機動戦士Zガンダム 静寂なる宇宙へ   作:くまたいよう

25 / 73
 今回は、ギレンの野望で言えばインド洋エリアが舞台。


インド洋に響く声

「何だと、アフリカに潜伏しているジオンに接触を含めた考えで近付くってのか?」

 

「ああ、クワトロ大尉は敢えてティターンズを喜ばせる手段を取る気だな」

 

 オーストラリア西からアフリカに向かうが、カイやエゥーゴ内の反ジオン派が反発するような手段を取る事にした。ハヤトからしたら先に言うべきとしたが、カイなりに探りたい事があるので堪えている。その中間にあるインド洋の小さな島が散在する地点に差し掛かった際。

 

「大尉、この辺りだと思いますが・・・・良いんですか、こんなオカルトな手段」

 

「良いさ、それに当たってた場合。悪い事ではあるまい、先手を取られたりするよりはマシだよ」

 

 クワトロが取った手段は直ぐにはアフリカには行かずに一端は【マドラス】に向かえる辺りで着水するか否かの前にMSによる調査をする事、躊躇していると見せる手段であるが得ている情報もある。

 

 

【ジオン残党が潜伏している】

 

 

 何か気配を感じるかどうかでシオンに探ってもらう選択は個人によるもの。リック・ディアス用のバズーカも装備した百式と同様にシオンのMK―IIもバズーカ装備で出ていたミノフスキー粒子が薄いので比較的鮮明ではある為に上空から見付けられたものがある。

 

「む、あれは漁船だな。この辺りの原住民が漁をしているのか?」

 

 クワトロの言うように、普通に漁獲漁をする為の船なので危険は無さそうな外見だが、シオンには感知が出来てしまった。

 

「・・・・いけない!」

 

 漁船が爆発した。沈没する船から二名がボードで脱出をしたが、テロリストでも近くにいたらと思ってシオンはフライングアーマーをホバー状態にして近付けて救助した。クワトロからしても良くやると思わせる見事な操縦だが、帰還したシオンには平手打ちが飛んだ。

 

「シオン、偵察任務中なのだ。君は咄嗟にやってしまったようだが、これが救助の隙を突く等の陰謀ならばどうなるかわかるな・・・・私ならともかく、フォウやエマ中尉を危険に晒す気か?以後、勝手な事は慎め!」

 

「申し訳ありません・・・・」

 

 周りからしたら、シオンはやはりまだ少年だった。だが、クワトロの言い分とやった事は正解だとして爆発の原因を探る。どう見ても船による事故では無い。救助した民間人も突然過ぎて良く救命ボードに乗れたとしているが?

 

「最近、付近で似たような事が起きている・・・・理由は、何もわからない」

 

「は、はい・・・・拾い物を使ったオンボロとは言えソナーを使っても何もわからないのですよ。ジオンの残党のテロにしても可笑しいとおもいます。連邦に泣きついてもテロにしても小規模だからと対処が進まないとしか・・・・」

 

「ふむ、シオン。君は爆発が起きる前に何か感じたようだが何か推測は出来るか」

 

「・・・・【バルゴラ】みたいでした。あの機体が爆散した時のような澄んだ悲鳴が聞こえた気がします」

 

 バルゴラは、シオンの今を決定付けてしまった機体だ。ルナ2に被害を出した爆発の原因も未だに解析はされていないとした時に緊急報告が入った。

 

【旧ジオンのズゴックタイプ】

 

 それが出撃したと偵察機から報告が入る。やはりミノフスキー粒子が無いに近いので出撃したズゴックがやられた画像迄が送られる。

 

「な、何だ。機雷とかじゃないぞ!近くには魚か何かの影しか無かった!」

 

 何かが当たったとしても大きめな魚、魚と聞いてシオンにはある予感がしたが、正しいと思って叫んだ。実は自分は日本の出身であるので書物で読んだ事がある。そして、爆発手前に感じた事を信じた。

 

「これ、もしかして【イルカを使ったアニマルウェポン】では?」

 

 シオンの推論に周りは困惑した。宇宙生まれが大半なので旧時代の事まで咄嗟に思い浮かばなかったからだが、説明に生唾を飲んだ。

 

 動物や鳥に爆弾等を運ばせてレーダー等には感知できず証拠が残らないテロ等に使うプランは旧時代に密かにあって、それ等をアニマルウェポンと言う。

 

 ましてイルカとは、知能が人間を上回ると迄言われた生物。それを生きた魚雷とまで唄われるようにする育成をしていたとは密かに囁かれていた。

 

「成る程、正解かもな。宇宙開発の前から考案されていたからこそ有効なもの。これは下手な水中兵器より厄介だぞ!水中からはジャブローの時のように、オムル達の陽動に頼るのが精々な近代戦だからこそな、この辺りをジオン残党が潜伏しているからとして実験に使っているのか?」

 

「シオン、イルカの来た方向に向かってくれ。恐らく出所がある!私はズゴックの来た方向に向かって事情を話す!残ったものは周囲を厳重に警戒していろ・・・・シオン、早くしろ。一刻を争うかもしれんのだ!」

 

 この時、アポリーやロベルトすらクワトロにしては何やら冷静さが無かったとは気付けないでいた。

 

 出撃したクワトロは、ズゴックの来た方向にある小島の上空から通信が繋がるかどうかで呼び掛けた。ジオンの残党にしても無差別な行為に暴発させてはいけない、それでは本格的な武力介入の切っ掛けになるからだったが。返答は四機のズゴックタイプの先制攻撃であった。

 

「バカな、聞こえないのか・・・・私はエゥーゴのクワトロ・バ【赤い彗星だろ!】・・・・何故、知っている?」

 

『旧ジオンの者が密かに吹き回っているんだろうさ、実際はザビ家を倒した男なのにな』

 

 上空からビームを撃ち込むが、相当に訓練されたようで地上でのステップのみで回避している。迂闊に近付いて海上に引き摺り込まれては不味いとしてビームによる攻撃を続ける内にクワトロはズゴックの動きに気付いた。

 

「パイロットが良い腕をしているが、機体の方は物資が足らずに整備不足のようだな。その動きは長くはもたんぞ!無意味な潜伏はよせ!」

 

『無意味だと、我等がこうしているのは誰のせいだと思っている!貴様が復讐は後にして一思いに木馬を沈めていれば。我等がこんな機体に乗る必要が無かったかもしれないんだ!違うのなら反論してみろ!』

 

 その一言はシャアの転落の切っ掛けの最大級に数えられる部分を突いた。知られたのか推論なのかは良いが、ガルマ・ザビを目的の為に木馬に討たせる形に謀殺したが、後になってガルマを失った事がシャアの心情に影を落とした。ドダイがビームに掠められ、このままではいけないとしたクワトロは思い切って降りた。自分か自分が関わった者の説得は無意味だとした。玉砕覚悟で突っ込んで来るズゴックの攻撃を回避してはの手足を撃ち、サーベルで斬るが向かってくるのをやめない。半ば特攻を凌いで漸く沈黙した時には隊長機らし機体が映像を送ってくれたが、顔を見てわかった。

 

「先が、無いのか・・・・」

 

 無精髭で誤魔化しているが、現地での風土病にでも掛かったのか顔色からしてわかる。コロニー落としの影響以前に、地球上は元々ワクチン等を打たずに未開の地へ行ける程に甘くは無い。映像で見たズゴックのパイロットが先走ったのは、攻撃に我慢しきれなかっただけではないのだと理解した。

 

『復讐を達成してご満足な男にはわからんだろうが、私だって生まれた場がジオンだからこうなったようなもんさ【生まれの不幸】ってやつかな』

 

 それもガルマに向けた言葉だ。シャアの過ちを掘り起こしたが、それでもとして自分なりに機転を効かせた。

 

「全員、戦死した事にしよう。だが、ここは離れるのだ。ジオン残党が潜伏しているとする情報のせいでこうなった身だろう、インド洋が駄目なら陸地、又は近くの海か【南太平洋】を始めとした離れた場に逃げるのだ。この辺りは狙われている。すまんが、私達には余裕は無いのだ」

 

『はっ、先に保護した奴等だけでも危険だが、俺達の風土病を感染させられたら大変だからはともかく、仕掛けた相手にそれとは意外とシャアも甘いようで・・・・だが我等に情を示すくらいなら。自分のやるべき事をやってくれよ、もう限界なのさ・・・・宇宙で静かに暮らしたかっただけな側にはな。いけよ・・・・』

 

 百式を飛ばして、島から離れた。この場に留まって良い立場ではない・・・・だが?

 

「ハヤト艦長、潜伏した側に仕掛けられたので【全滅】させた・・・・後、現地民に怪我人や病人が多かったので。非常食と慣用な医療キットだけでも分けてやりたい」

 

『わかりました。保護した民間人達を降ろす際に持たせましょう』

 

 この時のシャアのせめてもの行為が【ある可能性】に綱がったかどうかは不明であるが、遅れて帰還したシオンが青ざめていた。潜水艦を見付けたのでバズーカを命中させた後に降伏を呼びかけたが自爆した映像を出したが?

 

「やはり、イルカか・・・・かなりの数が逃げ出したようだが・・・・ご苦労だったな、シオン。先ずはゆっくり休んでくれ」

 

 

 

 ―――――――。

 

 

 

 シオンは、事態を察したシャアの声も右から左で近くにいるフォウにも顔を見せられなかった。

 

【助けて】

 

【せめて、海で】

 

 そう聞こえる思いが走る場に向け機体を潜水させたが、イルカ達を積んだ潜水艦はブービートラップ扱いで自爆待ちだったようだ。若しくは機密保持の為に船員は無言で自爆をしたのかである。逃げ出せたイルカは微かに映る映像で先が長くは無い措置を受けていたとわかる。だが?

 

(それでも、せめて死にたい場で死にたいんだろうな・・・・人間の勝手で死なせちまった。人間より無駄な事をやらない動物の方が、偉いんだろうな・・・・)

 

 自室のベッドに沈むシオンは自分に起きた変化より命の使いどころを目の当たりにした。御伽話みたいにイルカと意志疎通したなんて事を不思議がる余裕すら無かった。何故ならば、人間を含む生きる者にとって、今回より凄惨な形になる未来を見てしまったような気がしたからだ。




 旧次代兵器の猛威な回でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。