊としては助かっている。
白い雲の多い場、宇宙移民からしたら不慣れと思うが、ミノフスキー粒子で溺れそうとか、そもそも何が起きるかわからない宇宙に住んでいる者がこのくらいとか、考え方を変えればやりようはあると割り切り、次々と撃墜スコアを更新した。
『自分の感覚を信じろ』
クワトロやロベルト達に遠回しに言われた事だが、何となく思い浮かぶ範囲で、元になっている人物が自分の感性に否定的だったから?な縛りが今は無い、見えると判断していた。
次の行動も読める動きの敵機にはネモやジム用なバズーカをMK―II用に調整したもので次々と撃つ、ドダイや上のMSに直撃して落下して行く。散開した敵も周りが次々撃墜して行く、やはり敵側はクワトロ大尉達とは経験値が違うから動揺したら最後だとシオンは見ている。
『シオン、私達は一旦補給に戻る!君は、そのまま次を警戒してくれ!』
「了解です!」
整備状況からの効率の問題でMK―IIは他より出撃回数を控えがちだからの判断だ。
此方の部隊には、まだ余裕があるが?何かおかしいとしていた。ティターンズではなく連邦軍ばかりが襲って来る以前に、この辺りは北米らしいとする以前に、クワトロ達は何かをか気にしていると考えていたシオンだが?
(不味い!)
寒気がして、急上昇!下から来たビームを回避したシオン、明らかに戦艦クラスのビームで先日の新型かと考えて警戒するが、仕掛けた側は戦慄していた。レーダーの性能は自分の機体が上のハズだが、知っているのとは違った動きのキレがあるとしていた。
(外れた・・・・精度は改良されてるのに、けどいきなり『本命』!)
ドダイの上から、自分から見ても凄まじいビームを撃ってコウ・ウラキは近付くが、バズーカらしき攻撃が来たので回避した。ビームやマシンガンなら危なかった。
『コウ、待てよ!一人じゃ危険だ!』
「わかっている!けど、周りが言っている通りなら?一機だけな今がチャンスなんだ!」
パイロット搭乗タイプのドダイを操縦しているキースは親友の心境をわかってはいる。
現役復帰を了承して、ガンダムMK―II試作0号機のテストを行っていたが、近くで戦闘が始まっていたので、せめて友軍の救助をと命令されたが、既に終わっていたのは驚愕したが、恐らく撤退した部隊の残りを確認した。
もしも、あのガンダムタイプが、噂通りにかは知らないが、核に匹敵する被害を与え続けるなら倒さねばならない、第二の『アナベル・ガトー』を出すワケにはいかないのだ。
一方でシオンは確認した機体の図を見たが、MK―IIに酷似していた。地上用のガンダムは一年戦争の時から確認されているので出て来てもおかしくはない。そもそもMK―IIも三機製造されている。
『そのMK―IIのパイロット!聞こえるか、ジャブローで核を爆発させたのはお前かっ!?』
シオンは、言われるとは思っていた内容がビームの乱射と共に飛んできけど予想とは違うと感じた。真剣で、悪く言えば強迫観念染みた色の混じった気迫しか感じないが、ロベルトに聞いた『強化人間』や『薬物投与をされたNT』とは到底思えない!
(いや、それ以前に気圧されたら負ける!仕切り直しだ!)
シオンは雲に隠れて、シールドランチャーを別方向に撃った!目眩ましだが?コウには既視感があった。
(っ、あの時と似てる?・・・・逆か!)
そう、コンペイトウ付近の戦闘ではガトーのビームサーベルを使った囮に釣られ、別方向からの奇襲でライフルを破壊された時、ならば!
逆から姿を見せた相手にライフルを撃つが、それを掻い潜るように回避して突撃して来る!安定感には掛けるがパワーは、とした時に相手が乗っているドダイとは違う物から飛び跳ねた?データで見たパターンとした時。
ズザザッ
『か、掠められた!?』
MK―IIに気を取られた虚を突かれた時、キースの乗っているドダイが、翼の部分が鋭利な刃物のようになっている部分に掠められたと理解した。改良された部分を使ったフェイント攻撃に惑わされた時に、コウの機体が弾き飛ばされた。そのままライフルの斉射に見舞われたが、コウは無理矢理機体を旋回させて回避し続け、シールドを破壊力されながらも反撃のビームで相手のシールドを破壊し返した。
そのまま、ビームを連射と見せかけて推力を全快にして、すれ違いざまにサーベルを横薙ぎに舞おうとするが、相手はそれを予期していたように機体急上昇して回避された。後方下からライフルを撃たれる形になるが、それは同じく急上昇で回避した。
その瞬発力はシオンを驚愕させた。ふくらはぎにあるバーニアがある分、瞬発力なら既存のMSの全てに勝るからだが?パイロットへの負荷が凄まじい・・・・だが、コウは以前に乗っていた機体が全てその類いである為に耐性があった。
お互いSFSに戻って仕切り直しを図るが、その時にはエゥーゴ側の増援が来たので、コウは全力で離脱した。損傷が軽微で幸いだった。キースの操るドダイは緊急用の一時加速を強化した代物であり、これなら追い付かれはしないだろう。
『あ、危なかったな?』
「ああ、ガトーとは違う方向で手強い敵だったよ・・・・標準的な仕上がりの機体なのに、抵抗力がスペックの何倍かある動きだ」
そう評するコウだが、それはシオンも同じであった。此方のにバッタみたいな瞬発力を加えた機体をああも使いこなす技量と呑まれ欠ける気迫。
お互いに、制限が多い重力下でなく宇宙空間で戦ってたら、負けていたかもしれないと冷や汗を掻いた。
『シオン、無事か?一人で良く頑張ったじゃないか』
「えぇ、宇宙で戦ったマラサイを思い出すくらい強かったです。ティターンズでしょうか?」
『新型かなんかのテスト中かもな、まあ帰還してからにしよう』
アポリーに言われたままにするシオンは、恐らく初めての域を味わっていた。
現在に、現場に立つ者の中で新旧ガンダム乗りの初対決と言える戦いは、先輩であるコウの復帰したて、シオンの経験不足がお互い救いとなって、痛み分けに終わった。
その頃。
『シャイアン基地』
シミュレーションとは言え、同じ機体で六機を相手に二分で撃墜する腕の青年は浮かない顔であった。やや天然のパーマが掛かった赤毛の断髪で影のある表情・・・・それを確認した。女性が声を掛けた。
「『アムロ大尉』?新型の件で打ち合わせがあります」
「またか?」
上官同様に赤が掛かっているが、此方はストレートな髪で近所のお姉さんと言える外見である。
『クリスチーナ・マッケンジー』
アムロより、やや年上である技術畑出身のテストパイロットである。『ある経緯』でアムロと同じ基地に配属された後に?
『一年戦争末期に自分が戦った相手の事を知ってしまった』
ある意味でアムロに近い傷を持った者として密かに気を許し合う存在でもあるが?
「マッケンジー中尉?俺に対する当て付けなんだから、手短に」
「クリスで良いんですよ『元英雄様』?長い呼び名を使う気力も無いんでしょうに」
半端に知る者からしたら、初めてガンダムに乗った頃に戻ってしまっていると映るひがみ節を出している側と幻滅している側の会話だが、これは擬態だとクリスは理解している。時間を掛けて肩や腕を触る等の合図のみで意志疎通は図れてるようになれているし、こうなった意図は少しずつ調べていたのだ。
『アムロ・レイにガンダムに関わっていた者を近付ける事の意味は大きい』
まあ、読んでの通りな状態のクリスも出したな回。