機動戦士Zガンダム 静寂なる宇宙へ   作:くまたいよう

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 アムロの傍にはクリスの後にボッシュな流れ。


怖いもの

【自分のやった事に自惚れられない人なんて嫌いよ】

 

(男の子は・・・・それで良いのかな?)

 

 アムロ・レイの7年は幽閉生活にしてはクリスには聞かせられない部分があった。幸いなのは切り抜ける知識があった事、それにクリスと言う【近い経験】をした存在が近くに来てくれた事だった。

 

「マッケンジー中尉に聞かせられないのは納得です。武勇伝ですなあ」

 

「そうかい?」

 

 ボッシュは元ジオン所属のパイロットと何となく話したが、隣にいる人間は自分の知るイメージとは掛け離れていた。身内思いで知られるドズル・ザビに側室がいたように好意的な者達からしてもマイナスな事がある例は多いのだ。

 

「で、最新のまで集めた資料はどうです?マイナーチェンジの癖にガンダムな機体でご活躍な子は貴方のようになれますかどうか」

 

「俺よりずっと見込みがある。最初から【見えている】ようじゃないか・・・・ハヤトの奴、当て付けかい」

 

 俗な言い方だった。爪を噛んでる姿が生々しく見えた。

 

「ですが、一年戦争の時は貴方が資料にある存在だったのでしょう。このまま行くとどうなると思います?」

 

「・・・・何処かへ行ってしまうな」

 

 今度は要領が得ない、白鳥が飛んだように見えたが。あの日のような光景は見えない、アムロもシャアと同じなのだ。真に求める形でララァに会えない。

 

 

 

 

 ーーーーーーー。

 

 

 

 

「そこね!」

 

 クリスはホバー移動で進むフルアーマー・アレックスの腕部キャノンでジムのシールドを飛ばすが疲労を感じていた。目眩ましの為に派手にやる必要はあるが、流石に長丁場になって来ただけではない。

 

『アムロ・レイ、機体を捨てて投降せよ!』

 

(情報操作が効いているだけじゃない、基地の人がアムロ大尉が乗り込んでると【デマ】を吹き込んだようね)

 

 クリスの推測通り、当初はクリスと気付いたアムロの顔見知り達はシャイアン基地で親指を立て合っていた。この辺りをどこだと思っているのだとしている。

 

【コロニーが落ちた地の近く】

 

 居合わせた部隊が落下するコロニー内部に突入して一矢を報いたとされるが、やはり被害は離れた場にも甚大であった。シャイアンにもアムロを危険視する者達だけでなく突如ティターンズの息の掛かった者が乗り込んで来たりしてグダグダだったとクリスは気付いていたが、一方でホワイトベースの支持派も密かに存在していたし、アムロに憧憬を抱く者達も教え子に混じっている。

 

 そして、クリスの目論見は次の段階に入っていた。山地や街中を始めとしてダミーから偽情報、又は先行量産されたガンダム=陸戦型のように擬装した機体をばら蒔かれていた。ハヤトの所持する博物館のものを使った紛い物混じりだが、一時的な混乱を起こせれば充分。

 

(英雄を甘く見たってとこね、このまま中間点で補給しつつ【オークリー基地】で脱出が無難ね、一方でアムロさん目指す場所は・・・・)

 

 アムロには気の毒だが、これが荒療治になるだろう。既に撃墜数が二十を超えている事を気にせず自分の単騎掛けを成功すべくフットペダルを踏んだ。

 

 

 

 ―――――――。

 

 

 

 

「【ニューヤーク】に行くのか」

 

「逆方面にも複雑な思い出があるでしょう」

 

 ボッシュは調べていた。歴史に【もしも】があったとしたら、当時シャア・アズナブルが自分の復讐と、木馬と呼ばれたホワイトベース隊の討伐のどちらかを優先させるべきか、ハッキリ言えばガルマ・ザビを謀殺するよりガンダムだけでも撃破すれば良かったのかもしれない。ガルマはシャアからは御し易い男だったが【父上がいけなかった】だけであったのだ。

 

「しかし、シャアが実は内部からザビ家を倒そうとした男としてアングラの出版物に取り上げられていると知ったが、それはジオン残党に対する当て付けかい?」

 

「かもしれません、連中からしたら自分達の希望や象徴であるべきシャア大佐が実は最大の怨敵だった等とは。単にジオンを潰してやりたい側からしたら高笑いかもしれませんが・・・・」

 

 どう動かそうとしているか不明、シャアと言う男を知っている側からしても。それよりニューヤークはジオンに占領されていた場で、ガルマの死を機に反ジオン勢力に奪い返された地、そこにガルマを倒したホワイトベース隊のアムロが来たらどうなるかとする流れだが、安易だからこそなルートである。

 

 

 

 

 

 ―――――――。

 

 

 

 

 ペッシェ・モンターニュの尋問はエマが担当した。クワトロに含むところがあるのだが、多忙なだけではなく近い立ち位置故でもある。

 

「元、ジオンで連邦に転向してデラーズ紛争でガンダムタイプで戦った経験有り、その後にティターンズ寄りな施設に・・・・」

 

 エマ・シーンが経歴だけ見たら自分以上に節操が無いとしたが、思想が極端だった。

 

【軍事技術の発展が後の世の多くの命を救う】

 

 上官の残した言葉に囚われているとしたが、そもそも自分は技術による救済ではなくティターンズの表向きの理念を信じたのだ。シオンの言葉を信じた自分が敗れて捕縛されても何かを目論む側に言うべき事を述べた。

 

「貴女は、こうなって良かったのよ・・・・技術じゃなくて人間が進化を・・・・っ!?」

 

「NTにならないと駄目だと?」

 

 エマは、いけないと感じた。NTになってどうするかと問われたら・・・・これではとした時にペッシェは溜め込んだものを出す。

 

「ガンダムに乗れ、NTなら。それ用に造られた機体、ガンダムに乗って戦え・・・・つまり、戦争を続けろ。そうしなければ人は滅ぶ。人類は戦争をやる事により歴史を作って来た。でなければ人類はとっくに滅びていた・・・・」

 

 エマは尋問を一旦は止めて退室した。やるならシオンの方が良いとした。頼るべきかどうかではなく正直に言う方が良いとして話を持ち掛けた。

 

「自分の目的の為に敢えてモルモットみたいになった女だから・・・・下手したらフォウみたいにされてたからにしてもジェリドってのに短気起こしたのが切っ掛けな俺なんか参考になるんですか?」

 

「あ、貴方は・・・・結果的にブライト艦長を助ける為にガンダムに乗ったんだし。それに・・・・」

 

「何をわか・・・・所詮は他人事と向こうが割り切ってるなら時間が必要です」

 

 エマは深入りは止めた。恐らくクワトロやハヤトに釘を刺されたのだろう、シオンならわかってると割り切ってはいずれお互いが行き着く場まで行く事になる予感がした。何よりエマは途方も無い事を気付いている。シオンに関わっていれば自分が近付けるのではと、それは良い事かどうかではなく確かめるべきなのかとした際にシオンの目の色が変わっていた。

 

「・・・・下」

 

「え?」

 

 駆け出して行ったシオンを追うが、既視感がある。ペッシェを感知した時のものだった。

 

『出撃準備!海面スレスレに未確認物体!』

 

 やはりとしながらパイロットスーツを着けずにシオンとエマが白と黒のMK―IIに乗り込んだ時はアウドムラの片翼に攻撃が被弾したようだ。出撃した二人は白と黒のMK―IIを起動を攻撃が来た方向に接近させて拡散ビームを乱射する巨大な物体を確認した。上部と左右に何かが突き出したような黒い機体は地上用のMAにしても異端だった。

 

「何だ。コイツは・・・・強力過ぎる!」

 

 得体の知れない気を発散させる対象にビームを見舞うが、巨体に似合うIフィールドで覆われているので全て弾かれていた。機体のほぼ中央にある砲門から拡散ビームを放って来たので散開をしたがシオン機に拡散ではなく戦艦の主砲のような太さのメガ粒子砲を放つ。シオンはそれを回避したのを見てエマは運が良かったと背中に嫌な汗を流す。ビームが効かないならシオン機に気を取られてる内に接近をとしたエマが見たのは敵機が変形し始めてエマが乗るのとは違うし倍以上なサイズの黒いガンダムとなった。思わず旋回したエマ機のシールドが頭部の小型ビームで破壊されてしまい、ドダイも拡散ビームで被弾した。

 

「シオン、ぶつけるわ!」

 

 エマは咄嗟にドダイだけ直進させて黒い巨体に特攻させた。直撃して微かにだが怯んだ事で出た隙。シオンは目を狙ってリミッターを外したサーベルを振り下ろしたが、相手が必死に機体を仰け捻って左胸の辺りを斬り裂くだけになるが、次の瞬間には敵機は全力で離脱をしたのでシオンもエマ機をフライングアーマーに乗せて深追いは止めた。

 

「何かおかしい敵だったわね」

 

「はい、意識がぐちゃぐちゃでした」

 

 早期に撤退してしまったので出撃しただけになったクワトロは二人に帰還を促したが目を見張りながら顔を強張らせていた。優先順位を決めていたシオンは無意識に敵機のパイロットと感じ合いながら取り込まれずに押し返した。それを良い方向と感じつつも危惧していたのだ。

 

 

 

 ――――――――。

 

 

 

 

「【ゼロ】!何で離脱をしたの!?」

 

「へ、蛇が頭の中でのたうち回ってるような感覚だ!」

 

【ゼロ・ムラサメ】

 

 緑色の髪をした強化人間である男性パイロットは自分に与えられた機体【サイコガンダム】で海面スレスレを移動しつつアウドムラを強襲する算段ではあったが、同乗している中年女性であるナミカー・コーネルがもっと接近してからにするようとの静止を振り切って不用意に発砲してしまったのが今回の敗因であった。

 

「あの白いMK―IIだ!あの機体はサイコガンダムなんかとは全然違う何かを積んだ奴だ!」

 

 ナミカーは、ゼロの言葉から噂の白いMK―IIがエゥーゴかジオンの技術でサイコミュの類いを搭載し、ゼロを刺激してしまったのだと推測したが、ゼロのような強化人間にとってはサイコミュより恐ろしい存在に覚醒を始めたパイロットが乗っているだけとは知る術がなかった。




 フォウじゃなくてゼロがサイコガンダムで敵として来た流れにした回でした。
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