「【ペッシェ・モンターニュ】・・・・か」
クワトロは自室でデータを見ながらフラナガンと話し合った事を思い出したが、フラナガンと来て連想しがちなのは【ララァ】になりがちなのだが、部屋をノックする音で思考を中断した。
『大尉、ブリッジへお願いします』
「シオンか、わかった・・・・」
ブリッジへ向かうが、クワトロは周りがシオンを見る目が違っている事に気付いた。先日の予知能力もそうだが、戦闘力が飛躍的に上がっていたのに心当たりがある。
(フォウ・ムラサメは、元々はNTの素養があるとされたから、強化人間の被実体とされた。それは不幸だ・・・・だが?)
波長があったのか、シオンの感性が飛躍的に上がった。嘗て、アムロがララァが出会った時のように。
「フォウは、元に戻るでしょうか?」
「前例を知らんからな・・・・彼女は、私的な事では君に任せる方が安全かもしれん」
「酒が駄目ならコーラが飲みたいとか、割と不良さんなんですよ」
【筒抜け】
自分で無ければ危険かもしれなかった流れとしながら、嘗てハマーンにしてしまった事を思い出したが、今のシオンには能力を伸ばす事以上にフォウが必要なのだとしてブリッジに入った。
「カラバの連絡員じゃなくて重役らしき者が連絡役として偵察機で来てます。コードネームは【柔道少年】」
「わかった。しかし、奇をてらわないネームだな。それと奇遇だ」
出された瓶のコーラ等をいつ補給したのだとしながらクワトロは何気無く飲む。シオンは、どうやらフォウへの差し入れにするか自分が飲むかで躊躇っているのは年相応だとした。そして、作戦の成功を告げる合図が来た。
【次はアフリカ】
トリントン基地を狙っていると見せ掛ける作戦だったのだ。有りがちだからこそ有効。これで釘突けとまでは行かなくても混乱はさせられるし、ホワイトディンゴが上手くやるし、元アルビオン隊があの辺りに来たのも意味が大きい。
アウドムラにはエゥーゴの機体はネモ以外はかなり降ろした。これからが本番とした時に偵察用の航空機で先導してくれた男が合流する。
【ハヤト・コバヤシ】
背丈は低いが、貫禄がある肉付きでコードネーム通り柔道小年が歳を取ったような外見であった。
「成る程、つくづく裏を掛かれてしまいます。わかってても対処が遅れて不味い状況にされてしまう恐怖はいつまでも拭えません」
「それより聞かせて頂きたい、何故か私の事が漏れているようですが?」
「調査中です。それより・・・・」
同席させたシオンには説明はしたと、クワトロは一言伝えた。噂を聞いてはいたが、ハヤトからしたらシャアが見出だして早期に実戦投入したともされるイメージに悪い意味で当てはまる。これではまるで話に聞いた【ソロモンの悪霊】のようだとした瞬間である。
「俺、男ですよ」
「失礼した。連戦で過敏になっているのだ」
「わかります。どうやら【既に】らしい、シオン君、非礼を詫びるよ。そして経験者として忠告するが、口に出せば良いものではないぞ。いずれ君に会って欲しい人物がいるから、その時の為に落ち着いて自分なりに見えた事をまとめておけ」
シオンはハヤトの言う事に感じたものがあったので気を鎮めた。シャアからしたら会って欲しい人物とはアムロの事かもとしたが、それは違う。かなりの割合が思っている事。
【ホワイトベースクルーの中でNTとしての力を真っ先に発現させた存在がアムロ・レイ】
実は、それが大間違いなのだ。
―――ー――。
「じゃあ、世話になったわ・・・・」
「元気でな」
アムロは飽くまで昔馴染みに向けるようで冷淡な対応でフラウ達の乗った便を見送った。注意深く見れば酒の残る顔色であるが、帰路に付きながら一説には交際手前で家族に近い女性であるクリスと帰りに一杯引っ掻けて帰るかと談笑しながら歩いていた時。
「あれ、大尉。アッチにも千鳥足みたいのが、最近お互い見る姿ですね」
「何だ。昼間からの酔っ払いが此処にも多いなあ、大丈夫ですか?」
世話を焼いてトイレに連れ込んだ。見苦しい時間の始まりとアムロを監視する男は見ていたが?
「おかしい」
時間が掛かり過ぎるとしたが、発信器の反応が動き出したので、近付いたが?
「はあ、柄にも無い深酒はやめときゃ良かったかな」
男はしまったとした。男のポケットには、いつの間にか【無反応で外された発信器】が入れられていた。輸送機が飛んで更にしてやられたと。輸送機を止めるべく管制室に駆け込むのを見計らって、アムロとクリスが姿を現す。
「上手く行きましたね。長年酔っ払いを気取った甲斐がありました」
実を言うと半分以上はアル中に足を突っ込んでいたのは事実。経緯はわかるがとして、三名は次なる行動に出た。
【数時間後のシャイアン基地】
「非常事態だ!あ、アレ・・・・?」
「失礼。場違いな事をやりに来たわ!」
クリスは、予めに整えてもらっていたルートにおいて戻って携帯用の睡眠ガスを使って周りを無力化した。基地に運ばれたばかりのMS用コンテナを開き、MSのコックピットに入る。
「立ち上がりだけでわかる。未だに色あせないわね。この敏感さ」
『だっ、誰なんだ!それに、何故その機体が此処に運び込まれている!?』
「失礼、私も乗りたい風に乗りたいので」
回線を切る。これからが本番だとしてスペックに目を通した。アムロよりはマシだが、自分はNTではない。ならばやりようがある。
「・・・・オーガスタからの贈り物・・・・【7年前】と違って、振り回されない程度には動かして見せるわ。さあ、行くわよ【アレックス】!」
破壊されてしまった機体を修復改修した機体を格納庫の外に飛び立たせ着陸させた。以前とは違い、一年戦争で考案されたフルアーマーシステムを今の技術で再現したアレックスが大地に立った。ショルダーキャノンと胸部装甲下のミサイルに腕部の二連ビームキャノン。送り主は殲滅戦でもやらせるのかと言いたい気分だ。
『マッケンジー中尉なのですか、アムロ大尉はどうしたのです?』
「さあ?」
そのままホバー走行で突っ込んだ。元々は今の時代でも通用する推力を備えていたアレックスにはジムでは対応しきれない。だが、アムロの教え子ならば油断も無駄な殺生も出来ない。そのまま腕部ガトリングで一機の足を破壊し、横にいる機体には頭部だけを向けたバルカンでカメラを潰した。
『私じゃアレックスを使いこなせないってこと?』
7年前に自分が言った台詞を思い出すが、あの時とは違う、最低限くらいは造作も無い。決して遅すぎたとは思ってはいけないとして予定されたポイントへとアレックスを向ける逃避行が始まる。
――――――――。
「改めて、嘗ての英雄と顔を合わせられて光栄ですな」
「そういう言い方はしなくて良い。カラバへはどのくらいで?」
「三時間と言ったところですかな、MSに乗らないアムロ・レイとは虚を突くには正解です」
一般用車で進むアムロだが、クリスにガンダムで戦わせているからにはこの程度では揺らいでられないとしていた。
「データを欲しがっている男に皮肉を言ってやりたいよ、友達とはいかないが知らない仲でもないだろう」
「私も地球の酒はまだ慣れないのに無茶な流れでしたからな、一緒に【モスク・ハン博士】にやって宜しいですかな?」
「構わないよ、とにかく酒気帯び運転だから気を付けてな【ボッシュ・ウェラー】」
幼馴染み達に触発されたのとは違うが、アムロにとっては数奇な縁での脱出劇が始まる。見上げる先の空すら遠い今の自分は、もう一度大地に立つ力を取り戻したいのか否かとするが、一つ確かな事がある。
(俺は、あの空の向こうに帰るのが怖い。けど、似た者に嫌な事をさせるワケにはいかない。クリスがオーガスタの研究部に引き抜かれた結果だけは防がないとな)
結局、私作ではアムロさんが再起の切っ掛けはコバヤシ一家ではありませんでした。たまたま来たから此方路線にしたアムロさんに誘い掛けてたのはご察しな博士達。