機動戦士Zガンダム 静寂なる宇宙へ   作:くまたいよう

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 オーストラリアの激戦中。


忌まわしき切っ掛け

『宇宙に戻るなって事ですか?』

 

『そうだ。地球でジャブロー爆破の主犯はティターンズだと証明する証拠を掴む必要もあるからな』

 

 シオンがクワトロから伝えられた事は一理あるが何やら聞くに耐えない事が含まれている予感がした。

 

 それを除いても、戦闘が続く日々で新たな計略があった。

 

「・・・・動きが単調だよ!」

 

 今日もMK―IIのライフルで突貫して来る機体を次々と撃ち抜いていた。

 

 オーストラリアのシャトル発進基地を制圧したエゥーゴに襲い掛かる連邦とティターンズの部隊、エマのMK―IIもガーベラのロングライフルを使って次々と撃墜数を増やした。

 

(新型っ!?)

 

 交戦中に円盤型の新型MA【アッシマー】が新手として襲い掛かるが、シャトルの方に目を向けているとは大半が気付いた。

 

 嘗て、この地で散った男のみならず。シャアやそれに従っていた者にとって【人生、最愛の人】の配下達が未遂に終わったが起こし掛けた陰謀を知らされているのであるが、今回はシャアの下調べの方が一枚上手だった。

 

 交戦中にMS形態になるアッシマーは間違ってもパワー比べは出来ないとするサイズ差があるが、どうやらビーム・サーベルは持っていない。

 

 一撃離脱を繰り返す内にシオンはある事を発見したのでシャトル追撃に移ったアッシマーを追撃しつつ勝負に出た。

 

 シャトルが【自爆】した時、地上に残るMSに狙いを切り替えた時を狙い撃った。胸部ハッチが閉じるのが僅かに遅れて棒立ちになる瞬間をMK―IIの最大出力のビームで撃ち抜いた。

 

(性能差があるからこその見落とし、他人事とは思うな・・・・か)

 

 フィリップ達の座学の賜物で日々、戦闘パイロットの錬度は高まっているが冷めたと言える感性であるシオンの反面で観察したいとするエマ。二人を中心にした作戦は無難に終えたと思われた時。

 

 

 ~~~~~~~~っ。

 

 

 MSサイズとは思えないビームがシャトルを飛ばした場を消し飛ばしていた。後方から確認された機体にはシオンは目を見張った。

 

「何ですかアレ、巨大自走砲ですか?」

 

「いえ、確かアレは【ライノサラス】・・・・ジオンがこの地で使った旧拵えのMAよ」

 

 旧世紀の列車砲を宇宙世紀に持ち込んでザクタンクと合わせたような兵器に辟易するエマだが、シオンはその兵器に言いようが無い嫌悪感を感じていた。

 

 

 

 

 -ー-ー-ー-ー-ー。

 

 

 

 

「何だって!オーストラリアの部隊の幾らかが例の【アスタロス】を連想してエゥーゴに攻撃してるって?」

 

「えぇ、お陰で猪突猛進になって先日のガンダム二機を中心とした部隊の餌食になってしまってるようです」

 

 アニタの冷めた声での状況報告、連邦の正義を盲信気味ではあるが決して身贔屓一辺倒ではない。

 

「それから【噂】によると例のライノサラスを試しに組み上げたのを使うようですよ隊長・・・・」

 

「やはり、ティターンズは正規の連邦兵を無駄死にさせる気か・・・・」

 

 ホワイト・ディンゴでも裏側を探る戦いが起きる中で上官から次なる指令が来た。流石に動きが早いとした。

 

「トリントン基地に向かったエゥーゴを迎撃せよか、何と言うか・・・・【偽悪的】だな、アリススプリング以降の戦いを思い出すよ」

 

 レイヤーの以前よりは砕けた口調でのぼやきを聞く隊員達、確かに熱くなっては負けとする戦いが始まったようだと理解した。

 

 

 

 

 

 ――――――――。

 

 

 

 突っ込んで来るライノサラスだが、小回りが効かない為に運動性を強化されたMK―IIの前には火力以外は恐れるに足りない、二発目のビームを回避した瞬間、シオンの動きが止まったのでエマが慌てて呼び掛けたが、直ぐに答えが出た。

 

「シオン・・・・」

 

「ど、どうも・・・・お見苦しいとこを」

 

「気にしないで良くてよ・・・・」

 

 コックピットを開いて、地上に胃の中の物を吐き出し終えたシオン。隣接してシオン機に寄り添ったエマも顔を青ざめさせていた。

 

 襲って来たMAライノサラスは戦闘中に自壊したのだ。

 

【バストライナー】

 

 そう呼ばれるビーム兵器は一年戦争時に使用された際に搭乗員が全員蒸発するような事態を起こしたとデータにあった。一応は改良されてはいたが、搭乗員が二発目に全員蒸発しない程度のものであった・・・・反撃を見舞う前に、コックピットから這い出て来たパイロット達は、身体の大半が炭になり始める程に焼き爛れていた図を見たからだ。

 

(ティターンズは何をしようとしているの、こんな風に連邦の軍人を死なせてしまって・・・・その後は?)

 

「【人減らし】・・・・でしょう」

 

「えっ、どういう事?」

 

「大尉に・・・・聞いた事があります。ギレン・ザビがやったのは戦争を利用して人を減らし、後を統治し易くするのも狙い・・・・ヒットラーの尻尾なんて言われてたのがギレンですから・・・・連邦内に、ザビ家のやり方を民主制に取り入れるなんてのが出てもおかしくない・・・・これは、その一歩目・・・・」

 

「え、私・・・・聞いた?」

 

「聞いたでしょ」

 

 エマは怖くなって、自分の機体に戻るシオンを見送るしかなかった。詳細についてはまだ聞きたいのだが、何故自分が口にしてない事に応えたのか・・・・まだエマには早すぎたのは間違い無い。

 

 

 

 一方。

 

 

 

 

「アポリー、ロベルト!ジャブローとは状況が違うが」

 

「わかっています」

 

「毒絡みで何とやらですな」

 

 シオンには悪いが、核を使うテロリストと認識されるならされるでやりようがある。近くに来たら慌てるか白いMK―IIが近くに来るかで僅かにブレが出る。ドムに近いホバー走行で突っ込みながら時々機体を重ねては散開しての射撃で次々と迎撃部隊を撃ち落とすが、やはりとした。

 

「大尉、連中は及び腰だけじゃなくてテストパイロットばかりのようですが・・・・ラインを決めてるようですね」

 

「うむ、トリントン基地にはやはりあるな」

 

【核】

 

 ガンダム試作2号機が使用したレーザー核融合タイプの核を備蓄している可能性がある。だからこそ、これからやる事が必要なのだ。

 

【基地を無力化して、ジャブローでの戦利品を使う算段だが、まだ早いのでこれは下準備だ】

 

「大尉、そろそろ・・・・大尉?」

 

「む、そうだな。撤収だ!欲を出すなよ」

 

 クワトロは隣にいるのがアポリーとロベルトで良かったと思った。ジーンからエンツォ寄りな者なら一手間だったであろう、現にラインより向こうにはホワイト・ディンゴが待ち構えていたのだから。

 

 

 

 

 --------。

 

 

 

 

「アーガマの行方は、まだわからないのか?」

 

 月都市グラナダのある中華料理店にて、ウォン・リーはアナハイムの会長であり全権を任された者と対面していた。

 

【メラニー・ヒュー・カーバイン】

 

 太った身体を揺らしながら会食感覚で対面してはいるが、表情が厳しい。アーガマとブライト・ノアが行方不明とあってはエゥーゴの実働部隊は舵を失った船に近いだろう。

 

「君にしては気落ちしているようだな、結成当初の勢いはどうしたのかね?」

 

 酒が運ばれるが、言ったような状態で口を付けようともしないのでメラニーは一つ予め考えていた提案をする事にした。このままでは拉致があかない。

 

「ウォン、ここはシャアに任せたらどうだ?」

 

「し、しかし・・・・っ」

 

「それ以外に何がある。ジャブローがガルダ級を使っての引っ越し中だったのを見抜けなかったではなく【気付かずに空き家を攻めた】等とは後の戦史の笑いの種だ。ジャブローを核で焼いた濡れ衣を着せられた事を即時解決出来ない政治的手段がないなら実働部隊に任せるしかあるまい、ここは我慢のし時とやらだ」

 

 それなりに評価してはいるが、ウォン・リーは投資家としては大したものだが楽観的で余計な事をしたがる部分がある。それに、早期決着を望んだのは成功した場合の功績を武器に政治家にでも転身する気だったのではとしたメラニーは内心で甘いとした。

 

(政権を取れただけでどうにかなるような甘いものではない・・・・政治家が中年でも鼻垂れ小僧と呼ばれる理由を知るべきだ)

 

 

 

 

 -----。

 

 

 

 

 上層部や指揮官クラスが動く中、シオン達も連戦を強いられていた。今回は標準装備にしたMK―II同士でシオンとエマが周囲の警戒任務に付いていた。地球生まれのエマはエゥーゴにとって稀有な人材なのもあっていつの間にかレギュラーパイロットの一角となっていたのだ。

 

「何か来ます!」

 

 シオンの呼び掛けに素直に従って散会したエマが目の当たりにしたのはMK―IIより僅かに高く本体とほぼ同サイズのバックパックを装備した機体、両腕から威力の高いビーム砲を斉射して来たので懐に飛び込もうとしたが、胸部から何かが来る気配を感じた時。機体を離脱させた。エマがプレッシャーを感じる事が出来なければ撃破されていただろう。

 

「拡散ビーム砲?」

 

 一門しか無いが、それでもドムタイプの比ではない。追撃を警戒するが機体が動かないので不審に思っていたが、数秒後に噂に聞いたジオングのように両方の前腕部を飛ばしてそのままビーム砲を斉射して来たが?

 

「噂に聞いたジオングみたいに四方に動かそうとすらしてないし直線的過ぎる・・・・そうか【重力下】だからそういう動きしか出来ないのね、シオン!」

 

 エマ機が適当にビームライフルを撃って牽制したが、やはり前腕部のみならず本体の動きも鈍い。有線式のせいでもあるのでシオンが腕でなく線を撃って前腕部を落とし、念入りに落ちた部分をエマは破壊した時。

 

「突っ込んで来【散開!】・・・・はい!」

 

 エマの指示通りにした。敢えて敵側に突っ込んで撤退するのも手だとは聞いた事がある。敢えて通らせて背後のバックパックをシールドランチャーとビームの斉射で破壊した時、正体不明機は倒れ付し、沈黙した。

 

「データバンクには入ってない機体ね・・・・ガンダムタイプみたいだけど」

 

「回収班に任せましょう・・・・」

 

 エマは言う通りにした。連戦の疲れではなくあの機体を見てシオンが顔色を悪くしているからだ。

 

【プロトタイプサイコガンダム】

 

 MK―IIの完成を機に製造された機体の一つであり【標準サイズに仕上げた側】であるが、この機体がシオンにとっては忌まわしい戦いへの切っ掛けだったと知る術は無かった。




 エマさんが結果的に原作と違って地球に降り、経験活かして大活躍してます。
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