「大きな星が、ついたり消えたりしてる・・・・」
グリーン・ノアでガンダムに乗る前に建物の床越しに見たような宇宙だけではない。
光る宇宙。
蒼い宇宙。
ベトついたようなバリアが広がる宇宙。
まだ見えない道標がある宇宙。
虹が伸びるような宇宙。
いずれも時折美しい光がついたり消えたりしている。
「彗星かな、いや違う・・・・彗星は・・・・違う、アレは彗星なんかじゃない。命が重なって、溶け合ってる・・・・違う!違うんだ!宇宙は静かでないといけないんだ!」
それを感じた瞬間、彼は【帰って来た】・・・・まだ生きている自分がやるんだと。呼び掛けている声に答えた。
「ああ、う・・・・動いた」
シオンにはスミレ達が何か呼び掛けていたと理解したが、何か汗まみれになっている顔だとして気にせずシミュレーションに移った。操作系がコントロールアームからして違うのだから慣れないといけないのだ。
――――――。
「おい、何なんだよあのガンダムは!紫色に光ってどっかに引っ張られそうだったぞ!」
「そ、それは【旧ジオンのサイコマシーン】を参考にしたシステム使ってるから」
カイからの詰問に思わず答えたスミレも青くなっていた。
【あまりにも強力過ぎる】
ルナ2がああなった後にシャアと会った際にハマーンを知る自分からしても想像以上なNT能力を持っているかもしれない者が頓挫中の新型を実現出来るかもしれないプランを出してくれたので任せると聞かされただけでなく【新素材】を組み込んでくれとまで注文が来た。それは正しいと思った。
【レベッカ・ファニングのような事は沢山だった】
理由は、アナハイムもサイコミュに近い技術はあるので組み込もうとしていたが、寄りによってシオン同様に名を変えている彼の父が研究していたもので安全性に欠けるので自分達の秘匿したものを採用した。
(けど、あれじゃシャア大佐はシオン君をパイロットサイズの【新素材】にしようとしているようなものじゃない!)
推論ばかりで確証が無いが何故かシャアがシオン悪の手先にしようとしている噂関連は決して寝も蓋も無いものではない予感がスミレには芽生えてしまった。ゼータは可変機体としてもピーキー過ぎるので相性は良いが扱いが難しく無駄な衝撃厳禁な【アームレイカー】のプロトタイプですら急遽採用たのは納得したが、今すぐにシャアに会って問い質したかった。
【尤も、シオン本人はアームレイカーを使ってみて、これなら抱き着いたりされたりを更に気を付けられるから助かったと思っている】
その頃。
「俺達。どこにいるんかね?」
「アムブロジアコロニーで合成だか養殖だか知らねえが寿司なんか食った俺等が言えた事じゃねえ気がするがな」
半分が砂漠化したアフリカだが、旧世紀から格差があるがマシな場はあったとアポリーにロベルトは聞いていた。この【ケニア】の付近も似たような感じであるが、連邦がジャブローから本拠地を移した影響もあるのかもしれないと訪ねたた町を見回わす。
そして、あこぎな流れを始めるシャアは思わぬ流れにいた。
「ね~【ヨン】さん。もっとスピード出して」
何故か町外れに行こうとする七歳の少女を乗せてエレカを動かしていた。
【クェス・エア】
緑色の左右非対称なツインテールをした娘が一人で出歩いて迷子になっていたが、目的地とは全く見当違いな方向に歩いていたのだ。クワトロも自分の目的は早目に済ませられたからだが何か気に入らない流れに入り欠けている。
【アリとキリギリス】
旧世紀からの童話の絵本を読んでいたので買ってあげた。クワトロはキリギリスの生き方と結末に敏感になるクェスの感性に着目した。シオンがアニマルウェポンの知識を持っていたのとは別に子供の頃から様々なものを学ぶのに良いと思ったが、着いた先で【クリスチーナ】と名乗る東洋系の服装をしたクェスとは違う意味で感性が良さそうな女性がキリギリスの足に耳がと言い出したので興味が失せたようだ。
「店に返しといて」
「待ちたまえ、代金を出したのだから無下にするものではない」
最近はスポンサーとの折り合いで金銭感覚を見直していたシャアならではな言い分だが、一瞬立ち止まった後に振り向いたクェスは何やらシャアにガッカリしたような見下すような表情で一言告げた。
「あんた。ちょっとセコいよ!」
そう言って、満面の笑顔でクリスチーナ達のところへ走るクェスに何も言う事は出来なかった。
「女子って・・・・ムズー・・・・とか思えば良いのですよ」
理解ありそうな者達の励ましがシャアには虚しく響いた。人の優しだけでは世界どころか一個人すら救えんとでも言わんばかりの一日であった。
ー-ー-ー-ー。
(世知辛い・・・・)
一通りシミュレーションを終えて、次の出撃でゼータを出せそうだとしたシオンは来たばかりの新人としてジオン残党の中で良心とするべきユライア中佐と向き合った。信用は出来るからとしても大人達の意図が良くわからないが一つハッキリした。
「中佐は正直なんですね・・・・」
「そうだな、君達エゥーゴで言えばジャブローの件も私に言わせれば戦力が劣っているのに敵地に乗り込んで正面対決等は具の骨頂だ。異を唱えても確実にはね除けられるような事ばかりだ。全く、あんな童話に出て来てお姫様を苛める悪女全てに当て嵌める女が上司とはな・・・・」
「【あのジョニー・ライデン】に慕われている女にしては軍人からのウケは悪いんですね」
戦争中に寄ったコロニーで暴れまわってた連邦やジオンの脱走者が混合した集団を倒した逸話もある子供ウケが良いジオンのエース。だが、ユライアはコーヒーを飲み干して告げた。
「少年、君は知っているか?【ジオンには武人はいるが軍人はいない】・・・・オーストラリアで連邦に皮肉られた事だが、武人と軍人は想像以上に似て非なるものだ」
確かにとすべきだが、ならば自分がなるべきは何なのかとすると緊急事態を告げる知らせが起きた。
「な、何なのコレ・・・・」
エマが唖然とする。先日の黒い大型アーマーが旧ジオンの潜伏する小さな町と言うより集落をビームで焼き払っていた。応戦する機体は無数の拡散ビームに対応が出来ずに成す術が無く撃破されていた。その光景にシオンは先程のユライアの言葉が思い浮かんだが即座に否定をした。
(武人でも軍人でもないじゃないか!)
上官らしき機体は性能差すら考慮しないでいるのが明らかだった。無駄死にさせてるだけの流れだが、ため息が聞こえた。
「あの辺りは、無茶したがるだけのばかりが集まった場だからね。私達も慎重論すら唱えさせてもらえなかった。どうするのさ、アレにどう対処する?」
遠回しに放っておくべきか否かとマヤが留守を任されたハヤトに問い掛けた。オーストラリアの件を聞かされたので非道とする声は真っ先にはだせないが、シオンはあの大型アーマーのパイロットの歪んだ笑顔をモニター越しに見透した。
(あいつ、楽しんでる!)
怒りが臨界点に達したシオンにハヤトからの一声が掛かった。
次回、出撃?
余談として。
アームレイカー出してまで合理的に避けようとするとはそんなに原作MS同士の抱き着きが嫌か?
嫌に決まってんでしょ!な産物からな私作のゼータガンダム。